2013年12月16日月曜日

ハワイで芋焼酎の生産がスタート――鹿児島で修行した日本人がつくる「波花」(ホノルルマガジン他)

 近年のクールジャパン政策では、「國酒プロジェクト」として日本酒・焼酎の海外輸出が進められている。一方、日本を飛び出し、あるいは日本人以外の人が、海外で日本酒・焼酎をつくる動きもある。

 米・ハワイ州ハレイワで芋焼酎「波花」をつくる平田憲氏もその1人だ。ハワイの温暖な気候とそこでつくられるサツマイモで焼酎がつくれるのではないかと着目し、万膳酒造(鹿児島)で3年間修行。そこで学んだ生産プロセスを元に、ハワイ産のサツマイモを使い日本の伝統的製法で発酵、蒸留する。また、6ヶ月の熟成期間を経た後に、ボトリングを行うという。

 元記事のホノルルマガジンによると、米国内に焼酎生産者は2つしかなく、平田氏はその1人だ。現在は、ボトルにして年間5000本の生産能力で、同じオアフ島内の「モアナサーフライダー」や「ハイアット・ワイキキ」といったホテルにも卸している。将来的にはサツマイモだけでなく、ほかのハワイ産果物・穀物を原料にした焼酎の蒸留も目指す。

Hawaiian Shochu Co.: In Haleiwa, Making Shochu out of Sweet Potatoes(ホノルルマガジン) ハワイの空の下、夫婦で造り上げた珠玉の芋焼酎「波花」(ハワイの歩き方)


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2013年10月2日水曜日

英でジン「ザ・キング・オブ・ソーホー」リリース――ポルノ産業の王者モチーフに(ドリンクスビジネス)

 英ロンドンの酒造企業テムズディスティラーズとウエストエンドドリンクスは今週、ジン「ザ・キング・オブ・ソーホー・ロンドンドライジン」(写真)をリリースする。ポルノ産業で成功し、ロンドン・ソーホー地区の「男爵」「王」と評されたポール・レイモンドを称えるもの。ウエストエンドドリンクスの代表でレイモンドの息子であるハワード氏によって発案されたという。

GIN LAUNCHED TO HONOUR SOHO PORN BARON(ドリンクスビジネス)

 ポール・レイモンドは英国初のストリップクラブを1958年に開業。以後、「メンズオンリー」「エスコート」などのポルノ雑誌を創刊し、また、それらの収益を元にロンドンの歓楽街であるソーホー地区の不動産取得を進めたことから「キング・オブ・ソーホー」とも呼ばれた。1992年時の保有資産は15億ポンド(約3345億円/当時レート)にも上ったが、2008年に死去。今年4月には「ザ・ルック・オブ・ラブ」というタイトルで、半生が映画化されている。なお、レイモンドの事業は1990年代初頭の引退時に娘であるデビーへと引き継がれたが、薬物の過剰摂取により父を残して先立っている。現在は孫が保有しており、エリザベス2世女王の資産総額を上回るものだという(ソース)。

 今回リリースされるジンは、ジュニパーなど12種の植物を使用。2つの小さなポットスティルで蒸留し、アルコール42%でボトリングする。

 なおボトルには赤いジャケットとハットを纏った男が描かれるが、元記事のドリンクスビジネスはアーティスト、セバスチャン・ホーズリーをモデルにしたものではないかという見立てを記事の中で示している。ホーズリーもソーホーを拠点に芸術活動を行ない、そして同じ地で亡くなったことから、レイモンドと同じく「キング・オブ・ソーホー」と呼ばれた。

 前出のハワード・レイモンド氏は「1960年代に父がつくった劇場やパーティー、そして、ちびりちびりとジンを飲む父の姿を思い出す」とコメントした。

 同商品は当面、英国内全域で販売される。


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2013年10月1日火曜日

キルホーマン、「リミテッド・エディション2007」をリリース――これまでで最長の熟成年数(リテールタイムズ)

 スコッチ・ウイスキーのキルホーマン蒸留所は、シングルモルト「キルホーマン・リミテッドエディション2007」を10,000本限定でリリースすると発表した。6年熟成で、これまで発売した商品の中では最も長いエイジングとなる。

 同蒸留所は2005年にオープンし、今年で創業9年目。まだ歴史が浅いことから、中核的商品「マキヤーベイ」(インターナショナル・ワイン&スピリッツ・コンペティション2012金賞)でも4〜5年の熟成期間となっている。アンソニー・ウィルズ・マネージングディレクターは蒸留所の経緯を踏まえ「長い間、待ち望んでいた商品で、エキサイティングな商品開発だった。我々は若い蒸留所ではあるが、6年のヴィンテージは以前のウイスキーより成熟したレベルのもの。多くのキルホーマン・ファンがシェアしてくれるものになったと思う」とコメントした。

 蒸留所の発表では全世界的に流通させ、7日にリリース。アルコール46%、内容量700ミリリットルで、希望小売価格は52.99ポンド(約8,400円)。

Independent distillery, Kilchoman, releases its oldest whisky to date – 2007 vintage(リテールタイムズ/商品画像あり)


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2013年6月22日土曜日

英政府系機関・メーカーなど、ジュニパー減少に危機感――ジンの原料(スピリッツビジネス)

 本サイトで2月14日、ベリーブラザーズ&ラッド(英)のジン・ブランド「No.3」がジンの原料であるジュニパーの保護支援を始めたことを伝えた。ジュニパーの疫病菌(Phytophthora austrocedrae)感染は、欧米で深刻に受け止められている模様で、今週半ば頃から複数のメディアが取り上げ始め、21日には放送局ABC(米)、BBC(英)も関連記事等をオフィシャルサイトに掲載した。

JUNIPER DISEASE THREATENS GIN PRODUCTION(スピリッツビジネス)
http://www.thespiritsbusiness.com/2013/06/juniper-disease-threatens-gin-production/

 ジュニパーは和名でセイヨウネズといい、北緯30度より高緯度に生息する低木。実であるジュニパーベリーが、ジンの原料として利用される。ジンの生産が盛んな英国に自生していたものは、この数十年で7割減少したといい、環境保護団体プラントライフのティム・ウィルキンズ種族回復コーディネーターによると「イングランドのローランド地方では今後50年で、絶滅の危機に瀕する」という。

 ジュニパーベリーを多用する高級・愛好家向けのジン生産にも、既に影響を与え始めている。ブルイックラディ蒸留所が生産するジン「ボタニスト」は、30種の原料のうち20種以上を蒸留所が立地するアイラ島産のものを採用することが売りだ。しかし、同蒸留所のカール・レヴィー氏はメール紙の取材に「アイラ島にはごく少数のジュニパーしか残っていない。我々が使用するものは、ほとんどがイタリア産だ」と実情を明かす。

 ジュニパー保存へ向け、英環境・食糧・農漁村地域省は減少状況の調査を行なうと発表。前述のプラントライフも、英国森林委員会、スコティッシュナショナルヘリテージ(スコットランド政府機関)とともに、住民の協力とインターネットを活用したジュニパー自生状況の観測を開始する。

 状況が悪化すれば、英国だけでなくヨーロッパ大陸にも疫病菌が広がることも懸念されている。ジンを未来に亘って楽しむためには、政府や企業などの民間団体、そしてドリンカーを含めた市民たちの協力が必要になりそうだ。


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2013年6月21日金曜日

中国、メキシコからのテキーラ輸入を緩和へ――貿易不均衡の解消図る(NWI他)

MEXICO-CHINA-JOINT STATEMENT
メキシコで行なわれた首脳会談での習・
中国国家主席とペニャ・ニエト・メキシ
コ大統領
 中国当局は19日、現状で規制下においているテキーラの輸入を緩和する方針を示した。これを受け、訪中していたエンリケ・マルティネス・メキシコ農務長官は「我々が成功へ向け進むと確信している」とコメントし、米国向けと比較して0.2%程度に留まっている中国向けテキーラ輸出を拡大することに、自信を見せた。

Mexico tequila market in China: drunk with promise(NWI)
Mexican food exports to China to reach 1 bln USD: minister(中華網・英語版)
http://www.china.org.cn/world/Off_the_Wire/2013-06/19/content_29168030.htm


 今回の決定は、今月初めに米州諸国を歴訪した習近平中国国家主席と、エンリケ・ペニャ・ニエト・メキシコ大統領との間で合意に至った、経済連携強化の方針によるもの。現在、両国間の貿易は、中国からメキシコへの物流が10に対して、メキシコから中国へは1と、不均衡状態になっている(ソース=NWIの記事)。中国にとっては現状を変革させることでメキシコ側から不満が起こることを避け、あるいは対中不信を解消する狙いがあるものと見られる。テキーラの他、豚肉やフルーツなどのメキシコ産食品を輸出し、メキシコ政府としては今後1年〜1年半で最低でも10億ドル(約970億円)まで対中輸出額を拡大したい考えだ。

 現在、テキーラの最大輸出先は米国で、1億6570万リットルと輸出量全体の8割を占める。一方、中国向けは41万250リットルに留まっており、新正月の贈答品、高級嗜好品として既に中国国内で一定の人気を得ているスコッチ・ウイスキーやコニャックに遅れをとった格好となっている。「我々は現地で人を雇用し、関税や食文化などの調査を行なう。その上で、どのように飲んでもらえれば良いのかを検討する(テキーラ・ブランド『パトロン』デーヴィッド・ロドリゲス・プロダクションディレクター)」と、生産者側も本腰を入れる構えだ。

 ただ、中国政府・共産党は国内経済について、輸出と海外からの投資に依存したこれまでの状況から、内需拡大による自立した経済体制への転換を目論む。米市場調査企業フロスト&サリバンのクリストファー・シャナハン氏は以下のコメントを、AP通信に寄せている。
「メキシコのテキーラ生産者は、中国への参入当初には物珍しさから一定の需要を得ることだろう。しかし、(長期的に見ると)国内生産を海外の競争から保護しようとする中国の政策とぶつかることがあるかもしれない」

 メキシコは昨年、政権交代が行なわれており、前政権でもテキーラの貿易について中国政府と合意に至りつつあったが、フェリペ・カルデロン前大統領が親チベット的姿勢を見せたため、破談となった経緯がある。


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2013年6月19日水曜日

世界で最もジンを飲むのはフィリピン人――IWSRがスピリッツ消費動向を発表(ラプラー)

 酒類業界の市場調査を行なう企業、インターナショナル・ワイン&スピリッツ・リサーチ(IWSR、英)は、世界のスピリッツ消費動向を発表した。スピリッツ各種の消費量も公表されているが、意外にも、ジンの一人当たり消費量が最も多い国はフィリピンだという。

Filipinos are world's biggest gin drinkers(ラプラー)
http://www.rappler.com/business/industries/176-food-and-beverage/31582-filipinos-are-biggest-gin-drinkers

 発表によると、フィリピンのジン一人当たり年間消費量は1.4リットル。ジンと縁の深いオランダ、英国はそれぞれ0.8リットル、0.4リットルで、フィリピンに次ぐ消費量を誇るスロバキアは1.2リットルだった。

 ただ、フィリピンで消費されるのは「ビーフィーター」や「タンカレー」などといったグローバル・ブランドではなく、ローカル・ブランドが多いという。たとえば、1834年に販売開始という歴史を持つ同国のジン「ジュネルヴァサンミゲル」は昨年、2380万ケースを出荷した。元記事には明記されていないが一般的な1ケース=9リットルで換算すると、2億1420万リットルを出荷したことになる。今回、IWSRは世界全体のジン消費量が4億4000万リットルと発表しており、出荷量と消費量の違いを考慮する必要があるとはいえ、世界シェアの半分近くをジュネルヴァサンミゲルによって占められていると考えることもできる。

 またフィリピンは、ラムの一人当たり消費量も1.4リットルで、世界3位となっている。首位のキューバが4.9リットル、2位のドミニカ共和国が3.3リットルと中米国が突出して高く、一方で4位以下は全て年間1リットル未満の消費量だった。

 なお、スピリッツ全体の世界年間消費量は74億4000万リットルで、このうち44億4000万リットルをウオトカ(ウォッカ)が占める。さらに、その半数近い約20億リットルがロシアにおいて消費されているという。


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2013年6月18日火曜日

バーボン「エヴァンウィリアムズ」、ボトルデザインを変更へ(スピリッツビジネス)

 米酒造ヘヴンヒルディスティラリーズは12日、バーボン・ウイスキー「エヴァンウィリアムズ・ブラックラベル」などのボトルデザインを変更すると発表した。大きな変更点として、これまでネック部に「サワーマッシュ」と書かれたシールが貼られていたが、今後は創業者エヴァン・ウィリアムズのサインをエンボス加工したデザイン(写真)となる。詳細な変更時期については明らかにされていない。

 同社のスーザン・ワール・シニアブランドマネージャーによると「(ブラックラベルは)750ミリリットル、1リットル、1.75リットルの各ボトルを変更する」といい、ほかに「ボトルインボンド(ホワイトラベル)」などもデザイン変更の対象となる。一方、高価格帯商品である「シングルバレルヴィンテージ」、「1783スモールバッジバーボン」は現行のデザインを継続する。

 なお同ブランドは今秋、旅行者向け施設である「エヴァンウィリアムズ・バーボン・エクスペリエンス」をオープンする予定。

EVAN WILLIAMS BOURBON REFRESHES PACKAGING(スピリッツビジネス)


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2013年6月17日月曜日

スコットランド・パース郊外にストラサーン蒸留所オープン(クーリエ)

 英スコットランドにまたも新たな蒸留所が誕生する。名をストラサーン蒸留所といい、パース市郊外のバチルトン農場につくられるもの。モルト・ウイスキー、ジンを蒸留し、将来的にはエールの醸造も検討する。来月中旬の正式稼働を目指す。

New Perthshire whisky distillery to show plenty of spirit(クーリエ)
http://www.thecourier.co.uk/news/local/perth-kinross/new-perthshire-whisky-distillery-to-show-plenty-of-spirit-1.102434

 創業したのはトニー・リーマン−クラーク氏、デーヴィッド・ラング氏、デーヴィッド・ワイト氏の三名。元記事によるとスコットランドで最小規模の蒸留所となるが、ウイスキーづくりを体験できるワークショップ開講が蒸留所の目玉だ。ワークショップはおよそ一週間をかけるもので、原材料である大麦をバチルトン農場から摘み、発酵、蒸留、そして樽詰めまでを行なう。

 今のところ同国内の個人経営小売店を中心に商品を流通させる意向だが、樽の販売も行なう模様。ワークショップ受講、樽購入の問い合わせは蒸留所のメールアドレス、TEL (国際電話会社番号+)010-44-1738-840100まで。


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2013年5月10日金曜日

カリコム、米国と「友好的解決」図る姿勢――ラム助成金問題で(カリビアン360)

 カリコム(カリブ共同体)通商経済開発委員会はラム助成金問題(用語解説)について、米国との間で友好的解決を図っていく方針を示した。2日〜3日、ガイアナ共和国ジョージタウン市内のホテルで開催された第36回委員会で、各国代表者が合意したもの。

 委員会終了後、カリコムは以下の声明を発表した。
「USVI(米領ヴァージン諸島)とプエルトリコのラム生産者が恩恵を受け、また交易を歪めている助成金という制度に対して、満足できる解決がなされるよう、毅然として対応していく。(委員会に出席した各国の)閣僚たちは、米国やその他関係機関との深刻な問題に、あらゆる解決策を探るということで合意した」

 今年初めにはカリコム加盟国であるバルバドスのフローンデル・スチュアート首相が、米当局と協議する意向を言明している。今後、カリコム側の出方を占う上で加盟各国首脳の発言が注目されそうだ。

Caribbean calls for 'amicable solution' in rum dispute with US producers(カリビアン360)
http://www.caribbean360.com/index.php/news/guyana_news/683956.html


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2013年5月9日木曜日

ディアジオのウォルシュCEO、勇退へ――後任はメネセスCOO(ブルームバーグ他)

 酒造大手ディアジオ(英)は7日、ポール・ウォルシュCEOが6月末をもって退任すると発表した。後任にはイヴァン・メネセスCOO(写真)が昇進する。ウォルシュCEOは9月には取締役からも離任するが、来年6月までは引き継ぎのため同社に留まる。

Diageo CEO Walsh Hands Over to Menezes After 13 Years at Top(ブルームバーグ)
Paul Walsh to step down as Diageo chief executive(スコッツマン)
http://www.scotsman.com/business/food-drink-and-agriculture/paul-walsh-to-step-down-as-diageo-chief-executive-1-2921681

 ウォルシュCEOは1982年、同社の前身であるグランドメトロポリタンに入社。1986年にファイナンスディレクター(財務責任者)となり、ギネスとの合併によってディアジオが発足した後の2000年、CEOに就任した。同職在任中は2001年にペルノリカール(仏)と共同でシーグラム(カナダ)酒造部門を買収する実績を挙げた一方、テキーラ・カテゴリーで世界首位のシェアを持つ「ホセクエルボ」(メキシコ)については、創業家との買収交渉が決裂に終わるということもあった。なおウォルシュCEOは昨秋、総額1270万ポンド(約20億円)に上る同社株式を売却したが、現時点でも1500万ポンド(約23億円)相当の株式を保有しているという。

 昇進が決まったメネセスCOOは北米等の責任者を務めた後、昨年3月、COOに就任。カシャーサ「イピオカ」(ブラジル)や白酒「水井坊」(スイジンファン、中国)といったローカル・ブランドをポートフォリオに収めるにあたり、中心的役割を果たした。投資家、メディアの間では、就任直後からウォルシュCEOの後継になるのではないかと目されていた。

 メネセスCOOはブルームバーグの電話インタビューに「会社を形づくったポールのそばで仕事ができたことは、私にとって幸運だった。我々の戦略はクリアで、決して複雑ではない。既存の戦略を継続していく」とコメントした。毎年6%ずつの売上拡大という現在掲げている目標を達成することが、新CEOの当面の仕事になりそうだ。


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2013年5月4日土曜日

SSポリティシャン号のウイスキー、オークションサイトに出品――映画「ウイスキーガロア」の題材(スピリッツビジネス)

 映画「ウイスキーガロア」に登場する商船SSポリティシャン号の積荷であったウイスキーが、オークションサイト「スコッチ・ウイスキー・オークションズ」に出品される。2本1組で、始値は3200ポンド(約49万円)。

WHISKY GALORE BOTTLES UP FOR AUCTION(スピリッツビジネス)
http://www.thespiritsbusiness.com/2013/04/whisky-galore-bottles-up-for-auction/

 SSポリティシャン号は第二次世界大戦時に稼働していた英国の商船だが、1941年2月、スコットランド・ヘブリディーズ諸島のひとつであるエリスケイ島で座礁。戦時のため酒に飢えていた島民が積荷であった大量のウイスキーを盗み、発覚後は逮捕者も出した。もっとも、当地ではこの出来事を喜劇的に捉えられており、前述の通り映画化もされている。

 今回出品されたボトルは1987年にドナルド・マクフィー氏というサウスウイスト島(エリスケイ島と同じくヘブリディーズ諸島に位置する)の住民が海底から引き上げたもの。マクフィー氏は全部で8本のボトルを引き上げていたが、そのうちの2本をオークションハウス「クリスティーズ」に出品し、4000ポンド(約62万円、現行レート)を得ていた。しかし最近になって買い手が亡くなり、親族が遺品である当該ボトルをあらためて同サイトに出品する運びとなった。

 同サイトのビル・マッキントッシュ・ディレクターは「島民が海に飛び込み、船底からウイスキーを盗み出すという狡猾なアイディアを、皆が愛している。今回出品されるものは本物で、クリスティーズに出されたものと同じだ」とコメントした。

 オークションは4日〜5日に行なわれる。


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2013年4月17日水曜日

アルメニア政府、コニャックの名称使用許可をEUに要請へ(RAPSI)

 アルメニア政府は16日、欧州連合(EU)との間で進めている自由貿易圏交渉において、アルメニア産ブランデーに「コニャック」の名称使用許可を与えるよう要請すると明らかにした。アルメニア経済省のガレジン・メルコニャン(Garegin Melkonyan)副大臣が、同国の首都エレバンで行なわれる5回目の交渉前に語ったことによるもの。

 コニャックは仏コニャック地域で生産するブランデーで、1909年に公布されたAOC(アペラシオン・ドリジーヌ・コントロレ)関連法令により名称の使用基準が定められている。アルメニアの通信社、ノーボスチ・アルメニアはこうした背景からコニャックという名称を得るのは不可能と報道。一方、元記事のRAPSIによれば「カリフォルニア・コニャック」「ギリシャ・コニャック」といった、生産地の名を冠した上での便宜的な使用例も存在するという。なおアルメニアは2012年、1848万リットルのコニャックを生産しており、前年比20.2%増という数字だ。

 メルコニャン副大臣は「『コニャック』という言葉は、原産地を指定した上で、EUが登録している。しかし、コニャックはアルメニア国民の大多数が愛飲し、我が国においても長い歴史があることを、ヨーロッパのパートナーたちに説明する」とコメントした。

Armenia seeks EU permission to label brandy as cognac(RAPSI)


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2013年4月6日土曜日

ディアジオ、ティーニニック近郊に新モルト蒸留所建設――建設費75億円、年間生産能力1300万リットル(スコッツマン)

 英酒造大手ディアジオは3日、スコットランド・ハイランド地方のティーニニック近郊にモルト・ウイスキー蒸留所を建設すると発表した。現行のティーニニック蒸留所とは別のもので、新たな蒸留所となる。

Diageo rolls out plans for new malt distillery(スコッツマン)
http://www.scotsman.com/lifestyle/heritage/diageo-rolls-out-plans-for-new-malt-distillery-1-2874271

 同社は昨年6月、10億ポンド(約1500億円)を投資し生産体制を増強していく計画を発表。計画の中には、新規に蒸留所を設置することも含まれていた。建設に5000万ポンド(約75億円)を投じ、16基のスティルによって年間1300万リットルを生産する。他の蒸留所の生産能力を挙げると、グレンリヴェット=1050万リットル/年、グレンフィディック=1000万リットル/年、マッカラン=900万リットル/年(いずれもディアジオ発表による)と、新蒸留所の生産能力は抜きん出ている。こうした事実から同社は、新蒸留所を「スーパーディスティラリー」と位置付けるという。

 同社内では増産計画発表以後、複数のスーパーディスティラリー建設案を検討していた。今回の新蒸留所建設の他に、現時点で稼働しているグレンダラン蒸留所、インチガワー蒸留所を「スーパーディスティラリー化」するという案もあったが、「ロジスティクス面から要求される種々の問題を複合的に検討した結果、ティーニニック案が浮かび上がった(ブライアン・ヒグス・モルトディスティリングディレクター)」という。なお、グレンダラン、インチガワーの今後の運用については、引き続き検討する。

 今後、ハイランド議会の承認を得た後、来年にも建設を開始する意向。竣工・稼働後は、20人の雇用創出を見込んでいる。


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2013年4月5日金曜日

USC最高評価のウオトカ「タホブルー」(タホデイリートリビューン)

 先日、米コンペティション「アルティメットスピリッツチャレンジ(USC)」の結果をお伝えしたが、アンフレーバード・ウオトカ(ウォッカ)部門でファイナリストとなった商品に「アメリカンハーベストオーガニック・スピリットウオトカ」というものがある。かつて「グレイグース」を商品開発した会社によってつくられたウオトカだが、最終結果は93点で、最高賞であるチェアマンズプライズにはあと一歩、届かなかった。このアメリカンハーベストオーガニックを上回る94点を獲得し、チェアマンズプライズに輝いたのが「タホブルー・ウオトカ」だ。

South Shore vodka company wins international competition(タホデイリートリビューン)
http://www.tahoedailytribune.com/news/5853789-113/vodka-levitt-tahoe-blue

 タホブルーは2011年、マット・レヴィット氏が独自のウオトカ・ブランド創立を着想したことにより商品開発が始まる。ブランドの確立にはグーグル検索などインターネットを活用したといい、ウオトカについて学んだだけでなく、コルクなどの副資材をネットで調達。ウオトカそのものはカリフォルニア州マウンテンビューの蒸留所で行ない、3種類をブレンディングする。

 ウオトカ生産が具体化してから、レヴィット氏はメーカーである「ザ・サウスショア・リカーカンパニー」を法人登記したが、現時点で創立から1年しか経っていない。それにも関わらず、USCにエントリーしたのは「会社のメンバーの誰もが『賞と共に帰ってくる』と思っていた(レヴィット氏)」という確信があったからだという。

 レヴィット氏は現在、塗料販売業を正業としており、この収益からウオトカをつくっている形だ。また、タホブルーの販売地域も商品名の由来となったタホ湖に面するカリフォルニア州、ネバダ州のみとなっている。しかし、レヴィット氏は継続的に事業を拡大していき、ウオトカ生産に全ての時間を費やすことを目標とする。一方で、「全てはタホを愛してこそ。ブランドを通して、タホの経済に貢献したい」と地元への寄与も忘れない。


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2013年4月3日水曜日

ディアジオのUSL株公開買付にゴーサイン――インド当局承認、今月10〜26日に実施(ビジネススタンダード)

 インド当局は2日、英酒造大手ディアジオから提出されたユナイテッドスピリッツ(USL、インド)株式公開買付計画を承認した。これによりディアジオは今月10〜26日、USL株の公開買付を実施する。買付価格は当初の予定通り1440ルピー(約2480円)で、発行済み株式総数の26%にあたる3778万株の取得を目指す。

 USLはユナイテッドブルワリーズグループ(UB)の一社で、スコッチ・ブレンデッド「ホワイト&マッカイ」やスコッチ・シングルモルト「ダルモア」「アイルオブジュラ」などを保有している。しかし、関連企業であるキングフィッシャー航空の経営不振により、ビジェイ・マリヤ会長はディアジオへUSL売却を打診。昨年11月に交渉は妥結し、ディアジオは既に27.4%のUSL株をUBなどから取得している。元々、公開買付は今年1月に実施する予定だったが、インド証券取引委員会、競争法委員会(日本の公正取引委員会に相当)の審査が長期化したため、延期されていた。

 USLの株価は本日終値で1822.6ルピー(約3135円、ボンベイ証券取引所)。ディアジオによる友好的買収が決定してから1800ルピー〜2000ルピー程度の株価で推移しており、市場がディアジオの提示額を適正価格と受け取るか否かが注目される。

Diageo open offer for USL to start on April 10(ビジネススタンダード)


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ディアジオのUSL買収、関係当局は承認の気配(ヒンドゥー・ビジネスライン)

ミルクが原料のウオトカ「ブラックカウ」、英国で支持集める(スピリッツビジネス)

 英国のウオトカ(ウォッカ)「ブラックカウ」(写真)が、同国内で支持を受けている。イングランド・ドーセットの酪農家ジェイソン・バーバー氏が考案した商品で、原料に用いるのはミルクだ。

 ブラックカウの製造工程はまず、ミルクをカード(凝乳)とホエー(乳漿)に分離。ホエーを発酵させミルクビールを醸造し、それを蒸溜、「秘密のブレンディングプロセス」と3度の濾過を経た後、ボトリングする。なお、カードはバーバー氏がつくるチーズ「1833チェダー」に用い、同チーズは2012年のワールドチーズアワードでチェダー・トロフィーを獲得している。

 ブラックカウがリリースされたのは昨年5月で、当初はイングランド南西部の食料品店などで販売していた。その後、販売先を拡大し、現在では百貨店「フォートナム&メイソンズ」「セルフリッジズ」、バー「サルバトーレ・アット・ザ・プレイボーイクラブ」、レストラン「ザ・ファットダック」で取り扱う。

 アルコール=40%、容量は700ミリリットルボトルと500ミリリットルボトルの2種類。価格は700ミリリットルで27.85ポンド(約3930円)。

MOO-VING ON UP: WORLD’S FIRST MILK VODKA(スピリッツビジネス)


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2013年4月2日火曜日

SWA、2012年のスコッチ・ウイスキー輸出統計を発表――数量ベースで5%減(BBC)

 スコッチ・ウイスキー協会(SWA)は2日、2012年のスコッチ・ウイスキー輸出統計を発表した。数量ベースでは11億9千万本の輸出で前年比5%減、金額ベースでは43億ポンド(約6100億円)で前年比1%の伸びに留まった。

Growth stalls for Scotch whisky exports(BBC)
http://www.bbc.co.uk/news/uk-scotland-scotland-business-21996285

 輸出が鈍化傾向にある理由として、高単価商品の販売が伸びたことで輸出数量が落ちているとSWAは説明する。例えば、最大の輸出先である米国は、数量ベースで2%減となっているが金額ベースでは16%増と二桁成長している。しかし、昨年初頭にウイスキー税を15%に引き上げた仏国は数量ベース=25%減、金額ベース=19%減となり、経済危機の続くスペインも数量ベース=20%減、金額ベース=25%減と、不況下にある先進国が足を引っ張った形だ。

 一方で、新興国向け輸出は依然として成長傾向にある。ロシア向け輸出の中継国であるラトビア、エストニアはそれぞれ48%増、28%増(共に金額ベース)という伸びを示しており、東アジア向け輸出の窓口となるシンガポールは数量ベース=2%増、金額ベース=7%増となった。中南米はブラジルが16%減だったが、ベネズエラが12%増、メキシコが11%増(いずれも数量ベース)だった。

 今後、成長が期待されるアフリカ地域においては輸出額が2億3900万ポンド(約340億円、前年比7%増)となった。一定の経済成長を遂げている南アフリカは鈍化傾向にありながらも、ナイジェリア、アンゴラ、エジプト、モロッコ向けの輸出が伸びているという。

 ギャビン・ヒューイット会長は「スコッチ・ウイスキーは英国の飲食料品輸出をリードしている。(我々の)産業の未来に対する信用を背景に、今後3〜4年をかけ20億ポンド(約2840億円)の投資を行なっていく」とコメントした。


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2013年4月1日月曜日

【お知らせ】ディズニーシーに「カリラの海賊」ができるとか言ったな。あれは嘘だ!

 本日掲載の記事、「東京ディズニーシーに『カリラの海賊』オープン――レストランではシングルモルト『カリラ』限定版も」は、お約束のエイプリルフールネタでした。

 昨年はグランツ、今年はディアジオと転職の多いルーフル・リプイエ氏、来年はどこに行くのでしょうか? そして、信じてしまった皆様、ごめんなさい。来年もお楽しみに。

東京ディズニーシーに「カリラの海賊」オープン――レストランではシングルモルト「カリラ」限定版も

記者会見で公開されたロゴマーク
(クリックすると拡大)
 東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドなど4社は1日、東京ディズニーシーに新アトラクション「カリラの海賊−The Viking of CAOL ILA−」をオープンすると発表した。同テーマパークは、昨年オープンした「トイ・ストーリー・マニア!」以来の新アトラクション誕生となる。

 「カリラの海賊」は、10〜11世紀頃を時代背景とし、英スコットランド・アイラ島に拠点を置くヴァイキング(海賊)「ヘクター」が主人公。ヴァイキング達の間で伝説とされる「イウラの秘宝」を探し求めるストーリーで、敵のヴァイキングとの争いや、仲間となるアイスランドのヴァイキング「レイフ」との出会い、友情をライド形式のアトラクションで描く。

 同日には記者会見も行なわれ、スポンサーとなるディアジオ、キリンビールの担当者も出席。会見では、オリエンタルランド担当者よりアトラクションの概要を発表した後、今回の企画発案がキリンディアジオのルーフル・リプイエ取締役(宣伝・パブリックリレーションズ担当)であることを明らかにした。

 リプイエ取締役はアトラクション企画に至った経緯を、会見の中で次のように語る。
「私は昨年、(ウィリアム・グラント&サンズから)ディアジオに移籍し、同時にキリンディアジオに出向となった。来日してからしばらくは忙しく、ろくに家族サービスもできなかったんだ。そこである日、妻と9歳の息子を連れて、東京ディズニーランドを訪れた。最初に行ったアトラクションは『カリブの海賊』だ。ご存知の通り、このアトラクションはディアジオのパートナーであるキリンがスポンサーをしている。だが、実際に体験してみてそんなこととは関係なく、世界観の壮大さに興奮した。そこで思ったんだ。『パイレーツではなく、ヴァイキングを描くアトラクションをつくってはどうか』と」

 会見にはウォルト・ディズニー・カンパニーの担当者も出席。同アトラクションは東京ディズニーシーが世界唯一の公開となるが、米国や仏パリ、香港といった他のディズニーランドで展開していくことも検討しているという。また反響次第で、『パイレーツ・オブ・カリビアン』のように、映画化する可能性も示唆した。

 なおアトラクションにはレストラン「LOCH GORM(ロッホ・ゴルム)」を併設。ヴァイキングをイメージした料理を提供するほか、同レストラン限定のスコッチ・シングルモルト「カリラ ザ・ヴァイキング・オブ・カリラ・スペシャルエディション」を販売する。熟成年数・樽などは明らかにされていないが、リプイエ取締役は「ヴァイキングらしい、男性的な仕上がりとなった」と説明している。

 アトラクション・レストランは来年4月1日にオープン予定。


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2013年3月31日日曜日

アイルオブアラン、「16年」を9000本限定でリリース(スピリッツビジネス)

 アイルオブアラン蒸留所(英スコットランド)は4月、シングルモルト・ウイスキー「アランモルト16年」をリリースする。9000本限定販売。

 アランモルトの通常品で年数表記のあるものは10年と14年で、同蒸留所の商品としては長期熟成のものとなる。また、来年春には17年を、再来年春には18年をリリースするという。今回の商品は、アンピーテッドのモルトを原料にバーボン樽とシェリー樽熟成のものをブレンドした。

 アルコール=46%、容量=700ミリリットル。価格=59.99ポンド(約8600円)。

ARRAN DISTILLERS RELEASES OLDEST SINGLE MALT(スピリッツビジネス/商品画像あり)


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2013年3月30日土曜日

ロンドンディスティラリーカンパニー、ジンの新商品リリース(スピリッツビジネス)

 ロンドンディスティラリーカンパニーは来月2日、ジン「ドッズジン(DODD'S GIN)」をリリースする。商品名の由来となるラルフ・ドッドは、18世紀後半に活動したエンジニアで、ロンドンディスティラリーカンパニー(初代)を創業した起業家でもある。

LONDON DISTILLERY COMPANY RELEASES INAUGURAL CRAFT GIN(スピリッツビジネス)
http://www.thespiritsbusiness.com/2013/03/london-distillery-company-releases-inaugural-craft-gin/

 原料にはジュニパーの他、アンゼリカ、ライムピール、ベイローレル、カルダモン、レッドラズベリーリーフ、ハチミツを使う。なかでもハチミツは、ロンドン市内に生息するハチがもたらすもの。アンドリュー・マクロード・スミス蒸留責任者によると「英国内から多数のハチミツを取り寄せ蒸溜したが、ロンドンという都会暮らしのハチによるのものがラグジュアリーな口当たりと魅力的なトップノートを引き出してくれた」という。

 現在のロンドンディスティラリーカンパニーは、ロンドンでのウイスキーづくりを目指すダレン・ルーク氏らにより、昨年創立。ウイスキーには3年以上の熟成期間が必要となるため、当面はジンなどを販売していく。前述の通り18世紀にも、ラルフ・ドッドが同名の会社を起こしており、ルーク氏は「ロンドンで蒸留所をつくるための調査をしているときに、ドッドのストーリーを知った」という。
「ドッドがつくっていた真のブリティッシュ・スピリッツは、我々と同種のものと考える。今回の商品は彼に捧げるものだ(ルーク氏)」

 500ミリリットルボトルで、アルコール=49.9%、希望小売価格=36.95ポンド。発売後2週間は百貨店「フォートナム&メイソン」限定で販売、その後、ロンドンディスティラリーカンパニーのオンラインショップでも販売する。


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2013年3月28日木曜日

マッカランと007のコラボ・ボトル、チャリティー・オークションに出品――「ボンドと関係を深められ嬉しい」とエドリントン担当者(ドリンクスビジネス)

 英酒造エドリントングループと同国政府コミュニケーション基金は来月17日、オークションハウス「サザビーズ」にスコッチ・シングルモルト「マッカラン1962」を出品する。蒸留した1962年は映画『007』シリーズの第一作『ドクター・ノー』公開と同じ年で、今回のボトルには昨年公開の『007スカイフォール』に出演したダニエル・クレイグ氏、ハビエル・バルデム氏、ベレニス・マーロウ氏のサインが入る。

JAMES BOND WHISKY TO BE AUCTIONED(ドリンクスビジネス)
http://www.thedrinksbusiness.com/2013/03/james-bond-whisky-to-be-auctioned/

 オークションに出品する目的は政府コミュニケーション基金の資金調達のためだ。元記事には、「同国政府通信本部の前職者(former members)へのサポートをする」とあることから、007と同じく諜報に携わった人への再就職支援等を行なうものと見られる。

 『スカイフォール』は007・ボンド役にクレイグ氏、敵役をバルデム氏、ボンドガールはマーロウ氏で、主なキャストのサインがボトルに入ることになる。エドリントングループのケン・グリアー・モルト担当ディレクターは「チャリティー・オークションを通してボンドと関係を深めることができ、嬉しい。ヴィンテージのマッカランがボンドとコンビを組むことで、オークションにおいてアピールでき、素晴らしい結果をもたらしてくれるのではないかと思う。政府コミュニケーション基金は、収益の受取人としてふさわしい」とコメントした。

 同ボトルは、5000ポンド(約71万円)から競売にかけられる予定。


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2013年3月27日水曜日

バーボン「ヘヴンヒル」、累計樽詰め数650万に(ビジネスファースト)

 バーボン・ウイスキー「ヘヴンヒル」は26日、原酒の樽詰めが累計650万樽となり、これを記念するイベント(写真)を開催した。節目となる樽栓は、パーカー・ビーム6代目マスターディスティラーと、クレイグ・ビーム7代目マスターディスティラーの親子によって打ち込まれた。

 同社の発表によると、創業から現在まで事業を継続しているバーボン・ウイスキー蒸留所の中で、同蒸留所は2番目に長い歴史を持つといい、フラッグシップブランド「エヴァンウィリアムズ」もバーボン・ウイスキーとして世界2位のシェアを持つ。そして、常時100万樽をエイジングしており、こちらも世界2位の貯蔵量だという。また、マスターディスティラーの名字が「ビーム」であるが、ヘブンヒル創業家は「ジムビーム」創業者であるジェイコブ・ビームの子孫(現在、ジムビームのマスターブレンダーはフレッド・ノウ氏だが、同氏の父で先代のブッカー・ノウはジェイムズ・”ジム”・ビームの孫であり、ヘヴンヒルのビーム家とは遠戚にあたる)。

 ヘヴンヒルのマックス・L・シャピラ(Max L. Shapira)代表は、「今日は本当に誇らしい日。樽の中の原酒は時が経つ毎に減っていくが、(そうした時間の経過こそ我々の)バーボンが成長し、人気を得てきたことの証だ」とコメントした。

Heaven Hill celebrates 6.5 million bourbon barrels filled(ビジネスファースト)


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2013年3月26日火曜日

米英でスピリッツ、ウイスキーのコンペティション――日本からの受賞商品も

 様々なカテゴリーのスピリッツを評価する米国のコンペティション「アルティメットスピリッツチャレンジ(USC)2013」が3月11〜15日、ニューヨークのアスターセンターで開催された。今年は38部門が設けられ、33商品が最高賞であるチェアマンズプライズ(会長賞)を獲得した。

 USCは昨年、「ソジュ」部門を新設したが、今年は「ソジュ/焼酎/白酒」部門として東アジアのスピリッツを評価。三和酒類「いいちこフラスコボトル」(写真)が94点でチェアマンズプライズに輝いている。一方、ジャパニーズ・ウイスキー部門はニッカウヰスキー「竹鶴12年」のみのエントリーだったが、得点が89点で、チェアマンズプライズの獲得条件となるファイナリスト(90点以上)進出はならなかった。

 ほか、シングルモルト・スコッチ・ウイスキー部門は「ハイランドパーク25年」が100点でチェアマンズプライズを獲得している。結果発表ページへのリンクを以下に記すので、ご覧いただきたい。

http://www.ultimate-beverage.com/the-results/2013-spirits-results/

 一方、英専門誌「ウイスキーマガジン」は22日、「ワールドウイスキーアワード(WWA)2013」を発表した。受賞した商品は次の通り。

ワールズベスト・シングルモルト・ウイスキー
アードベッグ・ガリレオ

ワールズベスト・ブレンデッド・ウイスキー
響21年

ワールズベスト・ブレンデッドモルト・ウイスキー
マルス・モルテージ3プラス25 28年

ワールズベスト・ノースアメリカン・ウイスキー
ジョージTスタッグ

ワールズベスト・グレーン・ウイスキー
ケープマウンテンウイスキー

ワールズベスト・ウイスキー・リキュール
スペイサイドウイスキーリキュール40年

 シングルモルト部門は最近2年間、山崎蒸留所の商品が受賞していたが、「コリーヴァレッカン」以来3年ぶりに、アードベッグ蒸留所が奪還。ブレンデッドモルト部門のマルスウイスキーは2007年のWWA創設以来、初の受賞だ。



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2013年3月24日日曜日

ベンリアック、グレングラッソ蒸留所を買収(スコッツマン)

Glenglassaugh Tours スコッチ・ウイスキーを生産するベンリアックは22日、グレングラッソ蒸留所(写真)を買収したと発表した。買収額は不明だが、昨年3月、ベンリアックはロイヤルバンクオブスコットランドより2700万ポンド(約39億円)を、事業拡大目的で資金調達している。この際、ビリー・ウォーカー・マスターブレンダーは新たに蒸留所を買収すると明言していた。

Glenglassaugh whisky distillers bought by BenRiach(スコッツマン)
http://www.scotsman.com/business/food-drink-and-agriculture/glenglassaugh-whisky-distillers-bought-by-benriach-1-2853026

 グレングラッソは1875年に創立。一度、閉鎖を経た後、2009年にルミエールホールディングスという企業が再オープンさせた。年間110万リットルの生産能力を持つ。

 一方、ベンリアックは1972年の生産再開以降、シーバスブラザーズの傘下にあったが、2004年にウォーカー・マスターブレンダーらが設立した「ザ・ベンリアック・ディスティラリー・カンパニー」が買収。2008年にはグレンドロナック蒸留所も取得している。ベンリアック蒸留所自体はマレイ州(スペイサイド地域)に所在するが、本社機能を持つオフィスをエジンバラに構えている。

 ウォーカー・マスターブレンダーは次のようにコメントする。
「5年前、我々がグレンドロナックを買収したことで、世界中のウイスキー愛好家に驚きと喜びを与えた。今回も、同様のポジティブな効果を持つと確信している。名声と歴史を持つハイランド・シングルモルトであるグレングラッソを買収でき、本当に嬉しく感じている。スコッチ・ウイスキーが黄金時代を迎えているということも、良いタイミングだ。ハイエンド・ブランドに対する空前の需要が台湾、スカンジナビア、米国、中国、インド、ロシア、中東、南アフリカ、南米で生まれている。グレングラッソもこれらのマーケットで紹介されることだろう」

 また、グレングラッソのスチュアート・ニッカーソン・マネージングディレクターは「スコットランド人の手に戻るのは素晴らしいこと」とベンリアックによる蒸留所取得を歓迎した。


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2013年3月22日金曜日

ヨンフUSVI知事、ラム助成金問題で関係国に書簡送付(カリビアン360)

 米自治領とカリブ諸国間で起こっているラム助成金問題(用語解説参照)で、米領ヴァージン諸島(USVI)のジョン・デ・ヨンフ知事が複数のカリブ諸国首脳に書簡を送付していたことが、明らかになった。ヨンフ知事は書簡において、世界貿易機関(WTO)への提訴を撤回し、共同歩調をとるよう説得している。

USVI appeals to CARIFORUM in rum dispute(カリビアン360)
http://www.caribbean360.com/index.php/business/674409.html

 書簡の送付先はアンティグア・バーブーダ、セントヴィンセント・グレナディーン、グレナダ、セントクリストファー・ネイビス、ドミニカ国、セントルシアという6カ国の首脳。これらの国は、カリブ共同体(カリコム)、ならびに現在、WTOへの提訴を検討する全ての国ではない。ヨンフ知事は提訴による紛争解決は長い期間を要する点、そしてカリブ諸国側の主張を立証することは困難である点を根拠に、送付先の首脳に勧告を行なっている。

 今回、元記事のカリビアン360は、アンティグア・バーブーダのボールドウィン・スペンサー首相宛てに3月4日付で送付したものを入手した模様。書簡を明らかにしたのはUSVIラム生産者のコンサルタントを務めるグレッグ・ロマーノ氏で、他の首脳に対してもほぼ同様の内容が記されているという。

 ヨンフ知事は、書簡の中で次のように主張する。
「我々は経済状態、安定、そして未来を確実とするために、共に進まなければならない。互いに協力し合うことは、国外からの直接投資をもたらし、高度な雇用を我々の地域に呼びこむ。ディアジオやビームとパートナーシップを結ぶことで、USVIはこれを成し遂げた。地域の人々にとって、真に良くなる機会を得ることこそが、米議会がこの経済開発プログラムを行なう意図だ。(米本土から還流する資金は)USVI歳入の20%を占めている」

 元記事では、書簡の受け手側のコメントは記されておらず、今後、カリコム、西インド諸島ラム生産者協会がどのような対応をとるか注目される。


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2013年3月19日火曜日

ディアジオ、ロンドンでタンカレー関連イベント開催――スミノフは新商品リリースへ(スピリッツビジネス他)

 英酒造大手ディアジオは今月26〜28日、ロンドン・コヴェントガーデンに「タンカレー・ジン・パレス」を開設する。ジン・ブランド「タンカレー」の創業者、チャールズ・タンカレーの誕生日(1810年3月27日)を祝うというもの。

 パレスではバーテンダー、エリック・ローレンツ氏(マドリッドのホテル、ル・カブレラ所属)らがジン・ベースのカクテルをつくり、また、19世紀のクラシックなスタイルのジンもお披露目するという。

DIAGEO OPENS POP-UP GIN PALACE IN LONDON(スピリッツビジネス)
http://www.thespiritsbusiness.com/2013/03/diageo-opens-pop-up-gin-palace-in-london/

 一方、同じくディアジオのウオトカ(ウォッカ)・ブランド「スミノフ」は4月、フレーバード商品「エスプレッソ」をリリースする。

 スミノフのポートフォリオには既に「ライム」「アップル」などのフレーバード商品が存在しており、エスプレッソはプレーン・タイプの商品にエスプレッソ・コーヒーの風味付けをしたもの。原料には本物のコーヒー豆を使用しているという。

 元記事では、価格や販売地域についての言及はない。しかし、カレン・オシェア・スミノフ西欧マーケティング担当マネージャーは、「米国ではフレーバード・ウオトカのシェアがウオトカ・カテゴリーの18%を占めている。ここから、英国でフレーバード・ウオトカのセールスをどう伸ばしてくべきかを学んだ」とコメントしており、まずは英国で販売するものと思われる。

Diageo to roll out Smirnoff Espresso vodka(ハーパーズ)


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2013年3月18日月曜日

ブルイックラディ、生産能力を拡大(ドリンクスビジネス)

The Laddie Ten Year Old Whisky - Single Malt Scotch
レミーコアントローの買収に
より、日本代理店も国分から
レミーコアントロージャパン
に変更となったブルイックラ
ディ
 スコッチ・シングルモルトのブルイックラディ蒸留所は、生産能力を倍増したと発表した。年間150万リットルのウイスキー生産が可能となり、世界的需要の増加に対応する。

 同蒸留所のアラン・ローガン・ディスティラリーマネージャーは「蒸留所の設備に過大な負荷がかからないよう注意を払っている」としながら、次のようにコメントする。
「長時間、稼働してくれるよう、(設備に対して)敬意を持って仕事に取り組みたい。(拡張によって)むしろ動きはゆっくりとなった」

 同蒸留所は昨年、レミーコアントロー(仏)に買収されており、財務的背景によって設備投資が可能になったと、元記事のドリンクスビジネスは分析している。

Bruichladdich Distillery doubles single malt Scotch whiskey production(ドリンクスビジネス) バーボン「メーカーズマーク」、アルコール度数引き下げを撤回――一連の騒動に「心からお詫び」と経営者(タイム)

2013年3月15日金曜日

「あっという間の46年」――17歳から働き続けたシーバス従業員、退職の日を迎える

マカリスターさんと「セントミレンFC」
のマスコット
 シーバスブラザーズ(英、以下「シーバス」)が一人の従業員の退職を、プレスリリースで取り上げている。退職したのはアリステア・マカリスターさん(64)。46年半に亘って、シーバスで働き続けたという。

 マカリスターさんが入社したのは1966年7月。当時は17歳だったといい、まず在庫調整部門に配属された。そして荷役部門での仕事を経験した後、ボトリングホールでのフォークリフト・オペレーター業務に25年という長い時間を捧げた。マカリスターさんは「46年はあっという間に過ぎ去って、色々なことが変わった。私がボトリングホールで働き始めた頃は、女性スタッフが小さなプラスチック製ハンマーで封をする、という手作業だったんだ。今は大きく進んで、近代的なマシンになった」とシーバスでの人生を振り返った。

 具体的な日付は明記されていないが、プレスリリースの発行日から今月初頭ごろに退職したものと思われる。退職日には、同僚がケーキとプレゼントで慰労の意を示したほか、サプライズゲストとしてパンダのマスコットが登場。シーバスと同じくペイズリーに本拠を置き、そしてマカリスターさん自身もサポーターであるサッカークラブ「セントミレンFC(スコテッシュ・プレミアリーグ所属)」のマスコットだ。マカリスターさんも、このサプライズを喜んだという。

 退職することで退屈な日々になる不安を持ってしまいそうだが、マカリスターさんは「忙しくなりそう」と次のように話す。
「新車を買おうと思っているし、夏には日光浴を楽しみたいね。あとは時間をとって、スペインやギリシャを訪れたい。それに私は庭いじりが好きだから、家でもやることがたくさんあるんだ」

プレスリリース


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2013年3月14日木曜日

ボンベイサファイア、マスターディスティラーにフォーダム氏

Bombay Sapphire - Nik Fordham ジン・ブランド「ボンベイサファイア」(英イングランド)は13日、新たなマスターディスティラーにニック・フォーダム氏(写真)を任命すると発表した。同ブランドは、年内にもハンプシャー州ラバーストークに新工場をオープンする予定で、フォーダム氏はここで指揮を執る最初の人物となる。

 本サイトの調べでは、シーバスブラザーズに同名のディスティラリーマネージャーがおり、今回、バカルディ系の同ブランドに移籍したものと見られる。

 フォーダム氏は、「これは信じられないほど素晴らしい機会だ。チームの皆とボンベイサファイアの品質を守っていくことを楽しみにしており、ボンベイサファイアの(特徴である)蒸溜プロセスによって、つくっていきたい」とコメントした。

プレスリリース


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スコットランド政府、ダラスドゥー蒸留所の再稼働を検討(スコッツマン)

Fiona Hyslop MSP 英スコットランド政府内で、ウイスキーを生産していたダラスドゥー蒸留所の再稼働を促す動きがあることが、明らかになった。フィオナ・ヘイスロップ文化相(写真)がリチャード・ロッホヘッド過疎部担当相に、ヒストリックスコットランド(歴史的資産を管理する公的機関)によって操業再開が検討されているとした書簡を送付。ロッホヘッド担当相は、同蒸留所の所在するマレイ州選出のスコットランド議会議員で、かねてよりウイスキー・ツーリズムのひとつとして蒸留所周辺の再開発を行なうよう活動しており、歓迎する姿勢だ。

 ダラスドゥーは1899年(元記事による。1898年説あり)、アレクサンダー・エドワードにより「ダラスモア」として開業。後にダラスドゥーと改名し、度々オーナーが変わりながらも操業されてきたが、1983年、水不足を理由に生産が終了した。

 ヘイスロップ文化相の書簡によると、ヒストリックスコットランドは「ウイスキー産業のエキスパート」と接触を持ったといい、それらエキスパートに操業再開についての事前調査を依頼しているという。ロッホヘッド担当相は「事の運びがどうなったか(事前調査後のレポート)を聞くことについて、楽しみにしている」とコメントした。

 ダラスドゥーは1998年以降、現在に至るまでヒストリックスコットランドによる管理の下、一般公開している。一両年以内に操業再開がなされれば、30年以上の時を超えての再稼働ということになる。

Historic Scotland’s Dallas Dhu whisky-making bid(スコッツマン)


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2013年3月13日水曜日

ヘミングウェイに捧げるラム「パパスピラール」、フロリダで発売(カリビアンジャーナル)

写真: Inspired by the sea-going adventures of Hemingway, Papa's Pilar Blonde is a clean and rounded drinking experience, crafted to harness Papa's worldly essence. At 84 Proof, it has notes of citrus mixed with hints of almond oak, and a creamy mouth. ラム「パパスピラール」は来週、フロリダ州タンパで販売を開始する。4月には同州南部に販売地域を拡大していく予定だ。同商品はラムを愛した作家、アーネスト・ヘミングウェイの関連団体「ザ・ヘミングウェイ・エステート」と提携しており、ヘミングウェイに捧げるラムとなっている。

 商品ラインナップは3年熟成の「ブロンドラム」(写真)と24年熟成の「ダークラム」(元記事では「ソレラブレンデッド」と記載)の2種類。どちらも熟成にソレラシステムを採用しており、最初はバーボン樽、次にポートワイン樽、最後はシェリー樽というプロセスだ。現在、ブレンドの工程はケンタッキー州で行なわれているが、将来的にはヘミングウェイとゆかりのあるフロリダで行ないたい意向だという。

 パパスピラールのリンジー・コップス・ブランドマネージャーは、作家としてだけではなく、冒険家としてのヘミングウェイも尊敬してほしいとし、同商品も冒険をイメージしたものだという。
「ヘミングウェイも(このラムと同じように)活動的なスピリッツを持っていた。彼の作品はラムを楽しむこととは離れたところにある。しかし、ラムは彼の人生において大きなパートを占めていた」

 「ブロンドラム」はアルコール=42%、「ダークラム」はアルコール=43%。どちらも750ミリリットルボトルで販売する。

Rum Journal: Papa’s Pilar: A Rum for Ernest Hemingway(カリビアンジャーナル)


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2013年3月12日火曜日

ディアジオ、供給体制の再構築へ――費用削減効果=年86億円、労組側は危機感(スコッツマン他)

 英酒造大手ディアジオは11日、今後3年をかけ社内の供給体制を見直す再構築策を実行していくと発表した。1年あたり6000万ポンド(約86億円)の費用削減効果が見込まれるという。しかし、再構築に伴う人員削減が発生する可能性もあり、労組側は危機感を募らせている。

Scots jobs at risk as Diageo unveil restructure plans(スコッツマン)
Diageo Supply Reorganization Will Save 60 Million Pounds a Year(ブルームバーグ)
http://www.bloomberg.com/news/2013-03-11/diageo-supply-reorganization-will-save-60-million-pounds-a-year.html

 発表によると、今回の再構築にかかるコストは1億ポンド(約140億円)に上る。同社広報は「従業員に対する影響はある程度、あるかもしれない」と人員削減の可能性を認め、「決定が下った場合、その概要は最初に従業員と共有することになる」と、可能な限り従業員に配慮することを強調した。

 対して、英国最大のナショナルセンターであるユナイトのジェニー・フォームビー飲料産業担当責任者は「幾らかの不安がある」とし、以下のようにコメントする。
「労働者とコミュニティは、コストカットのために事業所を閉めるという冷酷な決定によって傷ついている。我々のメンバーがリストラクチャーの代償を背負わないために、早期に保証できる方法を検討している」
同責任者の言う「事業所を閉める」というのは、キルマーノック工場(ジョニーウォーカーのボトリング工場)とポートダンガス蒸留所のことだ。これらの事業終了により、850人の職が失われたという。

 スコットランドにとって不可欠となりつつある酒造産業。その存在を担保する企業の利益を優先すべきか、あるいは従業員らの生活を守るべきか、今後、スコットランド政府や世論の動きにも注目が集まる。


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2013年3月11日月曜日

テキーラ「カーサミーゴス」、収益は南スーダンの紛争防止プロジェクトへ――共同創業者のジョージ・クルーニー氏が明言(ベリンガムヘラルド)

 テキーラ「カーサミーゴス」(写真)の収益が、南スーダンの紛争防止に充てられることとなった。同ブランドは、米俳優ジョージ・クルーニー氏と実業家ランディ・ガーバー氏が共同で設立。今年1月より米国内一部の州でリリースされ、非熟成の「ブランコ」とオーク樽熟成の「レポサド」という2商品を販売する。

George Clooney's new tequila will fund satellite over South Sudan(ベリンガムヘラルド)
http://www.bellinghamherald.com/2013/03/05/2906326/george-clooneys-new-tequila-will.html

Read more here: http://www.bellinghamherald.com/2013/03/05/2906326/george-clooneys-new-tequila-will.html#storylink=cpy


 南スーダンは2011年に独立したばかりで、周辺国に対する反政府勢力や周辺国自体の存在、あるいは国内の部族間抗争により緊張状態が続いている。日本外務省が渡航者向けに発表している「危険情報」でも、同国は2番目に危険度が高い「渡航延期勧告」が発令されている。クルーニー氏は危機回避を目的として2010年、収益の寄贈先となる「サテライト・センチネル・プロジェクト」を設立。同国上空の軌道を通る人工衛星によって予め武装勢力の動きを察知するというもので、リモートセンシング企業、デジタルグローブ(米)の協力を得ている。また、クルーニー氏自身もプロジェクトを通して同国を訪問した。

 クルーニー氏は「我々は、虐殺などの戦争犯罪を行なっている者に対して、我々は見ている、世界は見ている、ということを知らしめたい。戦争犯罪は闇の中で盛んだ。メディアのスポットライトという閃光を浴びせることで、大きな残虐行為を実行することは難しくなる」とコメントした。

 なお、カーサミーゴスはリリースにあたり、コマーシャルフィルム(CF)を制作。ガーバー氏の妻、シンディ・クロフォード氏とクルーニー氏が共演したものだ。本サイトにもCF動画を掲載するので、ご覧いただきたい。



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2013年3月9日土曜日

ハイランドパーク、ヴァルハラコレクション第二弾は「ロキ」(ギークスオブドゥーム)

 スコッチ・シングルモルト「ハイランドパーク」は、「ヴァルハラコレクション」第二弾として「ロキ(Loki)」をリリースする。具体的な発売日は不明だが、元記事のギークスオブドゥームによると来週リリースする模様だ。

 「ヴァルハラ」は北欧神話に登場する神殿の名で、コレクションの各商品も北欧神話の神にちなんだものとなっている。昨年リリースした同コレクション第一弾「ソー(Thor)」はトールという戦いの神を英語読みしたもので、今回のロキはいたずら者の神だ。

 15年熟成で、アルコール=48.7%、750ミリリットルボトルで販売する。価格=249ドル(約2万4000円)。

 なお、ヴァルハラコレクションは4作目まで販売する予定で、今後、1年に1商品のペースでリリースしていくという。

Loki Whisky Is The Second In Highland Park’s Limited-Edition Valhalla Collection(ギークスオブドゥーム/商品画像あり)


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2013年3月8日金曜日

ウオトカ「スリーオリーブズ」、マリリン・モンロー・ブランドの新商品リリース(ドリンクスビジネス)

 米インポーター、プロキシモスピリッツはウオトカ(ウォッカ)「スリーオリーブズ」のポートフォリオに「マリリン・モンロー・ストロベリー」(写真)を加えると発表した。ラベルには、マリリン・モンローのスカートがめくれ上がる『七年目の浮気(映画)』の有名シーンをプリントする。

 スリーオリーブズは英国で生産するウオトカで、プレーン・タイプ「クラシック」のほか、「スモアズ(欧米で食される菓子)」「ルーピー(トロピカルフルーツ)」など多種のフレーバード・ウオトカを販売する。2000万ドルを掛け、英俳優クライヴ・オーウェン(映画『ボーンアイデンティティ』『キングアーサー』などに出演)とロンドンの街を題材にした広告キャンペーンも、今年から行なっている。

 「マリリン・モンロー・ストロベリー」は、モンローをイメージし「甘く、フルーティーで、官能的(プロキシモスピリッツ広報)」な味わいだという。モンローの商標などは2011年1月、知的財産管理企業のオーセンティックブランズが取得。今回の商品も、プロキシモスピリッツとオーセンティックブランズの間で商標使用契約を結んだことによるものと見られる。

 2012年にフォーブズ誌が発表した「死してなお稼いでいるセレブリティ・ランキング」でモンローは7位にランクインしており、死後50年以上経た今でも人気は衰えていない。

THREE OLIVES RELEASES MARILYN MONROE VODKA(ドリンクスビジネス)


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2013年3月6日水曜日

ボウモア、加水に関するエデュケーション・プログラム開始(ドリンクスビジネス)

Walter tilter スコッチ・シングルモルトの「ボウモア」が、ウイスキーと加水についてのエデュケーション(教育)・プログラムを開始する。プログラムの一環として、英国、北米、アジアのバー・レストランなどに「ティルター(写真左)」「ウォーターセーフ(写真右下)」という器具を配布する。

BOWMORE TACKLES THE ‘WATER IN WHISKY’ QUESTION WITH EDUCATION PROGRAMME(ドリンクスビジネス)
http://www.thedrinksbusiness.com/2013/03/bowmore-tackles-the-water-in-whisky-question/

 今回のプログラムが意図するところは、一部のウイスキー愛好家が持つ「ウイスキーに加水することは良くないこと」という考えに一石を投じることだ。モリソンボウモアのレイチェル・バリー・マスターブレンダーは「加水することで、ボウモアが持つフレーバーの『波』は解き放たれる」と加水に肯定的な意見を述べる。また、同社のカーラ・レイン(Cara Laing)・ボウモア担当マーケティングディレクターは「加水という問題に我々が真っ向から取り組むことや、それが大きな議論を起こすであろうことについて、我々は重々承知している」と支持、批判共に歓迎する姿勢だ。

Water safe 現時点で同プログラムは、イベント・セミナーを開催するなどの詳細は明らかになっていない。しかし、ボウモアのオフィシャルサイトには「ボウモア・アンド・ウォーター」というタイトルのページが設けられ、「ボウモア12年」をニート(ストレート)と加水時で飲み比べた際の、テイスティングノートを掲載している。そして前述の通り、「ティルター」「ウォーターセーフ」といった器具をバーなどに配布する。「ティルター」は水瓶が軸によって支えられ、スイングする形状。「ウォーターセーフ」は蛇口が取り付けられた水槽で、ボウモア蒸留所のスティルルームをイメージしたデザインだという。

 これらの器具配布について、有償となるか否かなどは不明。ただ、プログラムの対象地域にアジアも含まれており、モリソンボウモアの親会社はサントリーであることから、近いうちに「ボウモアと水」を日本で楽しむことができるかもしれない。


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2013年3月5日火曜日

ディアジオの新コンペティション「Show Your Spirit」開催――バーテンダーが同社新商品を提案(ドリンクスビジネス)

 英酒造大手ディアジオは、新たなコンペティション「Show Your Spirit」を開催する。バーテンダーが同社の新商品(スピリッツ・リキュール)を提案し、選ばれた商品を実際にリリースするというもの。コンペを勝ち抜いた提案者には発売後5年間、純売上高の5パーセントを支給する。

BARTENDERS TO CREATE NEW DIAGEO BRAND(ドリンクスビジネス)
http://www.thedrinksbusiness.com/2013/03/bartenders-to-create-new-diageo-brand/

 西欧で活動するバーテンダーが対象で、参加希望者は同コンペのオフィシャルサイトからアイデアを提出。今月18日に応募を締め切った後、ファイナリストとなる3案を決定する。さらに、その他上位20の案から、バーテンダーコミュニティや一般の意見を基にワイルドカード1案を選出。これら4案は、4月15日に発表する。

 ファイナリストは5月20日から4日間、同社のグローバルテクニカルイノベーションセンターで原案の進化に取り組み、5日目となる5月24日、優勝を決定。前述の通り、優勝した提案者には純売上高(税引き後売上高)の5%を5年間、支給し、5年以内に販売が停止された場合は最低保証として2万5000ポンド(約350万円)を支給する。また別途、純売上高の5%を「伝統を創造するバーテンダー主導の基金」に充てるという。

 同社のアンディ・フェネルCMO(最高マーケティング責任者)は、バーテンダーを「最も効果的なトレンドを仕掛けることができる人々で、酒類産業のエキスパート」とし、「バーテンダーとコラボレーションすることで、我々は新たな好機、新たなブランドの創造を見出すことができると信じる。それは、次なる大きなサクセスストーリーとなるだろう」と今回のコンペに至った理由を述べた。

 近年、バーテンダーが一ブランドをつくり上げた例として、プレミックスカクテル「スキニーガール」が挙げられる。同商品は米国のミクソロジスト(カクテルを得意とするバーテンダー)ベセニ―・フランケル氏がテレビ番組の企画で考案し、リリースしたもの。発売後、大きな反響を得たことからビーム(米)がブランドを買収するまでになった。イノベーションを求めるメーカー側の姿勢や、ソーシャルメディアの普及・拡充といった社会的背景から、今回のディアジオのような動きは今後、加速するかもしれない。


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2013年3月4日月曜日

ロッホローモンドを保有するBulloch家、ビジネスを手放す――売却先は不明(スカイニュース他)

Scotch Whisky Distillery tours apology 英メディアは、ロッホローモンド蒸留所(写真)、グレンスコシア蒸留所などを保有する英スコットランドのSandy Bulloch(サンディ・バロッホ/ブロック)氏が、ビジネスを売却したと報道している。売却先は明らかになっていないが、香港上海銀行(英)が仲介し、売却額は数千万ポンド(少なくとも14億円以上)に上ると見られる。

Loch Lomond Backers To Toast Takeover Deal(スカイニュース)
ロッホローモンドとグレンスコシアの売却話が浮上(スコッチ文化研究所)
http://scotchclub.org/index.php/news/9216

 Bulloch家の歴史は、1842年にGabriel(ガブリエル)Bullochがグラスゴーで卸売商を始めたことに遡る。このときガブリエルと共にビジネスを興したのが、後にブレンデッド・ウイスキー「デュワーズ」を創業する、J・H・デュワーだ。ロッホローモンド蒸留所は1985年に買収。1993年、グレーン・プラント建設に1550万ポンド(約26億円、当時レート)を投じ、1999年にはグレンスコシア蒸留所の操業を再開した。ウイスキービジネスの他には、ウオトカ・ブランド「グレン」を保有し、こちらは英国で2位のシェアを持つ。

 2011年3月期決算では、売上高が1830万ポンド(約24億円、同)となったが、20万ポンド(約2640万円、同)の税引き後損失を計上している(※)。そのため、需要が高まっている中で自己の保有のまま損失を被るより、生産性を高めることができる他社に売却したことが得策と、サンディ氏が結論を出したとも推測できる。

※業績のソースはスカイニュースによる。グレンスコシアなどの売上もロッホローモンドの業績に反映されているのか、別に持株会社等が存在するのかは不明。


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2013年3月3日日曜日

スコットランドで「水資源法」成立――ウイスキー業界は懸念表明(BBC)

 英スコットランド議会は2月27日、水資源法案を全会一致で可決した。同法はスコットランド域内の下水道ネットワーク保全や水不足時のスコティッシュウォーター(スコットランドの水道管理企業)が持つ権限について規定する。また企業が1日1000万リットル以上、水を採取することを制限しており、ウイスキー業界は生産に影響が出ることを懸念している。

Water resource laws passed by MSPs(BBC)
Whisky industry concern over proposed water limit(同)
http://www.bbc.co.uk/news/uk-scotland-21643567

 スコッチ・ウイスキー協会のギャヴィン・ヒューイット会長は同法について「ウイスキー産業が制限対象から除外されなかったことは残念」としながら、以下の見方を示す。
「より残念に感じるのは、我々に対して意見が求められなかったことだ。蒸留所は常時、制限値ほどの取水をしているわけではないが、長期的観点では法律がどのように適用されていくかという懸念がある」

 ただ、業界との間で妥協案を模索する動きもある。野党・スコットランド保守党のメアリー・スキャンロン議員は、審議において「蒸留の工程は、取水してから2〜12時間のうちに、取水量の3分の2を水源に還元する。スコットランド政府は取水量よりむしろ、消費量を計測した方が良いのではないだろうか。それによってウイスキー産業の懸念も抑制できる」と提案した。これに政府のニコラ・スタージェン副首相(写真)は「スキャンロン議員の案を検討したい」とした上で、ウイスキー業界と協議していくことを明言した。

 世界的に水資源の危機が叫ばれ、スコッチ・ウイスキー産業においては需要拡大から原料自給が難しくなっている中で成立した、今回の法案。ウイスキー産業がただちに悪影響を受けることは考えづらいが、多くのスコットランド国民、事業者にとって、フェアで有益な妥結策を求めていくことは必要となりそうだ。


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2013年3月2日土曜日

ホワイト・ウイスキー「ジェイコブズゴースト」がリリース――ジムビーム・ブランドの新商品、創業者の名を冠す(WCNC)

Jim Beam® Red Stag ビーム(米)は今月、ホワイト・ウイスキー「ジェイコブズゴースト」(写真)をリリースする。ジムビーム・ブランドの商品ラインナップの一つとして販売し、同ブランドが創業した1790年代の「ムーンシャイン(密造ウイスキー)」を意識したもの。

 ホワイト・ウイスキーやムーンシャインと呼ばれるものをつくるのはクラフトディスティラー(小規模蒸留業者)が中心で、熟成期間が短いことから見た目はほぼ無色透明となる。しかし、ジェイコブズゴーストの場合は最低1年、ホワイトオークバレルで寝かせ、他のホワイト・ウイスキーより熟成期間が少々長い(代表的なムーンシャイン「ジョージアムーン」の熟成期間は30日以下)。アルコール=80プルーフ(40%)。現時点で、日本代理店のサントリーからアナウンスはなく、当面、日本での販売は未定と思われる。

 なお商品名の「ジェイコブ」はジムビームの創業者、ジェイコブ・ビームを指す。

Top bourbon maker Beam dips into white whiskey(WCNC)


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2013年3月1日金曜日

シーバス、下水道へウイスキー排出のミス――周辺環境への影響は無し(BBC他)

Ballantine’s Finest ペルノリカール(仏)傘下の酒造企業シーバスブラザーズ(英スコットランド、以下「シーバス」)は、ウイスキーを下水道に排出していたと発表した。同工場はブレンデッド・ウイスキー「バランタイン」(写真)のボトリングを行なっている。従業員が工場内の清掃を行なう中、本来は汚水を下水道に流すところ、誤って数千リットルのウイスキーを流してしまったという。当地で水道を管理する企業、スコティッシュウォーターの従業員は、下水処理場内が強烈な匂いに包まれたと述べている。

Thousands of litres of whisky flushed down drain in Dumbarton(BBC)
Whisky galore... down the drain: Thousands of litres of drink thrown away in bottling plant blunder(メール)
http://www.dailymail.co.uk/news/article-2286317/Chivas-Brothers-Whisky-galore--drain-Thousands-litres-spirit-thrown-away-bottling-plant-mix-up.html

 バランタインは世界2位の販売量を誇るブランド(ソース=元記事)で、同工場も600人の従業員を雇用している。シーバスは「スピリッツが下水処理場へ向けて放たれてしまった。リーヴェン川など地域の河川には流れ出していない。我々はスコティッシュウォーターや関係当局に通報した」という声明を発表し、現在のところ環境被害は起きていないことを説明する。また元記事では、火曜日夜勤を当番とする従業員のミスであることを伝えているが、なぜウイスキーと汚水を間違えてしまったのかは今のところ分かっていない。

 スコティッシュウォーター広報によると「乾燥、寒冷という気候の中で、大量のアルコールを下水道ネットワークに放出することは、水処理プロセスにおいて(本来とは)逆の影響を与えてしまう」といい、下水処理場でのモニタリングを継続している。

 元記事である「メール」のコメント欄には、「スコットランドにとって暗黒の日だ」「もったいない」という嘆きのほか、「笑いが止まらない」と嘲る声も挙がっている。


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エドリントングループに罰金4万ポンド――火災事故での安全管理不足で(BBC他)
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2013年2月28日木曜日

エドリントングループに罰金4万ポンド――火災事故での安全管理不足で(BBC他)

 英スコットランドのグラスゴー刑事裁判所は27日、事業所内の安全管理を怠ったとして酒造大手エドリントングループ(スコットランド)に4万ポンド(約560万円)の罰金を科す判決を下した。グラスゴー市内のウイスキー倉庫で起こった火災事故によるもので、同社は控訴など対抗措置はとらず罰金を納付する方針。

Whisky firm Edrington Group fined over warehouse fire(BBC)
Whisky group fined £40,000 for safety failures after warehouse fire(STV)
http://news.stv.tv/scotland/215708-edrington-group-fined-40000-for-glasgow-whisky-warehouse-fire/

 火災は2011年6月、グレートウエスタンロードグラスゴー事業所内のウイスキー倉庫で発生。当時、2人の従業員がウイスキーを鋼製の桶から樽へとホースで充填する作業を行なっていたが、ウイスキー原酒は上部方向へ暴発し、照明器具に当たったことが原因で火災となった。従業員によると暴発する前に、ホースが緩む感覚があったという。従業員らは早急に火災報知機を作動させ、死傷者や周辺環境に対する被害は無かった。事故後の調査で、倉庫内にある110のスプリンクラーのうち、70が作動していたことが判明している。

 事故を担当した英政府健康安全部(HSE)のデイヴィッド・スティーブン調査官は「大事故に至らなかったことは、非常に幸運だった」としながら、以下のようにコメントする。
「今回の事故で1万7500リットルのウイスキーが失われた。このボリュームは、大規模な火災に繋がるだけの十分な燃料となり得る。会社側は簡素な体制を敷いていたが、照明器具を可燃性の気体が発生する場所でも適合するものにしていれば、事故は防げたはずだ」
またスティーブン調査官は、事故後の2011年10月に設備を更新し、事故を防止する措置がなされていることも付け加えた。

 エドリントングループ広報は「当社は4万ポンドの罰金を支払うことを承服した。事故に対して全責任があると考え、発生後、直ちにHSE、スコットランド環境保護庁と共同で原因究明に取り組んだ。当社は従業員の健康と安全を第一としている」との声明を発表した。


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エドリントングループが決算発表(BBC)

ディアジオのUSL買収、関係当局は承認の気配(ヒンドゥー・ビジネスライン)

 インド競争委員会(CCI、日本の公正取引委員会に相当)は、ディアジオ(英)によるユナイテッドスピリッツ(USL、インド)買収を承認する模様だと、インド紙「ヒンドゥー・ビジネスライン」が報じている。

 USLはウイスキー「マクダウェルズ」、同「バグパイパー」などのブランドを保有し同国内で一定のシェアを持つことから、CCIは今回の案件が市場の独占に繋がらないか、審査していた。関係筋は「委員会は、当事者から説明を受け、まもなく正式な認可を与える」とコメントしている。今月初めには、同国証券取引委員会もUSL株の公開買付を承認しており、関係当局による審査は一段落する格好だ。

 しかし既報の通り、USL関連企業、キングフィッシャー航空の債権を保有する銀行団が、親会社ユナイテッドブルワリーズホールディングス(UBホールディングス)に債務の肩代わりを求めている。本件は最悪の場合、UBホールディングス自体の清算を司法に請求するとしており、事態は未だ流動的だ。ただ、今回の報道通りに進めば、ディアジオによるUSL株取得はひとまず、適法となり、今後の交渉次第では銀行団がディアジオへのUSL株譲渡や、現在ディアジオが持つUSL株について認める可能性も出てきた。

Competition panel clears USL-Diageo deal: sources(ヒンドゥー・ビジネスライン)


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2013年2月27日水曜日

ディアジオ、大麦調達に「バイ・スコティッシュ」の方針――「可能な限りスコットランド産を購入」と同社幹部(スコッツマン)

 英酒造大手ディアジオは21日、モルトの原料となる大麦について、可能な限りスコットランド産のものを調達していく方針を示した。同社のアンディ・ロバーツ調達担当ディレクターが、農協的性格を持つスコットランド企業、スコティッシュアグロノミーのメンバーに明らかにしたもの。

Diageo’s ‘buy Scottish’ pledge(スコッツマン)

 モルト・大麦はスコッチ・ウイスキーの主原料。スコッチ・ウイスキーは、新興国を中心に世界的需要が高まっている反面、スコットランド産大麦のみでは供給が間に合わなくなる可能性が懸念されている。またディアジオも現在、28のスコッチ・ウイスキー蒸留所を所有しているが(ソース=元記事)、需要に対応するため2つの大規模蒸留所を新たに建設することを、昨年発表している。

 ロバーツ・ディレクターは「ウイスキー・マーケットは毎年、5〜10%成長している。もし、この状況下でもスコットランドが大麦を供給できるならば、我々はそれを購入する」と明言した。

 一方、スコティッシュアグロノミーのメンバーからロバーツ・ディレクターに対し「スコットランドの大麦が不足する反面、イングランドではビール向け、備蓄向けの大麦需要が減少している。イングランド産のものを購入・使用するということはないのか? 」という質問が挙がったという。ロバーツ・ディレクターはこれに「必要量の確保ができないという不安が払拭されない場合は、『サードパーティー』から購入する」と、需給バランスによってはスコットランド産以外のものも調達する可能性も認めた。


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2013年2月25日月曜日

シャンパン業界の前にそびえる、中国の「壁」(ブルームバーグ)

クリスマス シャンパン
 夜の上海。植民地時代(註:元記事による。かつての列強国の租界地区を指していると思われる)の面影を残す大通りに面したバーラウンジは、賑わいを見せる。1万元(約15万円)を支払うと6リットルのシャンパン、3リットルのウオトカ(ウォッカ)、そしてソフトドリンクが氷の器に入れられ、バーに雇われた6人のダンサーによって運ばれてくる。
「シャンパンを飲まない人でさえ、このショーを見るために金を支払う」
そう語るのは、バーを運営するヴィジュアル・オリエント・リミテッドのマチュー・ブラウアー(Mathieu Brauer)CEOだ。

Champagne in China Seen Failing to Match Cognac Cachet(ブルームバーグ)
http://www.bloomberg.com/news/2013-02-24/champagne-in-china-seen-failing-to-match-cognac-cachet.html

 コニャックが中国に初めて輸入されたのが1859年であるのに対し、シャンパンが同国市場で一定の地位を得たのは、ごく最近のことだという。「中国のシャンパン市場が変わるときが来た」とペルノリカール(仏)のシャルル・アルマン・ド・ベレネ(Charles-Armand de Belenet)シャンパン・マーケティング責任者は息巻く。中国は、ペルノリカールが保有するシャンパン・ブランド「ムーム」にとって世界2位、同「ペリエジュエ」にとって世界3位の輸出先だ。

 これに「シャンパン・メーカーは、中国市場に過大な期待を持っている。(同市場において)シャンパンはプッシュしていくのが難しい商品だ」と語るのは、市場調査企業ミンテルのポール・フレンチ・アナリスト。同アナリストは同じ仏国の商品でも、シャンパンにはコニャックほどの力はないと、否定的な見方を示す。

 この見解を考察するには、まず中国のシャンパンとコニャック、それぞれの市場規模を認識しなければならない。2011年の同国内でのシャンパン販売量は90万リットルであったのに対し、コニャックのそれは2550万リットル(市場調査企業「ユーロモニター」発表)。価格帯や市場内での歴史といった種々の要素もあるため、一概に比較するわけにはいかない。しかし、同じ高級商品カテゴリーでの「醸造酒」と「蒸留酒」という物差しで測った場合、この開きは実数以上のものであるとも見受けられる。

 どちらも仏国産の商品であるのに、なぜ、これほどの開きが出るのか――中国でコニャックが最も売れる時期は、旧正月前後だ。日本におけるお歳暮のごとく、旧正月の中国人たちは親類縁者や仕事上で世話になった人に贈り物をする。この習慣において人気商品となっているのが、コニャック、白酒といった蒸留酒だ。そしてこれらの贈り物を――フレンチ・アナリストに言わせれば「花瓶のように」――棚に飾る。こちらも、かつての日本人が「ジョニ黒」や「シーバス」を応接間の棚に飾っていたことと似ているが、重要なのは、蒸留酒はある程度保存が効く、ということだ。対してシャンパンは、一度開封してしまうと、すぐに消費しなければならない。つまり、開封後のシャンパンは棚に飾っておくことが難しくなってしまう――こうした習慣こそ、先のアナリストが述べた「シャンパン・メーカーの過大評価」という見解の源だ。

 一見、好景気が続いているように見える中国だが、コンサルタント企業ベインによれば30%程度で推移していた高級品市場の伸び率が、2011年には7%に急落したという。また、シャンパンの売上高も2012年は世界全体で4.4%下落した(前年比、シャンパーニュ地方ワイン生産同業委員会発表)。

 元記事のブルームバーグは、中国における西洋由来の、高級品の歴史は浅いと記す。中国でシャンパンが浸透するか否かは、今後の酒造企業の戦略にかかっている。

※2月26日追記:ブルームバーグ日本語版を見たところ、一部、翻訳に誤りがあったため、加筆修正しました。

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2013年2月24日日曜日

競走馬「セクレタリアト」を讃えるバーボンがリリース――ダービー制覇40周年記念で(オークションセントラルニュース)

 米競走馬セクレタリアト(写真)がケンタッキーダービーを制覇してから、今年で40年を迎える。ケンタッキーダービー・ミュージアム(米ケンタッキー州ルイビル、チャーチルダウンズ競馬場内)はこれを記念し、限定版バーボン・ウイスキーのリリースを計画していると、明らかにした。

 セクレタリアトは1970年生まれの米国産馬で、父=ボールドルーラー(1957年プリークネスステークス優勝)、母=サムシングロイヤル(母の父=プリンスキロ)。1973年にケンタッキーダービーを制し、このときの勝ち時計1分59秒4は現在でも同ダービーのレコード、そしてチャーチルダウンズ競馬場1マイル2ハロン(約2000メートル)のコースレコードとなっている。ダービー後は、プリークネスステークス、ベルモントステークスを制し、父が成し得なかった三冠を制覇、米国競馬史上9頭目の三冠馬となった。なお三冠目のベルモントステークスでは、2着馬に31馬身をつけるという圧倒的大差で勝利している。同年に引退し、以降は種牡馬として生活。1989年、蹄葉炎の悪化により安楽死処置となった。

 今回のデカンタは、セクレタリアトのオーナーだったペニー(本名=ヘレン)・チェネリー氏がフォアローゼズの原酒から選ぶ。500本限定でケンタッキーダービーに先立ち、5月1日にケンタッキーダービー・ミュージアムでリリースする予定。収益は同ミュージアムの運営、ならびに、セクレタリアト・ファウンデーション(財団)を通して獣医学研究や引退した競走馬の支援などに充てる。

Kentucky Derby bourbon decanter to honor Secretariat(オークションセントラルニュース)


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2013年2月23日土曜日

コニャック「カミュ」が創業150周年――記念デカンタ「キュヴェ5.150」をリリース(フォーブス)

 コニャック・メーカーのカミュが今年、創業150周年を迎える。五大コニャックと呼ばれるブランドの中でカミュは唯一、独立系家族経営メーカーの立場を維持している。19日には記念デカンタ「キュヴェ5.150」のリリースにあたり、ニューヨークでパーティーが開かれた。

 カミュの出荷先は東欧とアジアが中心といい、意外にも米国では2010年に初めて正規販売が始まっている。元記事の執筆者であるアンソニー・デマルコ氏は、わざわざ「pronounced “Kah-moo”(『カミュ』と発音する)」と記していることから、米国での知名度は高くないのかもしれない。キュヴェ5.150のお披露目イベントは他の国でも行なわれる模様だが、以上のような背景の中で、米国でのパーティーが世界初披露となった。

 キュヴェ5.150は、シャンパーニュ、プティシャンパーニュ、ファンボワ、ボンボワ、そしてボルドリの5種をブレンド。創業者のジャン・パティスト・カミュから当代であるシリル・カミュ氏までの5代に亘る伝統を表現するもので、熟成年数も合計すると150年になるようにブレンドしたという。1492本限定で販売し、価格=1万3500ドル(約130万円)。

Camus Cognac Unveils 150-Year Anniversary Product(フォーブス/商品画像あり)


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2013年2月22日金曜日

英酒造企業が、EU離脱を望まないワケ(英エコノミスト)

 本サイトで今月1日、ディアジオ(英)のポール・ウォルシュCEOが「英国はEU(欧州連合)に留まるべき」と発言した、という記事を掲載した。

 これに、英国のユーロスケプティシズム(欧州懐疑主義)の側から異論が出るかもしれない――英国の酒造業は、今や中国、インド、あるいは南米など世界中に輸出する一大産業となった。そうであるならば、英国ほどの大国にとっては益よりも負担が大きいEUに留まり続けるより、独立独歩で進んでいく方が酒造業にとっても良いのではないか――と。

 この点について英紙「エコノミスト」が、英酒造企業がEUから離れたがらない理由を解説している。

Johnnie won’t walk out(英エコノミスト)
http://www.economist.com/news/europe/21572191-why-scotch-whisky-makers-want-stay-european-union-johnnie-wont-walk-out

EUという「国」


 まず、EUの市場規模を再確認しなければならない。EUを単一の国として見た場合、GDP(国内総生産)は17兆ドル(約1580兆円)に上る。米国の上を行く数字で、すなわちEUは世界一のGDPを持つ国、ということになる。酒類にこれをスケールダウンした一例として、マーケティング企業「インターナショナル・ワイン・アンド・スピリッツ・リサーチ」は、スコッチ・ウイスキーの販売先の4割がEU向けであったと発表している。経済危機に瀕し、酒造各社の実績発表時には毎回(悪い意味で)名前が挙がるスペインでさえ、中国の倍額以上、スコッチ・ウイスキーを輸入している(SWA発表)。

 EU域内の「モノ」の移動には通関手続き等を必要としない。もしEUから離脱すれば、関税を含め通関コストを支払わなければならなくなる。

 またヨーロッパ市民が持つ、スコッチ・ウイスキーに対する「好印象」も無視できない。スペインでフランコ政権が終焉したとき、ウイスキーを飲むことは富と解放の象徴であったし、ギリシャでは「ヨーロッパ人の証」として中産階級の間でウイスキーを飲むことが好まれた。先にも述べたとおり、これらの国は現在、経済危機に喘いでいる。しかし一方で、2004年にEU加盟したポーランドは経済成長の中にあり、ウイスキー市場も急成長している。今後、新たな加盟国が現れる可能性も否定できず、こうした点から、英酒造企業にとってEU離脱は不利益の方が大きいと考えているのだろう。

インドとのFTA


 EUの外に目を向ける。以前、本サイトで以下の記事を引用したことがあった。

インドにウイスキー売り込み 日本の上質もの飲んで!(共同)

 同記事では「英国の植民地だったインドにはウイスキー愛好者が多い」としている。これは間違いではなく、今回の元記事でも「インドのウイスキー消費量は、インド以外の世界とほぼ同等」と触れる。ただし、インドで多く飲まれるのは「マクダウェルズ」「バグパイパー」といった、名前はスコッチ風だが地場産のウイスキーだ。これらは糖蜜を原料とするため、ウイスキー愛好家の中には「ラム」と揶揄する者もいる。

 そしてインドでは、「本物」のスコッチ・ウイスキーに150%の関税が掛けられる。富裕層以外にとっては高嶺の花だ。酒造業界はこの状況を良しとはしていない。現在、EUとインドはFTA(自由貿易協定)の交渉中で、SWA(スコッチ・ウイスキー協会)もこの交渉に期待を寄せる。

 当然、英国がEUから離脱すれば、FTAの話は最初から無かったことになる。FTAによって大きな恩恵を授かる英酒造企業にとって、EUからの離脱を好むはずがない。

「ジョニーウォーカーは孤独に歩きたくない」


Johnnie Walker スコットランドは来年、連合王国からの独立の可否を問う住民投票を行ない、連合王国のデイヴィッド・キャメロン首相もまた、2017年にEU加盟継続の是非を問う国民投票を行ないたい意向だ。

 しかし元記事の「エコノミスト」はこれまで述べた点を鑑み、連合王国とEUという2つのユニオンに留まり続けることがウイスキー生産者の望むことと結論づける。なかでも、EUという単一市場に残留することが絶対的な優先事項としている。その上で、ジョニーウォーカーのイメージキャラクターである「ストライディングマン」(写真)になぞらえ、以下のようにまとめる。

「ジョニーウォーカーは世界中を歩き続けるだろう。しかし、孤独に歩むことは望んでいない」


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2013年2月21日木曜日

ラム「バンダバーグ」、限定ボトルをリリース――サイクロン被害からの復興目的に(ニュースメール他)

 オーストラリア・クイーンズランド州に先月末、サイクロン「オズワルド」が上陸した。各地に被害をもたらし、サトウキビと、そこからつくられるラムで知られるバンダバーグ市でも、大規模な洪水が発生している。

 未だ復旧・復興の途上にあるが、3月16日には市内の清掃と観光客回帰を目的としたイベントを開催。この場で、ラム「バンダバーグ」の限定ボトルをリリースする。「ロードトゥリカバリー」といい、バンダバーグ市内を通る複数のストリート名が与えられる。価格は60オーストラリアドル(約5750円)で、見込まれる25万オーストラリアドル(約2400万円)の売上は全額、復興資金に充てられる。

 バンダバーグのグラハム・リグルワース・サイトマネージャーは「当社は125年間、地域社会の一員であり、誇り高き歴史を持つこのコミュニティに(これまでの利益を)還元する」とコメントした。

Bundy Rum's special flood recovery efforts(ニュースメール/商品画像あり) ブリスベンなどに洪水警報(JAMS.TV)


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ラムのバンダバーグ、高級カテゴリーの新商品をリリース(シャウト)

カザフスタンのウオトカ工場テロ計画、少年3人に有罪判決(ユーラシアネット他)

 カザフスタン・アクトベのウオトカ(ウォッカ)工場爆破というテロ計画を立てたとして、当地の裁判所は19日、少年3人にそれぞれ懲役3〜5年を科す判決を下した。ウオトカ工場の所有者であるGEOM(同国)は昨年4月、ラベルにアラビア語で「アラーの力で皆満ちる」とプリントしたウオトカをリリース。飲酒を戒律で禁止するイスラム教関係者から抗議を受け、謝罪、販売停止に追い込まれていた。

 判決を受けたのは、サラマット・アクへット被告(Salamat Akhet、17歳)、ナースルタン・テインズバイェブ被告(Nursultan Tenizbayev、18歳)、アースラン・ザカバイェブ被告(Arslan Zhakabayev、同)の3人。全員無罪を訴え、保護者も秘密警察による陰謀を主張していたが、裁判官は有罪と判断し、アクへット被告に懲役3年、テインズバイェブ、ザカバイェブ両被告に懲役5年を科した。

 カザフスタンは特定の宗教を国教とはしていないが、イスラム教徒が人口の7割を占める(ソース)。

Kazakhstan Reveals ‘Allah Vodka’ Terror Plot(ユーラシアネット) Kazakhstan Jails Three For Plan To Destroy 'Allah Vodka' Factory(ラジオフリーヨーロッパ/ラジオリバティ)


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「爆発の原因はたばこ」——違法ウオトカ工場爆発事故でリトアニア人従業員がコメント(ランカシャーイブニングポスト)

2013年2月20日水曜日

ユナイテッドブルワリーズ、KFA債務問題で清算の危機――ディアジオのUSL買収遠のく(CNBC-TV18)

 英酒造大手ディアジオによるユナイテッドスピリッツ(インド、USL)経営権取得に、新たな問題が起こった。経営危機に陥ったキングフィッシャー航空(同、KFA)の債権を持つ銀行団が、ユナイテッドブルワリーズホールディングス(同、UBホールディングス)に肩代わりを求める意向であることが明らかになったためだ。UBホールディングスが返済しない場合、会社清算を申し立てることを検討しており、資産保全を理由にUB・ディアジオ間のUSL株譲渡が無効となる可能性が出てきた。

Loan recall, corp guarantees may derail USL-Diageo deal(CNBC-TV18)
http://www.moneycontrol.com/news/cnbc-tv18-comments/loan-recall-corp-guarantees-may-derail-usl-diageo-deal_827750.html

 KFAは7000クローレ(約1210億円、1クローレ=1000万ルピー)の債務を抱えており、USL売却もKFAの経営再建を目的とした側面を持っていた。KFAが債務償還を行なわなければ、その義務を負うのは親会社であるUBホールディングスとなる。銀行団はまず、UBホールディングスにKFAの債務を償還するよう通告し、定めた期限内に償還されなければ、UBの清算を裁判所に求めるという。この場合、債権者保護のためUBホールディングスが持つ資産や債権が保全の対象となり、UB・ディアジオ間のUSL株取引も無効となる可能性が生まれる。

 法廷外で銀行団と協議することにより、ディアジオは既に取得したUSL株を守る可能性も残っている。しかし、それが銀行団に認められ、また、UBホールディングスの清算に至らなかったとしても、ディアジオのUSL経営権取得には障害が立ちはだかる。

 銀行側もKFAへの貸付けの担保としてUSL株を取得しており、同株の時価は本稿掲載時点で1840ルピー(約3180円)前後で推移。ディアジオが当初予定していた公開買付の価格は1440ルピー(約2490円)であるが、これまでの背景から銀行側も簡単に同株をディアジオに手渡すとは考えにくく、少なくとも現状に見合った対価をディアジオは用意しなければならない。

 いずれにしてもディアジオは、利害がぶつかる銀行団とテーブルを共にすることが必要になりそうだ。


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