2012年12月31日月曜日

2012年年間PV数ランキング――第1位は「あのブレンデッド」

 本サイトがスタートしたのは今年1月22日。何度か長期間お休みすることもあったが、218本(「お知らせ」「用語解説」を除く)の記事を掲載した。

 そこで、年間PV数ランキングから今年1年を振り返りたい。


【第5位】ハイランドパーク、新シリーズの第一弾として「トール」をリリース(ハーパーズ)

 まず、いきなり訂正とお詫びになってしまうが、「THOR」の発音はトールではなく、「ソー」が正しい。お詫びします。

 今年も特徴的なモルト・ウイスキーが数多くリリースされたが、こうした記事が上位にくると、まだまだモルト人気が高いと感じさせられる。

【第4位】女王陛下に最敬礼——ロイヤルサルートのダイヤモンド・ジュビリー記念ボトルがリリース

 英国にとって2012年は、記憶に残る年になったと思う。ロンドンオリンピック、(周囲には不幸な出来事も起こってしまったが)キャサリン妃ご懐妊、そしてダイヤモンド・ジュビリーと大きなイベントが目白押しだった。

 ダイヤモンド・ジュビリーの関連記事も幾つか掲載したが、その中ではエリザベス女王即位にゆかりを持つロイヤルサルートのものが最も多く読まれた。

【第3位】アイリッシュ・ウイスキーはジェイムソンのひとり勝ち(インサイドアイルランド)

 別の記事にも書いたことだが、「ジェイムソンの一人勝ち」というのは間違い。スコッチ・ウイスキーや他のスピリッツと同様、アイリッシュ・ウイスキー全体でも輸出を中心に売上を伸ばしている。ということで、これもお詫びします。

【第2位】アードベッグとバルヴェニー、記念ボトルをそれぞれリリース(BBC他)

 2つのモルトを紹介した記事だが、主に「アードベッグ・ガリレオ」の情報を得るため、アクセスする方が多かったと思う。掲載時点で既に在庫切れとなっていながら、日本のバーカウンターで見かけることが間々あったボトル。

 ちなみに国際宇宙ステーションに持ち込まれたアードベッグのサンプルは、2013年中にも地球に帰還する。どのような実験結果になるのか、多くの人が楽しみにしているだろう。

【第1位】ジョニーウォーカー、ラインナップを変更——グリーンラベルは完全廃止、プラチナムラベルが新たにリリース(ザ・ドリンク・ビジネス他)

 10月下旬にキリンビールが正式発表するまでの半年間、「嘘を書いてしまったのではないだろうか」と不安を持っていたのが、この記事に対する筆者の正直な気持ちだ。正式発表以降、おそらくアクセスの途絶えた日はなかったように思う。


 読者の皆様は、ランキングにどのような感想をお持ちになっただろうか。

 2013年も多くの人が、楽しく、面白く、お酒を飲めるよう、様々な話題を提供していきたい。

ナイジェリア・ラゴスに「バカルディ・オークハート・ラウンジ」オープン(ベラナイジャ)

BACARDI OakHeart  バカルディ(英領バミューダ諸島)は7日、ナイジェリアの都市ラゴスにラウンジ&バー「バカルディ・オークハート・ラウンジ」をオープンした。同社が販売するスパイスト・ラム「バカルディ・オークハート」(写真)の名を冠したもの。オープンにあたり「オーク・アンド・コーク」というイベントを開催した。

Premium Rum Brand Bacardi launches the Bacardi Oakheart Lounge in Lagos(ベラナイジャ)
http://www.bellanaija.com/2012/12/27/premium-rum-brand-bacardi-launches-the-bacardi-oakheart-lounge-in-lagos-photos/

 同社はバカルディ・オークハートを「特徴的なオークのフレーバーを持ち、ラムパンチにすると口あたりのよい辛さがある」と説明する。また「バカルディ・オークハートとよく合うのはコークだ。バーで『オーク・アンド・コーク』と注文してほしい。短くて、ユニークで、気軽に注文できるし、賑やかな店内でもバーテンダーは簡単に理解してくれる」と、イベント名になったカクテルを推奨する。

 イベントには西アフリカ地域の人気シンガー、Iyanya氏らが出席。他にも、ラゴスは映画産業が盛んであることから映画プロデューサー協会の前会長や、アフリカ映画制作者連盟の地域代表など映画関係者、芸能関係者が多数出席した模様だ。

 また、同社は社会活動として、ラゴス・イコイにある小学校に50万ナイラ(約28万円)を寄付。若年層がコンピューター・ネットワーキングへ参加できる機会を設けるための基金も、設立する方針だという。ラゴスはアフリカ最大級の都市ではあるが、未だ発展途上にあり、治安や格差などの問題を抱えている。

 バカルディ・オークハートは日本での正規販売は行なわれていないが、並行輸入品がネット販売で2,000円程度で入手可能。


<関連記事>
バカルディ オフィシャルサイト
「アメリカンラム協会」が発足――バカルディ、ディアジオなどの大企業に対抗(イグザミナー)
バカルディ、低カロリーのプレミックスカクテルをリリース——スキニーガールに対抗か

2012年12月30日日曜日

ロシア企業、ウオトカに「江南スタイル」商標登録へ――PSY氏は静観の構えか(RT他)

 ロシア企業ウーボ(Woobo)インターナショナルが、「オッパ、江南(カンナム)スタイル」の商標登録を米国、ロシアで進めている。ウオトカ(ウォッカ)、ジュース等の飲料に使用する方針。しかし、同フレーズは韓国のアーティストPSY氏(サイ氏、写真)が歌う曲のタイトル、歌詞であり、プロモーションビデオがユーチューブで10億回再生されている。両者は無関係であり、PSY氏の対応が注目されている。


Russia to produce “Oppah, Gangnam Style” vodka if Psy agrees(RT)
Gangnam-Style Vodka Coming Soon From Russian Company(ハフィントンポスト)
http://www.huffingtonpost.com/2012/12/27/gangnam-style-vodka_n_2370226.html

 ウーボは、米国では9月に、ロシアでは今月、申請を行なった。一方、PSY氏の所属事務所YGエンタテインメントも、8月に米国において商標登録申請している。ただYGエンタテインメントは、玩具、衣料品など多岐にわたるカテゴリーで申請しながら、飲料品については登録項目に加えなかった模様。

 ロシアの法律家、イリーナ・トルビエワ氏によると、PSY氏の同意がない限りロシアでの商標登録は難しいという。しかし、情報誌「スターズ&ブランズ」のワジム・コルミリツィン編集長は「視聴者、ユーザーは、曲のタイトルとブランド名、あるいは歌詞と商品との間を等号で結びつけることはしない」という見解を示す。

 また、ウオトカの江南スタイルが持つポテンシャルについて、広告代理店レジェンドのアントン・コロブコフ−ゼムリャンスキー(Zemlyansky)氏は以下のようにコメントする。
「最近になって、ビデオの人気は落ちている。これで儲けようとしても非効率だ。また、商標登録が完了するまで1年かかる。その頃には(江南スタイルは)忘れられているだろう。もし、PSY氏の人気があと2〜3年もつならば、ウオトカだけでなく、記念品や服など、なんでも発売できる」

 米国では、テネシー州の男性が11月、「江南スタイル・チキン」「江南スタイル・ホットウイングス(手羽先)」の商標登録を申請した。このとき、PSY氏は提訴しないことを明言している。


<関連記事>
ロシア、「Skyy」の商標登録差し止めへ――スカイウオトカ製造元の勝訴で(RAPSI)
中国の知的財産権問題はウイスキーにも——シーバスが商標権訴訟で敗訴(スコッツマン)

2012年12月29日土曜日

スコッチ・ウイスキーの経済効果は5800億円――SWA・コンサルティング会社が分析(BBC他)

 スコッチ・ウイスキー協会(SWA)は、創立100周年記念事業の一環として4-コンサルティング(英スコットランド)にスコッチ・ウイスキーについての経済分析を依頼した。結果を示すレポートでは、スコッチ・ウイスキー産業は42億ポンド(約5840億円)の経済効果を産み出し、1970年代の成長期に続く「第2の黄金時代」にあるとまとめた。

Second 'Golden age' for Scots whisky industry(BBC)
Scotch whisky generates more value than City(スコッツマン)
http://www.scotsman.com/business/management/scotch-whisky-generates-more-value-than-city-1-2709420

 発表によると、42億ポンドの内訳として29億ポンド(約4030億円)がウイスキー産業そのものから、13億ポンド(約1810億円)はサプライチェーン(供給連鎖)によるものだとしている。また、業界内雇用者1人あたりの生産高は27万5千ポンド(約3820万円)に上り、シティオブロンドン(金融街などが存在するロンドンの中心部)のそれより57%高いという。雇用に対する効果も36000名規模としている(おそらく、間接的なものも含めた数字)。

 SWAのギャビン・ヒューイット会長は、以下のようにコメントした。
「スコットランドの他の産業と比較すると、輸出において常に望ましい状況にスコッチ・ウイスキーは身を置いている。このレポートは、スコッチ・ウイスキーがスコットランドの輸出産業において、重要な役割を果たしていることを示す。成長を勢いづかせるには連合王国政府、ならびにスコットランド政府による助成が必要。スコッチ・ウイスキーは彼らが思い描く、輸出主導による経済回復を下支えできる」


<関連記事>
スコッチ・ウイスキー協会オフィシャルサイト
スコットランド議会で「スコッチ・ウイスキー展」――SWAの創立100周年記念事業(スコッツマン)
スコッチ・ウイスキーに新たな問題――モルト・大麦の輸入を巡る対立が表面化(スコッツマン)

2012年12月28日金曜日

手軽に入手できるウオトカ代表格はアブソルートとヴィスカ――米紙がテスト結果発表(タイムズユニオン)

 米紙「タイムズユニオン」は、独自にウオトカ(ウォッカ)の商品テストを行ない、「アブソルート」と「ヴィスカ」(Vesica、写真)がトップスコアを獲得したと発表した。

Absolut, Vesica make grade in vodka test(タイムズユニオン)
http://www.timesunion.com/living/article/Absolut-Vesica-make-grade-in-vodka-test-4147004.php

 同紙は「シェフ・テスト」と称する評価を毎月行なっている。スーパーマーケットで入手可能な食品を取り上げ、それぞれの分野のプロが審査するものだ。今回はバブルラウンジ(コネチカット州フェアフィールド)のバーテンダー、ジェシカ・スミス氏が審査を行なった。

 対象となったのは6商品。トップの2商品は97点を獲得しており、スミス氏はアブソルートをダーティー・マティーニやコスモポリタンなどに、ヴィスカはマティーニなどに適していると評する。

 ヴィスカはポーランドのウオトカで、現在のところ日本国内での正規販売は行われていない。本サイト調べではネット販売なども見つけられず、国内での流通は皆無か、ごく少量なものと見られる。

 なお、同紙の発表する全ての結果は下記の通り。

アブソルート:97点
ヴィスカ:97点
ショパン:96点
ストリチナヤ:57点
グレイグース:49点
ケテルワン:32点
(満点=100点)


<関連記事>
アブソルート オフィシャルサイト
ヴィスカ オフィシャルフェイスブックページ
ドリンクスビジネスが選ぶ「変わったウオトカ・トップ10」①(ドリンクスビジネス)
英誌・調査会社が共同で酒類ブランドランキングを発表(アドエイジ)

2012年12月25日火曜日

米ルイジアナ州にラム蒸留所――来年開業・発売予定(NOLA.com)


蒸留所の完成予想CG

 米本土に新たなラム蒸留所がオープンする。

 ルイジアナスピリッツ(米ルイジアナ州)は、同州Lacassine(ラカシン?)に蒸留所を建設中だ。スケジュールに遅れが出ている模様だが、2月に操業開始、4月ないしは5月にビジターセンターのオープンを目標にする。

 同社はラムを生産し、蒸留所開業後の数ヶ月はテストバッチを行ないながら、レシピを仕上げていく予定。また、当初はシルバーラム(透明色のラム)やスパイストラムが中心商品になるが、初期のうちから樽熟成向け原酒の生産比率を高めていくという。

 トレイ・リテル代表は「我々のラムは、カリブのクラシックなスタイルから影響を受けている。材料はルイジアナ産のものを使う」とコメントした。

 1月中旬には、ラムのブランド名、ならびに取扱代理を発表する。

Lacassine rum distillery nearing completion(NOLA.com)


<関連記事>
「アメリカンラム協会」が発足――バカルディ、ディアジオなどの大企業に対抗(イグザミナー)

2012年12月21日金曜日

ディアジオ・サントリー、今週の動き(テレグラフ他)

 投資銀行JPモルガン(米)は酒造最大手ディアジオ(英)の株式について、ポジション評価を「売り」から「ニュートラル」に変更した。取沙汰されるビーム(米)買収案が好意的に評価されたためで、ロンドン証券取引所での株価も20日終値で1844.26ポンド(約253255円)と、3日連続で上昇している。

 JPモルガンのマシュー・ウェブ・アナリストは、以下のようにコメントする。
「米国のスピリッツ市場は(構造やカテゴリーなど)細々としているが、ディアジオがビームの経営権を取得することにより、整理され、強固なものになる。ビームは有力なバーボン・ブランドと(ポテンシャルを持つ)テキーラ・ブランドをポートフォリオに収めており、ディアジオはこれらを手にすることで、同市場においてより強いポジションに立つことになる。ディアジオの強い格付けを考えれば、今回の取引は魅力的なものだ」

JP Morgan gives thumbs up to Diageo's potential $10bn bid for Beam(テレグラフ)

 一方、ディアジオとともにビーム買収に乗り出すとされるサントリーは年明けに、ブラジル市場に参入する。1970年以降も同国に進出していたが、経済的に未成熟な時期であったため、2004年に撤退している。

 今回の参入では、2015年までに売上高を10億円にすることが目標。日本からシングルモルト「白州」「山崎」のほか焼酎類を、メキシコで生産されるリキュール「ミドリ」、プラムワインを輸入する。

 ブラジルは2014年にFIFAワールドカップ、2016年にリオデジャネイロ夏季五輪を控えており、さらなる経済成長が期待されている。

Japan’s Suntory Liquors announces re-entrance into Brazilian market(ジャパンデイリープレス)

2012年12月20日木曜日

グレンフィディックがクリスマスツリー制作――ボトル665本使用(トーキングリテール)

 スコッチ・シングルモルト「グレンフィディック」がクリスマスツリーを蒸留所に設置した。グレンフィディックの象徴といえるグリーンの三角柱ボトル665本を使用したもので、高さは10フィート(約3メートル)を超える。

Glenfiddich distillery marks single malt’s 125th anniversary with Glenfiddich bottle Christmas tree(トーキングリテール、リンク先にツリーの画像あり)
http://www.talkingretail.com/products/product-news/glenfiddich-distillery-marks-single-malt%E2%80%99s-125th-anniversary-with-glenfiddich-bottle-christmas-tree

 グレンフィディックは1887年12月25日に初めての蒸留を行ない、今年のクリスマスで125周年を迎える。スチュアート・ワッツ・サイトリーダーは「ボトルツリーはグレンフィディックの125回目の誕生日、そしてクリスマスに捧げたものだ。我々従業員たちがつくったという事実が、より特別な意味を持つ」と満足感を示す。

 ワッツ・サイトリーダーの言葉どおり、ツリーは従業員たちの手によるものだが、ともにアンディ・フェアグリーブ氏もツリーづくりに参加した。フェアグリーブ氏はグレンフィディックが進める芸術プロジェクト「アーティスツ・イン・レジデンス」のコーディネーターを務めており、「大変な作業だったが、ツリーで何かを表現できたこと、(完成したという)結果について嬉しく思う」とコメントした。


<関連記事>
トランプ氏、グランツ社を非難――「トップ・スコッツ」選出をめぐり(スコッツマン他)
傷痍軍人の登山隊、エベレスト登頂を断念——スポンサーはグレンフィディック(テレグラフ) ストックホルムに「スピリットミュージアム」——最初の展覧会はアブソリュートの広告を題材に(GADLING)

2012年12月19日水曜日

レミーコアントロー、ラーセンを買収へ(4トレーダーズ)

 仏酒造大手レミーコアントローは、コニャック・メーカー「ラーセン」の全株式を取得すると発表した。10月より開始された両社間の交渉が、合意に至ったもの。現在のところ、買収額は明らかになっていない。

 ラーセンは1926年、ノルウェーからの移民であったイェンス・レイダー・ラーセンが創業。以後、3世代にわたり独立系メーカーとして経営されてきた。海賊船をイメージしたボトル「ヴァイキング・シップ」(写真)などで知られる。

REMY COINTREAU : signs an agreement to acquire the Larsen Cognac Company(4トレーダーズ)


<関連記事>
ディアジオ、サントリーと共同でビーム買収か――ホセクエルボ買収交渉は決裂(テレグラフ他)

NBAのシャキール・オニール氏、ウオトカをプロデュース――シュガー・グルテンフリーのフレーバード商品(ハフィントンポスト)

 米プロバスケットボールリーグ、NBAの元選手シャキール・オニール氏(写真)がウオトカ(ウォッカ)をプロデュースする。ブランド名「Luv Shaq(ラブシャック)」で、LuvはLoveの省略形、Shaqはオニール氏の愛称だ。ココナッツフレーバーで、アスリートも楽しめるようシュガー、グルテン(麩質)フリーの商品になるという。年明けにも発売予定。

Shaq Vodka Brand, Luv Shaq, To Compete With Diddy's Ciroc(ハフィントンポスト)
http://www.huffingtonpost.com/2012/12/18/shaq-vodka-luv-shaq_n_2325146.html

 生産を担当するのはディヴォーションウオトカ(カリフォルニア州サンフランシスコ)。同社創業者であるドリュー・アデルマン氏は、ラッパーの(ショーン・)ディディ・コムズ氏とタイアップするウオトカ「シロック」に真っ向から争うと意気込む。また、そのために「より競争力のある価格にする」としており、30ドル程度(約2500円、バーモント州での価格を参考)のシロックに対して、どのような価格設定を行なうか注目される。

 オニール氏、コムズ氏に限らず、ミュージシャンのマリリン・マンソン氏がアブサンを、俳優のダン・エイクロイド氏はウオトカ、というように近年、米国のセレブリティが酒をプロデュースする傾向にある。


<関連記事>
英女優がテキーラをプロデュース――100%アガヴェ、二日酔いになりづらいことを謳い文句に(オフライセンスニュース)
F1ドライバーのバトンがジョニーウォーカー・ハウスを訪問(ドリンクスビジネス)

2012年12月17日月曜日

グレンファークラス、プロダクションマネージャーにフレーザー氏――バーンスチュワート系蒸留所から移籍(ウイスキーマガジン)

 スコッチ・シングルモルトのグレンファークラス蒸留所は、新プロダクションマネージャーにカラム・フレーザー氏を任命すると発表した。同蒸留所の運営元であるJ&Gグラントが発表したもの。

Glenfarclas appoints new Distillery Manager(ウイスキーマガジン)
http://www.whiskymag.com/news/18243.html

 フレーザー氏はスコットランド・スターリングシャー出身。バーンスチュワートが1990年に操業再開を決定したディーンストン蒸留所の門をくぐり、ウイスキー職人としてのキャリアをスタートした。2006年にはディスティラリーマネージャーに就任している。移籍にあたりフレーザー氏は「数年前、エア(スコットランドの都市)で行なわれたウイスキーフェスティバルで初めてグレンファークラスを飲んで以来、興味を持ち、フォローしてきた。モルト・ウイスキーの故郷といえるスペイサイドへ移るということに、独立した家族経営の蒸留所で働けることに、興奮している」とコメントした。

 ジョン・グラント会長は「グレンファークラスにカラム・フレーザーを迎えられ、嬉しく思う。2012年は記録的な実績をあげており、来年はさらに拡大していく計画だ。彼が加わることで忙しく、エキサイティングな時間が過ごせるだろう」と歓迎の意を述べる。

 なお、来年5月2日〜6日に「スピリット・オブ・スペイサイド・ウイスキーフェスティバル」が蒸留所など、スペイサイド各地で開催される。グレンファークラスでは、フレーザー氏をホストに蒸留所内ツアーを行ない、一般客もプロダクションマネージャーと触れ合える機会を設けるという。


<関連記事>
マッカラン、「マスターオブウッド」にマクファーソン氏を任命――業歴30余年の樽職人(ウイスキーマガジン)
アードベッグとバルヴェニー、記念ボトルをそれぞれリリース(BBC他)

2012年12月16日日曜日

エミレーツ、スコッチ・ウイスキーの輸出を支える――ドバイ−グラスゴー線の輸送量拡大(ヘラルドスコットランド)

 今年6月、エミレーツ航空(UAE)のドバイ−グラスゴー(英スコットランド)路線が1日2往復に増便された。先月には貨物630トンを輸送し、同路線としては最繁忙の月になったという。

 この業績を支えるのが、スコットランド産の魚介類、そしてスコッチ・ウイスキーの貨物輸送だ。

Emirates in high spirits as whisky exports soar(ヘラルドスコットランド)
http://www.heraldscotland.com/business/markets-economy/emirates-in-high-spirits-as-whisky-exports-soar.19645279

 「ウイスキーの輸送は船便だと考える人もいるだろうが、突然、在庫がなくなることもある。中東諸国にはそれだけの(ウイスキー)需要がある」と語るのは、エミレーツのローリー・ベリーマン英国アイルランド担当副社長だ。同社は今年、100万kgのウイスキーを輸送した。ベリーマン副社長によると「ボトルに換算してもおそらく100万本程度」に上り、ダイヤモンドがちりばめられた50万ポンド(約6700万円)のシーバスリーガルなど希少価値の高いボトルも空輸した。

 また毎日21時(英国時間)、ドバイに向けてグラスゴー国際空港を飛び立つエアバスA340-300機には、マテ貝、カキ、あるいはサーモンなど、スコットランドで漁獲された生鮮食品も積み込まれる。翌朝8時15分に到着し、ドバイのレストランで利用されるものだという。

 グラスゴー市役所のスコット・テイラー・マーケティング局長は「1日2往復の増便が大きな成功を見せているのは、明らかだ。中国、インド、オーストラリアなどからの訪問者も増えており、大きなビジネスの輪を形成したという点で大きな一歩。グラスゴーの競争力に特筆すべき後押しを加えてくれた」と増便による成果を喜ぶ。

 UAEへのウイスキー輸出額は昨年、8200万ポンド(約110億円)に達し、前年比16%増となっている。スコッチ・ウイスキー協会のローズマリー・ギャラガー・コミュニケーションマネージャーは「(ドバイが)中東やその他アジア地域においての、流通の交差点となっている。船便が主流だが、航空便では少量注文や迅速な対応が可能だ」と、UAEへの輸出が順調な理由、空輸によるウイスキー輸出が持つ意味を説明する。

How we fly これまでエミレーツは、同路線にボーイング777−300ER機(写真)とエアバス機の2機を投入していた。昼に出発する便はボーイング機、夜の便は前述の通りエアバス機による運航だ。しかし好調であることからから年明けより2便とも、輸送能力の高いボーイング777での運航に切り替わる。


<関連記事>
焼酎、日本酒を「国酒」に——古川特命相が海外展開の方針を言明(デイリー・ヨミウリ他)
「アイリッシュ・ウイスキーは今『黄金時代』」——ホットアイリッシュマン創業者が語る販売戦略(ビジネス&リーダーシップ)

2012年12月15日土曜日

サーカスのゾウ、ウオトカに救われる?(BBC)

 ポーランドのサーカス団に所属する2頭のゾウが巡業のため、ロシア・シベリアをトレーラーに乗って移動していた。しかし、トレーラーは――おそらく故障によるものだろう――炎上してしまう。当然、スタッフは即座にゾウを降ろした。

 しかし、そこはシベリアという極寒の地。気温は氷点下40度だったという。ゾウは耳に凍傷を負った。

 このままではゾウが死んでしまう――そう思ったスタッフが取り出したのは、ウオトカ(ウォッカ)だった。2ケースのウオトカをお湯割りにし、ゾウに飲ませたという。

「ジャングルの中にいるかのように、ゾウたちは鳴き始めた。たぶん、ハッピーな気持ちになったのだと思う」とスタッフは振り返る。そして、ゾウにウオトカを飲ませたことで厳寒から救うことができたと関係者は主張している。ゾウは後に地元警察協力の下、近隣の大学に設置された温室に移され、体力の回復が図られた。

 人間と同じく、動物もアルコールを摂取することで暖かさを感じるが、体温そのものは低下するといわれている。ただ、ロシア・ノヴォシビルスク動物園のロスティスラフ・シロ・ディレクターは「ウオトカに酔わなければ、低体温症や肺炎で死んでいたかもしれない」と、飲用しなかった場合に起こり得た事態について言及している。

Vodka 'saved' elephants in Siberian freeze(BBC)

テキーラ「カーサ・サウザXA」がリリース――米国、メキシコ、TRで限定販売(スピリッツビジネス)

 米酒造大手ビームは11日、テキーラ「カーサ・サウザXA」(写真)をリリースすると発表した。ウェーバーブルーアガヴェを原料に、アメリカンオーク樽で3年熟成したもの。12000本限定で販売される。

 ビームのジジ・ダダン(Gigi Dadan)グローバルテキーラマーケティングディレクターは「今回の新商品は我々の開拓者精神を表現し、今日の(消費者が持つ)洗練された味覚に適う良質なテキーラに仕上げることができた」と自信を示す。

 750ミリリットル・ボトルで、アルコール40%。小売価格は150ドル程度(1万2500円程度)になる予定。米国、メキシコ、TR商品(用語解説参照)として販売し、このうち1800本は米国向けになるという。

BEAM RELEASES FIRST EXTRA ANEJO SAUZA TEQUILA(スピリッツビジネス)


<関連記事>
ブルガルが限定デカンタを来年リリース――トラベルリテール商品、創業125周年を記念(スピリッツビジネス) 「ロバート・バーンズ」のマルチヴィンテージ・エディションがリリース――アイル・オブ・アラン蒸留所(ウイスキーマガジン)

2012年12月14日金曜日

広告の組み合わせは「ホワイトスピリッツ×車」がベター?――ビーフィーターのロンドンタクシー発進、チェースがF1をスポンサードか(リテールタイムズ他)

beefeatercab
ジン「ビーフィーター」によるロンドンタクシーのラッピング広告(写真)が始まった。クリスマスに合わせてスタートしたもので、交通広告企業、トランスポートメディア(英イングランド)が手掛ける。

 タクシーにはデカダン的なロンドンの情景を描き、中央部にビーフィーターのロゴが入る。1年契約でセントラルロンドン地域を走るほか、ビーフィーターの工場を訪れるゲストの送迎にも利用されるという。

Beefeater gin promotes decadent side in new London taxi advertising campaign(リテールタイムズ)

 また、ウオトカ(ウォッカ)「チェース」が自動車レース、フォーミュラ1(F1)のシリーズスポンサーに就くのではないかと報道されている。

 製造元のチェースディスティラリーは、農業者で実業家のウィリアム・チェース氏が2008年に設立した蒸留所。プレミアム・カテゴリーのウオトカ、ジンを生産しており、2010年のサンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティションではウオトカ・カテゴリーで「ベスト・ウオトカ」を受賞した。

 F1では既にシャンパン「マム」がスポンサーとなっており、シャンパンファイトでもボトルを提供している。しかし、「F1のボス」と呼ばれるバーニー・エクレストン氏は元記事ピットパスの取材に、スポンサーの業種重複を問題としない見解を述べた。

Chase vodka in the chase for F1 sponsorship(ピットパス)


<関連記事>
ストックホルムに「スピリットミュージアム」——最初の展覧会はアブソリュートの広告を題材に(GADLING)

2012年12月12日水曜日

「ジョニーウォーカーハウス北京」がオープン――上海に続き2ヶ所目

 ジョン・ウォーカー&サンズ(英スコットランド)は中国北京市の中心部、東城区に「ジョニーウォーカーハウス北京」(写真)をオープンした。富裕層を対象とした商品、ウイスキー文化を紹介する施設で、昨年オープンした「ジョニーウォーカーハウス上海」に続き2ヶ所目となる。

 同ハウスは会員制で、自ら原酒を選びブレンディングが体験できるほか、常駐のエキスパートによりジョニーウォーカー、ウイスキーの文化や生産プロセスなどが説明される。「オデッセイ・ラウンジ」、「ストリディング・マン・バー」を併設し、また、会員がスコットランドを旅行する際には、蒸留所見学、会員限定ゴルフコースの手配も行なう。

 月曜定休で、営業時間は19時〜翌2時。住所は北京市東城区前門東大街23。

プレスリリース


<関連記事>
F1ドライバーのバトンがジョニーウォーカー・ハウスを訪問(ドリンクスビジネス)

2012年12月11日火曜日

ディアジオ、サントリーと共同でビーム買収か――ホセクエルボ買収交渉は決裂(テレグラフ他)

 ディアジオ(英)、サントリーが共同でビーム(米)買収を計画していると、複数メディアが報道している。

Diageo plots move on US rival Beam(テレグラフ)
Smirnoff maker Diageo in talks with rivals about acquiring Beam(同)
サントリー:米「ジム・ビーム」買収を検討、海外展開を強化(ブルームバーグ)
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MESQRP6JTSEG01.html

 最初に伝えた英紙テレグラフによると、既にディアジオとサントリーは接触を持っており、背景にはゴールドマンサックス、シティグループ(以上、米)、UBS(スイス)といった銀行団の助言があるという。情報源もシティ関係筋としている。実行に移された場合の買収額は100億ドル(約8240億円)に上ると見られる。

 サントリーは2009年に清涼飲料水ブランド「オランジーナ」(仏)を傘下に収めるなど、海外戦略を進めてきた。同年にはキリンとの経営統合が進められたが、条件面での折り合いがつかず決裂した経緯もあり、今回の買収交渉が始動した場合、同社の歴史の中で最大規模の買収・経営統合案件となる。また、ブルームバーグによれば、サントリー単独でもビームを買収する可能性も検討されているという。
「買ってみなはれ」――と言
うかどうかはともかく、サン
トリー創業者・鳥井信治郎も
草場の陰で驚きつつ、成り行
きを見守っているかもしれな


 一方、ディアジオは先月、スコッチ・ブレンデッド・ウイスキー「ホワイト&マッカイ」などのブランドを保有するユナイテッドスピリッツ(インド)の買収を決定したばかり。

 そして、世界シェア首位のテキーラ・ブランド「ホセクエルボ」(メキシコ)買収交渉を、昨年より進めてきた。しかし11日、ディアジオはこの交渉が終了したこと、ならびに来年6月の販売契約終了以降、同ブランドの取扱いを停止することを発表した。ホセクエルボ創業家であるベックマン家が売却に難色を示しており、またビームも有力テキーラ・ブランド「サウザ」を保有することから、手を引いたものと見られる。

プレスリリース

 日本市場においては、サントリーとビームは提携関係にあり、9月には関係強化を図る方針で合意していた。また、ディアジオはキリンと提携関係にあることから、国内流通網に関わる動向も注目される。


<関連記事>
ディアジオ、ユナイテッドスピリッツ買収交渉が妥結――公開買付などで過半数の株式取得へ(スコッツマン)
ディアジオが2012年度の決算発表――ホセクエルボ買収交渉は継続(ロイター他)

2012年12月9日日曜日

米国生まれのアイリッシュ・ウイスキー「2ジンジャーズ」、ビーム傘下に(メイヨートゥデイ)


 実業家のキーリー・フォリアード氏は7日、米酒造大手ビームにアイリッシュ・ウイスキー・ブランド「2ジンジャーズ」(写真)を売却した。売却額は明らかにされていない。

Ballyhaunis native sells his whisky brand to global giant, Beam Inc(メイヨートゥデイ)

 フォリアード氏はアイルランド・バリーハウニス出身で、1987年に米国ミネソタ州へ移住。当初は飲食店を経営し、ミネアポリスに出店したパブが成功するなど、同州のアイルランド人コミュニティの中で名声を上げた。

 2ジンジャーズは今年1月に発売。「赤毛の二人」を意味し、実際に赤毛であったフォリアード氏の母とおばのイラストをラベルに描く。アイルランドのクーリー蒸留所で生産され、ミネソタ州のみの販売だが(オフィシャルサイトによる。元記事では中西部の州で販売とあり)、2000軒以上のバー、小売店で取り扱われる。クーリーも昨年末にビームが買収したことから、今後、製販一体の戦略を組み立てていくことも考えられる。

 フォリアード氏は代表者、広報として2ジンジャーズに留まるという。


<関連記事>

2012年12月8日土曜日

米ワイン小売店、チャリティー目的にオークション出品――失踪女子大生の捜索資金調達で(パレートプレス)

 米ニューヨークのワイン小売店「ザキーズ」が、ワインをチャリティーオークションに出品する。昨年6月に失踪したインディアナ大生、ローレン・スピーラーさんの捜索資金を調達するためだ。

Wine for Lauren(パレートプレス)
http://palatepress.com/2012/04/wine/wine-for-lauren/

 ローレンさんは昨年6月4日、インディアナ州ブルーミントンの自宅アパートに戻って以降、消息が分からなくなっている。足取りを掴む有力な手掛かりも今のところ報告されていない。ローレンさんの両親であるロバート(ロブ)さん、シャーリーンさんは、ポスター掲示や各種メディアを利用し、情報提供を呼びかけている。

 今回のオークションはザキーズの営業担当者、ブライアン・ムラニーさん、ジョン・ドーソンさんの申し出によるもの。ロブさんは同店の近所に住む、15年来の顧客で「私たちが(捜索活動のための)資金調達をしていることをブライアンが知り、ワインをオークションにかけると申し出てくれた(ロブさん)」という。また、「彼らは(失踪直後から)『何かできることはないか? 』と、店の客として以上の扱いをし、気遣ってくれた。ザキーズの無私で慈悲深い援助を、私たち家族は感じている」と、ロブさんは感謝を述べる。

 オークションでは、1927年の「クロフトポート」など20の品目・パッケージを出品する(売約済みのものも含む)。元記事のワインニュースサイト「パレートプレス」が協力し、オークションハウスやネットオークションで行なうのではなく、同サイトのコメント欄に応札額を投稿する方式。売上は全額、ローレンさん捜索のための資金管理団体「ファインド・ローレン・ファンド」に寄付される。

 オークションはこちら。また、ローレンさんの情報提供呼びかけについてはこちら


<関連記事>
ブッシュミルズの樽でギターを製作――グラミー賞獲得のヴォーカリストがeBayに出品(デジタルスパイ)
スコッチ三銃士が米国でモルトウイスキーづくり(ザ・サン)

2012年12月7日金曜日

ブラウンフォーマンが上半期決算発表(シェークンニュースデイリー)

 米酒造、ブラウン・フォーマンは5日、上半期決算(2012年10月期)を発表した。売上高は19億ドル(約1550億円)で前年同期比8%増、営業利益は4億8400万ドル(約400億円)で同12%増だった。

 年度決算でも、売上高で数%増を見込み、営業利益で二桁成長を目指すという。

 同社はアメリカン・ウイスキー「ジャックダニエル」「ウッドフォードリザーブ」などのブランドを保有し、日本ではアサヒビールが年明けより同社製品を販売する。

Brown-Forman’s Upscale Whiskies, Herradura Tequila Drive 8% First Half Sales Rise(シェークンニュースデイリー) バーン・スチュワートが決算発表――ブナハーブン、ブラックボトルなどのメーカー(ウイスキーマガジン)

2012年12月6日木曜日

トランプ氏、グランツ社を非難――「トップ・スコッツ」選出をめぐり(スコッツマン他)

 著名投資家ドナルド・トランプ氏が、英酒造大手ウィリアム・グラント&サンズ(英スコットランド、グランツ社)に対し、激しい非難を行なっている。スコッチ・シングルモルト「グレンフィディック」(グランツ社保有のブランド)が運営する「トップ・スコッツ・アワード(今年のスコットランド人賞)」に、マイケル・フォーブス氏が選ばれたためだ。

Donald Trump calls for global boycott of whisky distiller after Top Scot award given to anti-golf course campaigner(スコッツマン)
No cheers: Trump bans rival's whisky over award(シドニー・モーニング・ヘラルド)
http://www.smh.com.au/executive-style/no-cheers-trump-bans-rivals-whisky-over-award-20121206-2ax2u.html#ixzz2EHR85QzS

 トランプ氏はスコットランド・アバディーンシャーにゴルフリゾートをつくるため不動産の購入を進めていたものの、同地域に家を持っていたフォーブス氏は売却を拒否。この時点からトランプ氏はツイッター、声明などでフォーブス氏を批判する発言をしていた。そして5日、トップ・スコッツの結果についてトランプ氏が新たに声明を出し、グランツ社を「悪い酒造企業」と非難、自身が保有するリゾート施設などでグランツ社製品を取り扱わないと発表した。

 一方、グランツ社広報は「混乱と誤解があるようだ」とし、次のようにコメントしている。
「15年前にこの賞を創設してから、公開された投票により受賞者を決める方法を続けている。投票した人々による決定に、グレンフィディックは影響を与えることができない。唯一、規制を加えるとすれば、スコットランド関係者とそれ以外の両者が選出された場合、スコットランドに住む者、働く者に授与する、ということだろう。トップ・スコッツは、最多得票を得た者が受賞し、我々は投票者の決定を尊重する」

 この点につきトランプ氏は、「少数の誹謗中傷する者たちによる複数投票の可能性を、グレンフィディックは調査・公表すべき」と疑念を持っていることを表明。自身のゴルフリゾート開発についても、「スコットランドに観光と雇用をもたらす。スコットランド人は、恥ずかしくないのだろうか」と主張している。


<関連記事>
グランツ社ステラ・デイビッドCEOインタビュー①(アイリッシュタイムズ)
グランツ社、トップが交代(ヘラルド・スコットランド) ジャネット・ロバーツさん死去——スコットランド最高齢、ウィリアム・グラントの孫(メイル他)

2012年12月5日水曜日

ハロッズ、ファンデル・ブントさんのヴィンテージボトルを購入――一般公開、販売へ(ハーパーズ)

 小サイトはツイッターアカウントにて11月29日、ヴィンテージのコニャックが31650ドル(約260万円)の値をつけた、と「ハミ出し記事」として掲載した。オランダのコニャック・コレクター、ベイ・ファンデル・ブントさんがスイスのオークションに出品したもので、1789年ボトリングという代物。

 英専門誌「ハーパーズ」によると、このボトルを購入したのは百貨店、ハロッズ(英)だという。

Earliest known vintage Cognac to be sold in Harrods(ハーパーズ)

 売却時には銘柄が明らかにされていなかったが、ハロッズが購入したのは「クルボアジェ&クーリエ」。ハロッズのワインショップに併設されたテイスティングルームに置かれ、12月5日、6日、8日の12時〜16時に公開される。そして、9万ポンド(約1190万円)で販売されるという。

 また、公開時にはクルボアジェの協力の下、パトリス・ピネ・マスターブレンダーがクルボアジェの歴史を説明し、レベッカ・アズリン・アンバサダー(大使)はクルボアジェに合う料理を紹介する。さらに、来店客にはカクテル「セントヘレナ」が振舞われるなど、一大イベントとなるようだ。


<関連記事>
200年以上前のコニャック、240万円で売却――ファンデル・ブントさんのコレクションから(ドリンクスビジネス他)

2012年12月4日火曜日

アブソルートに「スペシャル・エクセレント・プライズ」――在仏スウェーデン商工会議所が授与

Absolut vodka 在仏スウェーデン商工会議所は3日、仏酒造大手ペルノリカールらに「スペシャル・エクセレント・プライズ」を授与した。ペルノリカールが保有する、スウェーデンのウオトカ(ウォッカ)・ブランド「アブソルート」(写真)が、仏・スウェーデン両国の企業家精神とその成功を示したとして、表彰したもの。

 パリ市内の興行芸術博物館で行なわれた授賞式には、ペルノリカールのピエール・プランゲCEO、アブソルートのポール・ダフィーCEOが出席し、賞を受け取った。

 ペルノリカールによると、アブソルートは2008年、プレミアム・ウオトカのカテゴリーでトップ、スピリッツ全体でも世界4位のブランドとなっている。

プレスリリース


<関連記事>
ストックホルムに「スピリットミュージアム」——最初の展覧会はアブソリュートの広告を題材に(GADLING)

2012年12月3日月曜日

アランブルワリーの代表者、ローズバンク蒸留所を購入――蒸留再開への道は険しく(スコッツマン)

 ビール醸造、アランブルワリー(英スコットランド)を所有するジェラルド・マイカラック(Michaluk)氏が先週、建造物としてのローズバンク蒸留所(写真)を取得した。醸造・ボトリング設備、ビジターセンターを設けるとともに、「小規模蒸留所」を開きたい考えだ。

Brewer lobbies Diageo for early Rosebank reopening(スコッツマン)
http://www.scotsman.com/business/management/brewer-lobbies-diageo-for-early-rosebank-reopening-1-2671152

 しかし、ウイスキー蒸留所としてのオープンには問題が立ちはだかる。1993年にローズバンクを閉鎖した際、運営するユナイテッドディスティラーズ(UD)は販売契約に「2017年まで、ローズバンクでのウイスキー蒸留を停止する」という条項を盛り込んだ。そのため、UDの後身であり、かつ、ローズバンクのブランドを保有するディアジオ(英)の承諾がなければ、少なくとも今後5年間はウイスキーをつくることができない。

 マイカラック氏は「私は希望を持っている。ローズバンクは世界のウイスキー愛好家たちにとって、象徴的な存在だ。ディアジオは、我々の慎んだ要請に同意してくれるだろう」と蒸留再開を所望するとともに、楽観的な見方を示す。

 これに対しディアジオ広報は、まだ要請を受け取っていないとし、「2017年まで、あるいは、その他の時点においても我々のブランドであるローズバンクについて語るのは不適切」とコメントした。


<関連記事>
ダラスドゥー、観光地として開発か――ロッホヘッド担当相が関係者と会談(STV)
ディアジオ、新蒸溜所建設を検討——5年間で1,200億円の投資計画(BBC)

2012年12月2日日曜日

有力ブランド、アフリカに続々と――シロックがケニアで販売開始、ヘネシーはナイジェリアで好調(キャピタルFM他)

 アフリカ・ケニアで、ウオトカ(ウォッカ)「シロック」の販売が始まる。同国で代理店を務めるイーストアフリカブルワリーズは先週末、首都ナイロビで発売記念パーティーを開催。当地のセレブリティーを招いたもので、音楽やパフォーマンスなどの演出がなされる中、シロックがお披露目された。

 今後も年4回程度、同様のイベントを行なっていくという。

CÎROC Vodka gets a fabulous East African launch(キャピタルFM)

 一方、ナイジェリア紙「ガーディアン・ナイジェリア」はコニャック「ヘネシー」のアンバサダー(大使)、シリル・ゴティエ−オリオール氏へのインタビュー記事を掲載している。同氏はこの13年間、アンバサダーの職に就いており、アフリカだけでなく北米、カリブ、中東などでプロモーションに携わってきたという。

 ナイジェリアにおけるヘネシーの業績は、順調だ。この5年間、二桁成長を続けており、さらに向こう5年をかけて売上高を倍増させることを目標にしている。ワインを好むナイジェリア人の嗜好、さらにコニャックの高級感が理由で、「ナイジェリアはアフリカ最大、世界的に見ても大規模なコニャックのマーケット」と同氏は説明する。

 また、さらなる拡販のため、「ヘネシー・アーティストリー・プログラム」を企画。コニャック愛好家のアーティストとコラボレーションするもので、ヒップホップなどの人気ジャンルを中心とした音楽イベントを開催している。「音楽とヘネシーがリンクすることで、イノベーションを起こしていきたい」と同氏。

Nigerian Market Has Great Taste For Luxury Products — Hennessy Cognac Ambassador(ガーディアン・ナイジェリア)

 酒造業界にとって「最後の戦場」とも言える、アフリカの地。今後、有力ブランドだけでなく、様々なスピリッツが乗り込んでくるだろう。


<関連記事>
プランゲCEO「次の目標はアフリカ市場」――ペルノリカール(グローブアンドメール)

2012年12月1日土曜日

ダラスドゥー、観光地として開発か――ロッホヘッド担当相が関係者と会談(STV)

Richard Lochhead MSP スコットランド政府のリチャード・ロッホヘッド農漁村部担当・環境相(写真)は11月26日、イアン・ウォルフォード代表ら「ヒストリック・スコットランド」の職員とダラスドゥー(ダラスデュー)蒸留所で会談した。ヒストリック・スコットランドは当地に所在する歴史的遺産の保護を目的とした政府機関で、かつてウイスキーを生産していたダラスドゥーを開発することについて話し合われたという。

Talks take place over future whisky tourism development at Dallas Dhu(STV)
http://local.stv.tv/elgin/news/202709-talks-take-place-over-future-whisky-tourism-development-at-dallas-dhu/

 ダラスドゥーは、マレイ州フォレスに立地し、スコッチシングルモルトとしてはスペイサイドモルトに分類される。1898年に起業家、アレクサンダー・エドワードが建設し、当初は「ダラスモア」と呼ばれていた。1899年、ライト&グレイグ社に売却されたとき、ダラスドゥーに改名。以後、オーナーが変わりながらも生産は続けられていたが、1983年、水不足を理由に操業を停止した。現在はヒストリック・スコットランドの管理下で、博物館として公開されている。

 会談後、ロッホヘッド担当相は次のようにコメントした。
「ダラスドゥー蒸留所はマレイにとって重要な観光施設だ。近年のスコッチ・ウイスキーに対する国際的な評価の高まりから、ウイスキー・ツーリズムでの大きなポテンシャルを持っていると思う。そのポテンシャルが、将来的に開発することによってどのように発揮されるかを議論した。大切なのは、あらゆるツールと機会を用いて、マレイの経済発展を後押しすること。ヒストリック・スコットランドと共に、ダラスドゥーのポテンシャルを押し上げていきたい」

 ロッホヘッド担当相はマレイ州選出のスコットランド議会議員で、スコットランド国民党所属。初当選前の1994〜98年には、アレックス・サモンド現スコットランド首相の事務所責任者を務めた。


<関連記事>
スコットランド議会で「スコッチ・ウイスキー展」――SWAの創立100周年記念事業(スコッツマン)
ディアジオ、新蒸溜所建設を検討——5年間で1,200億円の投資計画(BBC) 焼酎、日本酒を「国酒」に——古川特命相が海外展開の方針を言明(デイリー・ヨミウリ他)

2012年11月30日金曜日

スコットランド議会で「スコッチ・ウイスキー展」――SWAの創立100周年記念事業(スコッツマン)

SWAが展覧会に先立ち配布したポスト
カード
 スコットランド議会議事堂メインホールで11月29日から、「Scotch Whisky: From Grain to Glass Exhibition(スコッチ・ウイスキー〜穀物からグラスまで〜展)」が開催されている。スコッチ・ウイスキー協会(SWA)の創立100周年を記念するもの。

Whisky honoured at Scottish Parliament(スコッツマン)
http://www.scotsman.com/lifestyle/food-and-drink/features/whisky-honoured-at-scottish-parliament-1-2664298

 同展では、レシピなどの資料、映像のほか、ミニチュアサイズのポットスティル、樽なども展示する。また、ウイスキーに関わる人々についても取り上げ、モルト製造業者、樽職人、マスターブレンダー、マーケティング担当者など、それぞれが持つ技術や仕事への情熱を紹介する。

 「ウイスキーの初心者でも愛好家でも、この展覧会から新しい何かを学ぶことができる」とSWAのギャヴィン・ヒューイット会長。またSWAの今後について同会長は「昨年、スコッチ・ウイスキーの輸出は42億ポンド(約5,600億円)に達し、1万人以上の雇用を産み出している。この100年間、我々はウイスキーをプロモートし、そして保護してきた。次の100年、さらにその先も、同じように活動していく」と展望を語った。

 会期は来年1月2日まで。開館時間は月・金・土曜・休日=10時〜17時、火・水・木曜=9時〜18時30分(最終入館は30分前まで)。入場無料。


<関連記事>
英国、アルコール飲料への最低価格導入へ——酒類業界は反発(USフロントライン他) 「アメリカンラム協会」が発足――バカルディ、ディアジオなどの大企業に対抗(イグザミナー)

2012年11月29日木曜日

バカルディUSA、「ボンベイサファイア・イースト」をリリース――アジア産スパイスを使用(マイアミヘラルド)

 バカルディUSA(米フロリダ州)は、ジン「ボンベイサファイア・イースト」をリリースする。これまでのボンベイサファイアに、スパイスとしてタイ産レモングラスやベトナム産ブラックペッパーを加え、アジアのテイストが盛り込まれた商品だ。

Bombay Sapphire East adds Asian flavors to gin(マイアミヘラルド)
http://www.miamiherald.com/2012/11/28/3117862/bombay-sapphire-east-adds-asian.html

 既に昨年、ニューヨークとラスベガスで試験販売されており、4000ケースを売り上げている。同社はこれを成功とし、正式販売に至ったようだ。

 ギルス・ウッディア副社長は「最高のスパイスが、アジアからやってきた。イーストが新たな飲み手をジンカテゴリーに引き込んでくれると信じている」とコメントした。

 アルコール42%で、市中価格は30ドル前後(2500円前後)で販売されている模様。日本を含めた米国以外での販売予定は不明。


<関連記事>
ボンベイサファイアの新工場、来年5月にオープン――歴史的建造物を再利用(ベーシングストークオブザーバー)

2012年11月27日火曜日

ロシア、「Skyy」の商標登録差し止めへ――スカイウオトカ製造元の勝訴で(RAPSI)

 モスクワ商務裁判所は26日、ロシアでの「Skyy」の商標登録を早急に差し止めるよう、ロシア法務情報庁に通告した。「スカイウオトカ(ウォッカ、写真)」を生産するスカイスピリッツ(米カリフォルニア州)が裁判を起こしたことによるもので、同社の主張が認められた形だ。

Premature cessation of Skyy vodka trademark legal protection disputed(RAPSI)
http://rapsinews.com/judicial_news/20121126/265516149.html

 これまで「Skyy」の商標登録をしていたのは、セーシェル共和国(アフリカ)のエスミントンコーポレーション。2004年からロシア国内で「SKY-HI」、あるいは、「HI-SKY」というアルコール飲料を販売しており、商品のスローガンに「Skyy」という言葉を使用していたという。商標登録が完了したのは昨年10月だが、この時点で「『Skyy』の商標をロシア国内で使用しない」という声明をエスミントンは発表していた。(恐らく、このとき既に問題視されていたものと思われる)

 事態を不服としたスカイスピリッツは商標登録差し止めを求め提訴したが、一審は敗訴。しかし、9月に開かれた控訴審で訴えが認められた。

 スカイスピリッツは1992年に設立され、伊酒造大手カンパリの子会社。同社によると、米国で8番目の規模を誇るアルコール飲料メーカーであるという。


<関連記事>
中国の知的財産権問題はウイスキーにも——シーバスが商標権訴訟で敗訴(スコッツマン) メーカーズマークがディアジオ・クエルボに勝訴——封蝋の意匠権問題で(USAトゥデイ)
ロシア政府、アルコール規制策を続々と(SFゲート/ブルームバーグ)

2012年11月26日月曜日

スコッチ・ウイスキーに新たな問題――モルト・大麦の輸入を巡る対立が表面化(スコッツマン)

 スコッチ・ウイスキーの原材料であるモルトを巡って、モルト製造業者と大麦生産者が対立している。

Malt shortfall claim angers NFUS chief(スコッツマン)
http://www.scotsman.com/business/food-drink-and-agriculture/malt-shortfall-claim-angers-nfus-chief-1-2654181

 ウイスキー蒸留所やビール醸造にモルトを供給するクリスプモルティンググループ(英イングランド)のボブ・キング・コマーシャルディレクターは、年内にもモルトをスコットランド域外から調達したいという意向を示す。世界的なウイスキー需要が高まりから、スコットランドで生産される大麦のみでは供給が間に合わないというのが、その根拠だ。

 キング・ディレクターは先週、スコットランドのオールメルドラムやパースにて開いた大規模農業経営者向けセミナーで「スコッチ・ウイスキーはスコットランドでつくられなければならない。しかしモルトは、どこでもつくることができる」と理解を求めた。

 一方、これに反発するのはスコットランド農業組合のジョン・ピッケン副代表だ。ピッケン副代表は組合内に設置される合同生産高評議会の議長を兼ねており、スコットランドの大麦生産高は需要に対応できている、と主張する。そして、キング・ディレクターの発言は、スコットランドの大麦生産者を脅迫するものだ、とも批判している。

「適正な価格とサプライチェーンが整えられれば、生産者は需要に対応する」

 クリスプが輸入に傾くスタンスを、スコットランド農家への値下げ圧力だと示唆する。

 この反論を聞いたキング・ディレクターは「誤解である」と、次のようにコメントした。
「私が大麦を輸入したいわけではない。(現状で)モルティングされる大麦は、全てスコットランド域内から調達している。しかし我々の顧客は、スコットランドで賄えなくなればモルトを輸入しようとするだろう」

 モルト製造業者、蒸留業者は今後10万トンのモルトが不足すると見ている。「蒸留業者はスコットランドの生産者がつくったモルトを欲しがる。理由なく、費用のかかるイングランド産、大陸産のものを手に入れようとするだろうか? (キング・ディレクター)」と、あくまで需要増に対する措置である点を強調する。

 スコットランドでこれ以上、大麦の作付面積増加が困難なことも、原因のひとつだ。農家はエタノール向け植物や小麦など、より収益性の高い農産物の作付面積増加を求める。元記事のスコッツマンでは、これ以上の大麦畑の減反をなくすこと、そのために生産高を増加させる新種を農家が採用できる状況になることが、解決への希望の光だとしている。

 一見、好況に感じるスコットランドの酒造業界。しかし、空前のウイスキー需要の高まりは、その影で新たな問題が露見している。

2012年11月25日日曜日

ドリンクスビジネスが選ぶ「変わったウオトカ・トップ10」②(ドリンクスビジネス)

 きのうに引き続き、ドリンクスビジネスが選ぶ「ビザールウオトカ(ウォッカ)・トップ10」をお届けする。

TOP 10 BIZARRE VODKA VARIANTS(ドリンクスビジネス)
http://www.thedrinksbusiness.com/2012/11/top-10-bizarre-vodka-variants/

<第5位>ガンニバル・ラムフレーバード・ウオトカ(イアン・バレル氏プロデュース)
 英国ラム大使などを務めるイアン・バレル氏(写真右)がプロデュースした商品で、帝政ロシアに仕えたアフリカ出身の軍人、ガンニバルから名付けられたもの。4月1日にリリースされた。

 とはいっても、完全なエイプリルフール商品というわけではなく、オフィシャルサイトが用意され、バレル氏がプロデュースするコットン(英ロンドン)というレストランにサンプルが置かれたという。また、ロンドン市内の小売店「ゲリーズ」にも、実際に商品が置かれていたとのこと。

 フレーバードウオトカというよりも、ウオトカと3種類のラムのブレンドと言った方が正しそうだ。


<第4位>ナガ・チリ(メーカー:ホットイナフウオトカ)
 当サイトでも2月11日にお伝えしたフレーバードウオトカ。そのときは10万スコヴィルという数値のものを紹介したが、現在では25万スコヴィルのものもオンラインショップ「マスターオブモルト」で販売されている(スコヴィルとは唐辛子の辛さを表す単位)。


<第3位>メアリー・ジェーンズ・プリモヘンプウオトカ(メーカー:クイーンオブスピリッツ)
 ヘンプとは、麻のこと。カナダで製造・販売されている。

 元記事へのリンクをご覧いただければ、商品画像からかなり妖しい雰囲気が伝わってくる。ただ、もちろん合法商品だ。



<第2位>スコーピオン(メーカー:エディブル、写真左)
Edible - Scorpion Vodka 70ml ウオトカ愛好家の方にとっては「何を今さら」という感も持たれるかもしれない。今回、ドリンクスビジネスで紹介されているものは、日本で知られている「スコルピオ」ではなく、エディブルというメーカーがつくった「スコーピオンウオトカ」という商品。英百貨店のハーヴェイニコルズで販売されている。




<第1位>スモークド・サーモン(メーカー:アラスカディスティラリー)
 こちらも以前、当サイトでお伝えした商品。残念ながら、米国内17州のみでしか販売されていないのだが、当サイトで取り上げた際は全記事の中で9位のPV数となっている。他の日本語メディアでも取り上げられており、日本でも注目を集めるか。

2012年11月24日土曜日

ドリンクスビジネスが選ぶ「変わったウオトカ・トップ10」①(ドリンクスビジネス)

 酒類業界専門誌「ドリンクスビジネス」(英)の11月号は、ウオトカ(ウォッカ)特集であったという(ソースは元記事)。最近の酒造業界の動きとして、プレミックスカクテルやフレーバード商品のリリースが相次いでいるが、同誌のオフィシャルサイトではウオトカにさらに踏み込んで「ビザールウオトカ(変わったウオトカ)・トップ10」を掲載している。

 興味深いランキングなので、当サイトでも2回に分けてフォローしたい。

TOP 10 BIZARRE VODKA VARIANTS(ドリンクスビジネス)

 スモアとは北米でキャンプファイアーの際に食される、チョコレート、マシュマロをクラッカーで挟んだ菓子。すなわち同商品は、この菓子のフレーバーを再現したもの。メーカーのスリーオリーブスは、他にも20種類以上のフレーバードウオトカをリリースしている。

 4月8日に当サイトでも取り上げた、ヴァンゴーの「PB&J」がランクイン。PB&Jとは、ピーナッツバターとゼリーのサンドイッチのことで、10位のスモアズと同じく、北米のこどもたちに人気のおやつだ。ヴァンゴーは日本にも代理店を持つが、PB&Jは現在のところ、正規販売していない模様。


 スパイストパンプキンとパンプキンサイダーの風味付けがなされたもの。
 メーカーのピナクルはホワイトロックディスティラリーズ(WR、米)の保有ブランドであったが、WRがビーム(米)に買収されたため、現在はビーム傘下となっている。同社買収時の当サイト記事では、WRを「ピナクルの製造元」と記載したが、今回の元記事によるとピナクル自体はフランスでつくられているという……と、さりげなく訂正しておく。

 おそらくワイン愛好家の方にとっては馴染み深いと思われる、ソーヴィニォンブラン(白ワイン向けのぶどう品種)のフレーバードウオトカ。アルコール14%であり、リリース時には「普段、ウオトカを飲まない女性などもターゲットにした」といった報道もされていた。

あすへつづく)


<関連記事>
英誌・調査会社が共同で酒類ブランドランキングを発表(アドエイジ)
マリネル・フィッツシモンズが選ぶ、香港の十大ウイスキーバー①(ドリンクスビジネス)

2012年11月21日水曜日

マッカラン、「マスターオブウッド」にマクファーソン氏を任命――業歴30余年の樽職人(ウイスキーマガジン)

 スコッチシングルモルト・ウイスキーのマッカラン蒸留所は、「マスターオブウッド」にスチュアート・マクファーソン氏(写真)を任命したと発表した。前任のジョージ・エスパイ氏は10月1日に引退しており、既にマクファーソン氏が就任している模様。


The Macallan Appoints New Master of Wood(ウイスキーマガジン)

 マクファーソン氏は1979年、マッカランと同じくエドリントングループに属する樽製作企業、クライドクーパレージに入社。2001年にはマネージャーとなった。現在、製造担当16名、修理などのサービス担当7名の職人と、3名の見習いを率いている。

 マクファーソン氏によれば、ウイスキーが持つアロマ、フレーバーの6割は樽によって決まるといい、マスターオブウッドとして今後、マッカランが使用するオーク材についての情報提供や助言を行なっていく。また、マッカランのブランド養成プログラムにおいても、木材の視点から関わっていくという。

 エドリントングループのケン・グリアー・モルト担当ディレクターは「スチュアートという素晴らしいメンバーが、マッカランのチームに加わった。マスターオブウッドの役職は、マッカランの核心である高いクオリティを維持する点において、不可欠なものだ」とマクファーソン氏の就任を歓迎する。

 またマクファーソン氏本人は「1979年に樽職人として働き始めてから、これは究極の仕事かもしれないと感じてきた。そして私が木や樽で得てきた実践的な経験を用いて、事が前に進むようにアシストするという時が来た。マッカランのマスターオブウッドになるということは、私にとって自然な事の運びなのだと思う」とコメントした。


<関連記事>
エドリントングループが決算発表(BBC) アードベッグ、宇宙へ行く——米企業がISSで実験(STV)

スカンジナビア航空のパイロット、翼の除氷にウイスキーを使う(ドリンクスビジネス)

 飛行機の整備にウイスキーを使う――スペインで、そのような出来事が起こった。

AIRLINE PILOT DE-ICES WINGS WITH WHISKY(ドリンクスビジネス)
http://www.thedrinksbusiness.com/2012/11/airline-pilot-de-ices-wings-with-whisky/

 16日、ノルウェーへ向けて飛び立つ予定だったスカンジナビア航空機は、スペイン・アリカンテ市内の空港に足止めされてしまった。翼に氷がついたためだ。きちんと除氷しなければ離陸するための揚力が得られず、また仮に離陸できたとしても飛行中は氷が障害となり安全を脅かす。通常、空港には備えつけられているはずの除氷剤も、在庫が切れていたようだ。

 これ以上、遅延させるわけにはいかない、と判断したパイロットは機転を利かせた。機内で提供する予定だったウイスキーボトル6本を取り出し、翼にかけ始めたのだ。アルコール度数の高いウイスキーであれば凍りづらく、除氷剤としての効果を持つと考えたのだろう。

 結局、同機は1時間20分遅れで離陸した。

 この出来事は、同機の乗客であったリンダ・エイプランドさんがノルウェー紙、Aftenbladetに語ったことにより明らかになった(そのため、無事に着陸したものと思われる)。リンク先の元記事には、エイプランドさんが撮影したウイスキーを翼にかけるパイロットの写真が掲載されている。

 なお、今回使われたウイスキーの銘柄は不明。

2012年11月19日月曜日

グレンモーレンジ、IWSC「2012ディスティラー・オブ・ジ・イヤー」を受賞(ウイスキーマガジン)

 グレンモーレンジ蒸留所(英スコットランド)は、国際ワインアンドスピリッツコンペティション(IWSC)が制定する「2012ディスティラー・オブ・ジ・イヤー」を受賞した。同賞はスピリッツ版の「オスカー」として、その年、最も優秀だった蒸留所を表彰するもの。また、「UKスピリッツプロデューサー・オブ・ジ・イヤー」も、2年連続で同時受賞した。

 ディスティラー・オブ・ジ・イヤーの受賞に際し、マスター・ディスティラーのビル・ラムズデン博士は次のようにコメントしている。
「今回の栄誉をとても誇りに思う。我々のチームは、つくり出すウイスキーが常に高品質を保つことを最優先事項にしてきた。尊敬するIWSCによって、そのことが証明されたことを素晴らしく思う」

 また、アレン・ギボンズIWSC代表は「特に今年に関しては、ウイスキー産業が力強く、品質も高かった。そのような競争を勝ち抜いたグレンモーレンジは、彼らが持つ品質の高さを証明している」とグレンモーレンジの栄誉を称えた。

The Glenmorangie Company is named World’s Best Distiller(ウイスキーマガジン)


<関連記事>
アードベッグとバルヴェニー、記念ボトルをそれぞれリリース(BBC他) スコッチ三銃士が米国でモルトウイスキーづくり(ザ・サン)

2012年11月15日木曜日

エドリントングループが決算発表(BBC)

 英酒造大手のエドリントングループは13日、中間決算を発表した。売上高=2億9600万ポンド(約380億円)、税引前利益=8430万ポンド(約108億円)だった(前期比、前年同期比のどちらか不明だが、元記事によれば、それぞれ6%、21%上昇している)。米国、アジア、新興国市場での業績が好調なようだ。

 主に米国では「マッカラン」を中心としたシングルモルト・ウイスキーが、アジアではブレンデッド・ウイスキーが人気だという。また、ブレンデッド「カティサーク」は今年、米国進出25周年を迎え、代理店を変更、ブランドへの投資を拡大していく方針だ。

 なお、同社は非上場企業で、ウイスキー専門の投資グループ「ロバートソン・トラスト」と従業員が株式を持つ。

Whisky firm Edrington reports sharp prise in profits(BBC)
http://www.bbc.co.uk/news/uk-scotland-scotland-business-20318747


<関連記事>
成長の足かせは欧州市場か――ディアジオ、レミーコアントローが中間決算発表(ヨークシャーポスト他)

2012年11月14日水曜日

「アメリカンラム協会」が発足――バカルディ、ディアジオなどの大企業に対抗(イグザミナー)

 ラム蒸留業者の業界団体「アメリカンラム協会」が12日、発足した。米本土を拠点とする企業が中心で、中小規模のメーカー80社以上が参加する。

American Rum Association established to unite domestic manufacturers(イグザミナー)
http://www.examiner.com/article/american-rum-association-established-to-unite-domestic-manufacturers

 米領ヴァージン諸島(USVI)、プエルトリコ(米連邦自治区)のメーカーは参加していない。同協会の趣旨は、アメリカンラムの普及促進、地位向上にあり、大企業による生産が行なわれるこれら地域のメーカーを、排除した格好だ。

 創設者でレイリーン・ディスティラーズ(テキサス州)代表のケリー・レイリーン氏は、次のようにコメントしている。
「『アメリカンラム』の品質基準を確立するときだ。アメリカンラムというカテゴリーや、中小企業である蒸留所の成長を阻害しているのは、USVI、プエルトリコでの不公平な助成金である。助成金を受け取るバカルディやディアジオといったグローバル企業は、何の保障も受けていないアメリカンラムに対して、自由市場での競争を抑圧している。アメリカンラム協会は、こうした悪習を明らかにするとともに、雇用促進など米経済の再興に寄与したい」

 なお、カリブ地域の業界団体である西インド諸島ラム製造者協会が、カリブ共同体を通してディアジオをWTOに提訴する構えも見せている。やはり、USVIでのラム助成金を不当としているためだ。元記事では触れられていないが、2つの協会の主張は一致しており、今後の動向が注目される。


<関連記事>
ディアジオとカリブ諸国間に通商問題が勃発(スピリッツビジネス)
カンパリ、ジャマイカのラム・メーカーを買収(ロイター)

2012年11月13日火曜日

ロシア政府、アルコール規制策を続々と(SFゲート/ブルームバーグ)

With Presidential Adviser and Chairman of the Council for Civil Society Development and Human Rights Mikhail Fedotov (right), First Deputy Chief of Staff of the Presidential Executive Office Vyacheslav Volodin, and Presidential Aide Igor Shchyogolev (far left).
ロシアのプーチン大統領(右から2人目)。
規制は健康なロシア人を生み出すか、それとも
米禁酒法の二の舞になるのだろうか……
ロシア政府が課税、深夜帯の販売規制など、同国民のアルコール摂取を抑制する政策を打ち出している。
国民の平均寿命(68.8歳、ソース)が世界平均を下回るなどの健康問題は、アルコールに原因があると考えているためだ。

Whiskeys face alcohol crackdown in Russia(SFゲート、配信元:ブルームバーグ)

この政策の皮切りとなったのが、2010年のビール増税。
税率を倍増させるもので、2007年と2011年のビール消費量を比較すると2.4%減少しており、ある程度の効果を見せている模様だ。
また、23時から翌朝8時までのアルコール飲料の販売、公共の場所での飲酒、テレビ・ラジオ・看板によるアルコール商品の広告が、既に禁止されている。

マーケティング会社、ユーロモニター(英)のスピロス・マランドラキス(Spiros Malandrakis)アナリストは、「立法によって(アルコール業界が)規制される大きな動きが続いた。クレムリンの怒りを買わぬよう、慎重に動かなければならない」と分析している。

一方、ビーム(米)のマシュー・シャトックCEOは「ロシア市場では、そのような現実を理解することも競争する能力のひとつだ。我々はそれぞれの市場にあるルールの中で競争しなければならない。ときには、ルールの方が動くこともある」と静観する。
ロシアのアルコール産業は昨年、4.6%の市場規模縮小、なかでも国民酒といえるウオトカ(ウォッカ)は4.9%、市場が縮小している。
それにも関わらず、ウイスキーは48%、テキーラは45%、市場が拡大した。
もっとも、未だにアルコール消費量の約8割はウオトカで占められウイスキーは1%のシェアに過ぎないが、消費者の嗜好が変化しているという点は現実に変わりない。
これを受け、ビームはテキーラ「サウザ」、コニャック「クルボアジェ」、スコッチ・ブレンデッド・ウイスキー「ティーチャーズ」のマーケティングを、ロシアにおいて展開している。

ロシア政府は現在、2020年までに1人あたりの年間アルコール消費量を8リットルまで削減する目標を立てている。
ヴィクトル・ズブコフ第一副首相が昨年12月に発表したところによると、以前18リットルだった年間消費量は15リットルとなっており、着実に削減されている。

来年末には酒税をさらに30%、増税する計画がある。
プーチン大統領の目論見通りアルコール消費は減るのか、それとも消費者の嗜好、メーカーの思惑が規制そのものを変えてしまうのか――両者の戦いは、しばらく続きそうだ。


<関連記事>
英国、アルコール飲料への最低価格導入へ——酒類業界は反発(USフロントライン他)

2012年11月12日月曜日

ウイスキー版福袋?――マスターオブモルトが「ザ・ウイスキーアドベントカレンダー」をリリース(ハフィントンポスト)

The Whisky Advent Calendarクリスマスまで、一ヶ月あまり――この時期、ヨーロッパで行なわれる習慣として「アドベントカレンダー」が挙げられる。
様々な仕掛けが隠されたカレンダーの「窓」を1日ずつ開けていき、クリスマスを迎えるというものだ。

そして、このほど「ザ・ウイスキーアドベントカレンダー」(写真)がリリースされた。
スピリッツのオンラインショップ、マスターオブモルト(英)が販売するもので、価格は149.95ポンド(約1万9千円)。
カレンダーには24の窓があり、開くと30ミリリットルのそれぞれ異なるウイスキーが隠されている。
また、ブランド、蒸留所名は明らかにされていないが、どこか1つの窓に50年もののウイスキーもあり、マスターオブモルトの説明では「フルサイズボトルで350ポンド(約4万4千円)はくだらない」ものだという。

ジン版の「ザ・ジンベント(Ginvent)カレンダー」も用意され、こちらは79.95ポンド(約1万円)。

Whisky Advent Calendar Lets You Booze In The Days Leading Up To Christmas(ハフィントンポスト)


<関連記事>
ラム「キャプテンモルガン」がトレジャーハントを支援——実在したヘンリー・モルガンの沈没船を調査(ブルームバーグ)

2012年11月11日日曜日

ディアジオ、ユナイテッドスピリッツ買収交渉が妥結――公開買付などで過半数の株式取得へ(スコッツマン)

酒造最大手のディアジオ(英)は9日、インドの酒造企業、ユナイテッドスピリッツ(ユナイテッド社)を買収すると発表した。
ユナイテッド社は、スコッチブレンデッド・ウイスキー「ホワイト&マッカイ」などのブランドを保有しており、インド国内で41%のシェアを持つ。
しかし、関連企業であるキングフィッシャー航空の財務不安などが表面化し、ディアジオへの売却交渉が進められていることが伝えられていた。

ディアジオはまず、6億6千万ポンド(約830億円)でユナイテッド社が保有する株27.4%を取得、その後、公開買付で53.4%の株式取得を目指す方針だ。
一方、ユナイテッド社のヴィジェイ・マリヤ会長は留任し、南アフリカでディアジオとトウモロコシビールの合弁企業を立ち上げるという。

インドの酒類産業は今後5年間で毎年15%の成長を続けるとの予測があり、ディアジオのポール・ウォルシュCEOは「世界で最も急速な成長をしている市場において、戦略を組み立てることで影響力を築ける。特筆すべきマイルストーンだ」とコメントした。

Whisky giant Diageo buys controlling stake in Whyte & Mackay owner United Spirits(スコッツマン)

2012年11月9日金曜日

グレイグースの倉庫、清掃の模様がFBで話題に――ハリケーン「サンディ」の被害、従業員・ボランティアが24時間体制で後片付け(nj.com)

清掃中に撮影された集合写真。
後ろには片付けられる前の状態の商品が
写っているが、下の写真のように清掃は
相当進んだ模様。
(クリックすると拡大)
米ニュージャージー州でウオトカ(ウォッカ)「グレイグース」などの代理店を務める販社、フェドウェイアソシエーツの倉庫がハリケーン「サンディ」の上陸により浸水した。
浸水直後の倉庫内は商品が散乱するといった状況にあったが、従業員と同社の顧客を主体としたボランティア、総勢250名が清掃を開始。
同社はその模様をフェイスブック(FB)にアップロードし、投稿に対して「いいね!」が100を超えるなど、話題を呼んでいる。


Sandy's latest victim: New Jersey's sole supplier of Grey Goose vodka, Cristal champagne(nj.com)

FBページ上での発表によると、先週のサンディ上陸によりハッケンサック川が氾濫、その水が同社のカーニー倉庫を襲った。
ただちに代替となる17,700平米の倉庫と100台のトラックを借り上げ、残存する商品を移動。
19日にも業務を再開する見込みだ。

そして、5日からは本来使用していた倉庫の清掃を、前述の従業員とボランティアが開始。
1日3交代、24時間体制で行なわれ、きょう11時52分(日本時間)には「短い時間で長い道のりを踏破した」というコメントとともに、清掃が進んだ倉庫内の写真(左)をFBにアップロードした。

なおニュージャージー州法では、酒の小売業者は州内の指定された卸売業者から商品を仕入れなければならず、州外から購買することを禁止している。
同社はグレイグースの代理店であるだけでなく、卸売業者として州内最大手。
営業再開の予定を立てるとともに、入荷量を拡大することで被害以前の在庫を可能な限り維持していく方針だ。
州政府は同様の規定があるガソリンについて規制緩和の検討を開始したが、酒類産業については「業界からそうした要請はなく、緩和しない(クリス・クリスティ州知事)」としている。


<関連記事>
アイラ島で群発地震(キャンベルタウンクーリエ)

2012年11月8日木曜日

プランゲCEO「次の目標はアフリカ市場」――ペルノリカール(グローブアンドメール)

仏酒造大手、ペルノリカールのピエール・プランゲCEO(写真)はアフリカ地域の販売拡大を目指すと言明した。
ロイターのインタビューにより、明らかになったもの。
同社はアジア市場の成長に減速の兆候があると見ており、アフリカ地域を「最後に残された足掛かり」としてシェア獲得に挑む。



Pernod bets on Africa as next growth frontier(グローブアンドメール)
http://www.theglobeandmail.com/report-on-business/international-business/african-and-mideast-business/pernod-bets-on-africa-as-next-growth-frontier/article4971447/

インタビューの中でプランゲCEOは「次の新市場はアフリカと見て間違いない。10年計画を立てサブサハラアフリカ(サハラ以南地域)の開拓を目標とする」と発言している。

現在の酒造業界は、ディアジオ(英)がマーケットリーダーであり、ペルノリカールはそれに次ぐ。
市場の成熟や金融危機から欧州地域での拡販は望みが薄く、新興国市場でのシェア獲得が急務。
現時点でも、両社ともに売上の約4割を新興国市場が占めている。
中国市場に限ってみれば、ペルノリカールはトップシェアの座にあるものの、10月25日の第1四半期決算でアジア市場と、そのキーとなる中国市場について「成長が鈍化」と評価しており、今回の発言は酒造業界の新展開を表すものとなりそうだ。

ペルノリカールは今年7月までにモロッコ、ナイジェリア、ガーナ、ナミビア、アンゴラ、ケニアに駐在員を派遣しており、既にスピリッツのプロモーション活動を開始している。
また、ディアジオも2010年にタンザニアのセレンゲティ(Serengeti)、今年初めにエチオピアのメタアボ(Meta Abo)と二つの現地ビール会社を買収した。
ただ、プランゲCEOは「ローカルブランドを買収しない。既存ブランドで十分拡大できている」と発言しており、当面は自社の営業力で拡販を目指す模様だ。


<関連記事>
「リーマンショック以来、最高の成長」――ペルノリカール決算発表(BBC)
パトリック・リカールさん死去――ペルノリカール元会長、67歳(BBC他)

2012年11月6日火曜日

スコットランド科学者に「イノベーター・オブ・ジ・イヤー」――蒸留所廃棄物からバイオ燃料への変換技術が評価(スピリッツビジネス)

化学研究者団体インスティテューション・オブ・ケミカルエンジニアズ(IChemE)は、次世代燃料開発企業、セルティックリニューエイブルス(英スコットランド)のマーティン・タングニー代表(写真)に「イノベーター・オブ・ジ・イヤー」賞を授与した。
IChemEは英、オーストラリアなどに拠点を持つ国際的な研究者団体で、例年、革新的な研究を行なった企業、研究機関などに様々な賞を授与している。

WHISKY FUEL SCIENTIST WINS PRESTIGIOUS AWARD(スピリッツビジネス)
http://www.thespiritsbusiness.com/2012/11/whisky-fuel-scientist-wins-prestigious-award/

セルティックリニューエイブルスは、スコッチ・ウイスキーを生産する際の廃棄物を、バイオブタノールに変換する技術を持つ。
ブタノールの成分、性質はガソリンに比較的近いと言われ、エタノールよりもガソリンエンジンへの悪影響が低いと考えられている。
エジンバラネイピア大学の教授でもあるタングニー代表が、これまで蒸留所で副産物とされていた澱や蒸留粕がブタノールの精製に適していることに着目し、同大学で研究を開始。
研究に一定の成果が出たことから、実用化を目指し同社を創設した。

同社の技術は酒造企業、学界に留まらず経済界からも評価を得ており、公営企業であるスコティッシュ・エンタープライズも研究開発を助成している。

「今回の受賞で、スコットランドの企業と科学者がイノベーション、中でも持続可能なエネルギー開発でリードしていることを証明した」とタングニー代表。
またIChemEのサンディー・トビー博士は、タングニー代表が受賞した理由を「100億ポンドが動く化学産業で企業家精神を見せ、ウイスキーに次ぐであろうスコットランドの輸出製品を見つけ出した。彼の開拓者としてのアプローチは賞を受けるに値する」と語った。

なお、IChemE2012アワーズのトッププライズ(大賞、最優秀賞)は、製薬大手のグラクソ・スミス・クラインが受賞した。


<関連記事>
車にモルトを飲ませよう——バイオ燃料としてのウイスキー(ザ・ジャーナル)
蒸留所の廃棄物で人道支援――アバディーン大研究者が浄水システムを開発(スコッツマン)

2012年10月30日火曜日

ブルガルが限定デカンタを来年リリース――トラベルリテール商品、創業125周年を記念(スピリッツビジネス)

エドリントングループ(英)傘下のラム・ブランド「ブルガル」(ドミニカ)は来年3月、限定デカンタ(ボトル)「パパアンドレス」をリリースする。
ブルガルが来年で創業125周年を迎えることを記念したもので、トラベルリテール(用語解説参照)向けの商品となる。
500本限定で、予定価格は900ポンド/1,200USドル(約10万円前後、現行レートのため発売時には変動の可能性あり)。

EDRINGTON LAUNCHES NEW $1,200 BRUGAL PAPA ANDRES RUM(スピリッツビジネス)
http://www.thespiritsbusiness.com/2012/10/edrington-launches-new-1200-brugal-papa-andres-rum/

パパアンドレスとは、ブルガルの創業者であるドン・アンドレス・ブルガルへの敬意から名付けられたもの。
クリスタル・デカンタとともに、ラムの製造工程が記されたブックレットが特製のギフトボックスに同封される。

ブルガルの五代目であるフランクリン・Báez(発音不詳)・ブルガル社長は「パパアンドレスには、我々の家族が五代に亘って守ってきた情熱、責任、技術の進化形が詰まっている」とコメントした。


<関連記事>
サントリー、スピリッツのポートフォリオを拡大――ビームと提携強化、エドリントングループのラムを販売へ(4トレーダーズ他)
カンパリ、ジャマイカのラム・メーカーを買収(ロイター)

2012年10月29日月曜日

スペイサイドの蒸留所向けにパイプラインを建設――ディアジオなど3社共同プロジェクト(ビジネス7)

英酒造大手が連合を組み、ガス輸送用パイプラインを共同で設置する。
プロジェクトに参加するのは、ディアジオ、シーバスブラザーズ、アンガスダンディーの3社。
スコットランド・スペイサイドのウイスキー蒸留所で燃料として使われるガスを輸送するもので、同国のインフラ開発企業であるファルクラムが受注する。

スコットランドは寒冷地であるため、以前から冬季の燃料輸送は困難であったという。
パイプラインを共同利用することで、そうした障害を排除するだけでなく、30%の燃料コスト削減、さらにCO2排出量の4分の1を削減する。
パイプラインに接続する蒸留所はグレンリベット、トーモア、クラガンモア、トミントゥール。
地下に埋設される形で、総延長は16マイル(約26km)におよぶ。
投資額は760万ポンド(約10億円)。
2014年夏に完成する予定となっている。


<関連記事>
ディアジオ、新蒸溜所建設を検討——5年間で1,200億円の投資計画(BBC)
グランツ社オーナー一族、スコットランド2位の富豪に(プレス・アンド・ジャーナル)
「スコットランドが独立するならば、連合王国はウイスキー輸出を支援しない」——ウィリアム・ヘイグ外相(デイリー・メール)

2012年10月24日水曜日

ブッシュミルズの樽でギターを製作――グラミー賞獲得のヴォーカリストがeBayに出品(デジタルスパイ)

今年のグラミー賞で最優秀新人賞を獲得したバンド「ボン・イヴェール(Bon Iver)」のヴォーカル、ジャスティン・ヴァーノンさんが米・オークションサイトのeBayにギターを出品している。
このギターの材料となったのは、アイリッシュウイスキー「ブッシュミルズ」の熟成に使用されていた樽だ。

Bon Iver's Justin Vernon auctioning guitar made from whisky barrels(デジタルスパイ)
http://www.digitalspy.co.uk/music/news/a432938/bon-ivers-justin-vernon-auctioning-guitar-made-from-whisky-barrels.html

ギターは「The 1608」と名付けられ、ヴァーノンさんの友人で楽器職人のゴーディー・ビスコフさんが製作した。
樽だけでなく、ウイスキーボトルのキャップも、ボリュームやトーンのコントロールに用いられている。
またYouTubeでは、ギターを製作する様子が公開されている(下動画)。


オークションは22日6時(米太平洋時間)に1,000ドル(約8万円)からスタートし、本記事制作時点で7,100ドル(約57万円)となっている。
終了予定時刻は11月1日6時(同)。
なお、このオークションはチャリティーを目的としたもので、収益はヴァーノンさんの地元、米・ウィスコンシン州オークレールのコミュニティーアートセンター建設に提供されるという。


<関連記事>
ウイスキーを売って人命救助——オーバンが水難救助団体に樽を寄贈(フォーアーガイル)

2012年10月22日月曜日

ボンベイサファイアの新工場、来秋にオープン――歴史的建造物を再利用(ベーシングストークオブザーバー)

<2013/3/14追記>当初、新蒸留所のオープンは「来年5月」としておりましたが、「来秋」の誤りでした。お詫びして訂正します。

酒造大手バカルディ(米領バミューダ諸島)は来秋、英イングランド・ハンプシャー州のラバーストークに、ジン「ボンベイサファイア」のための新蒸留所をオープンする。
ラバーストークはロンドンの西南、約100kmに位置し、かつて紙幣向けの製紙工場だった建屋を修復した上で利用する。

It’s Sapphire so good for new gin distillery(ベーシングストークオブザーバー)
BOMBAY SAPPHIRE GIN UNVEILSPLANS FOR “HOME OF IMAGINATION” IN HAMPSHIRE, UK(プレスリリース)
https://www.multivu.com/mnr/56574-bombay-sapphire

新蒸留所はテスト川に面し、オバートンとウィッチチャーチという街の中間に立地する。
また、かつての製紙工場は大英帝国、インドで使用される紙幣の原紙を200年間、製造していたという歴史的建造物であるが、近年は放置状態にあったという。

今回の修復と新蒸留所設置には、数百万ポンド規模の資金が投じられた。
一部、やむを得ない理由から解体された建物もあるが、かつての遺構を利用することやビジターセンターの設置などから年間10万人規模の観光客が見込まれ、また、雇用創出により地元への経済効果が期待されている。
工場・蒸留所の再構築に関するデザインは、ロンドンオリンピックの聖火台などを手がけたインダストリアルデザイナー、トーマス・ヘザーウィック氏が率いるヘザーウィック・スタジオが担当した。


<関連記事>
フォアローゼズ、新ビジターセンターをオープン(ビジネスジャーナルズ)
アデルフィ蒸留所、再開発の承認を得る(スコッツマン)

2012年10月21日日曜日

英女優がテキーラをプロデュース――100%アガヴェ、二日酔いになりづらいことを謳い文句に(オフライセンスニュース)

英国の女優・司会者、クレオ・ロコスさん(写真)がプロデュースするテキーラ・ブランド「アクアリヴァ」が、11月から同国で店頭販売される。
ロコスさんは1980年代、テレビ番組「ケニー・エヴェレット・ショー」でメインキャストの故ケニー・エヴェレットさんの助手役として出演、名を馳せた人物。
現在は芸能活動を続ける傍ら、テキーラ・ソサイエティ(英)の代表を務めている。

Entertainer Cleo Rocos launches new tequila(オフライセンスニュース)
http://offlicencenews.co.uk/news/fullstory.php/aid/13028/Entertainer_Cleo_Rocos_launches_new_tequila.html

元記事のオフライセンスニュースが行なったインタビューによると、ロコスさんはテキーラに対し情熱を持っていること、それにも関わらず化学的な添加物が含まれていないテキーラを探すことに嫌気を感じたことから、自らプロデュースするに至った。
「メキシコでアガヴェ(テキーラの主原料)100%のテキーラを飲んだとき、これを仕事にしようと思った。テキーラは幸せな気持ちに誘ってくれるスピリッツ。私の100%アガヴェのテキーラは、ハングアウト(二日酔い)もしない(ロコスさん)」
また、芸能界などの友人たちに商品を紹介したところ好評を博しているといい、ロコスさんによれば司会者のホリー・ウィロビーさんや、ヴァージングループのリチャード・ブランソン会長などが、既にファンとなっているという。

価格は22.99ポンド(約2,900円)で、販売店はアクアリヴァのオフィシャルサイト(英文)に記載されている。


<関連記事>
ベルヴェデールの財務体質に不安要素?――広告出演のブルース・ウィリス氏が現金支払を要求(ハフィントンポスト)
ラム「セイラージェリー」と英音楽雑誌が音楽イベントを開催——ダイヤモンドジュビリーに対抗(ブランドe.biz)

2012年10月18日木曜日

成長の足かせは欧州市場か――ディアジオ、レミーコアントローが中間決算発表(ヨークシャーポスト他)

Paul Walsh酒造最大手のディアジオ(英)は17日、第1四半期決算を発表した。
売上高は前期比5%増、前年同期比9%増となり、「新たな会計年度をソリッドな(中身のある)状態でスタートした(ポール・ウォルシュCEO、写真)」と、依然として成長傾向の持続を示している。

Diageo’s spirits are lifted by increase in quarterly sales(ヨークシャーポスト)

アジア、中南米、北米が好調な一方、欧州は前期比1%減とマイナス成長を記録している。
「トルコでのシェアが拡大している(同CEO)」と東欧やロシアでの売上は好調だが、金融危機に喘ぐ西南欧が足を引っ張った格好になった。

また、かねてから行なわれているホセクエルボの買収交渉は継続している模様だが、並行してユナイテッドスピリッツ(インド)の買収交渉も開始された。
ユナイテッドスピリッツはインドの富豪、ビジェイ・マリヤ氏が所有するメーカー。
マリヤ氏はユナイテッドスピリッツのほか、キングフィッシャー航空やF1チームのフォースインディアなどを所有し、コングロマリットを形成している。

レミーコアントロー(仏)も18日、上半期決算を発表した。

Remy Sales Miss Estimates as Cognac Growth Slows(ブルームバーグ)

前期比13%増を記録したものの、市場では18%程度の成長を予測されていたことから、期待を裏切る形となった。
この点につき同社広報は「米国、アジアでの成長は満足いくものだったが、欧州はこれに遅れをとる形となっている」と声明を発表した。


<関連記事>
ディアジオが2012年度の決算発表――ホセクエルボ買収交渉は継続(ロイター他)

2012年10月17日水曜日

アイルオブジュラ、30年熟成の新作をリリース(ジャストラクゼ)

スコッチ・シングルモルトウイスキー「アイルオブジュラ」は今年12月に、30年熟成の新作をリリースする。

ラベルに描かれるのは、Camas an Stancaと呼ばれるジュラ島の史跡。
垂直に立った状態の石が8個並ぶもので、3,000年前につくられたとされる。

ウイスキーはホワイトオーク樽、そして樽出し直近の3年間はオロロソシェリー樽に移し、熟成されたもの。
700ミリリットルボトルで、価格は350ポンド(約4万4千円)。

Isle of Jura Distillery Launches the Standing Stone 30 Single Malt Whisky(ジャストラクゼ)

2012年10月16日火曜日

NZウイスキー、G&M向けボトルを初出荷(ニュージーランドヘラルド)

きのう15日、ニュージーランド・オマルーに所在するニュージーランドウイスキーカンパニー(NZウイスキー)本社から648本のボトルが出荷された。
向け先となっているのは、大手ウイスキーボトラーのゴードン&マクファイル(G&M)。
G&Mへの出荷は今回が初めてとなる。

出荷されたボトルは「サウスアイランドモルト」の18年・21年、「ダニーデン・ダブルウッド10年」、「ミルフォードシングルモルト」の15年・18年・21年とカスクストレングスが数種類。
NZウイスキーはカスクストレングスを輸出することについて「大きな進展」としている。

Fine aged NZ whisky bound for Scotland(ニュージーランドヘラルド)


<関連記事>
G&M、女王即位60周年記念ボトルをリリース(ザ・プレス・アソシエーション)

2012年9月21日金曜日

サントリー、スピリッツのポートフォリオを拡大――ビームと提携強化、エドリントングループのラムを販売へ(4トレーダーズ他)

ビームのオフィシャルサイトに掲載さ
れている代表的商品の写真。この写真
のうち、ピナクル以外はサントリーか
ら販売されることになる。(クリック
すると拡大)
※ディアジオ、サントリーによるビーム買収についての記事はこちらです(2012.12.13追記)

サントリーとビーム(米)は20日、これまで行なわれてきた業務提携を強化する方針を発表した。
現在、サントリーはビーム製品であるカナディアン・ウイスキー「カナディアンクラブ」やスコッチ・シングルモルト「ラフロイグ」などの日本総代理店を務める。
来年1月からは、これらのポートフォリオにバーボン・ウイスキー「ジムビーム」、同「メーカーズマーク」が加わることになる。

BEAM Inc : 09 20 12 Beam Inc. Enhances Route to Market in Japan by Consolidating Distribution with Suntory(4トレーダーズ)
ジャックダニエル、アサヒに販売権 サントリーから移る(日経)

ビームのアーサー・アロニー新興市場マネージングディレクター(アジア太平洋・南米地域担当)は「我々は、長期的には日本市場が伸びを示すと見ており、日本のウイスキービジネスのエキスパートであるサントリーとの提携を強化できることについてエキサイティングに感じている」とコメントした。

日経の元記事にあるように、ブラウンフォーマンとサントリーの間で交わされていたバーボン・ウイスキー「ジャックダニエル」の代理店契約は年内で終了し、来年からはアサヒビールが同商品の総代理店となる。

また、ラムカテゴリーにおいてサントリーは、10月より「ブルガル」の販売を開始する。
ブルガルはドミニカのラムで、エドリントングループ(英)が保有している。

バカルディに挑むサントリー、輸入ラム酒で激突(東洋経済)


<関連記事>
建州知事が台湾、日本を訪問(KYフォワード)

ベルヴェデールの財務体質に不安要素?――広告出演のブルース・ウィリス氏が現金支払を要求(ハフィントンポスト)

俳優のブルース・ウィリス氏と同氏の法律顧問チームが、「ソビエスキーウオトカ(ウォッカ)」(写真、ポーランド)の親会社であるベルヴェデール(仏)に対し、出演料の現金支払いを求めている。

Bruce Willis Seeks Payment From Sobieski Vodka Deal(ハフィントンポスト)


ウィリス氏はソビエスキーのイメージキャラクターを務めているが、出演料はベルヴェデールの株式が現物支給される形になっているという(なお同社は「ソビエスキーに惚れ込んだウィリス氏が株式を取得した」と宣伝しているが、本件との関連は未確認)。
また、第一報を発信したウォールストリートジャーナルは、ベルヴェデールにはウィリス氏から借入れた2,600万ドル(約20億円)以上の債務が存在すると報じている。
これらの状況からウィリス氏はベルヴェデールに不信感を持ち、今回の要求に至ったものと見られる。
現状は交渉段階にある模様で、ウィリス氏が提訴に踏み切るなどの情報は入っていない。

ベルヴェデールは2011年12月期決算で、EBITDAが890万ユーロ(約9億円)に達したと発表している。
EBITDAは税引前利益から特別損益、減価償却費などを織り込んだ利益高で、前年は160万ユーロ(約1億6千万円)だった。
よって前年比で5倍以上の伸びを見せていることになる。
しかし、米・通信大手だったワールドコムの経営破綻では、設備投資の不正計上によりEBITDAを水増ししていたことが発覚しており、今回の一件でウィリス氏以外の投資家もベルヴェデールにより詳細な財務状況の開示を求める可能性も考えられる(もっとも、現在においても、ベルヴェデールの他にEBITDAを財務諸表の主要項目として採用する欧州企業は散見される)。

なお、ソビエスキーと同じポーリッシュ・ウオトカで「ベルヴェデール」という商品があるが、こちらはルイヴィトンモエヘネシーが保有するブランドで無関係。


<関連記事>
スキニーガールの成長率は388.3パーセント——米調査会社がスピリッツ・トップ250ブランドを発表(マーケティング・デイリー)
ズブロッカ親会社がジム・ビーム販売権を獲得(ブルームバーグ・ビジネスウィーク)