2013年3月31日日曜日

アイルオブアラン、「16年」を9000本限定でリリース(スピリッツビジネス)

 アイルオブアラン蒸留所(英スコットランド)は4月、シングルモルト・ウイスキー「アランモルト16年」をリリースする。9000本限定販売。

 アランモルトの通常品で年数表記のあるものは10年と14年で、同蒸留所の商品としては長期熟成のものとなる。また、来年春には17年を、再来年春には18年をリリースするという。今回の商品は、アンピーテッドのモルトを原料にバーボン樽とシェリー樽熟成のものをブレンドした。

 アルコール=46%、容量=700ミリリットル。価格=59.99ポンド(約8600円)。

ARRAN DISTILLERS RELEASES OLDEST SINGLE MALT(スピリッツビジネス/商品画像あり)


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2013年3月30日土曜日

ロンドンディスティラリーカンパニー、ジンの新商品リリース(スピリッツビジネス)

 ロンドンディスティラリーカンパニーは来月2日、ジン「ドッズジン(DODD'S GIN)」をリリースする。商品名の由来となるラルフ・ドッドは、18世紀後半に活動したエンジニアで、ロンドンディスティラリーカンパニー(初代)を創業した起業家でもある。

LONDON DISTILLERY COMPANY RELEASES INAUGURAL CRAFT GIN(スピリッツビジネス)
http://www.thespiritsbusiness.com/2013/03/london-distillery-company-releases-inaugural-craft-gin/

 原料にはジュニパーの他、アンゼリカ、ライムピール、ベイローレル、カルダモン、レッドラズベリーリーフ、ハチミツを使う。なかでもハチミツは、ロンドン市内に生息するハチがもたらすもの。アンドリュー・マクロード・スミス蒸留責任者によると「英国内から多数のハチミツを取り寄せ蒸溜したが、ロンドンという都会暮らしのハチによるのものがラグジュアリーな口当たりと魅力的なトップノートを引き出してくれた」という。

 現在のロンドンディスティラリーカンパニーは、ロンドンでのウイスキーづくりを目指すダレン・ルーク氏らにより、昨年創立。ウイスキーには3年以上の熟成期間が必要となるため、当面はジンなどを販売していく。前述の通り18世紀にも、ラルフ・ドッドが同名の会社を起こしており、ルーク氏は「ロンドンで蒸留所をつくるための調査をしているときに、ドッドのストーリーを知った」という。
「ドッドがつくっていた真のブリティッシュ・スピリッツは、我々と同種のものと考える。今回の商品は彼に捧げるものだ(ルーク氏)」

 500ミリリットルボトルで、アルコール=49.9%、希望小売価格=36.95ポンド。発売後2週間は百貨店「フォートナム&メイソン」限定で販売、その後、ロンドンディスティラリーカンパニーのオンラインショップでも販売する。


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2013年3月28日木曜日

マッカランと007のコラボ・ボトル、チャリティー・オークションに出品――「ボンドと関係を深められ嬉しい」とエドリントン担当者(ドリンクスビジネス)

 英酒造エドリントングループと同国政府コミュニケーション基金は来月17日、オークションハウス「サザビーズ」にスコッチ・シングルモルト「マッカラン1962」を出品する。蒸留した1962年は映画『007』シリーズの第一作『ドクター・ノー』公開と同じ年で、今回のボトルには昨年公開の『007スカイフォール』に出演したダニエル・クレイグ氏、ハビエル・バルデム氏、ベレニス・マーロウ氏のサインが入る。

JAMES BOND WHISKY TO BE AUCTIONED(ドリンクスビジネス)
http://www.thedrinksbusiness.com/2013/03/james-bond-whisky-to-be-auctioned/

 オークションに出品する目的は政府コミュニケーション基金の資金調達のためだ。元記事には、「同国政府通信本部の前職者(former members)へのサポートをする」とあることから、007と同じく諜報に携わった人への再就職支援等を行なうものと見られる。

 『スカイフォール』は007・ボンド役にクレイグ氏、敵役をバルデム氏、ボンドガールはマーロウ氏で、主なキャストのサインがボトルに入ることになる。エドリントングループのケン・グリアー・モルト担当ディレクターは「チャリティー・オークションを通してボンドと関係を深めることができ、嬉しい。ヴィンテージのマッカランがボンドとコンビを組むことで、オークションにおいてアピールでき、素晴らしい結果をもたらしてくれるのではないかと思う。政府コミュニケーション基金は、収益の受取人としてふさわしい」とコメントした。

 同ボトルは、5000ポンド(約71万円)から競売にかけられる予定。


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2013年3月27日水曜日

バーボン「ヘヴンヒル」、累計樽詰め数650万に(ビジネスファースト)

 バーボン・ウイスキー「ヘヴンヒル」は26日、原酒の樽詰めが累計650万樽となり、これを記念するイベント(写真)を開催した。節目となる樽栓は、パーカー・ビーム6代目マスターディスティラーと、クレイグ・ビーム7代目マスターディスティラーの親子によって打ち込まれた。

 同社の発表によると、創業から現在まで事業を継続しているバーボン・ウイスキー蒸留所の中で、同蒸留所は2番目に長い歴史を持つといい、フラッグシップブランド「エヴァンウィリアムズ」もバーボン・ウイスキーとして世界2位のシェアを持つ。そして、常時100万樽をエイジングしており、こちらも世界2位の貯蔵量だという。また、マスターディスティラーの名字が「ビーム」であるが、ヘブンヒル創業家は「ジムビーム」創業者であるジェイコブ・ビームの子孫(現在、ジムビームのマスターブレンダーはフレッド・ノウ氏だが、同氏の父で先代のブッカー・ノウはジェイムズ・”ジム”・ビームの孫であり、ヘヴンヒルのビーム家とは遠戚にあたる)。

 ヘヴンヒルのマックス・L・シャピラ(Max L. Shapira)代表は、「今日は本当に誇らしい日。樽の中の原酒は時が経つ毎に減っていくが、(そうした時間の経過こそ我々の)バーボンが成長し、人気を得てきたことの証だ」とコメントした。

Heaven Hill celebrates 6.5 million bourbon barrels filled(ビジネスファースト)


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2013年3月26日火曜日

米英でスピリッツ、ウイスキーのコンペティション――日本からの受賞商品も

 様々なカテゴリーのスピリッツを評価する米国のコンペティション「アルティメットスピリッツチャレンジ(USC)2013」が3月11〜15日、ニューヨークのアスターセンターで開催された。今年は38部門が設けられ、33商品が最高賞であるチェアマンズプライズ(会長賞)を獲得した。

 USCは昨年、「ソジュ」部門を新設したが、今年は「ソジュ/焼酎/白酒」部門として東アジアのスピリッツを評価。三和酒類「いいちこフラスコボトル」(写真)が94点でチェアマンズプライズに輝いている。一方、ジャパニーズ・ウイスキー部門はニッカウヰスキー「竹鶴12年」のみのエントリーだったが、得点が89点で、チェアマンズプライズの獲得条件となるファイナリスト(90点以上)進出はならなかった。

 ほか、シングルモルト・スコッチ・ウイスキー部門は「ハイランドパーク25年」が100点でチェアマンズプライズを獲得している。結果発表ページへのリンクを以下に記すので、ご覧いただきたい。

http://www.ultimate-beverage.com/the-results/2013-spirits-results/

 一方、英専門誌「ウイスキーマガジン」は22日、「ワールドウイスキーアワード(WWA)2013」を発表した。受賞した商品は次の通り。

ワールズベスト・シングルモルト・ウイスキー
アードベッグ・ガリレオ

ワールズベスト・ブレンデッド・ウイスキー
響21年

ワールズベスト・ブレンデッドモルト・ウイスキー
マルス・モルテージ3プラス25 28年

ワールズベスト・ノースアメリカン・ウイスキー
ジョージTスタッグ

ワールズベスト・グレーン・ウイスキー
ケープマウンテンウイスキー

ワールズベスト・ウイスキー・リキュール
スペイサイドウイスキーリキュール40年

 シングルモルト部門は最近2年間、山崎蒸留所の商品が受賞していたが、「コリーヴァレッカン」以来3年ぶりに、アードベッグ蒸留所が奪還。ブレンデッドモルト部門のマルスウイスキーは2007年のWWA創設以来、初の受賞だ。



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2013年3月24日日曜日

ベンリアック、グレングラッソ蒸留所を買収(スコッツマン)

Glenglassaugh Tours スコッチ・ウイスキーを生産するベンリアックは22日、グレングラッソ蒸留所(写真)を買収したと発表した。買収額は不明だが、昨年3月、ベンリアックはロイヤルバンクオブスコットランドより2700万ポンド(約39億円)を、事業拡大目的で資金調達している。この際、ビリー・ウォーカー・マスターブレンダーは新たに蒸留所を買収すると明言していた。

Glenglassaugh whisky distillers bought by BenRiach(スコッツマン)
http://www.scotsman.com/business/food-drink-and-agriculture/glenglassaugh-whisky-distillers-bought-by-benriach-1-2853026

 グレングラッソは1875年に創立。一度、閉鎖を経た後、2009年にルミエールホールディングスという企業が再オープンさせた。年間110万リットルの生産能力を持つ。

 一方、ベンリアックは1972年の生産再開以降、シーバスブラザーズの傘下にあったが、2004年にウォーカー・マスターブレンダーらが設立した「ザ・ベンリアック・ディスティラリー・カンパニー」が買収。2008年にはグレンドロナック蒸留所も取得している。ベンリアック蒸留所自体はマレイ州(スペイサイド地域)に所在するが、本社機能を持つオフィスをエジンバラに構えている。

 ウォーカー・マスターブレンダーは次のようにコメントする。
「5年前、我々がグレンドロナックを買収したことで、世界中のウイスキー愛好家に驚きと喜びを与えた。今回も、同様のポジティブな効果を持つと確信している。名声と歴史を持つハイランド・シングルモルトであるグレングラッソを買収でき、本当に嬉しく感じている。スコッチ・ウイスキーが黄金時代を迎えているということも、良いタイミングだ。ハイエンド・ブランドに対する空前の需要が台湾、スカンジナビア、米国、中国、インド、ロシア、中東、南アフリカ、南米で生まれている。グレングラッソもこれらのマーケットで紹介されることだろう」

 また、グレングラッソのスチュアート・ニッカーソン・マネージングディレクターは「スコットランド人の手に戻るのは素晴らしいこと」とベンリアックによる蒸留所取得を歓迎した。


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2013年3月22日金曜日

ヨンフUSVI知事、ラム助成金問題で関係国に書簡送付(カリビアン360)

 米自治領とカリブ諸国間で起こっているラム助成金問題(用語解説参照)で、米領ヴァージン諸島(USVI)のジョン・デ・ヨンフ知事が複数のカリブ諸国首脳に書簡を送付していたことが、明らかになった。ヨンフ知事は書簡において、世界貿易機関(WTO)への提訴を撤回し、共同歩調をとるよう説得している。

USVI appeals to CARIFORUM in rum dispute(カリビアン360)
http://www.caribbean360.com/index.php/business/674409.html

 書簡の送付先はアンティグア・バーブーダ、セントヴィンセント・グレナディーン、グレナダ、セントクリストファー・ネイビス、ドミニカ国、セントルシアという6カ国の首脳。これらの国は、カリブ共同体(カリコム)、ならびに現在、WTOへの提訴を検討する全ての国ではない。ヨンフ知事は提訴による紛争解決は長い期間を要する点、そしてカリブ諸国側の主張を立証することは困難である点を根拠に、送付先の首脳に勧告を行なっている。

 今回、元記事のカリビアン360は、アンティグア・バーブーダのボールドウィン・スペンサー首相宛てに3月4日付で送付したものを入手した模様。書簡を明らかにしたのはUSVIラム生産者のコンサルタントを務めるグレッグ・ロマーノ氏で、他の首脳に対してもほぼ同様の内容が記されているという。

 ヨンフ知事は、書簡の中で次のように主張する。
「我々は経済状態、安定、そして未来を確実とするために、共に進まなければならない。互いに協力し合うことは、国外からの直接投資をもたらし、高度な雇用を我々の地域に呼びこむ。ディアジオやビームとパートナーシップを結ぶことで、USVIはこれを成し遂げた。地域の人々にとって、真に良くなる機会を得ることこそが、米議会がこの経済開発プログラムを行なう意図だ。(米本土から還流する資金は)USVI歳入の20%を占めている」

 元記事では、書簡の受け手側のコメントは記されておらず、今後、カリコム、西インド諸島ラム生産者協会がどのような対応をとるか注目される。


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2013年3月19日火曜日

ディアジオ、ロンドンでタンカレー関連イベント開催――スミノフは新商品リリースへ(スピリッツビジネス他)

 英酒造大手ディアジオは今月26〜28日、ロンドン・コヴェントガーデンに「タンカレー・ジン・パレス」を開設する。ジン・ブランド「タンカレー」の創業者、チャールズ・タンカレーの誕生日(1810年3月27日)を祝うというもの。

 パレスではバーテンダー、エリック・ローレンツ氏(マドリッドのホテル、ル・カブレラ所属)らがジン・ベースのカクテルをつくり、また、19世紀のクラシックなスタイルのジンもお披露目するという。

DIAGEO OPENS POP-UP GIN PALACE IN LONDON(スピリッツビジネス)
http://www.thespiritsbusiness.com/2013/03/diageo-opens-pop-up-gin-palace-in-london/

 一方、同じくディアジオのウオトカ(ウォッカ)・ブランド「スミノフ」は4月、フレーバード商品「エスプレッソ」をリリースする。

 スミノフのポートフォリオには既に「ライム」「アップル」などのフレーバード商品が存在しており、エスプレッソはプレーン・タイプの商品にエスプレッソ・コーヒーの風味付けをしたもの。原料には本物のコーヒー豆を使用しているという。

 元記事では、価格や販売地域についての言及はない。しかし、カレン・オシェア・スミノフ西欧マーケティング担当マネージャーは、「米国ではフレーバード・ウオトカのシェアがウオトカ・カテゴリーの18%を占めている。ここから、英国でフレーバード・ウオトカのセールスをどう伸ばしてくべきかを学んだ」とコメントしており、まずは英国で販売するものと思われる。

Diageo to roll out Smirnoff Espresso vodka(ハーパーズ)


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2013年3月18日月曜日

ブルイックラディ、生産能力を拡大(ドリンクスビジネス)

The Laddie Ten Year Old Whisky - Single Malt Scotch
レミーコアントローの買収に
より、日本代理店も国分から
レミーコアントロージャパン
に変更となったブルイックラ
ディ
 スコッチ・シングルモルトのブルイックラディ蒸留所は、生産能力を倍増したと発表した。年間150万リットルのウイスキー生産が可能となり、世界的需要の増加に対応する。

 同蒸留所のアラン・ローガン・ディスティラリーマネージャーは「蒸留所の設備に過大な負荷がかからないよう注意を払っている」としながら、次のようにコメントする。
「長時間、稼働してくれるよう、(設備に対して)敬意を持って仕事に取り組みたい。(拡張によって)むしろ動きはゆっくりとなった」

 同蒸留所は昨年、レミーコアントロー(仏)に買収されており、財務的背景によって設備投資が可能になったと、元記事のドリンクスビジネスは分析している。

Bruichladdich Distillery doubles single malt Scotch whiskey production(ドリンクスビジネス) バーボン「メーカーズマーク」、アルコール度数引き下げを撤回――一連の騒動に「心からお詫び」と経営者(タイム)

2013年3月15日金曜日

「あっという間の46年」――17歳から働き続けたシーバス従業員、退職の日を迎える

マカリスターさんと「セントミレンFC」
のマスコット
 シーバスブラザーズ(英、以下「シーバス」)が一人の従業員の退職を、プレスリリースで取り上げている。退職したのはアリステア・マカリスターさん(64)。46年半に亘って、シーバスで働き続けたという。

 マカリスターさんが入社したのは1966年7月。当時は17歳だったといい、まず在庫調整部門に配属された。そして荷役部門での仕事を経験した後、ボトリングホールでのフォークリフト・オペレーター業務に25年という長い時間を捧げた。マカリスターさんは「46年はあっという間に過ぎ去って、色々なことが変わった。私がボトリングホールで働き始めた頃は、女性スタッフが小さなプラスチック製ハンマーで封をする、という手作業だったんだ。今は大きく進んで、近代的なマシンになった」とシーバスでの人生を振り返った。

 具体的な日付は明記されていないが、プレスリリースの発行日から今月初頭ごろに退職したものと思われる。退職日には、同僚がケーキとプレゼントで慰労の意を示したほか、サプライズゲストとしてパンダのマスコットが登場。シーバスと同じくペイズリーに本拠を置き、そしてマカリスターさん自身もサポーターであるサッカークラブ「セントミレンFC(スコテッシュ・プレミアリーグ所属)」のマスコットだ。マカリスターさんも、このサプライズを喜んだという。

 退職することで退屈な日々になる不安を持ってしまいそうだが、マカリスターさんは「忙しくなりそう」と次のように話す。
「新車を買おうと思っているし、夏には日光浴を楽しみたいね。あとは時間をとって、スペインやギリシャを訪れたい。それに私は庭いじりが好きだから、家でもやることがたくさんあるんだ」

プレスリリース


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2013年3月14日木曜日

ボンベイサファイア、マスターディスティラーにフォーダム氏

Bombay Sapphire - Nik Fordham ジン・ブランド「ボンベイサファイア」(英イングランド)は13日、新たなマスターディスティラーにニック・フォーダム氏(写真)を任命すると発表した。同ブランドは、年内にもハンプシャー州ラバーストークに新工場をオープンする予定で、フォーダム氏はここで指揮を執る最初の人物となる。

 本サイトの調べでは、シーバスブラザーズに同名のディスティラリーマネージャーがおり、今回、バカルディ系の同ブランドに移籍したものと見られる。

 フォーダム氏は、「これは信じられないほど素晴らしい機会だ。チームの皆とボンベイサファイアの品質を守っていくことを楽しみにしており、ボンベイサファイアの(特徴である)蒸溜プロセスによって、つくっていきたい」とコメントした。

プレスリリース


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スコットランド政府、ダラスドゥー蒸留所の再稼働を検討(スコッツマン)

Fiona Hyslop MSP 英スコットランド政府内で、ウイスキーを生産していたダラスドゥー蒸留所の再稼働を促す動きがあることが、明らかになった。フィオナ・ヘイスロップ文化相(写真)がリチャード・ロッホヘッド過疎部担当相に、ヒストリックスコットランド(歴史的資産を管理する公的機関)によって操業再開が検討されているとした書簡を送付。ロッホヘッド担当相は、同蒸留所の所在するマレイ州選出のスコットランド議会議員で、かねてよりウイスキー・ツーリズムのひとつとして蒸留所周辺の再開発を行なうよう活動しており、歓迎する姿勢だ。

 ダラスドゥーは1899年(元記事による。1898年説あり)、アレクサンダー・エドワードにより「ダラスモア」として開業。後にダラスドゥーと改名し、度々オーナーが変わりながらも操業されてきたが、1983年、水不足を理由に生産が終了した。

 ヘイスロップ文化相の書簡によると、ヒストリックスコットランドは「ウイスキー産業のエキスパート」と接触を持ったといい、それらエキスパートに操業再開についての事前調査を依頼しているという。ロッホヘッド担当相は「事の運びがどうなったか(事前調査後のレポート)を聞くことについて、楽しみにしている」とコメントした。

 ダラスドゥーは1998年以降、現在に至るまでヒストリックスコットランドによる管理の下、一般公開している。一両年以内に操業再開がなされれば、30年以上の時を超えての再稼働ということになる。

Historic Scotland’s Dallas Dhu whisky-making bid(スコッツマン)


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2013年3月13日水曜日

ヘミングウェイに捧げるラム「パパスピラール」、フロリダで発売(カリビアンジャーナル)

写真: Inspired by the sea-going adventures of Hemingway, Papa's Pilar Blonde is a clean and rounded drinking experience, crafted to harness Papa's worldly essence. At 84 Proof, it has notes of citrus mixed with hints of almond oak, and a creamy mouth. ラム「パパスピラール」は来週、フロリダ州タンパで販売を開始する。4月には同州南部に販売地域を拡大していく予定だ。同商品はラムを愛した作家、アーネスト・ヘミングウェイの関連団体「ザ・ヘミングウェイ・エステート」と提携しており、ヘミングウェイに捧げるラムとなっている。

 商品ラインナップは3年熟成の「ブロンドラム」(写真)と24年熟成の「ダークラム」(元記事では「ソレラブレンデッド」と記載)の2種類。どちらも熟成にソレラシステムを採用しており、最初はバーボン樽、次にポートワイン樽、最後はシェリー樽というプロセスだ。現在、ブレンドの工程はケンタッキー州で行なわれているが、将来的にはヘミングウェイとゆかりのあるフロリダで行ないたい意向だという。

 パパスピラールのリンジー・コップス・ブランドマネージャーは、作家としてだけではなく、冒険家としてのヘミングウェイも尊敬してほしいとし、同商品も冒険をイメージしたものだという。
「ヘミングウェイも(このラムと同じように)活動的なスピリッツを持っていた。彼の作品はラムを楽しむこととは離れたところにある。しかし、ラムは彼の人生において大きなパートを占めていた」

 「ブロンドラム」はアルコール=42%、「ダークラム」はアルコール=43%。どちらも750ミリリットルボトルで販売する。

Rum Journal: Papa’s Pilar: A Rum for Ernest Hemingway(カリビアンジャーナル)


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2013年3月12日火曜日

ディアジオ、供給体制の再構築へ――費用削減効果=年86億円、労組側は危機感(スコッツマン他)

 英酒造大手ディアジオは11日、今後3年をかけ社内の供給体制を見直す再構築策を実行していくと発表した。1年あたり6000万ポンド(約86億円)の費用削減効果が見込まれるという。しかし、再構築に伴う人員削減が発生する可能性もあり、労組側は危機感を募らせている。

Scots jobs at risk as Diageo unveil restructure plans(スコッツマン)
Diageo Supply Reorganization Will Save 60 Million Pounds a Year(ブルームバーグ)
http://www.bloomberg.com/news/2013-03-11/diageo-supply-reorganization-will-save-60-million-pounds-a-year.html

 発表によると、今回の再構築にかかるコストは1億ポンド(約140億円)に上る。同社広報は「従業員に対する影響はある程度、あるかもしれない」と人員削減の可能性を認め、「決定が下った場合、その概要は最初に従業員と共有することになる」と、可能な限り従業員に配慮することを強調した。

 対して、英国最大のナショナルセンターであるユナイトのジェニー・フォームビー飲料産業担当責任者は「幾らかの不安がある」とし、以下のようにコメントする。
「労働者とコミュニティは、コストカットのために事業所を閉めるという冷酷な決定によって傷ついている。我々のメンバーがリストラクチャーの代償を背負わないために、早期に保証できる方法を検討している」
同責任者の言う「事業所を閉める」というのは、キルマーノック工場(ジョニーウォーカーのボトリング工場)とポートダンガス蒸留所のことだ。これらの事業終了により、850人の職が失われたという。

 スコットランドにとって不可欠となりつつある酒造産業。その存在を担保する企業の利益を優先すべきか、あるいは従業員らの生活を守るべきか、今後、スコットランド政府や世論の動きにも注目が集まる。


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2013年3月11日月曜日

テキーラ「カーサミーゴス」、収益は南スーダンの紛争防止プロジェクトへ――共同創業者のジョージ・クルーニー氏が明言(ベリンガムヘラルド)

 テキーラ「カーサミーゴス」(写真)の収益が、南スーダンの紛争防止に充てられることとなった。同ブランドは、米俳優ジョージ・クルーニー氏と実業家ランディ・ガーバー氏が共同で設立。今年1月より米国内一部の州でリリースされ、非熟成の「ブランコ」とオーク樽熟成の「レポサド」という2商品を販売する。

George Clooney's new tequila will fund satellite over South Sudan(ベリンガムヘラルド)
http://www.bellinghamherald.com/2013/03/05/2906326/george-clooneys-new-tequila-will.html

Read more here: http://www.bellinghamherald.com/2013/03/05/2906326/george-clooneys-new-tequila-will.html#storylink=cpy


 南スーダンは2011年に独立したばかりで、周辺国に対する反政府勢力や周辺国自体の存在、あるいは国内の部族間抗争により緊張状態が続いている。日本外務省が渡航者向けに発表している「危険情報」でも、同国は2番目に危険度が高い「渡航延期勧告」が発令されている。クルーニー氏は危機回避を目的として2010年、収益の寄贈先となる「サテライト・センチネル・プロジェクト」を設立。同国上空の軌道を通る人工衛星によって予め武装勢力の動きを察知するというもので、リモートセンシング企業、デジタルグローブ(米)の協力を得ている。また、クルーニー氏自身もプロジェクトを通して同国を訪問した。

 クルーニー氏は「我々は、虐殺などの戦争犯罪を行なっている者に対して、我々は見ている、世界は見ている、ということを知らしめたい。戦争犯罪は闇の中で盛んだ。メディアのスポットライトという閃光を浴びせることで、大きな残虐行為を実行することは難しくなる」とコメントした。

 なお、カーサミーゴスはリリースにあたり、コマーシャルフィルム(CF)を制作。ガーバー氏の妻、シンディ・クロフォード氏とクルーニー氏が共演したものだ。本サイトにもCF動画を掲載するので、ご覧いただきたい。



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2013年3月9日土曜日

ハイランドパーク、ヴァルハラコレクション第二弾は「ロキ」(ギークスオブドゥーム)

 スコッチ・シングルモルト「ハイランドパーク」は、「ヴァルハラコレクション」第二弾として「ロキ(Loki)」をリリースする。具体的な発売日は不明だが、元記事のギークスオブドゥームによると来週リリースする模様だ。

 「ヴァルハラ」は北欧神話に登場する神殿の名で、コレクションの各商品も北欧神話の神にちなんだものとなっている。昨年リリースした同コレクション第一弾「ソー(Thor)」はトールという戦いの神を英語読みしたもので、今回のロキはいたずら者の神だ。

 15年熟成で、アルコール=48.7%、750ミリリットルボトルで販売する。価格=249ドル(約2万4000円)。

 なお、ヴァルハラコレクションは4作目まで販売する予定で、今後、1年に1商品のペースでリリースしていくという。

Loki Whisky Is The Second In Highland Park’s Limited-Edition Valhalla Collection(ギークスオブドゥーム/商品画像あり)


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2013年3月8日金曜日

ウオトカ「スリーオリーブズ」、マリリン・モンロー・ブランドの新商品リリース(ドリンクスビジネス)

 米インポーター、プロキシモスピリッツはウオトカ(ウォッカ)「スリーオリーブズ」のポートフォリオに「マリリン・モンロー・ストロベリー」(写真)を加えると発表した。ラベルには、マリリン・モンローのスカートがめくれ上がる『七年目の浮気(映画)』の有名シーンをプリントする。

 スリーオリーブズは英国で生産するウオトカで、プレーン・タイプ「クラシック」のほか、「スモアズ(欧米で食される菓子)」「ルーピー(トロピカルフルーツ)」など多種のフレーバード・ウオトカを販売する。2000万ドルを掛け、英俳優クライヴ・オーウェン(映画『ボーンアイデンティティ』『キングアーサー』などに出演)とロンドンの街を題材にした広告キャンペーンも、今年から行なっている。

 「マリリン・モンロー・ストロベリー」は、モンローをイメージし「甘く、フルーティーで、官能的(プロキシモスピリッツ広報)」な味わいだという。モンローの商標などは2011年1月、知的財産管理企業のオーセンティックブランズが取得。今回の商品も、プロキシモスピリッツとオーセンティックブランズの間で商標使用契約を結んだことによるものと見られる。

 2012年にフォーブズ誌が発表した「死してなお稼いでいるセレブリティ・ランキング」でモンローは7位にランクインしており、死後50年以上経た今でも人気は衰えていない。

THREE OLIVES RELEASES MARILYN MONROE VODKA(ドリンクスビジネス)


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2013年3月6日水曜日

ボウモア、加水に関するエデュケーション・プログラム開始(ドリンクスビジネス)

Walter tilter スコッチ・シングルモルトの「ボウモア」が、ウイスキーと加水についてのエデュケーション(教育)・プログラムを開始する。プログラムの一環として、英国、北米、アジアのバー・レストランなどに「ティルター(写真左)」「ウォーターセーフ(写真右下)」という器具を配布する。

BOWMORE TACKLES THE ‘WATER IN WHISKY’ QUESTION WITH EDUCATION PROGRAMME(ドリンクスビジネス)
http://www.thedrinksbusiness.com/2013/03/bowmore-tackles-the-water-in-whisky-question/

 今回のプログラムが意図するところは、一部のウイスキー愛好家が持つ「ウイスキーに加水することは良くないこと」という考えに一石を投じることだ。モリソンボウモアのレイチェル・バリー・マスターブレンダーは「加水することで、ボウモアが持つフレーバーの『波』は解き放たれる」と加水に肯定的な意見を述べる。また、同社のカーラ・レイン(Cara Laing)・ボウモア担当マーケティングディレクターは「加水という問題に我々が真っ向から取り組むことや、それが大きな議論を起こすであろうことについて、我々は重々承知している」と支持、批判共に歓迎する姿勢だ。

Water safe 現時点で同プログラムは、イベント・セミナーを開催するなどの詳細は明らかになっていない。しかし、ボウモアのオフィシャルサイトには「ボウモア・アンド・ウォーター」というタイトルのページが設けられ、「ボウモア12年」をニート(ストレート)と加水時で飲み比べた際の、テイスティングノートを掲載している。そして前述の通り、「ティルター」「ウォーターセーフ」といった器具をバーなどに配布する。「ティルター」は水瓶が軸によって支えられ、スイングする形状。「ウォーターセーフ」は蛇口が取り付けられた水槽で、ボウモア蒸留所のスティルルームをイメージしたデザインだという。

 これらの器具配布について、有償となるか否かなどは不明。ただ、プログラムの対象地域にアジアも含まれており、モリソンボウモアの親会社はサントリーであることから、近いうちに「ボウモアと水」を日本で楽しむことができるかもしれない。


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2013年3月5日火曜日

ディアジオの新コンペティション「Show Your Spirit」開催――バーテンダーが同社新商品を提案(ドリンクスビジネス)

 英酒造大手ディアジオは、新たなコンペティション「Show Your Spirit」を開催する。バーテンダーが同社の新商品(スピリッツ・リキュール)を提案し、選ばれた商品を実際にリリースするというもの。コンペを勝ち抜いた提案者には発売後5年間、純売上高の5パーセントを支給する。

BARTENDERS TO CREATE NEW DIAGEO BRAND(ドリンクスビジネス)
http://www.thedrinksbusiness.com/2013/03/bartenders-to-create-new-diageo-brand/

 西欧で活動するバーテンダーが対象で、参加希望者は同コンペのオフィシャルサイトからアイデアを提出。今月18日に応募を締め切った後、ファイナリストとなる3案を決定する。さらに、その他上位20の案から、バーテンダーコミュニティや一般の意見を基にワイルドカード1案を選出。これら4案は、4月15日に発表する。

 ファイナリストは5月20日から4日間、同社のグローバルテクニカルイノベーションセンターで原案の進化に取り組み、5日目となる5月24日、優勝を決定。前述の通り、優勝した提案者には純売上高(税引き後売上高)の5%を5年間、支給し、5年以内に販売が停止された場合は最低保証として2万5000ポンド(約350万円)を支給する。また別途、純売上高の5%を「伝統を創造するバーテンダー主導の基金」に充てるという。

 同社のアンディ・フェネルCMO(最高マーケティング責任者)は、バーテンダーを「最も効果的なトレンドを仕掛けることができる人々で、酒類産業のエキスパート」とし、「バーテンダーとコラボレーションすることで、我々は新たな好機、新たなブランドの創造を見出すことができると信じる。それは、次なる大きなサクセスストーリーとなるだろう」と今回のコンペに至った理由を述べた。

 近年、バーテンダーが一ブランドをつくり上げた例として、プレミックスカクテル「スキニーガール」が挙げられる。同商品は米国のミクソロジスト(カクテルを得意とするバーテンダー)ベセニ―・フランケル氏がテレビ番組の企画で考案し、リリースしたもの。発売後、大きな反響を得たことからビーム(米)がブランドを買収するまでになった。イノベーションを求めるメーカー側の姿勢や、ソーシャルメディアの普及・拡充といった社会的背景から、今回のディアジオのような動きは今後、加速するかもしれない。


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2013年3月4日月曜日

ロッホローモンドを保有するBulloch家、ビジネスを手放す――売却先は不明(スカイニュース他)

Scotch Whisky Distillery tours apology 英メディアは、ロッホローモンド蒸留所(写真)、グレンスコシア蒸留所などを保有する英スコットランドのSandy Bulloch(サンディ・バロッホ/ブロック)氏が、ビジネスを売却したと報道している。売却先は明らかになっていないが、香港上海銀行(英)が仲介し、売却額は数千万ポンド(少なくとも14億円以上)に上ると見られる。

Loch Lomond Backers To Toast Takeover Deal(スカイニュース)
ロッホローモンドとグレンスコシアの売却話が浮上(スコッチ文化研究所)
http://scotchclub.org/index.php/news/9216

 Bulloch家の歴史は、1842年にGabriel(ガブリエル)Bullochがグラスゴーで卸売商を始めたことに遡る。このときガブリエルと共にビジネスを興したのが、後にブレンデッド・ウイスキー「デュワーズ」を創業する、J・H・デュワーだ。ロッホローモンド蒸留所は1985年に買収。1993年、グレーン・プラント建設に1550万ポンド(約26億円、当時レート)を投じ、1999年にはグレンスコシア蒸留所の操業を再開した。ウイスキービジネスの他には、ウオトカ・ブランド「グレン」を保有し、こちらは英国で2位のシェアを持つ。

 2011年3月期決算では、売上高が1830万ポンド(約24億円、同)となったが、20万ポンド(約2640万円、同)の税引き後損失を計上している(※)。そのため、需要が高まっている中で自己の保有のまま損失を被るより、生産性を高めることができる他社に売却したことが得策と、サンディ氏が結論を出したとも推測できる。

※業績のソースはスカイニュースによる。グレンスコシアなどの売上もロッホローモンドの業績に反映されているのか、別に持株会社等が存在するのかは不明。


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2013年3月3日日曜日

スコットランドで「水資源法」成立――ウイスキー業界は懸念表明(BBC)

 英スコットランド議会は2月27日、水資源法案を全会一致で可決した。同法はスコットランド域内の下水道ネットワーク保全や水不足時のスコティッシュウォーター(スコットランドの水道管理企業)が持つ権限について規定する。また企業が1日1000万リットル以上、水を採取することを制限しており、ウイスキー業界は生産に影響が出ることを懸念している。

Water resource laws passed by MSPs(BBC)
Whisky industry concern over proposed water limit(同)
http://www.bbc.co.uk/news/uk-scotland-21643567

 スコッチ・ウイスキー協会のギャヴィン・ヒューイット会長は同法について「ウイスキー産業が制限対象から除外されなかったことは残念」としながら、以下の見方を示す。
「より残念に感じるのは、我々に対して意見が求められなかったことだ。蒸留所は常時、制限値ほどの取水をしているわけではないが、長期的観点では法律がどのように適用されていくかという懸念がある」

 ただ、業界との間で妥協案を模索する動きもある。野党・スコットランド保守党のメアリー・スキャンロン議員は、審議において「蒸留の工程は、取水してから2〜12時間のうちに、取水量の3分の2を水源に還元する。スコットランド政府は取水量よりむしろ、消費量を計測した方が良いのではないだろうか。それによってウイスキー産業の懸念も抑制できる」と提案した。これに政府のニコラ・スタージェン副首相(写真)は「スキャンロン議員の案を検討したい」とした上で、ウイスキー業界と協議していくことを明言した。

 世界的に水資源の危機が叫ばれ、スコッチ・ウイスキー産業においては需要拡大から原料自給が難しくなっている中で成立した、今回の法案。ウイスキー産業がただちに悪影響を受けることは考えづらいが、多くのスコットランド国民、事業者にとって、フェアで有益な妥結策を求めていくことは必要となりそうだ。


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2013年3月2日土曜日

ホワイト・ウイスキー「ジェイコブズゴースト」がリリース――ジムビーム・ブランドの新商品、創業者の名を冠す(WCNC)

Jim Beam® Red Stag ビーム(米)は今月、ホワイト・ウイスキー「ジェイコブズゴースト」(写真)をリリースする。ジムビーム・ブランドの商品ラインナップの一つとして販売し、同ブランドが創業した1790年代の「ムーンシャイン(密造ウイスキー)」を意識したもの。

 ホワイト・ウイスキーやムーンシャインと呼ばれるものをつくるのはクラフトディスティラー(小規模蒸留業者)が中心で、熟成期間が短いことから見た目はほぼ無色透明となる。しかし、ジェイコブズゴーストの場合は最低1年、ホワイトオークバレルで寝かせ、他のホワイト・ウイスキーより熟成期間が少々長い(代表的なムーンシャイン「ジョージアムーン」の熟成期間は30日以下)。アルコール=80プルーフ(40%)。現時点で、日本代理店のサントリーからアナウンスはなく、当面、日本での販売は未定と思われる。

 なお商品名の「ジェイコブ」はジムビームの創業者、ジェイコブ・ビームを指す。

Top bourbon maker Beam dips into white whiskey(WCNC)


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2013年3月1日金曜日

シーバス、下水道へウイスキー排出のミス――周辺環境への影響は無し(BBC他)

Ballantine’s Finest ペルノリカール(仏)傘下の酒造企業シーバスブラザーズ(英スコットランド、以下「シーバス」)は、ウイスキーを下水道に排出していたと発表した。同工場はブレンデッド・ウイスキー「バランタイン」(写真)のボトリングを行なっている。従業員が工場内の清掃を行なう中、本来は汚水を下水道に流すところ、誤って数千リットルのウイスキーを流してしまったという。当地で水道を管理する企業、スコティッシュウォーターの従業員は、下水処理場内が強烈な匂いに包まれたと述べている。

Thousands of litres of whisky flushed down drain in Dumbarton(BBC)
Whisky galore... down the drain: Thousands of litres of drink thrown away in bottling plant blunder(メール)
http://www.dailymail.co.uk/news/article-2286317/Chivas-Brothers-Whisky-galore--drain-Thousands-litres-spirit-thrown-away-bottling-plant-mix-up.html

 バランタインは世界2位の販売量を誇るブランド(ソース=元記事)で、同工場も600人の従業員を雇用している。シーバスは「スピリッツが下水処理場へ向けて放たれてしまった。リーヴェン川など地域の河川には流れ出していない。我々はスコティッシュウォーターや関係当局に通報した」という声明を発表し、現在のところ環境被害は起きていないことを説明する。また元記事では、火曜日夜勤を当番とする従業員のミスであることを伝えているが、なぜウイスキーと汚水を間違えてしまったのかは今のところ分かっていない。

 スコティッシュウォーター広報によると「乾燥、寒冷という気候の中で、大量のアルコールを下水道ネットワークに放出することは、水処理プロセスにおいて(本来とは)逆の影響を与えてしまう」といい、下水処理場でのモニタリングを継続している。

 元記事である「メール」のコメント欄には、「スコットランドにとって暗黒の日だ」「もったいない」という嘆きのほか、「笑いが止まらない」と嘲る声も挙がっている。


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