ロシアのプーチン大統領(右から2人目)。 規制は健康なロシア人を生み出すか、それとも 米禁酒法の二の舞になるのだろうか…… |
国民の平均寿命(68.8歳、ソース)が世界平均を下回るなどの健康問題は、アルコールに原因があると考えているためだ。
Whiskeys face alcohol crackdown in Russia(SFゲート、配信元:ブルームバーグ)
この政策の皮切りとなったのが、2010年のビール増税。
税率を倍増させるもので、2007年と2011年のビール消費量を比較すると2.4%減少しており、ある程度の効果を見せている模様だ。
また、23時から翌朝8時までのアルコール飲料の販売、公共の場所での飲酒、テレビ・ラジオ・看板によるアルコール商品の広告が、既に禁止されている。
マーケティング会社、ユーロモニター(英)のスピロス・マランドラキス(Spiros Malandrakis)アナリストは、「立法によって(アルコール業界が)規制される大きな動きが続いた。クレムリンの怒りを買わぬよう、慎重に動かなければならない」と分析している。
一方、ビーム(米)のマシュー・シャトックCEOは「ロシア市場では、そのような現実を理解することも競争する能力のひとつだ。我々はそれぞれの市場にあるルールの中で競争しなければならない。ときには、ルールの方が動くこともある」と静観する。
ロシアのアルコール産業は昨年、4.6%の市場規模縮小、なかでも国民酒といえるウオトカ(ウォッカ)は4.9%、市場が縮小している。
それにも関わらず、ウイスキーは48%、テキーラは45%、市場が拡大した。
もっとも、未だにアルコール消費量の約8割はウオトカで占められウイスキーは1%のシェアに過ぎないが、消費者の嗜好が変化しているという点は現実に変わりない。
これを受け、ビームはテキーラ「サウザ」、コニャック「クルボアジェ」、スコッチ・ブレンデッド・ウイスキー「ティーチャーズ」のマーケティングを、ロシアにおいて展開している。
ロシア政府は現在、2020年までに1人あたりの年間アルコール消費量を8リットルまで削減する目標を立てている。
ヴィクトル・ズブコフ第一副首相が昨年12月に発表したところによると、以前18リットルだった年間消費量は15リットルとなっており、着実に削減されている。
来年末には酒税をさらに30%、増税する計画がある。
プーチン大統領の目論見通りアルコール消費は減るのか、それとも消費者の嗜好、メーカーの思惑が規制そのものを変えてしまうのか――両者の戦いは、しばらく続きそうだ。
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