2012年12月31日月曜日

2012年年間PV数ランキング――第1位は「あのブレンデッド」

 本サイトがスタートしたのは今年1月22日。何度か長期間お休みすることもあったが、218本(「お知らせ」「用語解説」を除く)の記事を掲載した。

 そこで、年間PV数ランキングから今年1年を振り返りたい。


【第5位】ハイランドパーク、新シリーズの第一弾として「トール」をリリース(ハーパーズ)

 まず、いきなり訂正とお詫びになってしまうが、「THOR」の発音はトールではなく、「ソー」が正しい。お詫びします。

 今年も特徴的なモルト・ウイスキーが数多くリリースされたが、こうした記事が上位にくると、まだまだモルト人気が高いと感じさせられる。

【第4位】女王陛下に最敬礼——ロイヤルサルートのダイヤモンド・ジュビリー記念ボトルがリリース

 英国にとって2012年は、記憶に残る年になったと思う。ロンドンオリンピック、(周囲には不幸な出来事も起こってしまったが)キャサリン妃ご懐妊、そしてダイヤモンド・ジュビリーと大きなイベントが目白押しだった。

 ダイヤモンド・ジュビリーの関連記事も幾つか掲載したが、その中ではエリザベス女王即位にゆかりを持つロイヤルサルートのものが最も多く読まれた。

【第3位】アイリッシュ・ウイスキーはジェイムソンのひとり勝ち(インサイドアイルランド)

 別の記事にも書いたことだが、「ジェイムソンの一人勝ち」というのは間違い。スコッチ・ウイスキーや他のスピリッツと同様、アイリッシュ・ウイスキー全体でも輸出を中心に売上を伸ばしている。ということで、これもお詫びします。

【第2位】アードベッグとバルヴェニー、記念ボトルをそれぞれリリース(BBC他)

 2つのモルトを紹介した記事だが、主に「アードベッグ・ガリレオ」の情報を得るため、アクセスする方が多かったと思う。掲載時点で既に在庫切れとなっていながら、日本のバーカウンターで見かけることが間々あったボトル。

 ちなみに国際宇宙ステーションに持ち込まれたアードベッグのサンプルは、2013年中にも地球に帰還する。どのような実験結果になるのか、多くの人が楽しみにしているだろう。

【第1位】ジョニーウォーカー、ラインナップを変更——グリーンラベルは完全廃止、プラチナムラベルが新たにリリース(ザ・ドリンク・ビジネス他)

 10月下旬にキリンビールが正式発表するまでの半年間、「嘘を書いてしまったのではないだろうか」と不安を持っていたのが、この記事に対する筆者の正直な気持ちだ。正式発表以降、おそらくアクセスの途絶えた日はなかったように思う。


 読者の皆様は、ランキングにどのような感想をお持ちになっただろうか。

 2013年も多くの人が、楽しく、面白く、お酒を飲めるよう、様々な話題を提供していきたい。

ナイジェリア・ラゴスに「バカルディ・オークハート・ラウンジ」オープン(ベラナイジャ)

BACARDI OakHeart  バカルディ(英領バミューダ諸島)は7日、ナイジェリアの都市ラゴスにラウンジ&バー「バカルディ・オークハート・ラウンジ」をオープンした。同社が販売するスパイスト・ラム「バカルディ・オークハート」(写真)の名を冠したもの。オープンにあたり「オーク・アンド・コーク」というイベントを開催した。

Premium Rum Brand Bacardi launches the Bacardi Oakheart Lounge in Lagos(ベラナイジャ)
http://www.bellanaija.com/2012/12/27/premium-rum-brand-bacardi-launches-the-bacardi-oakheart-lounge-in-lagos-photos/

 同社はバカルディ・オークハートを「特徴的なオークのフレーバーを持ち、ラムパンチにすると口あたりのよい辛さがある」と説明する。また「バカルディ・オークハートとよく合うのはコークだ。バーで『オーク・アンド・コーク』と注文してほしい。短くて、ユニークで、気軽に注文できるし、賑やかな店内でもバーテンダーは簡単に理解してくれる」と、イベント名になったカクテルを推奨する。

 イベントには西アフリカ地域の人気シンガー、Iyanya氏らが出席。他にも、ラゴスは映画産業が盛んであることから映画プロデューサー協会の前会長や、アフリカ映画制作者連盟の地域代表など映画関係者、芸能関係者が多数出席した模様だ。

 また、同社は社会活動として、ラゴス・イコイにある小学校に50万ナイラ(約28万円)を寄付。若年層がコンピューター・ネットワーキングへ参加できる機会を設けるための基金も、設立する方針だという。ラゴスはアフリカ最大級の都市ではあるが、未だ発展途上にあり、治安や格差などの問題を抱えている。

 バカルディ・オークハートは日本での正規販売は行なわれていないが、並行輸入品がネット販売で2,000円程度で入手可能。


<関連記事>
バカルディ オフィシャルサイト
「アメリカンラム協会」が発足――バカルディ、ディアジオなどの大企業に対抗(イグザミナー)
バカルディ、低カロリーのプレミックスカクテルをリリース——スキニーガールに対抗か

2012年12月30日日曜日

ロシア企業、ウオトカに「江南スタイル」商標登録へ――PSY氏は静観の構えか(RT他)

 ロシア企業ウーボ(Woobo)インターナショナルが、「オッパ、江南(カンナム)スタイル」の商標登録を米国、ロシアで進めている。ウオトカ(ウォッカ)、ジュース等の飲料に使用する方針。しかし、同フレーズは韓国のアーティストPSY氏(サイ氏、写真)が歌う曲のタイトル、歌詞であり、プロモーションビデオがユーチューブで10億回再生されている。両者は無関係であり、PSY氏の対応が注目されている。


Russia to produce “Oppah, Gangnam Style” vodka if Psy agrees(RT)
Gangnam-Style Vodka Coming Soon From Russian Company(ハフィントンポスト)
http://www.huffingtonpost.com/2012/12/27/gangnam-style-vodka_n_2370226.html

 ウーボは、米国では9月に、ロシアでは今月、申請を行なった。一方、PSY氏の所属事務所YGエンタテインメントも、8月に米国において商標登録申請している。ただYGエンタテインメントは、玩具、衣料品など多岐にわたるカテゴリーで申請しながら、飲料品については登録項目に加えなかった模様。

 ロシアの法律家、イリーナ・トルビエワ氏によると、PSY氏の同意がない限りロシアでの商標登録は難しいという。しかし、情報誌「スターズ&ブランズ」のワジム・コルミリツィン編集長は「視聴者、ユーザーは、曲のタイトルとブランド名、あるいは歌詞と商品との間を等号で結びつけることはしない」という見解を示す。

 また、ウオトカの江南スタイルが持つポテンシャルについて、広告代理店レジェンドのアントン・コロブコフ−ゼムリャンスキー(Zemlyansky)氏は以下のようにコメントする。
「最近になって、ビデオの人気は落ちている。これで儲けようとしても非効率だ。また、商標登録が完了するまで1年かかる。その頃には(江南スタイルは)忘れられているだろう。もし、PSY氏の人気があと2〜3年もつならば、ウオトカだけでなく、記念品や服など、なんでも発売できる」

 米国では、テネシー州の男性が11月、「江南スタイル・チキン」「江南スタイル・ホットウイングス(手羽先)」の商標登録を申請した。このとき、PSY氏は提訴しないことを明言している。


<関連記事>
ロシア、「Skyy」の商標登録差し止めへ――スカイウオトカ製造元の勝訴で(RAPSI)
中国の知的財産権問題はウイスキーにも——シーバスが商標権訴訟で敗訴(スコッツマン)

2012年12月29日土曜日

スコッチ・ウイスキーの経済効果は5800億円――SWA・コンサルティング会社が分析(BBC他)

 スコッチ・ウイスキー協会(SWA)は、創立100周年記念事業の一環として4-コンサルティング(英スコットランド)にスコッチ・ウイスキーについての経済分析を依頼した。結果を示すレポートでは、スコッチ・ウイスキー産業は42億ポンド(約5840億円)の経済効果を産み出し、1970年代の成長期に続く「第2の黄金時代」にあるとまとめた。

Second 'Golden age' for Scots whisky industry(BBC)
Scotch whisky generates more value than City(スコッツマン)
http://www.scotsman.com/business/management/scotch-whisky-generates-more-value-than-city-1-2709420

 発表によると、42億ポンドの内訳として29億ポンド(約4030億円)がウイスキー産業そのものから、13億ポンド(約1810億円)はサプライチェーン(供給連鎖)によるものだとしている。また、業界内雇用者1人あたりの生産高は27万5千ポンド(約3820万円)に上り、シティオブロンドン(金融街などが存在するロンドンの中心部)のそれより57%高いという。雇用に対する効果も36000名規模としている(おそらく、間接的なものも含めた数字)。

 SWAのギャビン・ヒューイット会長は、以下のようにコメントした。
「スコットランドの他の産業と比較すると、輸出において常に望ましい状況にスコッチ・ウイスキーは身を置いている。このレポートは、スコッチ・ウイスキーがスコットランドの輸出産業において、重要な役割を果たしていることを示す。成長を勢いづかせるには連合王国政府、ならびにスコットランド政府による助成が必要。スコッチ・ウイスキーは彼らが思い描く、輸出主導による経済回復を下支えできる」


<関連記事>
スコッチ・ウイスキー協会オフィシャルサイト
スコットランド議会で「スコッチ・ウイスキー展」――SWAの創立100周年記念事業(スコッツマン)
スコッチ・ウイスキーに新たな問題――モルト・大麦の輸入を巡る対立が表面化(スコッツマン)

2012年12月28日金曜日

手軽に入手できるウオトカ代表格はアブソルートとヴィスカ――米紙がテスト結果発表(タイムズユニオン)

 米紙「タイムズユニオン」は、独自にウオトカ(ウォッカ)の商品テストを行ない、「アブソルート」と「ヴィスカ」(Vesica、写真)がトップスコアを獲得したと発表した。

Absolut, Vesica make grade in vodka test(タイムズユニオン)
http://www.timesunion.com/living/article/Absolut-Vesica-make-grade-in-vodka-test-4147004.php

 同紙は「シェフ・テスト」と称する評価を毎月行なっている。スーパーマーケットで入手可能な食品を取り上げ、それぞれの分野のプロが審査するものだ。今回はバブルラウンジ(コネチカット州フェアフィールド)のバーテンダー、ジェシカ・スミス氏が審査を行なった。

 対象となったのは6商品。トップの2商品は97点を獲得しており、スミス氏はアブソルートをダーティー・マティーニやコスモポリタンなどに、ヴィスカはマティーニなどに適していると評する。

 ヴィスカはポーランドのウオトカで、現在のところ日本国内での正規販売は行われていない。本サイト調べではネット販売なども見つけられず、国内での流通は皆無か、ごく少量なものと見られる。

 なお、同紙の発表する全ての結果は下記の通り。

アブソルート:97点
ヴィスカ:97点
ショパン:96点
ストリチナヤ:57点
グレイグース:49点
ケテルワン:32点
(満点=100点)


<関連記事>
アブソルート オフィシャルサイト
ヴィスカ オフィシャルフェイスブックページ
ドリンクスビジネスが選ぶ「変わったウオトカ・トップ10」①(ドリンクスビジネス)
英誌・調査会社が共同で酒類ブランドランキングを発表(アドエイジ)

2012年12月25日火曜日

米ルイジアナ州にラム蒸留所――来年開業・発売予定(NOLA.com)


蒸留所の完成予想CG

 米本土に新たなラム蒸留所がオープンする。

 ルイジアナスピリッツ(米ルイジアナ州)は、同州Lacassine(ラカシン?)に蒸留所を建設中だ。スケジュールに遅れが出ている模様だが、2月に操業開始、4月ないしは5月にビジターセンターのオープンを目標にする。

 同社はラムを生産し、蒸留所開業後の数ヶ月はテストバッチを行ないながら、レシピを仕上げていく予定。また、当初はシルバーラム(透明色のラム)やスパイストラムが中心商品になるが、初期のうちから樽熟成向け原酒の生産比率を高めていくという。

 トレイ・リテル代表は「我々のラムは、カリブのクラシックなスタイルから影響を受けている。材料はルイジアナ産のものを使う」とコメントした。

 1月中旬には、ラムのブランド名、ならびに取扱代理を発表する。

Lacassine rum distillery nearing completion(NOLA.com)


<関連記事>
「アメリカンラム協会」が発足――バカルディ、ディアジオなどの大企業に対抗(イグザミナー)

2012年12月21日金曜日

ディアジオ・サントリー、今週の動き(テレグラフ他)

 投資銀行JPモルガン(米)は酒造最大手ディアジオ(英)の株式について、ポジション評価を「売り」から「ニュートラル」に変更した。取沙汰されるビーム(米)買収案が好意的に評価されたためで、ロンドン証券取引所での株価も20日終値で1844.26ポンド(約253255円)と、3日連続で上昇している。

 JPモルガンのマシュー・ウェブ・アナリストは、以下のようにコメントする。
「米国のスピリッツ市場は(構造やカテゴリーなど)細々としているが、ディアジオがビームの経営権を取得することにより、整理され、強固なものになる。ビームは有力なバーボン・ブランドと(ポテンシャルを持つ)テキーラ・ブランドをポートフォリオに収めており、ディアジオはこれらを手にすることで、同市場においてより強いポジションに立つことになる。ディアジオの強い格付けを考えれば、今回の取引は魅力的なものだ」

JP Morgan gives thumbs up to Diageo's potential $10bn bid for Beam(テレグラフ)

 一方、ディアジオとともにビーム買収に乗り出すとされるサントリーは年明けに、ブラジル市場に参入する。1970年以降も同国に進出していたが、経済的に未成熟な時期であったため、2004年に撤退している。

 今回の参入では、2015年までに売上高を10億円にすることが目標。日本からシングルモルト「白州」「山崎」のほか焼酎類を、メキシコで生産されるリキュール「ミドリ」、プラムワインを輸入する。

 ブラジルは2014年にFIFAワールドカップ、2016年にリオデジャネイロ夏季五輪を控えており、さらなる経済成長が期待されている。

Japan’s Suntory Liquors announces re-entrance into Brazilian market(ジャパンデイリープレス)

2012年12月20日木曜日

グレンフィディックがクリスマスツリー制作――ボトル665本使用(トーキングリテール)

 スコッチ・シングルモルト「グレンフィディック」がクリスマスツリーを蒸留所に設置した。グレンフィディックの象徴といえるグリーンの三角柱ボトル665本を使用したもので、高さは10フィート(約3メートル)を超える。

Glenfiddich distillery marks single malt’s 125th anniversary with Glenfiddich bottle Christmas tree(トーキングリテール、リンク先にツリーの画像あり)
http://www.talkingretail.com/products/product-news/glenfiddich-distillery-marks-single-malt%E2%80%99s-125th-anniversary-with-glenfiddich-bottle-christmas-tree

 グレンフィディックは1887年12月25日に初めての蒸留を行ない、今年のクリスマスで125周年を迎える。スチュアート・ワッツ・サイトリーダーは「ボトルツリーはグレンフィディックの125回目の誕生日、そしてクリスマスに捧げたものだ。我々従業員たちがつくったという事実が、より特別な意味を持つ」と満足感を示す。

 ワッツ・サイトリーダーの言葉どおり、ツリーは従業員たちの手によるものだが、ともにアンディ・フェアグリーブ氏もツリーづくりに参加した。フェアグリーブ氏はグレンフィディックが進める芸術プロジェクト「アーティスツ・イン・レジデンス」のコーディネーターを務めており、「大変な作業だったが、ツリーで何かを表現できたこと、(完成したという)結果について嬉しく思う」とコメントした。


<関連記事>
トランプ氏、グランツ社を非難――「トップ・スコッツ」選出をめぐり(スコッツマン他)
傷痍軍人の登山隊、エベレスト登頂を断念——スポンサーはグレンフィディック(テレグラフ) ストックホルムに「スピリットミュージアム」——最初の展覧会はアブソリュートの広告を題材に(GADLING)

2012年12月19日水曜日

レミーコアントロー、ラーセンを買収へ(4トレーダーズ)

 仏酒造大手レミーコアントローは、コニャック・メーカー「ラーセン」の全株式を取得すると発表した。10月より開始された両社間の交渉が、合意に至ったもの。現在のところ、買収額は明らかになっていない。

 ラーセンは1926年、ノルウェーからの移民であったイェンス・レイダー・ラーセンが創業。以後、3世代にわたり独立系メーカーとして経営されてきた。海賊船をイメージしたボトル「ヴァイキング・シップ」(写真)などで知られる。

REMY COINTREAU : signs an agreement to acquire the Larsen Cognac Company(4トレーダーズ)


<関連記事>
ディアジオ、サントリーと共同でビーム買収か――ホセクエルボ買収交渉は決裂(テレグラフ他)

NBAのシャキール・オニール氏、ウオトカをプロデュース――シュガー・グルテンフリーのフレーバード商品(ハフィントンポスト)

 米プロバスケットボールリーグ、NBAの元選手シャキール・オニール氏(写真)がウオトカ(ウォッカ)をプロデュースする。ブランド名「Luv Shaq(ラブシャック)」で、LuvはLoveの省略形、Shaqはオニール氏の愛称だ。ココナッツフレーバーで、アスリートも楽しめるようシュガー、グルテン(麩質)フリーの商品になるという。年明けにも発売予定。

Shaq Vodka Brand, Luv Shaq, To Compete With Diddy's Ciroc(ハフィントンポスト)
http://www.huffingtonpost.com/2012/12/18/shaq-vodka-luv-shaq_n_2325146.html

 生産を担当するのはディヴォーションウオトカ(カリフォルニア州サンフランシスコ)。同社創業者であるドリュー・アデルマン氏は、ラッパーの(ショーン・)ディディ・コムズ氏とタイアップするウオトカ「シロック」に真っ向から争うと意気込む。また、そのために「より競争力のある価格にする」としており、30ドル程度(約2500円、バーモント州での価格を参考)のシロックに対して、どのような価格設定を行なうか注目される。

 オニール氏、コムズ氏に限らず、ミュージシャンのマリリン・マンソン氏がアブサンを、俳優のダン・エイクロイド氏はウオトカ、というように近年、米国のセレブリティが酒をプロデュースする傾向にある。


<関連記事>
英女優がテキーラをプロデュース――100%アガヴェ、二日酔いになりづらいことを謳い文句に(オフライセンスニュース)
F1ドライバーのバトンがジョニーウォーカー・ハウスを訪問(ドリンクスビジネス)

2012年12月17日月曜日

グレンファークラス、プロダクションマネージャーにフレーザー氏――バーンスチュワート系蒸留所から移籍(ウイスキーマガジン)

 スコッチ・シングルモルトのグレンファークラス蒸留所は、新プロダクションマネージャーにカラム・フレーザー氏を任命すると発表した。同蒸留所の運営元であるJ&Gグラントが発表したもの。

Glenfarclas appoints new Distillery Manager(ウイスキーマガジン)
http://www.whiskymag.com/news/18243.html

 フレーザー氏はスコットランド・スターリングシャー出身。バーンスチュワートが1990年に操業再開を決定したディーンストン蒸留所の門をくぐり、ウイスキー職人としてのキャリアをスタートした。2006年にはディスティラリーマネージャーに就任している。移籍にあたりフレーザー氏は「数年前、エア(スコットランドの都市)で行なわれたウイスキーフェスティバルで初めてグレンファークラスを飲んで以来、興味を持ち、フォローしてきた。モルト・ウイスキーの故郷といえるスペイサイドへ移るということに、独立した家族経営の蒸留所で働けることに、興奮している」とコメントした。

 ジョン・グラント会長は「グレンファークラスにカラム・フレーザーを迎えられ、嬉しく思う。2012年は記録的な実績をあげており、来年はさらに拡大していく計画だ。彼が加わることで忙しく、エキサイティングな時間が過ごせるだろう」と歓迎の意を述べる。

 なお、来年5月2日〜6日に「スピリット・オブ・スペイサイド・ウイスキーフェスティバル」が蒸留所など、スペイサイド各地で開催される。グレンファークラスでは、フレーザー氏をホストに蒸留所内ツアーを行ない、一般客もプロダクションマネージャーと触れ合える機会を設けるという。


<関連記事>
マッカラン、「マスターオブウッド」にマクファーソン氏を任命――業歴30余年の樽職人(ウイスキーマガジン)
アードベッグとバルヴェニー、記念ボトルをそれぞれリリース(BBC他)

2012年12月16日日曜日

エミレーツ、スコッチ・ウイスキーの輸出を支える――ドバイ−グラスゴー線の輸送量拡大(ヘラルドスコットランド)

 今年6月、エミレーツ航空(UAE)のドバイ−グラスゴー(英スコットランド)路線が1日2往復に増便された。先月には貨物630トンを輸送し、同路線としては最繁忙の月になったという。

 この業績を支えるのが、スコットランド産の魚介類、そしてスコッチ・ウイスキーの貨物輸送だ。

Emirates in high spirits as whisky exports soar(ヘラルドスコットランド)
http://www.heraldscotland.com/business/markets-economy/emirates-in-high-spirits-as-whisky-exports-soar.19645279

 「ウイスキーの輸送は船便だと考える人もいるだろうが、突然、在庫がなくなることもある。中東諸国にはそれだけの(ウイスキー)需要がある」と語るのは、エミレーツのローリー・ベリーマン英国アイルランド担当副社長だ。同社は今年、100万kgのウイスキーを輸送した。ベリーマン副社長によると「ボトルに換算してもおそらく100万本程度」に上り、ダイヤモンドがちりばめられた50万ポンド(約6700万円)のシーバスリーガルなど希少価値の高いボトルも空輸した。

 また毎日21時(英国時間)、ドバイに向けてグラスゴー国際空港を飛び立つエアバスA340-300機には、マテ貝、カキ、あるいはサーモンなど、スコットランドで漁獲された生鮮食品も積み込まれる。翌朝8時15分に到着し、ドバイのレストランで利用されるものだという。

 グラスゴー市役所のスコット・テイラー・マーケティング局長は「1日2往復の増便が大きな成功を見せているのは、明らかだ。中国、インド、オーストラリアなどからの訪問者も増えており、大きなビジネスの輪を形成したという点で大きな一歩。グラスゴーの競争力に特筆すべき後押しを加えてくれた」と増便による成果を喜ぶ。

 UAEへのウイスキー輸出額は昨年、8200万ポンド(約110億円)に達し、前年比16%増となっている。スコッチ・ウイスキー協会のローズマリー・ギャラガー・コミュニケーションマネージャーは「(ドバイが)中東やその他アジア地域においての、流通の交差点となっている。船便が主流だが、航空便では少量注文や迅速な対応が可能だ」と、UAEへの輸出が順調な理由、空輸によるウイスキー輸出が持つ意味を説明する。

How we fly これまでエミレーツは、同路線にボーイング777−300ER機(写真)とエアバス機の2機を投入していた。昼に出発する便はボーイング機、夜の便は前述の通りエアバス機による運航だ。しかし好調であることからから年明けより2便とも、輸送能力の高いボーイング777での運航に切り替わる。


<関連記事>
焼酎、日本酒を「国酒」に——古川特命相が海外展開の方針を言明(デイリー・ヨミウリ他)
「アイリッシュ・ウイスキーは今『黄金時代』」——ホットアイリッシュマン創業者が語る販売戦略(ビジネス&リーダーシップ)

2012年12月15日土曜日

サーカスのゾウ、ウオトカに救われる?(BBC)

 ポーランドのサーカス団に所属する2頭のゾウが巡業のため、ロシア・シベリアをトレーラーに乗って移動していた。しかし、トレーラーは――おそらく故障によるものだろう――炎上してしまう。当然、スタッフは即座にゾウを降ろした。

 しかし、そこはシベリアという極寒の地。気温は氷点下40度だったという。ゾウは耳に凍傷を負った。

 このままではゾウが死んでしまう――そう思ったスタッフが取り出したのは、ウオトカ(ウォッカ)だった。2ケースのウオトカをお湯割りにし、ゾウに飲ませたという。

「ジャングルの中にいるかのように、ゾウたちは鳴き始めた。たぶん、ハッピーな気持ちになったのだと思う」とスタッフは振り返る。そして、ゾウにウオトカを飲ませたことで厳寒から救うことができたと関係者は主張している。ゾウは後に地元警察協力の下、近隣の大学に設置された温室に移され、体力の回復が図られた。

 人間と同じく、動物もアルコールを摂取することで暖かさを感じるが、体温そのものは低下するといわれている。ただ、ロシア・ノヴォシビルスク動物園のロスティスラフ・シロ・ディレクターは「ウオトカに酔わなければ、低体温症や肺炎で死んでいたかもしれない」と、飲用しなかった場合に起こり得た事態について言及している。

Vodka 'saved' elephants in Siberian freeze(BBC)

テキーラ「カーサ・サウザXA」がリリース――米国、メキシコ、TRで限定販売(スピリッツビジネス)

 米酒造大手ビームは11日、テキーラ「カーサ・サウザXA」(写真)をリリースすると発表した。ウェーバーブルーアガヴェを原料に、アメリカンオーク樽で3年熟成したもの。12000本限定で販売される。

 ビームのジジ・ダダン(Gigi Dadan)グローバルテキーラマーケティングディレクターは「今回の新商品は我々の開拓者精神を表現し、今日の(消費者が持つ)洗練された味覚に適う良質なテキーラに仕上げることができた」と自信を示す。

 750ミリリットル・ボトルで、アルコール40%。小売価格は150ドル程度(1万2500円程度)になる予定。米国、メキシコ、TR商品(用語解説参照)として販売し、このうち1800本は米国向けになるという。

BEAM RELEASES FIRST EXTRA ANEJO SAUZA TEQUILA(スピリッツビジネス)


<関連記事>
ブルガルが限定デカンタを来年リリース――トラベルリテール商品、創業125周年を記念(スピリッツビジネス) 「ロバート・バーンズ」のマルチヴィンテージ・エディションがリリース――アイル・オブ・アラン蒸留所(ウイスキーマガジン)

2012年12月14日金曜日

広告の組み合わせは「ホワイトスピリッツ×車」がベター?――ビーフィーターのロンドンタクシー発進、チェースがF1をスポンサードか(リテールタイムズ他)

beefeatercab
ジン「ビーフィーター」によるロンドンタクシーのラッピング広告(写真)が始まった。クリスマスに合わせてスタートしたもので、交通広告企業、トランスポートメディア(英イングランド)が手掛ける。

 タクシーにはデカダン的なロンドンの情景を描き、中央部にビーフィーターのロゴが入る。1年契約でセントラルロンドン地域を走るほか、ビーフィーターの工場を訪れるゲストの送迎にも利用されるという。

Beefeater gin promotes decadent side in new London taxi advertising campaign(リテールタイムズ)

 また、ウオトカ(ウォッカ)「チェース」が自動車レース、フォーミュラ1(F1)のシリーズスポンサーに就くのではないかと報道されている。

 製造元のチェースディスティラリーは、農業者で実業家のウィリアム・チェース氏が2008年に設立した蒸留所。プレミアム・カテゴリーのウオトカ、ジンを生産しており、2010年のサンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティションではウオトカ・カテゴリーで「ベスト・ウオトカ」を受賞した。

 F1では既にシャンパン「マム」がスポンサーとなっており、シャンパンファイトでもボトルを提供している。しかし、「F1のボス」と呼ばれるバーニー・エクレストン氏は元記事ピットパスの取材に、スポンサーの業種重複を問題としない見解を述べた。

Chase vodka in the chase for F1 sponsorship(ピットパス)


<関連記事>
ストックホルムに「スピリットミュージアム」——最初の展覧会はアブソリュートの広告を題材に(GADLING)

2012年12月12日水曜日

「ジョニーウォーカーハウス北京」がオープン――上海に続き2ヶ所目

 ジョン・ウォーカー&サンズ(英スコットランド)は中国北京市の中心部、東城区に「ジョニーウォーカーハウス北京」(写真)をオープンした。富裕層を対象とした商品、ウイスキー文化を紹介する施設で、昨年オープンした「ジョニーウォーカーハウス上海」に続き2ヶ所目となる。

 同ハウスは会員制で、自ら原酒を選びブレンディングが体験できるほか、常駐のエキスパートによりジョニーウォーカー、ウイスキーの文化や生産プロセスなどが説明される。「オデッセイ・ラウンジ」、「ストリディング・マン・バー」を併設し、また、会員がスコットランドを旅行する際には、蒸留所見学、会員限定ゴルフコースの手配も行なう。

 月曜定休で、営業時間は19時〜翌2時。住所は北京市東城区前門東大街23。

プレスリリース


<関連記事>
F1ドライバーのバトンがジョニーウォーカー・ハウスを訪問(ドリンクスビジネス)

2012年12月11日火曜日

ディアジオ、サントリーと共同でビーム買収か――ホセクエルボ買収交渉は決裂(テレグラフ他)

 ディアジオ(英)、サントリーが共同でビーム(米)買収を計画していると、複数メディアが報道している。

Diageo plots move on US rival Beam(テレグラフ)
Smirnoff maker Diageo in talks with rivals about acquiring Beam(同)
サントリー:米「ジム・ビーム」買収を検討、海外展開を強化(ブルームバーグ)
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MESQRP6JTSEG01.html

 最初に伝えた英紙テレグラフによると、既にディアジオとサントリーは接触を持っており、背景にはゴールドマンサックス、シティグループ(以上、米)、UBS(スイス)といった銀行団の助言があるという。情報源もシティ関係筋としている。実行に移された場合の買収額は100億ドル(約8240億円)に上ると見られる。

 サントリーは2009年に清涼飲料水ブランド「オランジーナ」(仏)を傘下に収めるなど、海外戦略を進めてきた。同年にはキリンとの経営統合が進められたが、条件面での折り合いがつかず決裂した経緯もあり、今回の買収交渉が始動した場合、同社の歴史の中で最大規模の買収・経営統合案件となる。また、ブルームバーグによれば、サントリー単独でもビームを買収する可能性も検討されているという。
「買ってみなはれ」――と言
うかどうかはともかく、サン
トリー創業者・鳥井信治郎も
草場の陰で驚きつつ、成り行
きを見守っているかもしれな


 一方、ディアジオは先月、スコッチ・ブレンデッド・ウイスキー「ホワイト&マッカイ」などのブランドを保有するユナイテッドスピリッツ(インド)の買収を決定したばかり。

 そして、世界シェア首位のテキーラ・ブランド「ホセクエルボ」(メキシコ)買収交渉を、昨年より進めてきた。しかし11日、ディアジオはこの交渉が終了したこと、ならびに来年6月の販売契約終了以降、同ブランドの取扱いを停止することを発表した。ホセクエルボ創業家であるベックマン家が売却に難色を示しており、またビームも有力テキーラ・ブランド「サウザ」を保有することから、手を引いたものと見られる。

プレスリリース

 日本市場においては、サントリーとビームは提携関係にあり、9月には関係強化を図る方針で合意していた。また、ディアジオはキリンと提携関係にあることから、国内流通網に関わる動向も注目される。


<関連記事>
ディアジオ、ユナイテッドスピリッツ買収交渉が妥結――公開買付などで過半数の株式取得へ(スコッツマン)
ディアジオが2012年度の決算発表――ホセクエルボ買収交渉は継続(ロイター他)

2012年12月9日日曜日

米国生まれのアイリッシュ・ウイスキー「2ジンジャーズ」、ビーム傘下に(メイヨートゥデイ)


 実業家のキーリー・フォリアード氏は7日、米酒造大手ビームにアイリッシュ・ウイスキー・ブランド「2ジンジャーズ」(写真)を売却した。売却額は明らかにされていない。

Ballyhaunis native sells his whisky brand to global giant, Beam Inc(メイヨートゥデイ)

 フォリアード氏はアイルランド・バリーハウニス出身で、1987年に米国ミネソタ州へ移住。当初は飲食店を経営し、ミネアポリスに出店したパブが成功するなど、同州のアイルランド人コミュニティの中で名声を上げた。

 2ジンジャーズは今年1月に発売。「赤毛の二人」を意味し、実際に赤毛であったフォリアード氏の母とおばのイラストをラベルに描く。アイルランドのクーリー蒸留所で生産され、ミネソタ州のみの販売だが(オフィシャルサイトによる。元記事では中西部の州で販売とあり)、2000軒以上のバー、小売店で取り扱われる。クーリーも昨年末にビームが買収したことから、今後、製販一体の戦略を組み立てていくことも考えられる。

 フォリアード氏は代表者、広報として2ジンジャーズに留まるという。


<関連記事>

2012年12月8日土曜日

米ワイン小売店、チャリティー目的にオークション出品――失踪女子大生の捜索資金調達で(パレートプレス)

 米ニューヨークのワイン小売店「ザキーズ」が、ワインをチャリティーオークションに出品する。昨年6月に失踪したインディアナ大生、ローレン・スピーラーさんの捜索資金を調達するためだ。

Wine for Lauren(パレートプレス)
http://palatepress.com/2012/04/wine/wine-for-lauren/

 ローレンさんは昨年6月4日、インディアナ州ブルーミントンの自宅アパートに戻って以降、消息が分からなくなっている。足取りを掴む有力な手掛かりも今のところ報告されていない。ローレンさんの両親であるロバート(ロブ)さん、シャーリーンさんは、ポスター掲示や各種メディアを利用し、情報提供を呼びかけている。

 今回のオークションはザキーズの営業担当者、ブライアン・ムラニーさん、ジョン・ドーソンさんの申し出によるもの。ロブさんは同店の近所に住む、15年来の顧客で「私たちが(捜索活動のための)資金調達をしていることをブライアンが知り、ワインをオークションにかけると申し出てくれた(ロブさん)」という。また、「彼らは(失踪直後から)『何かできることはないか? 』と、店の客として以上の扱いをし、気遣ってくれた。ザキーズの無私で慈悲深い援助を、私たち家族は感じている」と、ロブさんは感謝を述べる。

 オークションでは、1927年の「クロフトポート」など20の品目・パッケージを出品する(売約済みのものも含む)。元記事のワインニュースサイト「パレートプレス」が協力し、オークションハウスやネットオークションで行なうのではなく、同サイトのコメント欄に応札額を投稿する方式。売上は全額、ローレンさん捜索のための資金管理団体「ファインド・ローレン・ファンド」に寄付される。

 オークションはこちら。また、ローレンさんの情報提供呼びかけについてはこちら


<関連記事>
ブッシュミルズの樽でギターを製作――グラミー賞獲得のヴォーカリストがeBayに出品(デジタルスパイ)
スコッチ三銃士が米国でモルトウイスキーづくり(ザ・サン)

2012年12月7日金曜日

ブラウンフォーマンが上半期決算発表(シェークンニュースデイリー)

 米酒造、ブラウン・フォーマンは5日、上半期決算(2012年10月期)を発表した。売上高は19億ドル(約1550億円)で前年同期比8%増、営業利益は4億8400万ドル(約400億円)で同12%増だった。

 年度決算でも、売上高で数%増を見込み、営業利益で二桁成長を目指すという。

 同社はアメリカン・ウイスキー「ジャックダニエル」「ウッドフォードリザーブ」などのブランドを保有し、日本ではアサヒビールが年明けより同社製品を販売する。

Brown-Forman’s Upscale Whiskies, Herradura Tequila Drive 8% First Half Sales Rise(シェークンニュースデイリー) バーン・スチュワートが決算発表――ブナハーブン、ブラックボトルなどのメーカー(ウイスキーマガジン)

2012年12月6日木曜日

トランプ氏、グランツ社を非難――「トップ・スコッツ」選出をめぐり(スコッツマン他)

 著名投資家ドナルド・トランプ氏が、英酒造大手ウィリアム・グラント&サンズ(英スコットランド、グランツ社)に対し、激しい非難を行なっている。スコッチ・シングルモルト「グレンフィディック」(グランツ社保有のブランド)が運営する「トップ・スコッツ・アワード(今年のスコットランド人賞)」に、マイケル・フォーブス氏が選ばれたためだ。

Donald Trump calls for global boycott of whisky distiller after Top Scot award given to anti-golf course campaigner(スコッツマン)
No cheers: Trump bans rival's whisky over award(シドニー・モーニング・ヘラルド)
http://www.smh.com.au/executive-style/no-cheers-trump-bans-rivals-whisky-over-award-20121206-2ax2u.html#ixzz2EHR85QzS

 トランプ氏はスコットランド・アバディーンシャーにゴルフリゾートをつくるため不動産の購入を進めていたものの、同地域に家を持っていたフォーブス氏は売却を拒否。この時点からトランプ氏はツイッター、声明などでフォーブス氏を批判する発言をしていた。そして5日、トップ・スコッツの結果についてトランプ氏が新たに声明を出し、グランツ社を「悪い酒造企業」と非難、自身が保有するリゾート施設などでグランツ社製品を取り扱わないと発表した。

 一方、グランツ社広報は「混乱と誤解があるようだ」とし、次のようにコメントしている。
「15年前にこの賞を創設してから、公開された投票により受賞者を決める方法を続けている。投票した人々による決定に、グレンフィディックは影響を与えることができない。唯一、規制を加えるとすれば、スコットランド関係者とそれ以外の両者が選出された場合、スコットランドに住む者、働く者に授与する、ということだろう。トップ・スコッツは、最多得票を得た者が受賞し、我々は投票者の決定を尊重する」

 この点につきトランプ氏は、「少数の誹謗中傷する者たちによる複数投票の可能性を、グレンフィディックは調査・公表すべき」と疑念を持っていることを表明。自身のゴルフリゾート開発についても、「スコットランドに観光と雇用をもたらす。スコットランド人は、恥ずかしくないのだろうか」と主張している。


<関連記事>
グランツ社ステラ・デイビッドCEOインタビュー①(アイリッシュタイムズ)
グランツ社、トップが交代(ヘラルド・スコットランド) ジャネット・ロバーツさん死去——スコットランド最高齢、ウィリアム・グラントの孫(メイル他)

2012年12月5日水曜日

ハロッズ、ファンデル・ブントさんのヴィンテージボトルを購入――一般公開、販売へ(ハーパーズ)

 小サイトはツイッターアカウントにて11月29日、ヴィンテージのコニャックが31650ドル(約260万円)の値をつけた、と「ハミ出し記事」として掲載した。オランダのコニャック・コレクター、ベイ・ファンデル・ブントさんがスイスのオークションに出品したもので、1789年ボトリングという代物。

 英専門誌「ハーパーズ」によると、このボトルを購入したのは百貨店、ハロッズ(英)だという。

Earliest known vintage Cognac to be sold in Harrods(ハーパーズ)

 売却時には銘柄が明らかにされていなかったが、ハロッズが購入したのは「クルボアジェ&クーリエ」。ハロッズのワインショップに併設されたテイスティングルームに置かれ、12月5日、6日、8日の12時〜16時に公開される。そして、9万ポンド(約1190万円)で販売されるという。

 また、公開時にはクルボアジェの協力の下、パトリス・ピネ・マスターブレンダーがクルボアジェの歴史を説明し、レベッカ・アズリン・アンバサダー(大使)はクルボアジェに合う料理を紹介する。さらに、来店客にはカクテル「セントヘレナ」が振舞われるなど、一大イベントとなるようだ。


<関連記事>
200年以上前のコニャック、240万円で売却――ファンデル・ブントさんのコレクションから(ドリンクスビジネス他)

2012年12月4日火曜日

アブソルートに「スペシャル・エクセレント・プライズ」――在仏スウェーデン商工会議所が授与

Absolut vodka 在仏スウェーデン商工会議所は3日、仏酒造大手ペルノリカールらに「スペシャル・エクセレント・プライズ」を授与した。ペルノリカールが保有する、スウェーデンのウオトカ(ウォッカ)・ブランド「アブソルート」(写真)が、仏・スウェーデン両国の企業家精神とその成功を示したとして、表彰したもの。

 パリ市内の興行芸術博物館で行なわれた授賞式には、ペルノリカールのピエール・プランゲCEO、アブソルートのポール・ダフィーCEOが出席し、賞を受け取った。

 ペルノリカールによると、アブソルートは2008年、プレミアム・ウオトカのカテゴリーでトップ、スピリッツ全体でも世界4位のブランドとなっている。

プレスリリース


<関連記事>
ストックホルムに「スピリットミュージアム」——最初の展覧会はアブソリュートの広告を題材に(GADLING)

2012年12月3日月曜日

アランブルワリーの代表者、ローズバンク蒸留所を購入――蒸留再開への道は険しく(スコッツマン)

 ビール醸造、アランブルワリー(英スコットランド)を所有するジェラルド・マイカラック(Michaluk)氏が先週、建造物としてのローズバンク蒸留所(写真)を取得した。醸造・ボトリング設備、ビジターセンターを設けるとともに、「小規模蒸留所」を開きたい考えだ。

Brewer lobbies Diageo for early Rosebank reopening(スコッツマン)
http://www.scotsman.com/business/management/brewer-lobbies-diageo-for-early-rosebank-reopening-1-2671152

 しかし、ウイスキー蒸留所としてのオープンには問題が立ちはだかる。1993年にローズバンクを閉鎖した際、運営するユナイテッドディスティラーズ(UD)は販売契約に「2017年まで、ローズバンクでのウイスキー蒸留を停止する」という条項を盛り込んだ。そのため、UDの後身であり、かつ、ローズバンクのブランドを保有するディアジオ(英)の承諾がなければ、少なくとも今後5年間はウイスキーをつくることができない。

 マイカラック氏は「私は希望を持っている。ローズバンクは世界のウイスキー愛好家たちにとって、象徴的な存在だ。ディアジオは、我々の慎んだ要請に同意してくれるだろう」と蒸留再開を所望するとともに、楽観的な見方を示す。

 これに対しディアジオ広報は、まだ要請を受け取っていないとし、「2017年まで、あるいは、その他の時点においても我々のブランドであるローズバンクについて語るのは不適切」とコメントした。


<関連記事>
ダラスドゥー、観光地として開発か――ロッホヘッド担当相が関係者と会談(STV)
ディアジオ、新蒸溜所建設を検討——5年間で1,200億円の投資計画(BBC)

2012年12月2日日曜日

有力ブランド、アフリカに続々と――シロックがケニアで販売開始、ヘネシーはナイジェリアで好調(キャピタルFM他)

 アフリカ・ケニアで、ウオトカ(ウォッカ)「シロック」の販売が始まる。同国で代理店を務めるイーストアフリカブルワリーズは先週末、首都ナイロビで発売記念パーティーを開催。当地のセレブリティーを招いたもので、音楽やパフォーマンスなどの演出がなされる中、シロックがお披露目された。

 今後も年4回程度、同様のイベントを行なっていくという。

CÎROC Vodka gets a fabulous East African launch(キャピタルFM)

 一方、ナイジェリア紙「ガーディアン・ナイジェリア」はコニャック「ヘネシー」のアンバサダー(大使)、シリル・ゴティエ−オリオール氏へのインタビュー記事を掲載している。同氏はこの13年間、アンバサダーの職に就いており、アフリカだけでなく北米、カリブ、中東などでプロモーションに携わってきたという。

 ナイジェリアにおけるヘネシーの業績は、順調だ。この5年間、二桁成長を続けており、さらに向こう5年をかけて売上高を倍増させることを目標にしている。ワインを好むナイジェリア人の嗜好、さらにコニャックの高級感が理由で、「ナイジェリアはアフリカ最大、世界的に見ても大規模なコニャックのマーケット」と同氏は説明する。

 また、さらなる拡販のため、「ヘネシー・アーティストリー・プログラム」を企画。コニャック愛好家のアーティストとコラボレーションするもので、ヒップホップなどの人気ジャンルを中心とした音楽イベントを開催している。「音楽とヘネシーがリンクすることで、イノベーションを起こしていきたい」と同氏。

Nigerian Market Has Great Taste For Luxury Products — Hennessy Cognac Ambassador(ガーディアン・ナイジェリア)

 酒造業界にとって「最後の戦場」とも言える、アフリカの地。今後、有力ブランドだけでなく、様々なスピリッツが乗り込んでくるだろう。


<関連記事>
プランゲCEO「次の目標はアフリカ市場」――ペルノリカール(グローブアンドメール)

2012年12月1日土曜日

ダラスドゥー、観光地として開発か――ロッホヘッド担当相が関係者と会談(STV)

Richard Lochhead MSP スコットランド政府のリチャード・ロッホヘッド農漁村部担当・環境相(写真)は11月26日、イアン・ウォルフォード代表ら「ヒストリック・スコットランド」の職員とダラスドゥー(ダラスデュー)蒸留所で会談した。ヒストリック・スコットランドは当地に所在する歴史的遺産の保護を目的とした政府機関で、かつてウイスキーを生産していたダラスドゥーを開発することについて話し合われたという。

Talks take place over future whisky tourism development at Dallas Dhu(STV)
http://local.stv.tv/elgin/news/202709-talks-take-place-over-future-whisky-tourism-development-at-dallas-dhu/

 ダラスドゥーは、マレイ州フォレスに立地し、スコッチシングルモルトとしてはスペイサイドモルトに分類される。1898年に起業家、アレクサンダー・エドワードが建設し、当初は「ダラスモア」と呼ばれていた。1899年、ライト&グレイグ社に売却されたとき、ダラスドゥーに改名。以後、オーナーが変わりながらも生産は続けられていたが、1983年、水不足を理由に操業を停止した。現在はヒストリック・スコットランドの管理下で、博物館として公開されている。

 会談後、ロッホヘッド担当相は次のようにコメントした。
「ダラスドゥー蒸留所はマレイにとって重要な観光施設だ。近年のスコッチ・ウイスキーに対する国際的な評価の高まりから、ウイスキー・ツーリズムでの大きなポテンシャルを持っていると思う。そのポテンシャルが、将来的に開発することによってどのように発揮されるかを議論した。大切なのは、あらゆるツールと機会を用いて、マレイの経済発展を後押しすること。ヒストリック・スコットランドと共に、ダラスドゥーのポテンシャルを押し上げていきたい」

 ロッホヘッド担当相はマレイ州選出のスコットランド議会議員で、スコットランド国民党所属。初当選前の1994〜98年には、アレックス・サモンド現スコットランド首相の事務所責任者を務めた。


<関連記事>
スコットランド議会で「スコッチ・ウイスキー展」――SWAの創立100周年記念事業(スコッツマン)
ディアジオ、新蒸溜所建設を検討——5年間で1,200億円の投資計画(BBC) 焼酎、日本酒を「国酒」に——古川特命相が海外展開の方針を言明(デイリー・ヨミウリ他)