2012年2月29日水曜日

シングルモルト日本代表は「山崎25年」に——WWA日本地区受賞ウイスキーが発表(WSJオリジナル記事)

ベスト・ジャパニーズ・シングル
モルトを受賞した山崎25年
(ウイスキーマガジンジャパン
オフィシャルサイトより)
ウイスキーマガジン(英・パラグラフパブリッシング発行)が主催する「ワールド・ウイスキー・アワード(WWA)2012」の日本地区受賞ウイスキーが28日、発表された。
各カテゴリーのベストウイスキーは以下のとおり。

ベスト・ジャパニーズ・シングルモルト
サントリー シングルモルトウイスキー山崎25年

ベスト・ジャパニーズ・ブレンデッドモルト
ニッカウヰスキー 竹鶴ピュアモルト17年

ベスト・ジャパニーズ・ブレンデッド
サントリーウイスキー 響17年

WWAは2007年より創設されたもので、それ以前に行なわれていた「ベスト・オブ・ベスト」という2年に1度のコンペティションを発展させたもの。
地区別の受賞ウイスキーを選ぶステージ1、2はブラインドテイスティング(銘柄が判らない状態で試飲)で審査される。
そして各地区で選ばれたベストウイスキーは、ロンドンでのステージ3に進出し、カテゴリー毎の世界一を決定することになる。
昨年のWWAでは、ジャパニーズウイスキーが本家スコッチウイスキーを破り、上記3カテゴリーでベストウイスキーに選出された。
また日本製品は選出されていないが、他にもウイスキーリキュール、グレーンウイスキー、そしてノースアメリカン・ウイスキーのカテゴリもあり、計6カテゴリーでコンペティションは行なわれる。

なお、ステージ3には進出できないが、エイジング(熟成年数)毎のサブカテゴリーでの受賞ウイスキーも発表された。
シングルモルト13〜20年カテゴリー、ならびに、ブレンデッド熟成年数表記なしカテゴリーで受賞したベンチャーウイスキーの肥土(あくと)伊知郎社長は、ツイッター上で「ありがとうございます!ここ北海道で、(今後も)おいしいウイスキーが造れるようにいいミズナラ材を手に入れたいと思います」とコメントした。
(肥土社長はミズナラ樽に使う原木を仕入れるため、北海道に出張中)

今年のベストウイスキーは3月23日に開催されるウイスキーライヴ・ロンドン前夜祭で発表される予定。

2012年2月28日火曜日

ジムビーム、新商品はフレーバードバーボン(ドリンク・ビジネス・レビュー他)

ビーム(米・イリノイ州)は、「ジムビーム レッドスタッグ」の商品として「ハニーティー」と「スパイスド」をリリースする。
「レッドスタッグ」はフレーバードバーボン(風味づけされたバーボン)であり「ブラックチェリー」が既にリリースされている。

Beam to expand bourbon portfolio(ドリンク・ビジネス・レビュー)

Jim Beam® Expands Bourbon Portfolio with the Addition of Two Bold New Red Stag by Jim Beam® Expressions(PRニュースワイア)

言うまでもなく、「ハニーティー」は蜂蜜と紅茶、「スパイスド」は香辛料、そしてシナモンの風味づけがされている。
750mlボトルでアルコール度数40パーセント。
価格は17.99USドル(約1,450円)。

詳細な日付は不明なものの、今月リリースということで、日本の市場には未だ出回っていない。
しかし、既に販売されている「ブラックチェリー」は概ね2千円前後で日本国内でも販売されているので、今回発売される2商品もそう遠くないうちに日本でも目にすることができるだろう。

2012年2月27日月曜日

【お知らせ】27日、更新を停止します。

本日、27日は更新を停止します。
(まだ、体調が回復しません)
申し訳ありませんが、ご理解のほど、宜しくお願い申し上げます。

2012年2月26日日曜日

グレンモーレンジ、「アーティン」をリリース——スーパートスカーナの樽で熟成(PRニュースワイア)

グレンモーレンジ蒸留所は「プライベート・エディション・シリーズ」の最新作として、シングルモルトウイスキー「アーティン」を発表した。

Glenmorangie Introduces Artein, A Monumental Whisky -- Born of Stone -- at Tom Colicchio's Famed Meatpacking Restaurant, Colicchio & Sons(PRニュースワイア)

The Cadboll Stone
品名の由来となったカドボールスト
ーン。
古代のピクト人が遺したものと言わ
れている。
アーティンとは、スコットランドゲール語で石を意味し、同蒸留所の近くに現存する遺跡「カドボール・ストーン」に由来している。
マスターディスティラー、ビル・ラムズデン博士の考案で、「スーパー・トスカーナ(イタリア・トスカーナ地方産のワイン)」の樽を用いて15年熟成されたものだ。
なお、ラムズデン博士は化学での博士号を持ち、木材の管理を得意としている。
その専門性から革新的なウッドフィニッシュを行なっており、モルトアドヴォケート誌の「今年のリーダー賞」を3度、受賞している。

今回は米国向けに、ニューヨーク市内にある「コリッチオ&サンズ」というレストランでアーティンの発表会が行なわれた。
コリッチオ&サンズは有名シェフ、トム・コリッチオ氏のレストランで、「ハックルベリーソース和え鹿肉のアントレ」などのディナーメニューがアーティンと合う料理として、発表会で提供されたという。





商品の表記について、異論が出るかもしれない。
アルファベットのまま表記すると”Artein”なので、英語風の読みで今回は「アーティン」としたが、ウイスキー愛好家の方々にはご存知のとおり、シングルモルトはゲール語の表記・発音が多い。
スコッチ文化研究所も「アーティン?アルタン?」と発音に迷っているようで、読者の方々で発音をご存知の方がいらっしゃったら、ぜひ、ご教示いただきたい。

2012年2月25日土曜日

【お知らせ】本日、2月25日も更新停止します

昨日に引き続き、本日も更新を停止します。
実を申しますと、筆者の家族数名が続けてインフルエンザに感染しており、筆者はまだ発症していないものの、微熱が続いている状態にあります。
このような状況下ですので、もしかしたら明日以降も更新を停止するかもしれません。

このところWSJを「面白い」と言ってくださる方に会うこともあり、誠に申し訳なく思う次第ですが、まずは体調を整えることにしたいと思います。

先般申し上げたとおり、この先数日間、更新停止が続くことがあるかもしれませんが、長期に亘ることはないかと存じます。
更新が再開したら、ぜひともお時間の許す限り、WSJでお楽しみいただければと思います。

2012年2月24日金曜日

本日24日の更新は停止します。

本日24日は筆者が所用のため、更新を停止することになりました。
毎日楽しみにしていただいている読者の方には申し訳ございませんが、ご理解の程、宜しくお願い申し上げます。

2012年2月23日木曜日

原料からボトリングまで100%タスマニア——666ピュアウオトカ(THE Shout)

666ピュアウオトカ。
WSJ調べでは日本のオンライン
ストアではまだ販売されていな
い模様。
オーストラリアの酒類情報サイト、ザ・シャウトは20日、「666ピュアウオトカ(ウォッカ、以下666)」の記事を掲載した。
おそらくタイアップ記事だと思われるが、まだ日本で浸透していないもののようなので、WSJでも取り上げる。

666 Pure Tasmanian Vodka(THE Shout)

666を生産するピュア・ディスティラリー・カンパニーはオーストラリア・タスマニア島に存在する。
原料の麦、仕込水、そして蒸留からボトリングまでタスマニア島で行なわれているというのが666の売りだが、なかでも注目すべきは仕込水だろう。
ケープグリムというタスマニア島の北西にある岬で採取された雨水が仕込水として使われているが、「雨水」と聞くと不潔なイメージを持たれるかもしれない。
しかしケープグリムの雨水は、南極由来の世界で最もクリーンと言われている雨水で、米国、EU、オーストラリア、そして日本の保健当局からお墨付きを得ているという。
(未確認情報だが、漫画『美味しんぼ』でも取り上げられたようだ)

また、奇抜な印象を受ける666というネーミングだが、これはタスマニアに生息する肉食有袋類「タスマニアデビル」に由来するものだ。
つまり、デビル=悪魔=悪魔を表す数字666、ということ。
そのタスマニアデビルは現在、個体数が減少している。
DFTDというタスマニアデビル固有の悪性腫瘍が流行し、また外来種の勢力拡大もあったためで、666の売上の一部はタスマニアデビル保護に寄付されているという。

ピュア・ディスティラリー・カンパニーを立ち上げたディーン・ルーカス氏は以前、メルボルンでレストランやバーなどを経営していた。
仕事を進める中でオーストラリアのビールやワインが世界的な名声を高めるのを見、「オーストラリア発のスピリッツもつくれないか」と思い立ったという。
2006年に操業が開始されたが、材料調達からボトリングまで全てをタスマニアの中で完結させる、という作業は相当に手間取ったようで、666をリリースするまで4年の歳月を費やした。
しかし、その苦労も実り、リリースした2010年にサンフランシスコ・スピリッツ・コンペティションで金賞を獲得した。

元記事の最後にテイスティングノートが記載されているが、これによれば甘いフレーバーを持つ印象を受ける。

2012年2月22日水曜日

シーバスCEO、新蒸留所の建設を示唆(Scotsman.com)

シーバス・ブラザーズのクリスチャン・ポルタCEO(写真)は「スコッチ・ウイスキーの市場拡大が今後も続く場合、新しい蒸留所をオープンさせることを検討しなければならない」と、新蒸留所建設を示唆した。
シーバス・ブラザーズはブレンデッド・ウイスキー「シーバス・リーガル」などのウイスキーメーカーであり、ペルノ・リカールの傘下にある。


Chivas mulls new distillery after whisky exports surge(Scotsman.com)

同じくペルノ・リカール傘下のアイリッシュ・ウイスキー「ジェイムソン」の輸出が好調であることは、おとといのWSJでお伝えした。
こちらは対米輸出をメインとした記事になったが、ペルノ・リカールが見据えているのはやはり新興国のようで、同社のピエール・プリングエCEOは「来年か、長くても3年以内に、新興国市場での売上は現状より50パーセント増加させることが可能」と述べている。

世界的なウイスキー需要の向上を背景に、シーバスは現時点でも休止蒸留所の操業再開を進めている。
アルタベーン蒸留所は2005年、ブレイヴァル蒸留所は2009年に再オープン、そしてグレンキース蒸留所も来年、稼働を再開する予定だ。
また、既存蒸留所のキャパシティ拡大も進めており、グレンバギー蒸留所は2005年に50パーセント、グレンリベット蒸留所は2010年に75パーセント、それぞれ生産能力を向上させている。
(なお、これらの情報は元記事のScotsman.comによるもので、日本語化された信頼性の高い情報では休止等の事実が確認できていないものもあることをご留意いただきたい)

ポルタCEOの発言は、新興国を中心とした需要増によるものであるのと同時に、業界最大手であるディアジオへのライバル意識と見ることもできる。
ディアジオもまた、需要増への対応から2009年よりローズアイル蒸留所の建設を開始、年内に稼働する予定だ。
一方、プリングエCEOは当面、休止蒸留所の稼働再開と既存蒸留所の買収で需要増に対応していく意向を持っている模様。





スコッチ・ウイスキーはスコットランドの産業としての存在とともに、文化的側面も持っている。
休止した蒸留所の再開や、新たな蒸留所がつくりだす風味も楽しみではあるが、生産調整の名の下に蒸留所の休止・再開を頻発させることは決して喜ばしいこととは言えないだろう。

2012年2月21日火曜日

ニューヨークで焼酎・泡盛イベント開催(PR Web他)

日本貿易振興機構(ジェトロ)は今月、米・ニューヨークで焼酎・泡盛に関するイベントを連日、開催している。

American Spirits and Cocktail Lovers Embrace Shochu, The National Spirit of Japan, at NYC’S Astor Center(PR Web)

今回のイベントは、ジェトロと日本酒造組合中央会(JSS)が共同で行なっているもので、焼酎・泡盛の米国内での普及を目的としている。

12日はニューヨーク市内の日本食店3店舗で焼酎の試飲キャンペーンが行なわれ、翌13日には大規模酒販店であるアスターセンターでも試飲イベントが開催された。
アスターセンターのイベントではミクソロジスト(カクテルを得意とするバーテンダー)であるジュニア・メリノ氏のセミナーも同時開催。
焼酎・泡盛の歴史や生産手法について、そしてカクテルとの相性について語るメリノ氏の言葉に、参加者は聞き入った。
「焼酎・泡盛は豊かな歴史を持つ、偉大なスピリッツである。銘柄によってそれぞれ異なるフレーバーを放つが、これがカクテルをつくるのに適している」とメリノ氏。
また、ジェトロ・ニューヨーク事務所のセキモト・アツシ代表(漢字不詳)は、「焼酎・泡盛は我々日本人の食文化、酒文化に不可欠なものとなっている。米国の皆様の、この新しい文化を熱心に取り入れようとする姿勢や、皆様に紹介できることについて、エキサイティングに感じている」と述べた。

アスターセンターのイベントに参加した酒蔵は、篠崎(「千年の眠り」製造元)、三和酒類(「いいちこ」製造元)など16社。
上記リンクに登場した全銘柄が掲載されているので、ご覧いただければと思う。

また15日には同市内のキタノホテルにて、焼酎・泡盛利き酒コンテストも開催された。

NY初「焼酎と泡盛利き酒コンテスト」が決勝戦-優勝は石塚さん(ニューヨーク経済新聞)

元記事本文にある通り、1・2位は日本人が獲得したものの、3位になったのはジャスティン・キーシーさんであり、米国人も健闘したようだ。

2012年2月20日月曜日

アイリッシュ・ウイスキーはジェイムソンのひとり勝ち(InsideIreland.ie)

Jameson Irishスコッチ・ウイスキーの世界的な人気により影が薄くなりがちなアイリッシュ・ウイスキーだが、「ジェイムソン」(写真)だけは別格のようだ。

Jameson Whisky sales up 37% in US(InsideIreland.ie)

同ブランドを保有するペルノリカールは16日、直近6ヶ月間の業績を発表した。
これによると、ジェイムソンの売上は米国で37パーセント上昇、他に独国、カナダ、オーストラリアの販売成績も好調だ。
ピエール・プリングエCEOは、「ジェイムソンは23期連続で売上を伸ばしている。しかも40の地域のほとんどが2桁の成長率を記録している。2011年に380万ケースの出荷を達成したが、本年中には大台の400万ケースに達することだろう」

他のヨーロッパ諸国と同様アイルランドも不況に喘いでおり、景気回復策もやはり他国と同じく輸出主導型の経済再構築を標榜している。
この点につきプリングエCEOは「アイルランドで最も成功した輸出品として、景気回復の一翼を担っていると思う」と自信を表す。

ペルノリカールが発表した業績に関するプレスリリースはこちら(PDF形式)。
これはジェイムソンではなくペルノリカール全体としての数字だが、アジア地域では15パーセント、ブラジルでは14パーセント、売上を伸ばしている。
新興国の高付加価値アルコール商品の消費が伸びていることは既に何度かお伝えしているが、米国、独国などの先進国に留まらず、新興国の動きにも注目する必要があるだろう。

2012年2月19日日曜日

英国、現在の流行語は「ソーセージ……ん〜」(Scotsman.com)

英国の菓子メーカー、ウォーカーズが販売する「ウォーカーズ・クリスプス」のCMがYouTubeで再生回数4万回を超えた。
ポテトチップスのCMで、街行く人に「これは何味のポテトチップスでしょう? 」と聞いて回るもの。
この中に登場するウィル・ウェトクロフト氏(29)の「ソーセージ……ん〜」という言葉が、英国人たちの心を捉えている。

Salesman’s advert appearance spawns new catchphrase(Scotsman.com)

なぜWSJでこの話題を取り上げたのかというと、ウェトクロフト氏の勤務先は「スコッチ・ウイスキー・エクスペリエンス」という、いわばウイスキーのテーマパークだからだ。
ウェトクロフト氏は同社で営業を務めており、CMの撮影は同社近くにある「ロイヤル・マイル・ウイスキーセンター」で行なわれた。
(ちなみにスコッチ・ウイスキー・エクスペリエンスは日本語の案内もウェブ上に設けている。http://www.scotchwhiskyexperience.co.uk/pdfs/japanese.pdfPDF形式)

実は名古屋グランパスにも在籍したゲイリー・リネカーも出演している、このCMシリーズ。
しかし、圧倒的に支持を受けているのはウェトクロフト氏の方だ。
ただウェトクロフト氏自身は当初、複雑な胸中だったという。
「『ソーセージ』という言葉を発しただけで今までの生活が壊されてしまった、と思った」
もっとも、今は「慣れてきた」と言い、「もしかしたらテレビ番組に出演したり、ヨットを買ったりするかもね」とまで述べている。
もちろんそれは冗談で、ウェトクロフト氏は「会社を辞めるつもりはないよ」とコメントしていることから、スコッチ・ウイスキー・エクスペリエンスに行けば、生の「ソーセージ……ん〜」が聞けるかもしれない。

件の動画はこちら


2012年2月18日土曜日

「ワールドウイスキーデイ」、3月27日に全世界で開催(プレスアソシエーション)

World Whisky Day™ – March 27th 20123月27日は世界中でウイスキーグラスが掲げられる日になる——スコットランドの学生、ブレア・ボウマンさん(21)は「ワールドウイスキーデイ」というイベントを企画。
このイベントのオフィシャルサイトには、世界中から7,000名もの参加者登録が集まっている。


Student serves up World Whisky Day(プレスアソシエーション)

ボウマンさんは現在、アバディーン大学で学ぶかたわら、バーマン(バーテンダー)のアルバイトをしている。
両親もウイスキー愛好家であり、大学入学後にウイスキーサークルに参加したことで、ウイスキーへの興味が高まったという。
大学ではスペイン語の修士課程に籍を置いているが、その一環としてスペインを旅行していた際、今回のイベントの着想を得た。

「ワールドウイスキーデイは友人たちと一緒にウイスキーを飲むこと——決してばか騒ぎをするというわけではなく——、そして評価を共有することを目的にしています。だから、スピリッツに不慣れな方でもウイスキーを知るためのよい手段になると思いますね」
同イベントのオフィシャルサイト、トップページには世界地図が表示され、どこでイベントが開催されるか判るようになっている。
その範囲はヨーロッパ、北米、アフリカ、中央・南アジア、オセアニアと幅広い。
「参加者からいただいたメッセージには、クアラルンプールでこの日に合わせてバーをオープンし40年物のボトルを開ける、というものもありました(ボウマンさん)」
なお、日本を含むアジア北東部でのイベント開催予定は、今のところ予定されていない。

ワールドウイスキーデイまで一ヶ月あまりだが、WSJとしても何らかの形で参加したい。
「こんなことをしてほしい」という要望や、「協力してもよい」というバーや関連企業などの方がいらっしゃったら、メールやコメント欄にメッセージをいただければ幸いである。

2012年2月17日金曜日

ロッキー山脈の湧き水からつくられたスピリッツ「スプリング44」(coloradoan.com)

米国におけるウオトカ(ウォッカ)の市場規模は、34億ドル(約2,700億円)に達する。
しかし、そのうち98パーセントは輸入に頼っているという。
ラヴランド蒸留所(米・コロラド州)創立者の一人、ジェフ・リンダウア氏は「我々のつくった『スプリング44』は、この市場に必ずや影響を与えるだろう」と語る。

Loveland distillery to begin producing locally(coloradoan.com)

スプリング44は現在、3種のスピリッツ
をリリースしている。左からウオトカ、
ハニー・ウオトカ、ジン。
スプリング44の売りは、ロッキー山脈の標高2766メートルで湧く水を使っていることだ。
この水を用いてウオトカやジン、そして蜂蜜と混ぜ合わせた「ハニー・ウオトカ」という独特の商品がつくられる。
「ロッキー山脈の湧き水は、地球上で最も蒸留に適した水だ」とリンダウア氏は自信を示す。

ラヴランド蒸留所は、スカイテルというIT・通信企業でCEOを務めたリンダウア氏とラス・ウォール氏、ジェフ・マクファイル氏の3名によって創設された。
さらに現在は、ビール醸造のクアーズでCFOを務めたティム・ウルフ氏も経営陣に加わっている。
およそ650平方メートルの敷地を持つが、3月に一部が操業開始で本格的な運用はまだこれから。
現在はオレゴン州にある蒸留所に生産を委託している。




ブラジルやインドなど新興国のアルコール消費量が増えていることは既報の通りだが、反対に欧米諸国は減少する傾向を示している。
その一方で、プレミアムウオトカなど高付加価値商品は雨後の筍のごとく、リリースされている。
米国ではアパレルブランド「エド・ハーディー」がリリースしたウオトカや、「パトロン」というスピリッツブランドがセレブリティの間で人気だ。
「スプリング44」のようなオーガニックな性質を持つスピリッツも、今後、増えていくことが予想される。

2012年2月16日木曜日

アイル・オブ・アラン、限定版モルト「イーグル」をリリース(ウイスキーマガジン)

アイル・オブ・アラン蒸留所は3月に限定版モルトウイスキー「イーグル」(写真)をリリースする。
アルコール46パーセントで、価格は41.99ポンド(約5,100円)。

ARRAN WHISKY LAUNCHES NEW LIMITED EDITION BOTTLES(ウイスキーマガジン)

これまで、「アイコン・オブ・アラン」シリーズとして、「ザ・ピーコック(クジャク)」、「アラン・ローワン・ツリー(ナナカマド、木)」、そして「ザ・ウェスティー(マスターディスティラー、ジェームズ・マクタガート氏の愛犬の名)」がリリースされた。
イーグルは、このシリーズの4作目にして、最終作となる。
同蒸留所の存在するロッホランザ村の山に鷹が巣をつくることから、イーグルと命名された。

気になる中身は、マクタガート氏が1999年に蒸留されたバーボン樽とシェリー樽からセレクトしたものがブレンドされている。
元記事によるとトロピカルフルーツサラダ、バニラ、あるいはキャラメルに包まれたヘーゼルナッツの香りで、味はレモンドリズルケーキや柑橘類のよう、とのこと。
もちろん、ノンチルフィルターで無着色だ。

英国以外にも流通される予定で、アイル・オブ・アランのオンラインショップでも購入可能。
リリースされるのは6,000本だから、日本のバーで飲める可能性もある。

2012年2月15日水曜日

英の偽ウオトカ事件、リバプール市議会が商品を名指しで注意喚起(WSJオリジナル記事)

先月31日のWSJで、偽ウオトカ(ウォッカ)を飲んで視力が低下した女子大生のニュースを伝えた。
行政側もこの状況に関心を寄せており、リバプール市議会アルコール・タバコ分科会は商品を名指しした上で注意を促す声明を、15日(現地時間)発表した。

今回、同分科会が注意を呼びかけたのは「レボリューション」とラベリングされた1リットルボトルのウオトカで、製造者欄は「アルディ」と表記されている。
分析の結果、やはり変造、あるいは工業用のアルコールが含有されており、またラベル表記された度数と異なるアルコール度数を示しているという。
英国内には「レボリューション」というバーチェーンや「アルディ」というスーパーマーケットが存在するが、どちらも本商品とは無関係であることが確認されている。

ティム・ムーア市議は「この問題は違法貿易だけを示すものではない。このウオトカを飲むことで健康が害される」とコメントした。
視力低下やその他の障害が報告されていることは前述のWSJ記事で伝えた通りだが、同分科会の声明によると英国外でも同様の商品による健康被害が報告されている模様。
現時点で、日本国内では同種の問題は伝えられていないが、あまり聞かないブランドのウオトカを見かけた場合には注意が必要だろう。

2012年2月14日火曜日

ビーム社CEO「インドではRTDに投資」(ザ・エコノミック・タイムズ)

5日のWSJで、インドの政財界人を対象にジャパニーズ・ウイスキーのテイスティングイベントが開催されたことをお伝えした。
だが、当然のことながらインドという新たなマーケットを狙っているのは、日本だけではない。
ビーム社(米・イリノイ州)のマシュー・シャトックCEO(写真)がインド紙ザ・エコノミック・タイムズのインタビューに応えた。

India is an attractive (liqour) market: Matthew Shattock, Beam CEO(ザ・エコノミック・タイムズ)

ビーム社はジム・ビームなどのバーボンの他、カナディアンクラブ(カナディアン・ウイスキー)、ラフロイグ(スコッチ・シングルモルト)、クルボアジェ(コニャック)など多数のスピリッツブランドを擁する。
エコノミック・タイムズによれば、同社のブレンデッド・ウイスキー「ティーチャーズ」は輸入ウイスキーの中で「インド国内で疑いのないNo.1ブランド」だという。

しかしその一方、高い関税率やその他の税制面、あるいは広告の制限など、インドのスピリッツ市場において外国企業が臨むハードルは高い。
「インドは若年層の人口が多い国。現時点でも1億ケース以上のウイスキーが出荷されているが、消費者はさらに増えるだろう。ゆえにインドは魅力的な市場だ」とシャトックCEOは将来的な有益性を強調する。

またインドでの戦略については、次のように語っている。
「ティーチャーズのRTD(レディ・トゥ・ドリンク、用語解説参照)商品に、積極的に投資していく。これは、レストランやバー、ティア2、ティア3の街(ニューデリー、ムンバイなどの五大都市圏につぐ地方都市圏)に照準を絞り、進めていく」
「(インドのRTD商品はバカルディ・ブリーザーが150万ケースの出荷に留まっている程度だが成功するか、という質問に対し)RTDは合理的な価格設定をすることにより、新たにスコッチを飲もうというユーザーを呼び込む。しかし、RTDという便利な商品は、我々に新たな販売の機会、チャンネルを与えてくれるが、完全な商品ではない。我々はRTDをブランドの幅を広げてくれる商品と考えている」

ビーム社が当地で成功するか否かは別として、具体的な販売方針を持ってインド市場に臨もうとする点は興味深い。
日本企業がインドで成功した例として、自動車メーカーのスズキの例が挙げられる。
国民車と呼べる車のなかったインドに小型車を売り込み、今やスズキの販売台数は日本よりインドの方が多い。
スズキのマーケティングは酒類業界にとっても、見習うべき点があるはずだ。
彼らが何を欲しがっているかを知ることができれば、日本の酒類メーカーにとってもインドは有益な市場となるだろう。

【用語解説】レディ・トゥ・ドリンク/Ready To Drink/RTD

缶や小瓶など、販売されている状態からそのまま飲める商品のこと。
日本の缶チューハイもRTDの一種と見ることができる。

2012年2月12日日曜日

【コラム】ウイスキーの世界も「ジャパン・パッシング」?(WSJオリジナル記事)

ウィリアム・グラント&サンズ、オフィシャル
サイトのスクリーンショット。UKver.USver.
そして、韓国ver.が選択できる。
(クリックすると画像が拡大)
「上海、ソウル、台北にあって、日本の都市にないものがあります。ウイスキーに関するものです。さて、それは何でしょう? 」

答えは「ウィリアム・グラント&サンズの駐在員事務所があるか否か」だ。
答えを知らなかったウイスキーマニアは驚くか落胆するだろうが、普通の人々は「何それ? 」で終わってしまうかもしれない。
どういうわけか日本では、ジョニーウォーカーやシーバス・リーガルは知られていても、グランツやグレンフィディックの知名度は低い。
だが、ウィリアム・グラント&サンズがリリースするグレンフィディックはシングルモルトで世界一の売上を誇っているし、グランツもまたブレンデッドの中でトップクラスの販売量をあげている。

ただ、これだけなら、それなりに成熟した日本市場はひとまず置いておいて、伸びしろのある地域に注力する、という見方もできる。
では、次の事実はどう受け止められるだろうか。

筆者はWSJに掲載するニュースを探す中で、ひとつの記事を見つけた。

Buy Whisky Online, Watch Whisky Reviews & more on Whisky Marketplace(PR Web)

ここで紹介されているウイスキー・マーケットプレイスは、日本の「価格.com」をウイスキーにあてはめたようなウェブサイトだ。
銘柄はもちろん、エイジングや産地など様々な条件からウイスキーを検索し、それぞれの販売業者が提示する価格を知ることができる。
オフィシャルボトルだけでなく、ヴィンテージウイスキーも探すことができるし、ジャパニーズウイスキーやバーボンも検索可能だ。
そして、ユーザーは価格を比較するにあたって8種類の通貨を用いることができる。
プルダウンメニューの上から順に挙げていこう。

ポンド、ユーロ、USドル……この辺は世界の基軸通貨であるしウイスキーに関する地理を考えれば、なくてはならない通貨だ。

カナダドル……これもカナディアンウイスキーが存在することを考えれば、あって当然。

スウェーデンクローナ……なぜ、クローナ?そういえばゴルゴ13で、依頼人が申し訳なさそうに「クローナで支払っていいですか? 」とデューク東郷に訪ねるシーンがあったな。

オーストラリア・ドル……オーストラリアの酒類情報サイト”THE Shout”の記事はWSJでも引用させてもらっている。これも、オーストラリアがそれだけ大きいマーケットであるという顕れだろう。

――日本円はないのか。そう思っていたところでようやく、お馴染みの「¥」マークを見つけた。
だが、その脇に書かれている通貨コードは”RMB”。
つまり、この¥マークは日本円ではなく中国元を指す。
そして、その下に続くのは台湾ドル。

悲しいが、これが現実だ。
今回は、筆者が知っているジャパン・パッシングの例を挙げたが、おそらく他にも同様の事例は存在するだろう。
もちろん、逆の事例――まだまだ日本は影響力を持っていることの証も、存在することを信じたいが。

(あす13日は更新を停止します)

2012年2月11日土曜日

英百貨店が「激辛ウオトカ」を販売開始(デイリー・メール)

英国の百貨店、セルフリッジズは「ナガ・チリ・ウオトカ」(写真左)の販売を開始した。
700ミリリットル・ボトル入りで、アルコール度数40パーセント。
価格は39.99ポンド(約4,900円)。

Now that's a real hot shot! World's hottest chilli vodka made from fiery naga pepper goes on sale at Selfridges(デイリー・メール)
http://www.dailymail.co.uk/femail/article-2097813/Worlds-hottest-naga-chilli-vodka-goes-sale-Selfridges.html#ixzz1lzbRTvu6

このウオトカ(ウォッカ)には1リットルあたり、18キログラムの「ナガ・ジョロキア」という唐辛子が使用されている。
ナガ・ジョロキアはインド北部やバングラディッシュ原産で、2007年には世界一辛い唐辛子というギネス認定も受けた。
(現在の世界一は「トリニダード・スコーピオン・ブッチ・T」というオーストラリアの品種)

また、記事本文には「法執行官が犯罪者などの制圧に使う唐辛子スプレーより辛い」とある。
これを測る目安としてスコヴィル値という単位があるが、ナガ・チリ・ウオトカが謳うのは10万スコヴィル。
日本版ウィキペディアにあるスコヴィル値リストによれば警官用の唐辛子スプレーは530万スコヴィルだが、これはあくまで原料が示す数値で実際には数十倍薄めて使われるため、記事の言葉も、あながち誇大したものではなさそうだ。

セルフリッジズが販売するものと同ブランドではないようだが、YOU TUBEでナガ・ウオトカのレビュー動画(上)もあるので、ご参照いただきたい。

セルフリッジズはオンラインストアでもナガ・チリ・ウオトカを販売しているが、こちらは英国内のみのデリバリー。
日本を含む英国外からの問い合わせは、電話注文受付+44 113 369 8040まで。

2012年2月10日金曜日

ラテンアメリカンはウイスキーを嗜む――スコッチウイスキーの対ブラジル輸出額、前年同期比1.5倍に(BBC他)

スコッチウイスキー協会(SWA/英・スコットランド)によると、昨年1〜9月期のスコッチウイスキー輸出額は約30億ポンド(約3,700億円)に達した。
これは毎秒125ポンド(約1万5千円)を生み出している計算になる。

Whisky supports more than 10,000 workers, SWA reports(BBC)

このうち輸出額が最も大きいのは米国で、4億3千ポンド(約530億円)。
しかし、このところ高い伸び率を示している輸出先は、ブラジルだという。

Latin America's growing taste for whisky(TUSCON Sentinel.com)

上記リンクの米ニュースサイト、タスコン・センティネルが伝えたところによると、昨年1月〜10月期のブラジルのスコッチウイスキー輸入額は1億3,400万ドル(約100億円)。
米国の輸入額に比べれば少なく感じるかもしれないが、前年同期比の1.5倍という急激な伸び率だ。
また、ベネズエラも輸入額でほぼ同じ伸び率を示しており、市場規模でブラジルは世界9位、ベネズエラは同12位と、既に一大消費地として成長している。
この状況について、ディアジオ社中南米担当のスチュアート・カービー氏は「もはや『ブラジルに輸出する』時代ではない。今やスコッチウイスキーはブラジルのために作られている」と語る。
また、「シーバスリーガル」や「バランタイン」といった著名ブレンデッドを擁するペルノ・リカール社は、DJコンテストのスポンサード、フェイスブックでのマーケティングを行なうなど、同地域での若い消費者獲得に躍起だ。

なぜ、これほどまでに消費が拡大し、また、メーカーサイドも拡販に動くのか。
それはやはり中南米の経済成長によるものだろう。
例えばブラジルにおいては、潤沢な天然資源を有し、インフラも整ったことから、永年の課題であった対外債務の解消が進んでいる。

ウイスキーから話が逸れるが、近年、Jリーグにブラジル人選手が来なくなった、という話を聞く(リンク参照)。
Jリーグのクラブが金を出さなくなったこともあるが、ブラジル人の所得水準が上がったことで、わざわざ日本に行くメリットが少なくなっているためだ。

国民の所得が上がれば嗜好品などへの支出も増える。
しかも中南米の場合、中国とは違い、歴史的にヨーロッパとの繋がりがある。
金の使い道がウイスキーに向くのも、必然なのだろう。

2012年2月9日木曜日

ボウモア、GTR向けラインナップを変更か?――2商品を新発売(ザ・ドリンクビジネス)

ボウモア(モリソン・ボウモア)はグローバル・トラベル・リテール(GTR)向け商品として、「100ディグリーズプルーフ」と「スプリングタイド」をリリースする。
同時に、既存のGTR向け商品のパッケージも刷新される。

NEW LOOK AND LAUNCHES AT BOWMORE(ザ・ドリンクビジネス)

Bowmore Cask Strength Litre
現行のGTR商品
「ボウモア・カスクストレングス」
GTRとは、DFSのような免税店などで旅行客向けに販売される商品のこと。
現在ボウモアは「エニグマ」、「サーフ」、「マリナー」、「17年」、そして「カスクストレングス」というGTR向け商品を販売している。
元記事の本文では触れられていないが、3月からエニグマとサーフ、そしてマリナー15年・17年のパッケージが変更される、とあることから既存の17年とカスクストレングスは廃止される可能性がある。
また新商品のうちのひとつは100ディグリーズプルーフというところから、上記の推測が正しければ、これはカスクストレングスの代わりとなる商品かもしれない(プルーフ値100度=英国基準でアルコール度数57.1パーセント)。

そして今回の新商品とリニューアルは、環境にも配慮されたものだ。
ボウモアのGTR向け商品はチューブパッケージ(円筒による包装)であったが、今回、紙箱のパッケージに変更される。
そして、この紙箱やボトルは100パーセント、リサイクルされたものだ。





このところコレクターズアイテム的なウイスキーを取り上げることが多かったが、今日の記事は現実的に「買える」商品を紹介できたと思う。
少なくとも現行のボウモアGTR向け商品は40〜50ポンド(約5千〜6千円)で購入可能だ。
読者やその友人の方々が海外でおみやげを選ぶ際には、ボウモアに気をかけてみるのもいいかもしれない。

2012年2月8日水曜日

ジョニーウォーカーもダイヤモンド・ジュビリーを祝う——利益は奨学金団体などに寄付(デイリー・メール他)

6日のWSJで、ゴードン&マクファイルが英女王即位60周年を記念して、グレングラント60年をリリースしたことをお伝えした。
そして今度は、ジョン・ウォーカー&サンズが即位60周年記念のブレンデッドウイスキーをリリースする。


Cheers, Your Majesty: The £100,000-a-bottle Jubilee whisky that has been maturing for the Queen’s 60 years on the throne
(デイリー・メール)
 http://www.dailymail.co.uk/news/article-2097590/Diamond-Jubilee--100k-bottle-whisky-maturing-Queens-60-years.html#ixzz1lhpjjJSX


JOHN WALKER & SONS CELEBRATES 60 YEARS OF HER MAJESTY
(ウイスキーマガジン)

Whisky distillers mark Queen's Diamond Jubilee with £100,000 60-year-old malt
(デイリー・ミラー)

ジョン・ウォーカー&サンズはディアジオグループの一社で、ロイヤルワラント(王室御用達)ブレンデッドウイスキー「ジョニーウォーカー」を製造している。
ただ今回のブレンデッドに関しては、「ジョニーウォーカー」のラベルは貼られず、「ダイヤモンド・ジュビリー・バイ・ジョン・ウォーカー&サンズ」というタイトルになるようだ。

手がけたのは同社マスターブレンダーのジム・ビバリッジ氏。
「このブレンドは特別なものであるが、このボトルに関わった職人たちもまた、特別である」と氏は語る。
「職人」というのは、ウイスキー職人だけを指すわけではない。
今回使用されるクリスタルデカンタ(写真右)や包装される木箱の製作に関わったのは、エリザベス女王奨学金(QEST)というプログラムが生み出した職人たちだ。
QESTは英国の職人たちを育成する奨学金で、1990年にロイヤルワラントホルダー協会150周年と、エリザベス1世皇太后90歳の誕生日を機に創設された。
給付資格に年齢やキャリアは不問で、これまで助成を受けた職人は242名。

今回のブレンデッドは60+1本、リリースされる。
市場に出回る60本と、女王本人に1本が献上される、ということだ。
そして前者60本で生み出される利益は、QESTやその他の慈善団体に寄付される。

価格は10万ポンド(約 1,200万円)。





The decanting process marked the final stage in the project which began 60 years ago
余談になるが、今回の元記事(デイリー・メール)の中にあった写真について。
件のクリスタルボトルにウイスキーを注入する若いブレンダー。
後ろでそれを見ているのが、記事の中に登場したビバリッジ氏だ。
ビバリッジ氏はとても優しそうな顔立ちをしているのだが、こうやって見ている姿は正直言って、怖い。
こういう人は、怒らせると怖いのが世の常だ。

少し見ただけではなんでもない写真なのだが、妙に印象に残った。

2012年2月7日火曜日

ハイランドパーク、新シリーズの第一弾として「トール」をリリース(Harpers)

シングルモルトウイスキー「ハイランドパーク」は新シリーズ「バルハラコレクション」の第一弾として、「ハイランドパーク トール」を発売する。

Highland Park releases Thor whisky(Harpers)


バルハラとは北欧神話に登場する宮殿であり、同様にトールは雷神の名前だ。
ハイランドパーク蒸留所があるオークニー諸島は、スコットランドの中でも北に位置し、歴史的にノルド人、ヴァイキングなど北欧文化との繋がりが深い。
トールの納められる木製フレーム(写真右)もヴァイキング船をイメージしたものになっている。
バルハラコレクションは今後、トールを含めて4商品がリリースされる予定。

肝心の中身となるモルトは16年熟成で、アルコール度数は52.1パーセント。
価格は120ポンド(約1万5千円)に設定されている。
また、ハイランドパーク正規輸入元であるアサヒビールはWSJの取材に対し「日本での取扱は予定していない」と回答した。

2012年2月6日月曜日

G&M、女王即位60周年記念ボトルをリリース(ザ・プレス・アソシエーション)

Official Diamond Jubilee portrait of The Queen
即位60周年を迎えたエリザベス2世女王

エリザベス2世英女王は今日6日、即位60周年”ダイヤモンド・ジュビリー”を迎える。
ウイスキーボトラー(瓶詰め業者)のゴードン&マクファイル(G&M/英・スコットランド)は、これを記念し「グレングラント60年」を85本限定でリリースする。



£8,000 Jubilee whisky goes on sale(ザ・プレス・アソシエーション/URLが長いためリンクはタイトルをクリック)


このグレングラントは、女王が即位する4日前の1952年2月2日に蒸留、それからちょうど60年を迎えた今月2日にボトリングされたという、60年という数字にこだわった一品だ。
同社マイケル・アークハート取締役は「女王の即位60周年を、この貴重なグレングラントでお祝いできることについて、嬉しく思う。最近の輸出傾向を見れば英国内に留まらず、世界中の消費者、マーケットが興味を示してくれるだろう」と語った。

今回ソースとしたプレス・アソシエーションによれば、アロマはコックスピピンやグラニースミスといったリンゴにシナモンやジンジャーが織り混ざる感覚とのこと。

こうした記念ボトルの例に漏れず、今回もボトルやパッケージに特別な包装がなされるが、ボトルが納められるハンドクラフトの木箱はスコットランド宮殿の近くで産出されたエルム材が使用されている。
価格は8,000ポンド(約96万円)。

2012年2月5日日曜日

ジャパニーズ・ウイスキー・イン・インディア(共同)

今年は日本とインドの国交樹立から60周年にあたる。
この記念事業の一環として、ニューデリーにある日本大使公邸でジャパニーズ・ウイスキーの試飲会が開催された。

インドにウイスキー売り込み 日本の上質もの飲んで!(共同)

記事本文にある通り、インドはかつて英国の植民地であったことから、ウイスキー愛好家が多い。
また、それだけでなく生産も盛んで、マクダウェル(ブレンデッド・ウイスキー)、アムルット(シングルモルト)など、インド国外での評価も高い。

なお、国交樹立60周年記念イベントはこの他にも、経済面での連携を狙ったものから映画やアニメのワークショップなど文化的なものまで、日本・インド両国内で今年1年間にわたり開催される。


すでにインドのウイスキーは生産面でも愛好家の舌のレベルにおいても、相当に高いレベルにあるため−—生産面は互角としても、愛好家については日本よりインドの方が、レベルは高いかもしれない——、ジャパニーズ・ウイスキーが市場に入り込むのは難しいかもしれない。
ただ、ジャパニーズ・ウイスキーの味わいは独特であるからこそ、世界的に評価を受けているところもある。
そうした面をインドの人々に評価してもらえれば、一人の日本人として嬉しく思う。

2012年2月4日土曜日

VOKビバレッジ、バーボン・ラムの新商品を発売(THE Shout)

VOKビバレッジ(オーストラリア)は、RTD(レディ・トゥ・ドリンク=缶チューハイのような、買ったそのままの状態で飲めるアルコール商品)のバーボン、ラム商品をリリースする方針だ。

New bourbon breaks the mold: Vok(THE Shout/オーストラリア)

まず、VOKが販売するバーボンに「ビアデッド・レディ」という商品があるが、これをコーラとミックスした缶入り商品が発売される。
375mlの缶に入れられたもので、アルコール度数6.5パーセントと8.0パーセントの2タイプがある。
同社のクリス・イルマン マーケティング・ディレクターは元となるフルボトルのビアデッド・レディについて「25パーセント配合されるライがこの商品の甘さを引き出している。市場にこんな商品はないだろう。消費者が求めているのは、『もうひとつのジャック・ダニエル/ジム・ビーム/ワイルド・ターキー』ではないのだ」と語っている。

また同社のラム「リベリオン・ベイ」も同様に、コーラとミックスされた商品が発売される。
アルコール度数は4.8パーセントと6.5パーセント。


筆者がネット上で調べた限り、このビアデッド・レディ(比較的卑猥な意味のネーミングだ)というバーボンは日本ではまだ流通していない模様。
フルボトルの方もリリースされて間もない商品なのかもしれない。
見つけて飲んだという読者の方がいらっしゃったら、是非、感想をお聞かせいただきたい。

2012年2月3日金曜日

車にモルトを飲ませよう——バイオ燃料としてのウイスキー(ザ・ジャーナル)

エジンバラネイピア大学のバイオ燃料研究センターから、ひとつのベンチャー企業が誕生した。
社名は「セルティック・リニューエイブルス」。
この会社が開発する自動車向けバイオ燃料は、なんとモルトウイスキーだという。

Whisky bio-fuel now a reality(ザ・ジャーナル)

Sighthill Campus first day after refurbishment exteriors
セルティック・リニューエイブルスの本社が置かれる、
エジンバラネイピア大学バイオ燃料研究センター
原油価格上昇や将来的に懸念される石油の枯渇、そして環境保護の観点から、バイオ燃料が注目されている。
なかでもブラジルで普及しているバイオエタノールは、その代表格として挙げられやすい。
しかし、現在使われているエタノールとガソリンの混合燃料はともかくとしても、将来石油が使えなくなった事態を考えると、エタノール100%の燃料でガソリンエンジン車を動かすのは難しい。
そこで、ガソリンの代替燃料として挙げられるのがバイオブタノールだ。
油よりも水に近いエタノールと異なり、ブタノールはそのままガソリンエンジンにも使いやすいと言われていることから、石油メジャーなども本格的な研究に入っている。
セルティック・リニューエイブルスはスコティッシュ・エンタープライズ社の助成の下、モルトウイスキーを利用してアルコールの一種であるブタノールを生成する技術の研究開発を行なっている。

「モルトを燃料として使うなんて、そんなもったいないことをするのか? 」
「決して安いものではないし、燃料と飲料、両方に使ったら需要も上がってさらに値段が上昇するだろう。そうしたら、産業として成り立たない」
そうした声もあるかもしれない。

だが、セルティック・リニューエイブルスが燃料として使うのは、ウイスキーの「くず」だ。
スコットランドの蒸留所からは年間1,600万リットルの商品化できないクオリティのウイスキーと使用済みグレーン50万トンが発生する。
「これらはバイオブタノール生成を開発するのに適した原料である」と同社創設者で大学バイオ燃料研究センターのマーティン・タングニー教授は語る。
また、エール(ビール)の「くず」を利用することも検討されており、これらのシステム完成が実現されれば、エネルギーの安全保障が担保されるでなく、CO2排出量を減らすこともできるという。

スコティッシュ・エンタープライズのレナ・ウィルソンCEOは「私たちが商業面でのアイディアを付加することにより、これを研究レベルから持続可能な産業へと変化させることができると思う。今後も、目的達成のために支援を続ける」とコメントした。

2012年2月2日木曜日

グランツ子会社、グリーンマークとズブロッカの販売を開始(Talking Retail他)

英国のアルコール飲料販社、ファーストドリンクは今年よりウオトカ(ウォッカ)「グリーンマーク」と同「ズブロッカ」の英国内での取扱いを開始する。
Green Mark vodka

First Drinks kick start 2012 with new Vodka brands(Talking Retail)

FIRST DRINKS ADDS NEW VODKA BRANDS(ザ・ドリンク・ビジネス)http://www.thedrinksbusiness.com/2012/01/first-drinks-adds-new-vodka-brands/

Scottish distiller give Green Mark a go(RT)
http://rt.com/business/news/britain-russian-vodka-sales-141/

ファーストドリンクは「グランツ」など多数のウイスキーブランドを持つウィリアム・グラント&サンズの子会社。
グラント社製品の流通を担当する一方、コニャック「レミー・マルタン」など輸入製品の取扱いも行なっている。
今回、「グリーンマーク」、「ズブロッカ」の両ブランドを保有するセントラル・ヨーロピアン・ディストリビューション(CEDC/ポーランド)との交渉が妥結したことで、英国内での販売権を得ることになった。
「グリーンマーク」はロシア国内最大の販売量を持つウオトカであり、1千万ケースの出荷を誇っている。
一方の「ズブロッカ」はCEDCが旗艦ブランドと位置づけている商品で、日本でも知名度がある商品だ。

ファーストドリンクのクリス・メイソン マネージングディレクターは「ウオトカの世界的リーディングカンパニーであるCEDCと共に仕事ができること、長期的なパートナーシップを築けることを楽しみにしている。2012年に我々が持つ望みは、ウオトカのプレミアムブランドとしての実績を構築し、それを英国内のお客様に提供することだ」と語った。

2012年2月1日水曜日

「グランツ・カスク・エディション」3月に発売(theshout.com.au)

ウィリアム・グラント&サンズは、オーストラリア市場向けのブレンデット・ウイスキー「グランツ・カスク・エディションズ」を3月にリリースする。

Grant's to launch new cask editions(theshout.com.au/オーストラリア)

エールカスクフィニッシュ(ビール樽で熟成させたウイスキー)のグランツは既に存在するが、今回はそれと異なり、オロロソ・シェリーカスクとブレンデッドされたものとなる。
「シェリーカスクの温かみのあるフレーバーが、オーストラリアの愛好家に気に入られるはず(同社マーケティングマネージャー、ネイサン・フィッシャー氏)」ということで、既存のグランツ・エールカスクと比べ、シェリー樽特有の甘みがあるブレンデッドになることが予想される。

なお、メーカー希望小売価格は43.99豪ドル(約3,600円)。