2012年3月31日土曜日

スコッチ三銃士が米国でモルトウイスキーづくり(ザ・サン)

アメリカ合衆国建国の父、ジョージ・ワシントンは大統領であると同時にマウント・バーノンというプランテーション(大量資本と奴隷を用いて運営される大規模農園)の経営者であった。
親族から相続によってマウント・バーノンを得たワシントンは、ウイスキー製造という新たなビジネスを興し、これを成功させたという。

それから3世紀を経た今、マウント・バーノン蒸留所でモルトウイスキーがつくられた。
これに携わったのはスコッチ・シングルモルトのグレンモーレンジ、ラフロイグ、そしてカーデュのマスター・ディスティラー(蒸留責任者)たちだ。

Scots bring whiskey magic to Washington's distillery(ザ・サン)

現在、ジョージ・ワシントンの直系子孫はおらず、当所はマウント・バーノン女性協会によって運営されている。
また近年、マウント・バーノン蒸留所再興の動きが広がり、2007年に所在するバージニア州から生産量を限定された上で酒造許可が下りた。
以後、ワシントンの製法に則ったライ・ウイスキーを蒸留するなど、「クラフト・ディスティラリー(地ウイスキー蒸留所)」の代表格となっている。

そして今回、マウント・バーノン蒸留所で初めて、モルトウイスキーがつくられた。
前述の通りこれを実行したのは、ビル・ラムズデン氏(グレンモーレンジ蒸留所マスター・ディスティラー)、ジョン・キャンベル氏(ラフロイグ蒸留所ディスティラリー・マネージャー)、アンディー・カント氏(カーデュ蒸留所マスター・ディスティラー)という錚々たる面々。
「これが完全なものにできあがるかは分からない。ただ、気を張ってやるものじゃなく楽しくやる仕事なのだと考えているよ」とカント氏は今回の事業にあたっての心境を語った。

スコットランドから持ち込まれた大麦を原料に蒸留されたウイスキーは3年間、バーボン樽で熟成される。
ラムズデン氏は樽出しされる3年後について「リッチでフルボディなものに仕上がってくれることを期待している」と思いを述べた。

完成時には100本限定でボトリングされ、チャリティーオークションにかけられる予定。
収益はマウント・バーノン女性協会など、非営利団体に寄付されるという。

2012年3月30日金曜日

女王陛下に最敬礼——ロイヤル・サルートのダイヤモンド・ジュビリー記念ボトルがリリース(WSJオリジナル記事)

シーバス・ブラザース(英)は27日、ブレンデッド・ウイスキー「ロイヤル・サルート」のダイヤモンド・ジュビリー記念ボトル(写真)をリリースすると発表した。
エリザベス2世英女王が今年2月、即位60周年(ダイヤモンド・ジュビリー)を迎えたことによるもので、他にゴードン&マクファイル、ジョン・ウォーカー&サンズが記念ボトルをリリースしている。

ロイヤル・サルートの記念ボトルは、青磁器の特別ボトルに収められる。
また、日本で販売されるかは不明だが、20ヶ国で販売予定だ。
ブレンドされるウイスキーの銘柄やテイスティングノートは明らかにされていない。


ニール・マクドナルド ロイヤル・サルート担当グローバル・ブランド・ディレクターは「そもそも、(通常版の)ロイヤル・サルート21年はエリザベス2世が即位したことを記念してつくられたものだ。それゆえに記念ボトルでダイヤモンド・ジュビリーを祝えることを嬉しく思う」とコメントした。

メーカー希望小売価格は164USドル(約1万3千円)。

2012年3月29日木曜日

タラモア・デュー、故郷に帰る——グランツ社がオファリー州に新蒸留所建設(BBC)

ウィリアム・グラント&サンズ(英、グランツ社)は、アイルランド・オファリー州に蒸留所を建設すると発表した。
アイリッシュ・ウイスキーの需要増に対応するためのもので、保有するブランド「タラモア・デュー」(写真)の生産に用いられる予定。

William Grant and Sons to build new Irish distillery(BBC)
http://www.bbc.co.uk/news/uk-scotland-scotland-business-17537206

タラモア・デューは元々、オファリー州タラモアで生産されていたが、1954年に操業を停止。
以後、ミドルトン蒸留所で生産されていた。
タラモア・デューにとっては、今回の新設により故郷に帰る形となる。

またグランツ社に視点を移すと、2010年にC&Cグループよりタラモア・デューを含むスピリッツ・リキュール部門を2億5千万ポンド(約338億円、当時のレート)で買収。
以後、輸出増により同ブランドは毎年15パーセントの成長率を示している。

蒸留所建設に投資される金額は3,500万ポンド(約46億円)。
今年後半にも建設に着手する予定で、設計には最新のグリーンエネルギーを利用できる仕組みも盛り込まれるという。
ステラ・デイビッド グランツ社CEOは「今回の投資は、我々がアイルランドやタラモアに、長期的に関わっていくための支えになる。タラモア・デューが長期的に成長し続けることは、アイルランド製飲食品輸出のサクセスストーリーのひとつの象徴となるだろう」とコメントした。

2012年3月28日水曜日

スコッツマンがiPad向けウイスキーアプリを斬る!(スコッツマン)

ワールドスピリッツジャーナルが始まって、約二ヶ月。
統計を見てみると、読者の1割弱はiPadあるいはiPhoneからアクセスしている。
また、アンドロイド端末からも1割超のアクセスがあるから、読者の2割はスマートフォン、タブレッド端末でご覧いただいていることになる。

そのような中でスコットランドの新聞、スコッツマンがウイスキーに関するiPadアプリのレビュー記事を掲載した。

Tech a dram: Whisky apps for the iPad, reviewed(スコッツマン)

元記事にはダウンロードサイトへのリンクが張られていなかったため、WSJが見つけられたアプリについてはタイトルにリンクを張った。
(ただし、アプリそのものは全て英語)
なお評価はWSJが行なったものではなくスコッツマンによるものなので、ご留意いただきたい。

iMalt HD Scotch Whisky Companion 450円
評価:★★☆☆☆

スコッチ・モルト・ウイスキーとジャパニーズ・ウイスキー、アイリッシュ・ウイスキーをデータベース的に取り上げているアプリ。
ビギナーにはウイスキーを知るきっかけとして良いようだが、iOSのインターフェイスを十分に活かしきれていないところ、デザインがいまいちなところが欠点のようだ。
また、スコッチ・モルトだけに留めれば良いものを、中途半端にジャパニーズとアイリッシュを取り上げていることから、スコッツマン記者は「ウイスキーは他にも多くの生産地がある」とご不満の様子。


Whisky Bible Pro 2012 1,600円
アンドロイド版は1,587円)
評価:★★★★☆

このアプリは、土屋守氏、故マイケル・ジャクソン氏と並ぶウイスキーライター、ジム・マーレー氏が監修を務めている。
iMalt HDと異なり、南アフリカや台湾のウイスキーまで取り上げられているから、スコッツマンの評価も高い。
また、ジム・マーレー氏のテイスティングノートや動画も楽しめる。
価格が高いのが難点か。


The Whiskey Encyclopedia 0.69ポンド(約90円)
アンドロイド版は99円)
評価:★☆☆☆☆

今回紹介されたアプリの中で最低の評価を受けているのが、これ。
廉価ではあるが、単純で面白みのないデザインが低評価の理由のようだ。
(どうもこの記者は、美しさにこだわる人らしい)
ただ、ボトルそれぞれの基本的な情報は集められているようだから、iMalt HDと同様、ビギナーがどういうものか知るというレベルであれば、使えなくもないのかもしれない。


Glenmorangie フリーウェア(該当するアプリを見つけられなかったため、リンクなし)
評価:★★★☆☆

おそらくグレンモーレンジ蒸留所がリリースしているアプリだと思われるが、元記事の指しているアプリを見つけることができなかった。
そこそこの評価を得ているのは、やはりデザインの美しさによるもののようだ。
たしかに大元である蒸留所が関わっているアプリなら、格好悪いものはつくれないだろう。


Whisky Online: Ardbeg Distillery 0.69ポンド(約90円、こちらも該当するアプリが見つけられなかった)
評価:★★★☆☆

オンラインショップのウイスキー・オンラインがリリースしているアプリ。
今回はアードベッグのレビューとなっているが、他の蒸留所についてもリリースされている模様。
ウイスキーそのものの情報だけでなく、蒸留所の歴史やロケーションについて知ることができる。

2012年3月27日火曜日

テキーラ「ドン・フリオ」創業者、ドン・フリオ・ゴンザレス・エストラーダさんが死去(WSJオリジナル記事)

テキーラブランド「ドン・フリオ」創業者、ドン・フリオ・ゴンザレス・エストラーダさんが20日、亡くなった。
87歳だった。
明確な死因は不明だが、親会社であるディアジオのプレスリリースによると「自然死」であるという。

ドン・フリオさんは1925年、メキシコ・ハリスコ州のアトトニルコという街で生まれた。
おじのホセさんが所有していたテキーラ蒸留所に幼い頃から出入りし、そこでテキーラのつくり方を学んだという。
15歳で父カルロスさんが亡くなったことから働きに出ることになったドン・フリオさんは農場での働き口を見つける。
しかし、その仕事は週9ペソ(当時の貨幣価値、物価等は分からないが、現在のレートで約60円)という報酬であり、テキーラの販売を開始。
これが、テキーラビジネスのスタートだった。
そして1942年、自らの蒸留所を設立。
長期熟成した商品である「1942」や「レアル」をリリースし、「プレミアム・テキーラ」というカテゴリーの成立に大きな役割を果たした。

2012年3月26日月曜日

ウッドフォードがケンタッキーダービー記念ボトルをリリース(ビジネス・ファースト)

米競馬の祭典、ケンタッキーダービーが5月5日チャーチルダウンズ競馬場(米ケンタッキー州)で開催される。
これに先立ち、ダービーのオフィシャル・バーボン・ウイスキーであるウッドフォード・リザーブは、記念ボトルをリリースすることを発表した。

Woodford Reserve releases commemorative Derby bourbon(ビジネス・ファースト)

記念ボトルは毎年リリースされており、ここ数年は競走中の様子がラベルに描かれている。
今年、そのイラストを担当するのはソルトレークシティ・オリンピックやレクサスなど、多数の広告を手掛けてきたアーティスト、マイケル・シュワブ氏。
ウッドフォード・リザーブのボトルには疾走するサラブレッドとジョッキーが、シンプルでありながら躍動的に描かれている。
また、ボトルのキャップに貼られるバンド(シール)は、ジョッキーの勝負服と同じ柄が用いられ、小粋な演出が図られている。
(ボトルの画像はリンク先にあり)

米国45州で限定発売され、価格は42.99USドル(約3,600円)。

2012年3月25日日曜日

英国、アルコール飲料への最低価格導入へ——酒類業界は反発(USフロントライン他)

英政府は23日、アルコール飲料に「ミニマム・プライス(最低価格)」を設定する方針を決定した。

酒販売で最低価格導入へ 英政府(USフロントライン)

Minimum alcohol price 'illegal', claims Scotch Whisky Association(ザ・テレグラフ)
(テレグラフの記事は導入決定以前のもの)

ここ数年、アルコールによる健康問題や暴力事件が表面化しており、また他国に比べて英国内のアルコール価格は低いという意見から、ミニマム・プライスの導入が議論されていた。
そして今月中旬、デイビッド・キャメロン英首相が導入を前提に協議を始めることを明言し、今回の決定に至った。

ミニマム・プライスが導入されるのはイングランド南部とウェールズ西部。

導入にあたって、酒類業界は反対の姿勢を表している。
ディアジオやエドリントン・グループ、ペルノ・リカールなどが加盟するスコッチ・ウイスキー協会(SWA)は導入に関する協議の開始前、ミニマム・プライスを「違法な障壁」とする文書を政府に送付していた。
EU域内では自由交易が保証されているため、ミニマム・プライスはEUの経済法令に抵触する、というのがSWAの主張だ。
また、同文書では過去に同様の制度を導入したオランダがEC司法裁判所(現・EU司法裁判所)から是正を求められたことについても指摘している。

2012年3月24日土曜日

キルマーノックのボトリング工場、200年の歴史に幕——ジョニー・ウォーカー(スコッツマン他)

利潤(だけ)を追い求める——世界一
たるディアジオには、そうなってほ
しくない
ブレンデッド・ウイスキー「ジョニー・ウォーカー・レッドラベル」をボトリングするキルマーノック(英スコットランド)のボトリング工場が22日、最後の操業を行ない、およそ200年に亘る歴史に幕を閉じた。
同工場は1820年に創業者ジョン・ウォーカーがオープンさせた、ジョニー・ウォーカー発祥の地。

2009年にジョン・ウォーカー&サンズの親会社であるディアジオ(英)が、経営・業務効率化を掲げ同工場などの閉鎖を発表。
その際、キルマーノックの街ではサッカークラブ、キルマーノックFC(スコティッシュ・プレミアリーグ)の選手や市民が参加した、2万人規模のデモが行なわれた。
以降も存続運動や、スコットランド議会などによるディアジオへの存続要請が行なわれていたが、その3年間の戦いにも終止符が打たれることになった。

Staff weep as final Johnnie Walker bottle leaves ‘home’(スコッツマン)

Bitter tears as gates close on town's whisky factory(ヘラルド・スコットランド)

今回はスコッツマン、ヘラルド・スコットランドに掲載された従業員たちの声を取り上げる。

エレーン・ニコルさん(1972年より同工場に勤務)「本当に悲しい。引退するまでここで働こうと決めていたのに、本当に信じられない気持ち」

エリザベス・レイノルズさん「この場所は私の家同然の場所であったし、ともに、同僚は家族同然だった。本当に今日が最後の日とは信じられない」

ジャニス・ディーンさん(品質管理を担当)「ディアジオは、キルマーノックこそがジョニー・ウォーカーそのものであることを理解していないのよ。この出来事は街から心臓を剥ぎ取ったようなもの。700人(同工場の従業員数)の家族は去ってしまった」

エステル・マクナイトさん(34年間、ボトリングの生産ラインを担当)「ジョニー・ウォーカーはとても偉大な会社だった。しかし、会社がディアジオの下に渡ったとき、全てが変わってしまった。ディアジオは何をするにも利益を求めるだけだった」

また、近隣で新聞販売、酒屋を営むピア・シンフォリアニさんは、次のように語っている。
「私の家は100年間、キルマーノックで商売を続けてきた。キルマーノックからジョニー・ウォーカーを取り上げるということは、テネシーからジャック・ダニエルを取り上げるということと同じことだよ。ディアジオは『ジョニー・ウォーカー』の名前を買った。だけど、ジョニー・ウォーカーはキルマーノックの人々のものだったんだ。少なくとも、今日まではね」

最後にディアジオ広報のポーリン・ルーニー氏のコメント。
「従業員に影響が出ないこと、可能な限りこのビジネスに留まることが出来ること——今回の閉鎖計画にあたっては、そこに焦点を絞った。ヒルストリート(ボトリング工場の所在地)の200名近い人員が、ディアジオで新しい職場を見つけられたことを嬉しくおもう。しかし、この職に留まれなかった人間が発生してしまったのは残念なことだ。また、閉鎖という難しい工程に取り組んでくれた、全てのキルマーノックのスタッフは大きな賞賛を受けるに値する」

あえてディアジオを擁護すれば、彼・彼女らとて営利企業であり——たとえ世界一の酒類コングロマリットとはいえ——、一寸先は闇の世界を生きている。
慈善団体ではないのだから、利益を追求するのは当然のことだ。
しかし企業活動には常に、説明責任が伴うということも自覚しなければならない。
2011年度決算では、約26億ポンド(約3,400億円)の営業利益を挙げ、約17億ポンド(約2,200億円)のフリーキャッシュフローを積み重ねたとディアジオは発表している。
(フリーキャッシュフローとは、本業で得た現金収入額から、設備投資などに費やした支払額を引いた、手持ちの現金額)
キルマーノックを閉鎖しなければ、これらがどのように失われるかということをディアジオは明示しなければならない。

これはCSR(企業の社会的責任)という点だけでなく、ブランドイメージの保持にも関わる問題だ。
前述したシンフォリアニさんのコメント通り、ジョニー・ウォーカーのブランド力はキルマーノックで生まれ、育まれてきたもの。
そのブランドイメージが損なわれれば当然、業績にも跳ね返り、すなわち企業の力を削ぐということにつながる。

「山崎」は2年連続、「竹鶴」は4年連続の世界一——WWAワールズベストウイスキーが発表(WSJオリジナル記事)

ウイスキーマガジン(英パラグラフ・パブリッシング発行)が主催するワールド・ウイスキー・アワード(WWA)は22日、2012年の受賞作を発表した。
受賞作は以下の通り。

ワールズベスト・シングルモルトウイスキー
山崎25年

ワールズベスト・ブレンデッドウイスキー
スリーシップ5年

ワールズベスト・ブレンデッドモルトウイスキー
竹鶴17年

ワールズベスト・ノースアメリカンウイスキー
イーグルレア17年

ワールズベスト・グレーンウイスキー
グリーノア15年

ワールズベスト・ニューリリース
ブラックブル40年

ワールズベスト・ウイスキーリキュール
ダンケルド・アソール・ブローズ

山崎蒸留所にとっては昨年出品された「山崎1984」に続き2年連続のベスト・シングルモルト受賞、また、ニッカウヰスキーの竹鶴ブランドはベスト・ブレンデッドモルトを4年連続で受賞したこととなる。
一方、日本代表としては他に「響17年」がブレンデッドウイスキー部門に出品されていたが、こちらは「ワールズベスト」の座を逃した。
もし受賞していれば、響ブランドとして3年連続の「ワールズベスト」となっていた。

Black Bull 40ワールドスピリッツジャーナルとして注目したいのはベスト・ニューリリースを受賞した「ブラックブル40年」(写真)。
ボトラー、ダンカン・テイラー(英)がリリースしたブレンデッド・ウイスキーで、8種類のモルト——ブナハーブン、グレンファークラス、グレンリヴェット、グレンバーギー、ハイランドパーク、ミルトンダフ、スプリングバンク、そしてタムデュ——、グレーンウイスキーはインヴァーゴードンがブレンドされたブレンデッド・ウイスキーだ。

WWAのロブ・アランソン審査員長は「どの作品も目を見張るものばかりで『ベリーグッド』なものと『グッド』なものに分けることにとても苦労した」とコメントした。


【2月29日の記事について訂正】
2月29日掲載「シングルモルト日本代表は『山崎25年』に——WWA日本地区受賞ウイスキーが発表」の記事において、WWAのベストウイスキーは「3月23日」に発表されると記載しましたが、上記記事の通り「3月22日」の誤りでした。
お詫びして訂正いたします。

2012年3月22日木曜日

「アイリッシュ・ウイスキーは今『黄金時代』」——ホットアイリッシュマン創業者が語る販売戦略(ビジネス&リーダーシップ)

ホットアイリッシュマン創業者、
バーナード・ウォルシュ氏
(同社オフィシャルサイトより)
先月20日の本サイトで、ジェイムソンの輸出による快進撃を記事にした。
しかし、タイトルに付した「ジェイムソンのひとり勝ち」という点については、訂正しなければならないだろう。
ウイスキー、リキュールのメーカーであるホットアイリッシュマンの創業者、バーナード・ウォルシュ氏は「アイリッシュ・ウイスキーは新たな『黄金時代』を迎えている」と述べているからだ。

Hot Irishman to target ten new countries(ビジネス&リーダーシップ)

2007年までのホットアイリッシュマンは、8ヶ国にしか輸出していなかった。
しかし、販売戦略の核に輸出を据え、現在は30ヶ国に同社の製品が輸出されている。
結果、この2年間で取引高が50パーセント超の上昇を見せ、出荷量の90パーセントは輸出向けになっているという。
「特に今のような不透明な経済の中では輸出先の国を増やすのは重要なことだ。今後数年のうちに、あと10ヶ国ほど輸出先を増やすつもりでもいる」
ウォルシュ氏はこう述べた後、「しかし」と付け加える。
「それ以上に増やすことは、取引の管理が難しくなるだろう」
積極的な輸出を目指しながらも、身の丈を考えた慎重な姿勢も崩さない。

ホットアイリッシュマンの輸出戦略はスコッチ・ウイスキーの輸出先を踏襲しながら、同時にアイリッシュ・ウイスキーが輸出されていない国に売り込みをかける、というものだった。
「たとえば、韓国やカザフスタンなどは我々が最初に動いたことによって、アドバンテージを得ることができた」とウォルシュ氏は振り返る。

ただ、ホットアイリッシュマンの商品は競合するものと比べて高めの価格設定がされている。
これについてウォルシュ氏は「我々は最も良い原料を使用しており、製法に関して近道を取ることはしない。コーヒーリキュールやクリームリキュールを生産しているが、これも本物のコーヒー、クリームを使用している。ターゲットにしているのが、より高水準のものを求めている消費者だからだ」と自信を持つ。
また、商品の独自性もホットアイリッシュマンの特徴だ。
「我が社のウイスキー、『ザ・アイリッシュマン70』は70パーセントのシングルモルト(筆者註:ブッシュミルズ原酒)と、30パーセントの単一の蒸留器で精製されたウイスキーをブレンドしている。こうしたレシピはアイリッシュ・ウイスキーの中でも他にない」

冒頭述べた通り、アイリッシュ・ウイスキーで好調なのはジェイムソンだけではないようだ。
それを示すように、アイリッシュ・ウイスキーのグローバル市場での成長率は、2011年において20パーセントを超えると予測されている。

(あす23日は更新を停止します)

2012年3月21日水曜日

二大巨頭、中国市場で鎬を削る(ロイター)

水井坊、英語版ホームページの
スクリーンショット
酒類コングロマリット、ディアジオ(英)は20日、中国の白酒メーカーである水井坊の株式公開買付が成立した件につき、中国当局より承認を得たと発表した。
水井坊は白酒業界で4位に位置するメーカー。

Diageo gets go-head to launch Chinese tender offer(ロイター)

今回の買収劇は昨年7月に始まった。
ディアジオが水井坊の親会社である全興集団の過半数の株式を取得。
そして水井坊に対しても今月19日までに1株21.45元で公開買付を行ない、発行済株式の17.16パーセントを取得、TOBが成立した。

ディアジオは白酒を世界的なスピリッツとすべく、水井坊の国際的な拡販をサポートする意向。
その一方で、現状40パーセントを下回っている自社の中国国内でのシェアを2015年に50%まで引き上げることを目標としている。
水井坊の持つ中国での流通網を用いて、ビール、ウイスキーやその他のスピリッツを拡販する狙いもあると考えられる。

MARTELL
価格改定されたコニャック
「マーテル」
(写真は日本仕様のもの)
一方、ディアジオに次ぐコングロマリットのペルノ・リカール(仏)は先月、コニャック「マーテル」などスピリッツの中国での販売価格を引き上げた。
この件について同社のピエール・コペル アジア担当チーフは20日、ロイターの取材に「値上げしても中国での売上高は二桁成長を見せるだろう」と先行きに自信を見せた。

Pernod Ricard confident on China price increases(ロイター)

ペルノ・リカールは今回の価格改定で、3〜10パーセントの引き上げを行なっている。
しかし、コペル・チーフは「中国の消費者は値上げを受け入れてくれるだろうと感じている。この状況は持続するだろう」とコメントした。
世界的にはペルノ・リカールは2位の酒類コングロマリットだが、中国におけるシェアは48パーセントとディアジオを上回っている。
また、同社の売上・利益の4割弱はアジア地域で生み出されたものだ。
西ヨーロッパ地域で苦戦を強いられていることから、それを相殺するためにアジア地域の更なる拡販を目標としている。
現状、中国の他、インド、ベトナムでも好調な成績を保っているが、今後はモンゴル、ラオス、カンボジア、あるいはミャンマーなどにも積極的なマーケティングを図っていく意向だ。

2012年3月20日火曜日

ラムのバンダバーグ、高級カテゴリーの新商品をリリース(ザ・シャウト)

オーストラリアのラムブランドであるバンダバーグは19日、「ゴールデン・リザーブ」(写真)をリリースした。
「10年」、「ポートバレル」に続くバンダバーグ・マスター・ディスティラーズ・コレクションの3作目。

Bundaberg releases new premium variant(ザ・シャウト)

ゴールデン・リザーブは11年物の中から選ばれた5つの樽を、シェリー樽とポートワイン樽でブレンド、フィニッシュされている。
結果、豊かな色合いと、特徴的でバンダバーグのキャラクターが表れたものに仕上がっているという。

なお、バンダバーグは酒類コングロマリットであるディアジオ(英)の傘下企業だ。
ディアジオ・オーストラリアのアンドリュー・オートン ラム担当マーケティングマネージャーは「マスター・ディスティラーズ・コレクション3作目の発売が、『プレミアミゼーション』ラムというカテゴリーが成長しているこの時期と重なったことに、タイムリーに感じている」とコメントした。

スペックは700ミリリットルボトルで、アルコール度数40パーセント。
メーカー希望小売価格89.99オーストラリア・ドル(約7,900円)。

なお、日本国内にバンダバーグの正規インポーターは存在しないが、以前に発売されている商品については少量ながら並行輸入が行なわれている模様。

2012年3月19日月曜日

ディアジオ、ホセ・クエルボ買収へ追い込み(フィナンシャルタイムズ)

酒類コングロマリットのディアジオ(英)は、テキーラメーカーであるホセ・クエルボ(メキシコ)の買収交渉を昨年より進めてきた。
しかし現時点において、進展を見せていない。
ディアジオはホセ・クエルボのオーナーであるベックマン家に対して、強く回答を促している模様だ。

Diageo steps up pressure on Jose Cuervo(フィナンシャルタイムズ)

この交渉は遅くとも昨年5月には始まっていた。
当初、ベックマン家も売却に前向きであったという報道もあり、英投資銀行のバークレイ・キャピタルをアドバイザーに据え、ディアジオとの交渉に臨んでいた。
しかし、市場の一部には「ベックマンが生きている間にディアジオに買収されるとすれば、それは驚くべきことだ(ノムラ・インターナショナル イアン・シャクルトン氏)」との否定的な見解も存在する。

また、ディアジオは買収交渉以前に、ホセ・クエルボと販売契約を結んでいる。
この契約は来年6月に期限を迎え、ベックマン家が売却に応じなければ販売契約も更新しない意向だ。

もし、売上ナンバーワンのテキーラメーカーであるホセ・クエルボをディアジオが傘下に収めた場合、酒類業界に与えるインパクトは大きい。
競合するコングロマリットのペルノ・リカール(仏)は2005年にフォーチューン・ブランズ(米・当時、現ビーム)と連合を組みアライド・ドメックを買収した。
アライド・ドメックはテキーラ売上高ナンバーツーのサウザやラムのマリブなどを擁しており、この買収以後、ペルノとビームはディアジオを追撃する体制を整えている。
ディアジオがホセ・クエルボを傘下に収めれば、勢力図に再び変化が訪れることになるだろう。

また、日本国内の流通にも影響を及ぼすことが考えられる。
現在、ホセ・クエルボの日本代理店を務めるはアサヒビールだ。
一方ディアジオは、日本法人としてディアジオ・ジャパン、およびMHDモエ・ヘネシー・ディアジオを持つ。
ホセ・クエルボ買収後の両者の関係がどのようになるかは代理店契約の内容などにもよるが、2008年にはディアジオのコアブランドであるビール「ギネス」の代理店がサッポロビールからキリンビールに移管される、という出来事もあった。
ディアジオとサッポロの間に販売方針の乖離があったため、という話もあり、もし今回の買収が成立すればアサヒとディアジオの関係構築の行方に注目が集まる。

2012年3月18日日曜日

スコットランドのキャディー、蒸留所を創設する(scotsman.com)

グレンバーンズ蒸留所(英スコットランド)は現在、180万ポンド(約2億円)規模の出資を募っている。
同蒸留所は未だ稼働前であるが、この資金調達が成功すればローランドに新しいウイスキーの蒸留所がオープンすることになる。

Kingsbarns Distillery bid blends golf with whisky(scotsman.com)

グレンバーンズ蒸留所のダグ・クレメント代表は元キャディー。
以前から「ゴルフとウイスキーはセクシーな組み合わせ」と考えていたクレメント代表は、ゴルフの聖地であるセントアンドリュースのコース傍に蒸留所をつくれないかと考えていた。
もっともその構想は「現実的でない」という意見もあり成就することはできなかったが、クレメント代表はゴルフとウイスキーのシナジーを求め続け、ラーク蒸留所(オーストラリア)のビル・ラーク代表とコンタクトを取ることに成功した。

ラーク蒸留所はオーストラリア・タスマニア島に存在する蒸留所で、1992年に創設。
ラーク夫妻が経営するかなり小規模な蒸留所であるが、2009年にはワールド・ウイスキー・アワードのその他ウイスキー・熟成年数表記なし部門で「ベストウイスキー」を受賞しており、日本にも少量ながら流通している。

ラーク氏は自身が考案したビジネスモデルである、ウイスキーだけでなくジンなどの熟成が必要ないスピリッツを製造・販売し、またビジターセンターを開設・開放、初期から収益を得られる方法を提案した。
現在もコンサルタントとしてグレンバーンズの経営に参加している。

Doug Clement & Theo outside the future Kingsbarns Distillery
グレンバーンズ蒸留所の建屋とダグ・
クレメント代表。
また、クレメント代表はかつてキャディーを務めた依頼主たちにメールを送り、出資とアドバイスを求めた。
反響は大きく、オーストラリア、カナダ、独国、そして米国の出資者から10万ポンド(約1,300万円)と、地域振興を目的とした公営企業であるスコティッシュ・エンタープライズから15万ポンド(約2,000万円)の出資、そして減税措置を得ることに成功した。
これを基に、セントアンドリュースの近郊に古風な様式を持つ農場を見つけ、ここと99年間のリース契約を締結、また、蒸留免許も取得した。

今回募集している資金は、建物の修繕、そしてポットスティルの調達に充てられるという。

2012年3月17日土曜日

オンラインストア、マスター・オブ・モルトでジンの新製品を発売(PRウェブ)

スピリッツブランド「プロフェッサー・コーネリアス・アンプレフォース」は、「オールド・トム・ジン」と「ヴィンテージ・スロー・ジン」をリリースした。
英国の酒類オンラインストアであるマスター・オブ・モルトで販売されている。

Master of Malt Launches a Brace of Tasty New Gins(PRウェブ)

かつてジンの自動販売機は猫の形をしており、口からコインを入れると足下からジンのボトルが出てくる仕組みだった。
ここから、ジンの中にオールド・トム・ジン(トムキャット=雄猫の意)というジャンルが出来上がり、今回の商品もここに由来している。
余談ではあるが、カクテルの「トム・コリンズ」も元々は「ジョン・コリンズ」という名前だったが、オールド・トム・ジンを使うようになり、トム・コリンズと名前が変わった、と言われている。

そして、プロフェッサー・コーネリアス・アンプレフォースのオールド・トム・ジンは、18世紀から19世紀にかけて人気のあったロンドン・ジンを意識し、少しの甘みを感じるものに仕上がっているという。
500ミリリットルボトルで、アルコール42.4パーセント。
価格は24.95ポンド(約3,300円)。

もうひとつの「ヴィンテージ・スロー・ジン」(写真左)は、スローベリーをジンに漬けたもので、こちらも「コールド・コンパウンディング」という伝統的な製法を用いてつくられている。
こちらのスペックは500ミリリットルボトルで、アルコール29パーセント。
価格はオールド・トム・ジンと同じで24.95ポンドだ。

なお、WSJがネット上を調べたところ、今回紹介したジンだけでなく、プロフェッサー・コーネリアス・アンプレフォースのシリーズはあまり流通していない模様。

2012年3月16日金曜日

『コールガールの秘密日記』著者、インヴァネス・ウイスキー・フェスの大使に(STV)

癌科学者で、英ITVで放送されたドラマ『コールガールの秘密日記』原作者であるブルック・マグナンティ博士が、インヴァネス・ウイスキー・フェスティバルの大使に任命された。
マグナンティ博士が、ウイスキー愛好家であることにより実現したもの。

Secret Diary of a Call Girl author to be whisky festival ambassador(STV)

マグナンティ博士は、ベル・ド・ジュールという匿名を用いて『ロンドンコールガールの秘密の冒険』というブログを2003年に開設した。
これは博士論文を執筆中、資金が底を尽いたことから始めたセックスワークの経験を綴ったもの。
その赤裸々な内容から書籍化された際には英国でベストセラーとなり、前述の通り、女優ビリー・パイパー主演でドラマ化された。
そして2009年に博士は、自らがベル・ド・ジュールであることをカミングアウト、現在は環境が母子に与える影響と癌の関連を研究する科学者として活動している。

フェスティバル運営者の一人、イヴォンヌ・マレー氏は博士がフェスティバル大使に就任するまでの経緯を次のように語った。
「『ロンドンコールガールの秘密の冒険』を読んで、彼女がウイスキー愛好家であることを知った。(不安もあったが)『運は勇者を佑く』という私の信念に従ってツイッター上で彼女の大使就任を打診したところ、承諾してくれた」

インヴァネス・ウイスキー・フェスティバルはスコットランド・インヴァネス市内のフータナニーズ・パブで4月6日〜7日に開催される。

2012年3月15日木曜日

アルティメット・スピリッツ・チャレンジ、受賞作が発表される——ジャパニーズ・ウイスキー部門は山崎18年にトロフィー(WSJオリジナル記事)

3月5日〜9日、米ニューヨーク・アスターセンターで「2012アルティメット・スピリッツ・チャレンジ(USC)」が開催された。
アルティメット・ビバレッジ・チャレンジ(UBC)が主催するコンペティションで、今年で3回目。
スピリッツの他にワイン、カクテルのコンペティションも行なわれている。

今年のUSCは14分野44部門で争われ、650以上のスピリッツが出品された。
出品数は前年より15パーセントほど増加している。
そして、およそ80の銘柄が最終選考に残り、31銘柄が最高の栄誉となるトロフィーを受賞した。

まず、日本人にとってはジャパニーズ・ウイスキー部門の結果に興味が湧くだろう。
初めて部門が設けられた昨年、部門内で最高得点を得たもののトロフィーを獲得できなかったサントリー「山崎18年」(写真)が、昨年の雪辱を晴らしトロフィーを勝ち取った。
また、同時に出品された「白州12年」、「山崎12年」、そして「響12年」も90点以上のスコアを獲得、日本からの出品作全てがファイナリストに選出された。

また、アンフレーバード・ウオトカ(ウォッカ)部門では、「ファジーズ・ウルトラ・プレミアム・ウオトカ」が最高得点でトロフィーを獲得。
このウオトカは先日のWSJでも取り上げたように、マスターズ、全米オープンで優勝経験を持つプロゴルファー、ファジー・ゼラー氏が立ち上げたブランドだ。

そして、スコッチ・シングルモルト・ウイスキー部門は「カリラ12年」が97点でトロフィーを獲得した。
同部門は昨年、4銘柄がトロフィーを得たが、今年はカリラのみの受賞だった。

一方、今年からソジュ部門が創設された。
ソジュとは韓国語で「焼酎」を表す言葉で、「TY KU バーレイ・ソジュ」のみがエントリー、トロフィー獲得はならなかったが、84点を記録した。
TY KUのオフィシャルサイトを見る限り、ソジュだけでなく「サケ(おそらく日本酒)」もつくっているようで米国の会社であると考えられるが、どういったブランドであるかなどの詳細は現在のところ不明。

UBCのF・ポール・パカルト会長は「メーカーと関係のないUSCは、決してそれぞれのブランドに迎合することはなく、真実を伝える。これはバーや販売店、そして消費者にとって信頼できるスコア、テイスティングノートを利用できるということだ。トロフィーを獲得しようと、そうでなかろうと、これらの情報がそれぞれの販売の助けとなるであろう」とコメントした。

詳細な結果については下記リンクをご参照いただきたい。
英文サイトではあるが、選考結果・スコア・銘柄の表となっているので、英語が不得手な方にも分かりやすいものだと思う。
http://www.ultimate-beverage.com/the-results/2012-spirits-results/

2012年3月14日水曜日

化粧品売場で売られるお酒——スパークリングリキュール「ヌーヴォ」、TR商品として販売開始(ザ・ムーディ・レポート)

Nuvo Sparkling Liqueurディアジオ(英)が生産するスパークリングリキュール「ヌーヴォ」(写真)がメキシコの2つの国際空港でTR(用語解説参照)向けに販売される。
そして、商品が置かれるのは免税店内の化粧品・香水売場になるという。

Diageo targets female shoppers with launch of Nuvo sparkling liqueur(ザ・ムーディ・レポート)

ヌーヴォがリリースされたのは昨年で、これまで米国内限定で販売されていた。
フランスのウオトカ(ウォッカ)とスパークリングワインをブレンドしたものに、フルーツの風味づけがなされたリキュールだ。
スペックは750ミリリットルボトル入りで、アルコール度数15パーセント。

今回、販売される空港は、メキシコシティ国際空港とカンクン国際空港にある免税店。
女性を対象とした商品であることから、前述の通り、化粧品・香水売場でのプロモーションが展開される。
「ヌーヴォのターゲットは法で定められた飲酒できる最低年齢から35歳までの女性(いわゆるF1層)。ボトルのデザインも、クラシックな香水を思い起こさせるスタイリッシュなものになっている。ディアジオは、今回の販売方法を女性消費者に訴求し、かつ、ニーズに応じることのできる重要な機会であると考えている」と関係者は語る。

【用語解説】トラベル・リテール/Travel Retail/TR

DFSのような免税店などにおいて、海外旅行客向けに商品を販売すること。
あるいは、その商品自体を指す。
<同義語>グローバル・トラベル・リテール/Global Travel Retail/GTR

2012年3月13日火曜日

トマーチンとグレングラント、同日に声明を発表するも対照的なものに(Scotsman.com)

昨日、スコッチウイスキーのトマーチン蒸留所が今後の経営計画を、同じくスコッチのグレングラント蒸留所を傘下に収めるカンパリ(イタリア)は2011年の業績を発表した。

Contrasting fortunes for two whisky distilleries(Scotsman.com)

まずトマーチンが発表したのは、香港上海銀行(HSBC)との取引を開始し、新興国を中心とした輸出拡大を目指すというものだ。
トマーチンは経営危機にあった1985年、日本の宝酒造に買収され、初めて日本企業の傘下に入ったスコッチの蒸留所として知られる。
シングルモルトの他、「アンティクワリー」と「ザ・タリスマン」という2つのブレンデッド・ウイスキーを生産しているが、今後、新興国での人気が高いシングルモルト市場に力を入れていく模様。

HSBCは英国資本の香港に本店を持つ銀行で、世界76ヶ国に展開している。
そのネットワークを通じて「成長性のある地域について、HSBCは我々の海外営業チームに対して積極的な支援をしてくれている(ロバート・アンダーソン トマーチンCEO)」と、財務面だけでなく、営業面においてもサポートしていく構えだ。
なお、直近の融資の有無や、その具体的な金額については明らかになっていない。


一方、カンパリが発表した2011年の業績は、投資家を落胆させるものとなった。
カンパリ全体の売上は12億7千万ユーロ(約1,400億円)で税引前利益は2億5,060万ユーロ(約270億円)、ともに2010年より上昇している。
しかし、グレングラント単体での業績は売上で前年比0.9パーセント増と、横ばいに留まった。
2010年の業績は、前年比8.8パーセントの売上増であったため、市場はグレングラントの業績向上に期待を持っていた。
カンパリはアペロール(リキュール)とワイルドターキー(バーボン・ウイスキー)が新興国市場で売上を伸ばすことにより、ヨーロッパ市場の成長鈍化分を補填することを期待している。

2012年3月12日月曜日

邦メーカー2社、RTD商品を国内でリリース——月桂冠はCanCamとタイアップ(WSJオリジナル記事)

世界的にRTD(用語解説参照)の新商品開発・販売が隆盛となっているが、この春、日本の2つのメーカーがRTD商品をリリースする。

月桂冠がCanCamとのタイアップで
リリースする「キレイ檸檬酒」(左)
と「キレイ桜梅酒」(右)
ひとつは、月桂冠がリリースした「CanCam×キレイ檸檬酒」と「CanCam×キレイ桜梅酒」。
小学館が発行する女性ファッション誌「CanCam」とのタイアップから生まれたもので、すでに3月5日から販売されている(8月までの期間限定販売)。

女性をターゲットにしていることから、コンセプトは「女性のキレイを応援する」ということ。
キレイ檸檬酒にはコラーゲンペプチドが1,000ミリグラム、キレイ桜梅酒にはヒアルロン酸が10ミリグラム配合されており、お酒を楽しみながら美容に必要な成分を取り入れることができる。

なお、ファッション関係の企業やブランドなどが酒類に展開した事例として、最近ではエド・ハーディがウオトカをリリースしたことが挙げられる。
ただ、RTDの形態で販売することは珍しい。


また、サッポロビールは提携するバカルディとともに「バカルディ モヒート」(写真下・左)および「バカルディ キューバ リブレ」(写真下・右)を4月25日、リリースする。
キューバ リブレのRTDは既に国外での販売実績があるが、モヒートは日本での発売が世界初となる。

2012年3月11日日曜日

イベント情報(WSJオリジナル記事&msn産経ニュース)

春を迎え、これからは出掛けることも億劫ではなくなる日々が続くだろう。
今日で東日本大震災から1年を迎えるが、楽しく明るい気分を少しでも取り戻すために、今回はお酒関連のイベント情報をお届けしようと思う。


WHISKY LIVE Tokyo 2012 & Tokyo International Bar Show
5月5日〜6日 東京ミッドタウン(東京都港区)

これまで東京ビッグサイトで開催されていたウイスキーライヴは、Tokyoインターナショナルバーショーと合体し、ミッドタウンで開催される。
また、開催日も例年は2月下旬だったが、今年はゴールデンウイークの時期となる。
(昨年までは臨海副都心がゴールの東京マラソンと同日開催となることが多く、ゆりかもめの車内はマラソン参加者の汗臭さとライヴ参加者の酒臭さが充満していたというが、今年はそんなことはなくなる、ということだ……)

まず、ウイスキーライヴについてご存知ない方のために説明すると、ウイスキーマガジン(英・パラグラフパブリッシング発行)が主催するイベントで、日本では2000年よりインポーターのウィスク・イーが開催している。
今年は東京の他、ロンドン、ニューヨーク、台北、ヨハネスブルグなど12ヶ所で行なわれる。
ウイスキーライヴの中でも特筆すべきは「マスタークラス」の存在だろう。
蒸留所関係者やブレンダーなどが講師となり、直にそのウイスキーを説明してくれるのがこのマスタークラスだ。
竹鶴や山崎・白州といったジャパニーズウイスキー、そしてベンリアック、キルホーマンなどのスコッチウイスキーはもちろん、ラムやジン、日本酒のマスタークラスも開催予定だから、様々な酒が楽しめる日となるだろう。
(なお、マスタークラスは入場券とは別にチケット購入が必要)

そして同時開催されるTokyoインターナショナルバーショーではコリン・フィールドやアレッサンドロ・パラッツィといった海外のバーテンダーや、後藤健太など海外の競技会で受賞経験を持つ日本人バーテンダーがバーテンディングを披露する。

チケットはタイトルにあるリンク先で購入可能。


長野の酒メッセin東京
5月8日 グランドプリンスホテル高輪(東京都港区)


今年も東京で酒メッセ 長野県酒造組合(msn産経ニュース)
http://sankei.jp.msn.com/region/news/120311/ngn12031102030001-n1.htm

長野県内の60の蔵元が参加するイベント。
東京での開催は今年で9回目になるという。
具体的内容はまだ判明していないので、詳細が分かり次第、再度、記事を掲載したい。


BUSHMILLS LIVE
6月20日〜21日 オールドブッシュミルズ蒸留所(北アイルランド)


こちらは海外でのイベント。
アイリッシュウイスキーのブッシュミルズは同蒸留所内で音楽イベントを主催する。
アイルランド、英国などで人気のあるアーティストが出演する他、ブッシュミルズのブレンド体験もできるようだ。

ただし、このイベントのチケットは金銭で購入することはできない。
フェイスブックの同イベントページにアクセスした上で、自分と一緒に観たい友人1名の写真、そして、なぜブッシュミルズライヴを観たいのかをアップロードする。
そして、コンペティションの上で選ばれた者がライヴに参加できるという。


WHISKY Festival 2012
東京・大阪(詳細未定)


こちらは秋頃の開催になるかと思われるが、先取りして掲載する。
ウイスキーフェスティバルはスコッチ文化研究所が主催するイベントで、酒類メーカーやインポーターが参加する。
長野の酒メッセ同様、こちらも詳細が分かり次第、あらためて掲載したい。





最後なるが——そして、本日の記事とは直接関係はないが、冒頭述べたように本日で東日本大震災から1周年を迎えた。
スピリッツ業界ではニッカ宮城峡蒸留所の一部に損傷が発生した以外は大きな被害は聞き及んでいないが、日本酒・焼酎の蔵元は今も営業を停止しているところがあると聞くし、業界内の個々人レベルでは人的・経済的被害を受けた方も多くいらっしゃると思われる。
自分自身、震度6弱の地域にいた者として、あらためて「3月11日」を心に刻みたい。

2012年3月10日土曜日

【コラム】お酒でどれくらい税金払っているか、知ってます?(WSJオリジナル記事)

酒には税金がかかる。
これは万国共通のルールだ。
もし酒税のかからない酒があったとしたら、それは密造酒であり、税制の面からだけでなく健康被害を防ぐ点からも、決して飲んではならない。

ただ、どれだけ酒税を払っているかについては、あまり意識しないことだと思う。
今回のコラムは酒税について書いてみたい。

①スピリッツの税率はアルコール1パーセント=1万円
日本で税の徴収を管轄するのは国税庁、ということで、同庁のホームページを見ると「酒税一覧表(PDF形式)」が掲載されていた。
これによると、焼酎は1キロリットルに対して最低20万円、そしてアルコール20度を超えると1度ごとに1万円が加算されていく。
ウイスキーやブランデーなども最低税額以外は同様の仕組みだ。
すなわち、スピリッツ類はアルコール1パーセント・1キロリットルに対して1万円の税率がかけられていると考えてよい。

スケールダウンして考えてみよう。
筆者が普段飲んでいるウイスキーはアルコール50.5パーセントで容量500ミリリットル(あえて商品名は伏せるが、これだけの情報があれば銘柄は判ってしまうかもしれない)。
500ミリリットルだとアルコール1パーセントに対して5円の税率となる。
小数点の処理はどうすれば良いのか分からないが、とりあえず切り捨ててアルコール度数は「50」として考えると、このウイスキーにかかる税は250円、ということになる。
筆者はこのウイスキーを、ホームセンターの安売りで880円で購入しているから、税の占める割合は28パーセントだ。

また、筆者はこれを3日に1本の割合で飲んでいるから、年間121本買っている計算になる。
250円×121本=30,250円……年間3万円の税金を、ウイスキーを通して支払っている。
もちろん、他に飲む酒もあるわけだから、実際にはこれ以上の税金を払っているのだろう。

②「ビールは税金を飲んでいる」は本当か?
標題の言葉は、発泡酒がまだ存在しなかった筆者の幼い頃から聞く言葉だ。
価格に対して税の占める割合が高い、というのがその意味なのは言うまでもないが、ではこの言葉は本当なのだろうか?

(クリックすると拡大)
ビールの場合、度数などとは無関係に1キロリットルあたり22万円の税がかかる。
これを大びんのサイズ633ミリリットルに合わせて考えると、酒税は139円。
コンビニエンスストアでの代表的な大びんの価格は345円だから、45.1パーセントは税金、すなわち価格の半分近い額が税なのだ。

右は上記の内容を図で表したもので、ビール酒造組合が公表しているもの。
そして、図の上の方に書いてある通り、酒税の乗った状態の価格に消費税5パーセントが掛けられる。
これは、スピリッツでも同様のことだ。

ビールの半分は税金——だから「ビールは税金を飲んでいる」という言葉は真実といっても良いものだと思う。

2012年3月9日金曜日

米国のウオトカ「ファジーズ」、インディカーレースのオフィシャル・ウオトカに(パドック・トーク)

FUZZYS ULTRA PREMIUM VODKA 750米国のウオトカブランド「ファジーズ・ウルトラ・プレミアム・ウオトカ」(写真)は、インディカーシリーズの一戦、「2012トヨタグランプリ・オブ・ロングビーチ」のオフィシャル・ウオトカ(ウォッカ)となることが発表された。

Fuzzy's Vodka Named Official Vodka Of 2012 Toyota Grand Prix Of Long Beach(パドック・トーク)

ファジーズはマスターズ、全米オープン優勝経験を持つプロゴルファー、ファジー・ゼラー氏が立ち上げたウオトカブランド。
原料はコーンとグレーンで、5回の蒸留と10回のフィルタリングを繰り返した上でつくられるウオトカだ。
米国の飲料調査会社、ビバレッジ・テスティング・インスティテュートから二度、金賞を授与されるなど、ゼラー氏の実績に恥じない評価を受けている。

そしてインディカ—シリーズとは、米国を中心に開催されるフォーミュラカーレースの最高峰で、なかでもインディ500は世界三大レースのひとつに数えられている。
ロングビーチでのラウンドも、市街地コースが利用されることから人気の高いレースのひとつだ。
また、ファジーズは同シリーズに参戦するエド・カーペンター・レーシングをスポンサードしており、ロングビーチの他にもインディ500と提携関係を持つ。

今回、オフィシャル・ウオトカとなったことにより、ロングビーチのスポーツバーで関連イベントを開催し、また、ファジーズが提供するグリッドガールが大会を華やかに盛り上げる。
決勝レースは4月15日に行なわれる予定。

2012年3月8日木曜日

グランツ、「12年」をリニューアル——シドニーでキックオフイベント開催(ザ・シャウト)

ウィリアム・グラント&サンズ(英)は、ブレンデッド・ウイスキー「グランツ12年」をリニューアルした。
プロモーション活動の一環としてオーストラリア・シドニー市内の「アイヴィ・ペントハウス・バー」では、キックオフイベントが開催された。

Aged release heralds Grant's premium push(ザ・シャウト)

このイベントにはネイサン・フィッシャー マーケティング・マネージャー、ルード・デュクロ グローバル・ブランド・アンバサダーも出席。
デュクロ氏は「新しい12年はアメリカンオーク樽を使用した、唯一のブレンデッド・ウイスキーだ。そして我々は、自立運営も可能な5つの蒸留所を持ち、それぞれの蒸留所間で250万もの樽を交換しあっている。その中の15〜20種類のウイスキーをブレンドして12年はつくられた」と12年の成り立ちについて述べた。
またフィッシャー氏は「今年の末には、25年をリニューアルするかもしれない」と展望を語っている。

日本ではグランツの正規輸入元が存在しないため(ただし、以前はメルシャンが行なっていた)明確な輸入時期は不透明だが、並行輸入業者、酒販店が独自輸入の上、流通する可能性はある。

2012年3月7日水曜日

アイラ島で群発地震(キャンベルタウンクーリエ)

6日午後12時26分頃(現地時間、日本時間午後9時26分)、英スコットランド・アイラ島で地震が発生、マグニチュード1.4と規模は大きくないものの、震源の深さは9キロメートルであった。
同島では2月から地震が続いており、これ以前にも10回の地震が発生している。

Islay feels the earth move -10 times in a month(キャンベルタウンクーリエ)

英国地質調査所が公表した、一連の群発
地震で揺れを感じた場所の地図。
(クリックすると拡大)
アイラ島はスコッチ・シングルモルトの産地として知られている。

今のところ、2月29日9時14分頃に発生したマグニチュード2.8の地震が最大規模で、大きな被害は報告されていない。
しかし、地震慣れしている日本人とは異なり、アイラ島の人々は地震に怯えているようだ。
住民の一人は「家の屋根が揺れた。まるで、大きなトラックに乗っているような揺れだった」と2月に発生した地震を振り返った。

英国地質調査所は、一連の群発地震によりオフィシャルサイト内に特設ページを開設した。
同所の発表によると、アイラ島周辺は比較的、地殻変動の小さい地域で、大きい地震でも1998年にジュラ島でマグニチュード3.4の地震が発生した程度。
今回もこれ以上の規模の地震が発生する可能性は低いと見ている。





日本では東日本大震災から間もなく1年を迎える。
この時期にアイラ島から地震のニュースが飛び込んできたことに、大きな驚きを感じた。
地質調査所の発表通り、これ以上、大きな被害が出ないことを祈るのみだ。

2012年3月6日火曜日

アイスランドの大地に育まれたウオトカ「レイカ」(ピュアスーティスト)

アイスランドと聞いて、日本人はどのようなイメージを持つだろうか。
国名から「なんとなく寒そうな国」と思う人がいるかもしれない。
あるいは先日、サッカー日本代表がアイスランド代表と親善試合を行なった際の、ソルステインソン選手の「ハンドスプリングスロー」が印象に残ったという人もいるだろう。

2010年には火山が噴火したことで、ヨーロッパの航空路が麻痺したことも記憶に新しい。
アイスランドは火山やそれに伴って存在する温泉が多いという点は、日本と似ているところだ。
同国で生み出されるウオトカ(ウォッカ)「レイカ」(写真)は、そうした環境の下で生み出されたスピリッツだ。

REYKA VODKA FROM ICELAND(ピュアスーティスト)

アイスランドは前述の通り火山が多いことから、地熱発電の盛んな国だ。
レイカを生産する際に使われる電気も、地熱発電によるもの。
また、仕込水は近隣の温泉水が利用されており、フィルタリングにはラヴァ・ロックスという溶岩が使われるという。
そして、世界的にも珍しいカーターヘッドスティルという蒸留機からつくられている。
(以下、未確認情報だが、カーターヘッドスティルを利用しているのは他にジンのボンベイ・サファイア、ビーフィーター、そしてヘンドリックスのみだと思われる。ボンベイ・サファイアはカーターヘッドスティルを「世界で4機しか存在しない」と宣伝していることから、ウオトカで利用しているのはレイカのみ、ということになる)

アルコール40度、750ミリリットルのこのウオトカは25ドル(約2,000円)。
なかなか見つけることは難しいが、昨年の国際ワイン&スピリッツコンペティション(IWSC)ウオトカ部門で金賞を獲得しているから、決して価値の低いウオトカではないだろう。

2012年3月5日月曜日

ベンリアック、他社蒸留所買収の意向を表明——自社製ブレンデッドの販売を視野(Scotsman.com)

ベンリアック蒸留所は、ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)より2,700万ポンド(約35億円)を資金調達、新たに蒸留所を買収する意向だ。

BenRiach chief toasts £27m bank deal that will support expansion(Scotsman.com)

ベンリアックは以前、シーバスの傘下にあったが、2004年に現業務執行取締役のビリー・ウォーカー氏(写真)らが買収、独立系蒸留所となった。
2008年には、そのシーバスを傘下に収めるペルノ・リカールから、グレンドロナックも買収している。

これまで、ベンリアックの主要取引行はクライズデール銀行であった。
その状況下にあった2010年、シーバスよりエジンバラ郊外のボトリング工場を1,600万ポンド(約20億5千万円)で購入。
しかし、この投資が収益を圧迫し、同年の税引前利益が前年から50万ポンド(約6,400万円)減、クライズデール銀行に対しては2,050万ポンド(約26億円)、借越の状態となっている。
「クライズデール銀行は決して悪い銀行ではなかった。しかし、RBSは3年間のアセット・ファイナンス・ファシリティ(経営状態に合わせて不動産・設備投資を最適化していく管理手法)を提案してくれた。これが我々の将来の展望を明るくしてくれた」とウォーカー取締役は取引行変更について語っている。
また、RBSのエディ・リントール業務執行取締役は「在庫状態に合わせた資金調達を提案していく。フルバンキング体制でベンリアックのグローバルビジネスをサポートできることを嬉しく思う」とコメントしており、経営全般へのコンサルティングを行なうものと見られる。

ベンリアックは今回の資金調達による買収を基に、自社製ブレンデッド・ウイスキーのリリースを目指す。
現時点で、具体的な買収先候補は明らかとなっていない。

2012年3月4日日曜日

Gorillazのデザイナーがウオトカボトルをプロデュース——アブソリュート・ロンドン(HAUTE LIVING.com他)

ABSOLUT LONDONボトルスウェーデンのウオトカ(ウォッカ)ブランド、アブソリュートは1日、限定ボトル「アブソリュート・ロンドン」(写真)をリリースした。

Limited Edition Absolut Vodka London Bottle(HAUTE LIVING.com)
アブソリュート “タンクガール” ウォッカ(ガジェット通信GIGAMEN)

ボトルにはセントポール寺院やビッグベンなどロンドンのランドマークが描かれている他、セックスピストルズを彷彿とさせるパンクスタイルの男、フーリガンなど、ロンドンのカルチャーを7人の人間に投影することで表現されている。
これをデザインしたのは漫画「タンクガール」や二次元バンド「Gorillaz」のデザインで知られるジェイミー・ヒューレット氏。
ヒューレット氏は「ロンドンは年を追う毎に私にインスピレーションを与えてくれる街で、魅力的かつ豊かな歴史を持っている。アブソリュート・ロンドンでは、その歴史が織りなすそれぞれの時代を、7人の特徴的なキャラクターで表現した」とコメントしている。

現在アブソリュート・ロンドンが販売されているのは百貨店セルフリッジズや同ハーヴェイ・ニコルズのみだが、4月には一般流通する予定。

2012年3月3日土曜日

グレンフィディック21年がリニューアル(オフ・ライセンス・ニュース)

グレンフィディック蒸留所は「グレンフィディック21年」をリニューアルした。

New look and launch for Glenfiddich(オフ・ライセンス・ニュース)

まず、パッケージについては、これまで濃い紫色を基調としたラベルだったが、写真を見る限り焦茶色のラベルに変わった。
また、WSJは外箱の写真を入手できていないが、オフ・ライセンス・ニュースによればブルゴーニュをテーマとした複雑な模様となっているという。
そしてギフトボックスにはウイスキー文化についての小冊子が添付される。

中身のモルト・ウイスキーについて、ブライアン・キンズマン モルトマスターは次のように語っている。
「このプレミアム・ウイスキーはアメリカン・オーク樽で21年熟成させた後、ラム樽に移して4ヶ月、寝かせた。それがイチジクやバニラ、甘いナッツのフレーバーを生み出している。ウイスキーを味わえる一品に仕上がった」
なお、ラベルにはキンズマン・モルトマスターの署名が印字される。

2012年3月2日金曜日

タイムカプセルはスコッチ・ウイスキー・エクスペリエンスに埋められる——1950年代の遺物も発見(scotsman.com)

先日、スコッチ・ウイスキー・エクスペリエンスの営業マンが出演しているCMが話題となっていることをお伝えした。
同社はウイスキーの博物館、テーマパークのようなところで、併設されたショップでウイスキーを購入することもできる。
現在、ショップは改装工事中で19日にリニューアルオープンする予定。
そして、その工事中に1950年代の遺物が発見されたという。

Whisky shop finds inspire Edinburgh 2012 time capsule(scotsman.com)

見つかったのは、6つのタバコの箱と、3つのマッチ箱、2つのインク瓶、そしてベーキングパウダーを入れる缶。
張り替えのために古い床板を剥がしたところ発見された。
スーザン・モリソン ゼネラル・マネージャーは「この建物は元々、共同住宅、小学校を経て大学として使われていた。ものの時代や発見された場所を考えると、小学校から大学へと改装する際に工事を請け負った業者が、残したものではないか」と推測している。

今回発見されたものは、ショップのディスプレイに飾られることが検討されている。
同時に、スタッフはこの出来事に興奮しており、2012年のものをタイムカプセルとして封印することも計画しているようだ。
現在の計画では、タイムカプセルは木箱で、同社のプロモーション用リーフレットと有名ブランドの1〜2本のミニチュアボトル入りウイスキーを詰め、ショップの壁につくられた空洞に収められる。
ジュリー・トレビザン・ハンター マーケティング・マネージャーはカプセルの開封時期について「少なくとも25年後」と見通しを話した。

2012年3月1日木曜日

ディアジオとウェルシュ・ウイスキー・カンパニーが役員人事を実施(WSJオリジナル記事&ザ・グローサー)

ディアジオ(英)は、イヴァン・メネゼス氏をCOOに任命したと発表した。
メネゼス氏は2月まで、北米、ラテンアメリカ、そしてアジア太平洋地域の責任者を務めていた。
新興国地域の経験があるメネゼス氏を起用することで、販売拡大を睨んだものと考えられる。
同氏は「喜びと光栄を感じる。取締役会のメンバーとともに多くの成功を手にすることを楽しみにしている」とコメントした。

また、英・農業界誌の「ザ・グローサー」はペンダーリン蒸留所を所有する、ウェルシュ・ウイスキー・カンパニーの取締役会長にニール・バーチェル氏が就任すると報道している。

Welsh whisky maker Penderyn names Burchell as chair(ザ・グローサー)
ペンダーリンは現在、唯一のウェルシュ・ウイスキー(ウェールズ産ウイスキー)蒸留所で、2000年より操業を開始している。
そして、バーチェル氏はチーズメーカーであるフューテュラ・フーズの取締役を務めた人物。