2014年6月28日土曜日

新浪ローソン会長、サントリーの新社長に――海外の反応(スピリッツビジネス)

 サントリー(大阪、世界本社=東京)の次期社長に新浪剛史・ローソン会長(写真)が就任すると23日、日本国内のメディアが相次いで報じた。『東洋経済オンライン』の直撃取材に佐治信忠・現社長も認めた上で応えており、あとは取締役会の承認を待つのみとなっている。

 海外メディアもこのニュースを取り上げているが、蒸留酒業界専門誌・ウェブサイトである『スピリッツビジネス(SB)』の記事を今回、紹介したい。

 SBの記事タイトルは“SUNTORY TO APPOINT FIRST PRESIDENT OUTSIDE FAMILY”(サントリー、初の創業家出身以外の人物を社長に指名)。欧米でも、蒸留所単位では創業家によって事業承継される場合があるが、サントリーが初めて鳥井家・佐治家以外から、さらに生え抜きではない社長が内定したことは、日本国内と同様、驚きをもって迎えられているようだ。

 新浪新社長のパーソナリティーについては、「ハーバードを卒業したビジネスマン」「2002年に55歳でローソン社長に就任。中国とタイでの事業拡大の陣頭指揮を執った」と紹介。サントリーが海外展開を進めている事実を併せて述べており、SBも国際的な事業経験が選任のポイントになったのであろうと見ている。

 今回の記事は、新浪新社長の経歴とサントリーの現状を述べるに留まっている。国内財界では知らない人はいないともいえる彼だが、海外の酒類業界においてはいまだ知名度が低い状態なのだろう。まずは、「お手並み拝見」といったところなのかもしれない。

SUNTORY TO APPOINT FIRST PRESIDENT OUTSIDE FAMILY(スピリッツビジネス)













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本日の一部報道について(サントリー・オフィシャルサイト)

2014年6月20日金曜日

ウオトカ「ソビエスキー」の広告、ツイッター上で話題にーースノーデン元NSA職員をイジる(ビジネスインサイダー)

 ウオトカ(ウォッカ)・ブランド「ソビエスキー」(ポーランド、写真)の米国での広告が、ツイッター上で話題となっている。ビルボード(ビルの屋上などに据え付けられる看板)やバス停、電車内などに“Why Edward Snowden wishes he'd sought asylum in Poland.”(エドワード・スノーデンがポーランドに亡命を求めた理由)との文字が書かれた広告を展開。これを面白がった米国内に住む多数のユーザーが、ツイッターに画像をアップロードしている。

 エドワード・スノーデンは米国家安全保障局(NSA)元職員で、昨年、米国が同盟国を含む他国に対して盗聴を行っていたことなどをメディアに告発。香港、ロシア・モスクワのシェレメーチエヴォ国際空港ターミナルに滞在した後、ロシア国内への期限付き滞在が認められた。

 スノーデン元職員は米国からの追及を逃れるため、シェレメーチエヴォ空港滞在時、ロシア以外の多数の国にも亡命申請しており、ポーランドもそのひとつだ。広告では、前述の文字の隣にソビエスキーのボトル、あるいは、ラベルがプリントされており、スノーデン元職員はソビエスキーを飲みたいがためにポーランドへの亡命申請をした、という演出をしている。

 広告主は、ソビエスキーの米国代理店であるインペリアルブランズ。元記事には、ハリウッド、マイアミ、ダラスなど米国各地で撮影された写真が掲載されており、展開には数百万ドル(数億円)の資金が投じられたとされる。

 もちろん、スノーデン元職員は亡命先をウオトカが飲めるか否かで決めていたわけではないであろうが、広告を発信する場が事件の発端となった米国であるだけに、大きな反響があったのかもしれない。

A Company Is Using Edward Snowden To Sell Vodka(ビジネスインサイダー)
http://www.businessinsider.com/sobieski-vodka-is-using-edward-snowden-2014-6#ixzz35BKhaphV


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2014年6月19日木曜日

ジン「ゴードンキャッスル」生産開始へーースコットランドの古城保全を目的に(スコットランドナウ)

 ボトラーのゴードン&マクファイル(英スコットランド、G&M)は、ジン「ゴードンキャッスルジン」の生産・販売を開始する。スコットランドのゴードン城庭園で採取される作物を利用し、生産も城内で行う。また収益は、城壁の修復・リノベーションに活用されるという。

 ゴードン城は15世紀に建設され、以後、建て替えを行いながらもスコットランドの貴族であるゴードン=レノックス家によって保持されてきた。現在の当主であるアンガス・ゴードン=レノックス氏(先代までは公爵であったが、アンガス氏が爵位を持っているかは不明)とザラ夫人(写真)は、将来に亘る城の保全のため、城内での宿泊や鮭釣りを行えるようにするなど城を利用した事業を進めている。

 ジンの原料として用いられる城内の作物は、リンゴ、プラム、西洋ナシ、モモ、アプリコット、ネクタリン、そしてイチジク。なかでもプラムは、1世紀以上に亘って庭園に生息する「ゴードンキャッスル・プラム」も含まれるという。また、修復される城壁は、庭園デザイナーであるアーン・メイナード氏が手がける。

 なお、ゴードン=レノックス氏とG&M創業者の関係については、不明。

Scottish castle's home-made gin will help safeguard their future(スコットランドナウ)



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2014年6月18日水曜日

ディアジオのバーボン蒸留所計画に暗雲ーーバーボントレイル参加へ向け住民投票の可能性(ウェーブ3)

 英酒造大手ディアジオは、米・ケンタッキー州シェルビー郡にバーボン・ウイスキー生産のための蒸留所を建設する。すでに、同郡目的別地域指定計画委員会がディアジオの計画を承認しており、蒸留所見学ツアー「ケンタッキーバーボントレイル」にも参加予定だ。しかし、バーボントレイル参加には住民投票により郡のアルコール関連法令改正が必要となり、前途に暗雲が漂っている。

 元記事に「シェルビービルでは、レストラン、ゴルフコース建設の場合は住民投票が必要とされないが、蒸留所はこの規定の抜け穴となっている」とあることから、観光関連施設・サービスを新設する場合には、原則的に住民投票が必要であるものとみられる。同郡法務責任者のハート・メギベン氏は、建設に同意する有権者の記名嘆願書が住民投票のスタートで、嘆願書が規定に則って有効なものとなれば11月にも住民投票が実施される、とコメントしている。

 新蒸留所の面積は、300エーカー(約1.2平方キロメートル)に上る(東京・築地市場の建物延べ床面積=0.28平方キロメートル、ユニバーサルスタジオジャパンの総面積=0.54平方キロメートル)。ディアジオは、バーボン・ウイスキーのブランドを「ブレット」しか保有しておらず、カテゴリー補強への意志が鮮明に表れている。

Planned distillery won't be on Bourbon Trail unless voters pass referendum(ウェーブ3)



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2014年6月12日木曜日

アードベッグ「キルダルトン」をリリースーー収益はアイラ島の地域貢献に(オフライセンスニュース)

 アードベッグは限定版シングルモルト「キルダルトン(KILDALTON)」をリリースする予定だ。今回の商品は、アードベッグが所在する英スコットランド・アイラ島への社会貢献も目的としており、同島ポートエレン地区に「ソーシャル・アンド・トレーニング・センター」の設立を目指す。

 このセンターが具体的にどういった役割を果たすのか、元記事では触れられていないが、名称から日本の自治体も文教事業の一環として設立する「社会教育(社教)センター」に類するものと考えられる。親会社であるグレンモーレンジのハーミッシュ・トリー・CSR担当ディレクターは「今回のプロジェクトは、アイラの地域コミュニティに我々が長期的に貢献するという、素晴らしい実例となる」とコメントした。

 なお、キルダルトンはバーボン樽原酒とシェリー樽原酒をヴァッテッド。価格は120ポンド(約2万円)で、最初は蒸留所のみの販売。今秋には市場に流通する予定だ。

Ardbeg creates whisky to help fund community project(オフライセンスニュース/リンク先に商品画像あり)


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2014年5月24日土曜日

ボナムス、50年熟成のグレンフィディック・マッカランを出品――予想価格は200万円超え(デイリーレコード)

Bonhams Auctions 英オークションハウスのボナムス(ロゴ写真)は6月18日、スコットランド・エジンバラにて行うオークションで、50年熟成のシングルモルト・ウイスキー「グレンフィディック」「マッカラン」を出品する。それぞれ1万2000〜1万4000ポンド(約200万〜240万円)の値をつけるのではないかと予想されている。

 グレンフィディックは1991年にボトリングされたもので、証明書、木製ケースつき。マッカランは1949年蒸留、1999年ボトリングで、ケイスネスグラス(英国のガラス製品ブランド)製のデカンタとオーク材製ケースに収められる。

 また、2本の「シーバスリーガル25年(ブレンデッド・ウイスキー)」も、同じオークションに出品される予定。1つは第1次世界大戦前につくられたと見られるもので、緑色のボトルに収められており、ワックスカプセル(封蝋のことか?)に「Chivas Brothers, Whisky, Aberd…」とエンボス加工で刻印されている。予想価格は3500〜4500ポンド(約60万〜80万円)。もう1つは、20世紀初頭のもので、フレッド・L・メイヤー&サンズというジャマイカの企業が輸入元として記されているボトル。こちらは2500〜3500ポンド(約40万〜60万円)が落札価格として予想されている。

50 year old bottles of Glenfiddich and Macallan whisky set to go on sale in Edinburgh(デイリーレコード)


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2014年5月22日木曜日

ウオトカ「アワー/デトロイト」、5人の女性スタッフにより生産開始――ペルノリカール展開のローカルブランド(クレインズデトロイトビジネス)

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アワー/デトロイトの蒸留所建屋
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 ペルノリカール(仏)は、ウオトカ(ウォッカ)「アワー/デトロイト(Our/Detroit)」の生産を米・デトロイトで開始する。現在展開している「アワー/ウオトカ」シリーズの新商品。同シリーズは、世界各地にマイクロディスティラリー(小規模蒸留所)を設けウオトカを生産するというもので、2年前に独で「アワー/ベルリン」がリリース。どの蒸留所も同一のレシピで生産するが、原料は各地のものを使用するためフレーバーに違いがでることを特徴としている。

 アワー/デトロイトに携わる5人のスタッフは全て女性。プロジェクトを立ち上げたケート・ボーディン(Kate Bordine)氏はペルノリカールの社員ではなく、デトロイトにあるコワーキングスペースやワークショップ運営を行う団体の代表で、地元を知る人物だ。ベルリンを旅行した際、アワー/ベルリンに触れ「クリエイティブで楽しく革新的、そしてグローバル企業が各地に根付いて行うというこのプロジェクトに、私は恋に落ちた」という。

 サラ・アルドリッジ氏は、地元の飲食店「マーキュリー・バーガー・バー」で働いた経験を持ち、さらに植樹などを行う環境保護団体にも携わっていることから原料調達を担当。ブランディ・キーラー氏はNPOへの資金調達や配分を行う「ユナイテッドウェイ」でヴィジュアルコンテンツの構築を担当する人物で、アワー/デトロイトではブランディング、マーケティングを行う。ジーン−マリー・モリッシュ氏は24歳という若さながらディスティラリーマネージャーに、リン・サヴィーノ氏は食品・ワインの販社で営業を行っていることからアワー/デトロイトでも営業を担当する。

 蒸留所はデトロイト市バグリーストリート2545番地に位置し、かつては「バグリービリヤードセンター」「バグリーフードセンター」だった場所。40人収容可能なテイスティングルームも設け、蒸留所内のツアーも実施する予定だ。ペルノリカールは、これら蒸留所の改築やその他の費用に60万ドル(約6100万円)を投じている。

 6月2週目には試験的に最初の蒸留を行う予定。また、商品は1パイントボトルを16.99ドル(約1700円)で販売する。ディスティラリーマネージャーのモリッシュ氏によると、週に200ガロン(ボトルにして1600本)の生産を目標としているという。

Women team up to give vodka a Detroit flavor(クレインズデトロイトビジネス)


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