2014年5月24日土曜日

ボナムス、50年熟成のグレンフィディック・マッカランを出品――予想価格は200万円超え(デイリーレコード)

Bonhams Auctions 英オークションハウスのボナムス(ロゴ写真)は6月18日、スコットランド・エジンバラにて行うオークションで、50年熟成のシングルモルト・ウイスキー「グレンフィディック」「マッカラン」を出品する。それぞれ1万2000〜1万4000ポンド(約200万〜240万円)の値をつけるのではないかと予想されている。

 グレンフィディックは1991年にボトリングされたもので、証明書、木製ケースつき。マッカランは1949年蒸留、1999年ボトリングで、ケイスネスグラス(英国のガラス製品ブランド)製のデカンタとオーク材製ケースに収められる。

 また、2本の「シーバスリーガル25年(ブレンデッド・ウイスキー)」も、同じオークションに出品される予定。1つは第1次世界大戦前につくられたと見られるもので、緑色のボトルに収められており、ワックスカプセル(封蝋のことか?)に「Chivas Brothers, Whisky, Aberd…」とエンボス加工で刻印されている。予想価格は3500〜4500ポンド(約60万〜80万円)。もう1つは、20世紀初頭のもので、フレッド・L・メイヤー&サンズというジャマイカの企業が輸入元として記されているボトル。こちらは2500〜3500ポンド(約40万〜60万円)が落札価格として予想されている。

50 year old bottles of Glenfiddich and Macallan whisky set to go on sale in Edinburgh(デイリーレコード)


<関連記事>
SSポリティシャン号のウイスキー、オークションサイトに出品――映画「ウイスキーガロア」の題材(スピリッツビジネス)

2014年5月22日木曜日

ウオトカ「アワー/デトロイト」、5人の女性スタッフにより生産開始――ペルノリカール展開のローカルブランド(クレインズデトロイトビジネス)

real_image-small
アワー/デトロイトの蒸留所建屋
(クリックすると拡大)
 ペルノリカール(仏)は、ウオトカ(ウォッカ)「アワー/デトロイト(Our/Detroit)」の生産を米・デトロイトで開始する。現在展開している「アワー/ウオトカ」シリーズの新商品。同シリーズは、世界各地にマイクロディスティラリー(小規模蒸留所)を設けウオトカを生産するというもので、2年前に独で「アワー/ベルリン」がリリース。どの蒸留所も同一のレシピで生産するが、原料は各地のものを使用するためフレーバーに違いがでることを特徴としている。

 アワー/デトロイトに携わる5人のスタッフは全て女性。プロジェクトを立ち上げたケート・ボーディン(Kate Bordine)氏はペルノリカールの社員ではなく、デトロイトにあるコワーキングスペースやワークショップ運営を行う団体の代表で、地元を知る人物だ。ベルリンを旅行した際、アワー/ベルリンに触れ「クリエイティブで楽しく革新的、そしてグローバル企業が各地に根付いて行うというこのプロジェクトに、私は恋に落ちた」という。

 サラ・アルドリッジ氏は、地元の飲食店「マーキュリー・バーガー・バー」で働いた経験を持ち、さらに植樹などを行う環境保護団体にも携わっていることから原料調達を担当。ブランディ・キーラー氏はNPOへの資金調達や配分を行う「ユナイテッドウェイ」でヴィジュアルコンテンツの構築を担当する人物で、アワー/デトロイトではブランディング、マーケティングを行う。ジーン−マリー・モリッシュ氏は24歳という若さながらディスティラリーマネージャーに、リン・サヴィーノ氏は食品・ワインの販社で営業を行っていることからアワー/デトロイトでも営業を担当する。

 蒸留所はデトロイト市バグリーストリート2545番地に位置し、かつては「バグリービリヤードセンター」「バグリーフードセンター」だった場所。40人収容可能なテイスティングルームも設け、蒸留所内のツアーも実施する予定だ。ペルノリカールは、これら蒸留所の改築やその他の費用に60万ドル(約6100万円)を投じている。

 6月2週目には試験的に最初の蒸留を行う予定。また、商品は1パイントボトルを16.99ドル(約1700円)で販売する。ディスティラリーマネージャーのモリッシュ氏によると、週に200ガロン(ボトルにして1600本)の生産を目標としているという。

Women team up to give vodka a Detroit flavor(クレインズデトロイトビジネス)


<関連記事>
スウェディッシュ・ウイスキー「マクミラ」、リストラを断行――4億円の赤字で(ザローカル) アイルオブアラン、伊勢丹の女性従業員を大使に任命(ドリンクスビジネス)

2014年5月20日火曜日

オーストラリアでジン消費者人口が拡大――同国マーケティング企業が発表、若年層の増加が顕著(スピリッツビジネス)

 オーストラリアのマーケティング企業ロイモーガンは、同国で日常的にジンを飲む消費者人口が急上昇しているとの調査結果を発表した。2009年の調査では63万6000人だったが、13年は94万7000人にまで拡大したという。同国の総人口は約2300万人。

 若年層の愛飲家が増えたことが特に目立っており、18〜24歳の消費者人口は09年調査で9万1000人だったが、13年調査では17万5000人とほぼ倍増している。さらに、その上の年代である25歳〜34歳の消費者人口も12万6000人(09年)から20万5000人(13年)に増加。なお、最新調査でジンを日常的に飲む人は男性=46万4000人に対して女性=48万3000人と女性の方が多い結果となっているが、これはサンプル数の男女比が4:6であるためで、ロイモーガンは実際の愛飲家は男女ほぼ同数であると見ているという。

 ロイモーガンのアンジェラ・スミス消費者向け製品グループアカウントディレクターは「最近シドニーにできた『ジン・ガーデン』やメルボルンで永年営業している『ジン・パレス』(ジンをメインとした飲食店)が今回の結果に寄与していることは疑いない。また、ジンの小規模蒸留所がオーストラリアにできていることが消費者の関心を集めている」と分析している。

GIN CONSUMPTION SOARS IN AUSTRALIA(スピリッツビジネス)


<関連記事>
ジン「ボンベイアンバー」がリリース――フレンチ・ベルモット樽で熟成(スピリッツビジネス) 好きなお酒で支持政党がわかる?――米共和党系機関が酒類ブランド・投票行動の研究結果発表(マクリーンズ)

2014年5月10日土曜日

グランツ社とNZウイスキー、「ダブルウッド」の商標めぐり対立(スタッフ)

 ウィリアムグラント&サンズ(英スコットランド、グランツ社)は、シングルモルト・ウイスキー「バルヴェニー・ダブルウッド(写真左上)」の商標権を侵害したとして、ニュージーランドウイスキー(NZウイスキー)に対し法的措置をとる方針だ。NZウイスキーもシングルモルトのラインナップに「ダブルウッド(写真右下)」の名称を持つ商品があるため。NZウイスキーはこれを受け、「商標によって混同する恐れはない」と争う構えを見せている。

 「ダブルウッド」という名称について、グランツ社は(おそらく英国で)商標登録する一方、NZウイスキーは登録していない。ダブルウッドを「ウイスキーの(生産)スタイルに関する専門用語であると考えたため(グレッグ・ラムゼイ・NZウイスキー代表)」だ。また、バルヴェニーのものはラベルやパッケージが白を基調としているのに対し、NZウイスキーのパッケージは黒地をベースにニュージーランドの地図が大きく描かれている。この点からもラムゼイ代表は「混同するものではない」としている。
ddw1
 さらにNZウイスキーは、同社のダブルウッドがサンフランシスコ・スピリッツ・コンペティションでシルバーメダルを受賞した後にグランツ社が商標登録した、と主張している。

 双方の代理人は話し合いを進めており、争うだけでなく和解の可能性も探っている模様だ。

Whisky double trouble(スタッフ)


<関連記事>
アードベッグとバルヴェニー、記念ボトルをそれぞれリリース(BBC他) ディアジオがヘヴンヒルを提訴――ラムの意匠権問題で(ドリンクスビジネス)

2014年5月9日金曜日

バッファロートレース、供給面での不安に直面――地元TV局が報道(WDRB)

Buffalo Trace :: Bourbons
バッファロートレースの熟成庫
(クリックすると拡大)
 バーボン・ウイスキーを生産するバッファロートレース蒸留所が、供給面で不安を抱えている。ケンタッキー州を拠点とするFOX系のテレビ局「WDRB」に明らかにしたもので、世界的なウイスキー人気の高まりが理由だ。

 同蒸留所のハーレン・ホイートリー・マスターディスティラーは、この40年間で抱えた在庫以上の蒸留を現在行っており、問題を軽減することは可能だとしている。また、ボトリングラインでは雇用拡大を図り、樽の配分に関する責任者を登用するといった対策も行った。ただ、WDRBは「それでも不安は残る」と伝えている。

 元記事では具体的数値などが挙げられていないため、どれほどの水準で問題となっているかの推測は難しい。しかし近年、メーカーズマークが需要対応のためアルコール度数引き下げを発表するなど(後に撤回)、ウイスキーの世界的流行や異常気象による原料不足を背景とした問題が浮上していることは事実だ。また、バーボンだけでなくスコッチ・ウイスキーでも同種の状況となっており、原料だけでなく熟成に使用するシェリー樽がスコットランド、さらにシェリーの原産国であるスペインで減少しているとの未確認情報もある。

 これらの問題に対応するためには、資本系列の垣根を越えた原料、副資材のサプライチェーン構築が必要となってくるかもしれない。また、マーケティングや生産といった分野に留まらず、農学的なアプローチなどさまざまな手段を試行することも重要といえるだろう。

Buffalo Trace Distillery warns that bourbon shortage is looming(WDRB)


<関連記事>
アバディーンの研究所、科学捜査を応用した大麦開発へ――ウイスキー需要拡大による原料不足を背景に(スピリッツビジネス)

2014年5月6日火曜日

ホワイト&マッカイの売却先、フィリピンのメーカーが名乗り(ABS-CBN)

Bottle エンペラドール(フィリピン)は、ホワイト&マッカイ(英)に対して買収交渉中であることをメディアに認めた。ホワイト&マッカイは2000年代にユナイテッドスピリッツ(インド、USL)により買収されたが、現在はUSL自体がディアジオに買収されている。ただ、英公正取引庁が市場寡占を懸念したため、ディアジオはホワイト&マッカイを売却する意向で、今年1月にはサントリーが買収するとの報道もあった。

 エンペラドールは、フィリピンのコングロマリット(複合企業体)であるアライアンス・グローバル・グループの酒造部門で、ブランデーを生産。フィリピン国外への業務展開を画策しているといわれ、さらに今年3月、ディアジオと業務提携を結んだことも背景にあるようだ。

 ホワイト&マッカイは同名のブレンデッド・ウイスキー(写真)だけでなく、シングルモルト・ウイスキー「アイルオブジュラ」「ダルモア」なども保有する。ブルームバーグによると、買収額は4億ポンド(約690億円)に上る見込み。

Emperador in talks to acquire UK whisky maker(ABS-CBN)


<関連記事>
サントリー、ホワイト&マッカイを買収か?――インド放送局が報道(ドリンクスビジネス他) ホワイト&マッカイに罰金9千ポンドの行政処分——フーゼル油の漏洩で(スコッツマン)

2014年5月3日土曜日

ジャスティン・ティンバーレイクのテキーラ「901」、サウザのポートフォリオ入り――キャンペーン動画も(スピリッツビジネス)

 本サイトでも既報のとおり、サントリー(大阪、世界本社=東京)が今年1月、ビーム(米)を買収した。その一方で、ビームは同時期にジャスティン・ティンバーレイクさんのテキーラ・ブランド「901」を買収し、同「サウザ」のポートフォリオに加えている。現在は「サウザ901」(写真)として販売しており、今後、1年間に亘り「プレミアム・リマスタード」というキャンペーンを展開。その一環として、ティンバーレイクさん出演の動画をウェブ上に公開した。

 動画は『ドン・サウザズ・ダイアリー(Don Sauza’s Diary)』と題し、ティンバーレイクさんがドン・サウザの「日記」を片手にテキーラ、そしてサウザのルーツを説明するというもの。「901」はプレミアムブランドと位置づけていることから、テキーラを高級品と見なさない消費者の意識を変えるねらいもあるようだ。

 「『プレミアム・リマスタード』のコンセプトは、我々の高品質でクリエイティブなスタイルを完璧に表現することだ」とビームサントリーのゲーリー・ロス・テキーラ担当シニアブランドディレクター。また、ティンバーレイクさんは「プレミアム・ブランドをつくるのに、この数年間を費やした。私に情熱を与えてくれたテキーラの(低く見られがちな)位置づけを、再定義するためだ」とコメントした。

 動画URLは、次のとおり(おそらく、閲覧に年齢制限がかかっているため、直リンクできません)。

https://www.youtube.com/watch?v=3GFsNJqzrY0#t=46

JUSTIN TIMBERLAKE FRONTS SAUZA 901 TEQUILA CAMPAIGN(スピリッツビジネス)


<関連記事>
ジョージ・クルーニー氏のテキーラ、リリースへ(ニューヨークポスト)
中国、メキシコからのテキーラ輸入を緩和へ――貿易不均衡の解消図る(NWI他)

2014年5月1日木曜日

トマーティン、ラインナップを変更(ドリンクスリポート)

 トマーティン蒸留所(英スコットランド・ハイランド)は、シングルモルト・ウイスキーのラインナップを変更した。「15年」「30年」を廃止し、新たに「14年」(写真)「1988ヴィンテージ」を発売する。すでに同蒸留所のオフィシャルサイトには新たなラインナップが掲載されていることから、変更は本日行われたものと見られる。

 「14年」は、バーボン樽で13年間熟成し、残りの熟成期間をポート樽(30〜40年間、ポートワインの熟成に使用されたもの)でエイジングしたもの。アルコール=46%、700ミリリットルボトルで、希望小売価格=48.99ポンド(約8500円)。米国では750ミリリットルボトルで、希望小売価格=55ドル(約5600円)になるという。

 一方の「1988ヴィンテージ」は、バーボン樽とポート樽の原酒をヴァッティング。ファーストバッチは2500本限定で販売し、アルコール=46%、英国では159.99ポンド(約2万8000円)、米国では250ドル(約2万6000円)の希望小売価格となる(ボトルサイズは「14年」と同じ)。

 同蒸留所のスティーブン・ブレムナー・セールスディレクターは、次のようにコメントした。
「近年、我々の高品質なウイスキーが市場で認められ始めている。特に最近では、今年3月のサンフランシスコ・スピリッツ・コンペティションで、『12年』がゴールド、『18年』がダブルゴールドを受賞した。私は、2つの新商品が既存のレンジにうまくはまるはずだと、自信を持っている。そして最も重要なのは、顧客に(新商品を)楽しんでいただくことだ」

Tomatin makes changes to single malts lineup(ドリンクスリポート)


<関連記事>
トマーチンとグレングラント、同日に声明を発表するも対照的なものに(スコッツマン)