2014年6月28日土曜日

新浪ローソン会長、サントリーの新社長に――海外の反応(スピリッツビジネス)

 サントリー(大阪、世界本社=東京)の次期社長に新浪剛史・ローソン会長(写真)が就任すると23日、日本国内のメディアが相次いで報じた。『東洋経済オンライン』の直撃取材に佐治信忠・現社長も認めた上で応えており、あとは取締役会の承認を待つのみとなっている。

 海外メディアもこのニュースを取り上げているが、蒸留酒業界専門誌・ウェブサイトである『スピリッツビジネス(SB)』の記事を今回、紹介したい。

 SBの記事タイトルは“SUNTORY TO APPOINT FIRST PRESIDENT OUTSIDE FAMILY”(サントリー、初の創業家出身以外の人物を社長に指名)。欧米でも、蒸留所単位では創業家によって事業承継される場合があるが、サントリーが初めて鳥井家・佐治家以外から、さらに生え抜きではない社長が内定したことは、日本国内と同様、驚きをもって迎えられているようだ。

 新浪新社長のパーソナリティーについては、「ハーバードを卒業したビジネスマン」「2002年に55歳でローソン社長に就任。中国とタイでの事業拡大の陣頭指揮を執った」と紹介。サントリーが海外展開を進めている事実を併せて述べており、SBも国際的な事業経験が選任のポイントになったのであろうと見ている。

 今回の記事は、新浪新社長の経歴とサントリーの現状を述べるに留まっている。国内財界では知らない人はいないともいえる彼だが、海外の酒類業界においてはいまだ知名度が低い状態なのだろう。まずは、「お手並み拝見」といったところなのかもしれない。

SUNTORY TO APPOINT FIRST PRESIDENT OUTSIDE FAMILY(スピリッツビジネス)













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本日の一部報道について(サントリー・オフィシャルサイト)

2014年6月20日金曜日

ウオトカ「ソビエスキー」の広告、ツイッター上で話題にーースノーデン元NSA職員をイジる(ビジネスインサイダー)

 ウオトカ(ウォッカ)・ブランド「ソビエスキー」(ポーランド、写真)の米国での広告が、ツイッター上で話題となっている。ビルボード(ビルの屋上などに据え付けられる看板)やバス停、電車内などに“Why Edward Snowden wishes he'd sought asylum in Poland.”(エドワード・スノーデンがポーランドに亡命を求めた理由)との文字が書かれた広告を展開。これを面白がった米国内に住む多数のユーザーが、ツイッターに画像をアップロードしている。

 エドワード・スノーデンは米国家安全保障局(NSA)元職員で、昨年、米国が同盟国を含む他国に対して盗聴を行っていたことなどをメディアに告発。香港、ロシア・モスクワのシェレメーチエヴォ国際空港ターミナルに滞在した後、ロシア国内への期限付き滞在が認められた。

 スノーデン元職員は米国からの追及を逃れるため、シェレメーチエヴォ空港滞在時、ロシア以外の多数の国にも亡命申請しており、ポーランドもそのひとつだ。広告では、前述の文字の隣にソビエスキーのボトル、あるいは、ラベルがプリントされており、スノーデン元職員はソビエスキーを飲みたいがためにポーランドへの亡命申請をした、という演出をしている。

 広告主は、ソビエスキーの米国代理店であるインペリアルブランズ。元記事には、ハリウッド、マイアミ、ダラスなど米国各地で撮影された写真が掲載されており、展開には数百万ドル(数億円)の資金が投じられたとされる。

 もちろん、スノーデン元職員は亡命先をウオトカが飲めるか否かで決めていたわけではないであろうが、広告を発信する場が事件の発端となった米国であるだけに、大きな反響があったのかもしれない。

A Company Is Using Edward Snowden To Sell Vodka(ビジネスインサイダー)
http://www.businessinsider.com/sobieski-vodka-is-using-edward-snowden-2014-6#ixzz35BKhaphV


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ソビエスキー(英文/年齢確認あり)
ウオトカ「ソビエスキー」のメーカー、経営不振で株主総会開催へ――ブルース・ウィリス氏は再建策同意の意向(フランス24)

2014年6月19日木曜日

ジン「ゴードンキャッスル」生産開始へーースコットランドの古城保全を目的に(スコットランドナウ)

 ボトラーのゴードン&マクファイル(英スコットランド、G&M)は、ジン「ゴードンキャッスルジン」の生産・販売を開始する。スコットランドのゴードン城庭園で採取される作物を利用し、生産も城内で行う。また収益は、城壁の修復・リノベーションに活用されるという。

 ゴードン城は15世紀に建設され、以後、建て替えを行いながらもスコットランドの貴族であるゴードン=レノックス家によって保持されてきた。現在の当主であるアンガス・ゴードン=レノックス氏(先代までは公爵であったが、アンガス氏が爵位を持っているかは不明)とザラ夫人(写真)は、将来に亘る城の保全のため、城内での宿泊や鮭釣りを行えるようにするなど城を利用した事業を進めている。

 ジンの原料として用いられる城内の作物は、リンゴ、プラム、西洋ナシ、モモ、アプリコット、ネクタリン、そしてイチジク。なかでもプラムは、1世紀以上に亘って庭園に生息する「ゴードンキャッスル・プラム」も含まれるという。また、修復される城壁は、庭園デザイナーであるアーン・メイナード氏が手がける。

 なお、ゴードン=レノックス氏とG&M創業者の関係については、不明。

Scottish castle's home-made gin will help safeguard their future(スコットランドナウ)



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2014年6月18日水曜日

ディアジオのバーボン蒸留所計画に暗雲ーーバーボントレイル参加へ向け住民投票の可能性(ウェーブ3)

 英酒造大手ディアジオは、米・ケンタッキー州シェルビー郡にバーボン・ウイスキー生産のための蒸留所を建設する。すでに、同郡目的別地域指定計画委員会がディアジオの計画を承認しており、蒸留所見学ツアー「ケンタッキーバーボントレイル」にも参加予定だ。しかし、バーボントレイル参加には住民投票により郡のアルコール関連法令改正が必要となり、前途に暗雲が漂っている。

 元記事に「シェルビービルでは、レストラン、ゴルフコース建設の場合は住民投票が必要とされないが、蒸留所はこの規定の抜け穴となっている」とあることから、観光関連施設・サービスを新設する場合には、原則的に住民投票が必要であるものとみられる。同郡法務責任者のハート・メギベン氏は、建設に同意する有権者の記名嘆願書が住民投票のスタートで、嘆願書が規定に則って有効なものとなれば11月にも住民投票が実施される、とコメントしている。

 新蒸留所の面積は、300エーカー(約1.2平方キロメートル)に上る(東京・築地市場の建物延べ床面積=0.28平方キロメートル、ユニバーサルスタジオジャパンの総面積=0.54平方キロメートル)。ディアジオは、バーボン・ウイスキーのブランドを「ブレット」しか保有しておらず、カテゴリー補強への意志が鮮明に表れている。

Planned distillery won't be on Bourbon Trail unless voters pass referendum(ウェーブ3)



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2014年6月12日木曜日

アードベッグ「キルダルトン」をリリースーー収益はアイラ島の地域貢献に(オフライセンスニュース)

 アードベッグは限定版シングルモルト「キルダルトン(KILDALTON)」をリリースする予定だ。今回の商品は、アードベッグが所在する英スコットランド・アイラ島への社会貢献も目的としており、同島ポートエレン地区に「ソーシャル・アンド・トレーニング・センター」の設立を目指す。

 このセンターが具体的にどういった役割を果たすのか、元記事では触れられていないが、名称から日本の自治体も文教事業の一環として設立する「社会教育(社教)センター」に類するものと考えられる。親会社であるグレンモーレンジのハーミッシュ・トリー・CSR担当ディレクターは「今回のプロジェクトは、アイラの地域コミュニティに我々が長期的に貢献するという、素晴らしい実例となる」とコメントした。

 なお、キルダルトンはバーボン樽原酒とシェリー樽原酒をヴァッテッド。価格は120ポンド(約2万円)で、最初は蒸留所のみの販売。今秋には市場に流通する予定だ。

Ardbeg creates whisky to help fund community project(オフライセンスニュース/リンク先に商品画像あり)


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2014年5月24日土曜日

ボナムス、50年熟成のグレンフィディック・マッカランを出品――予想価格は200万円超え(デイリーレコード)

Bonhams Auctions 英オークションハウスのボナムス(ロゴ写真)は6月18日、スコットランド・エジンバラにて行うオークションで、50年熟成のシングルモルト・ウイスキー「グレンフィディック」「マッカラン」を出品する。それぞれ1万2000〜1万4000ポンド(約200万〜240万円)の値をつけるのではないかと予想されている。

 グレンフィディックは1991年にボトリングされたもので、証明書、木製ケースつき。マッカランは1949年蒸留、1999年ボトリングで、ケイスネスグラス(英国のガラス製品ブランド)製のデカンタとオーク材製ケースに収められる。

 また、2本の「シーバスリーガル25年(ブレンデッド・ウイスキー)」も、同じオークションに出品される予定。1つは第1次世界大戦前につくられたと見られるもので、緑色のボトルに収められており、ワックスカプセル(封蝋のことか?)に「Chivas Brothers, Whisky, Aberd…」とエンボス加工で刻印されている。予想価格は3500〜4500ポンド(約60万〜80万円)。もう1つは、20世紀初頭のもので、フレッド・L・メイヤー&サンズというジャマイカの企業が輸入元として記されているボトル。こちらは2500〜3500ポンド(約40万〜60万円)が落札価格として予想されている。

50 year old bottles of Glenfiddich and Macallan whisky set to go on sale in Edinburgh(デイリーレコード)


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2014年5月22日木曜日

ウオトカ「アワー/デトロイト」、5人の女性スタッフにより生産開始――ペルノリカール展開のローカルブランド(クレインズデトロイトビジネス)

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アワー/デトロイトの蒸留所建屋
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 ペルノリカール(仏)は、ウオトカ(ウォッカ)「アワー/デトロイト(Our/Detroit)」の生産を米・デトロイトで開始する。現在展開している「アワー/ウオトカ」シリーズの新商品。同シリーズは、世界各地にマイクロディスティラリー(小規模蒸留所)を設けウオトカを生産するというもので、2年前に独で「アワー/ベルリン」がリリース。どの蒸留所も同一のレシピで生産するが、原料は各地のものを使用するためフレーバーに違いがでることを特徴としている。

 アワー/デトロイトに携わる5人のスタッフは全て女性。プロジェクトを立ち上げたケート・ボーディン(Kate Bordine)氏はペルノリカールの社員ではなく、デトロイトにあるコワーキングスペースやワークショップ運営を行う団体の代表で、地元を知る人物だ。ベルリンを旅行した際、アワー/ベルリンに触れ「クリエイティブで楽しく革新的、そしてグローバル企業が各地に根付いて行うというこのプロジェクトに、私は恋に落ちた」という。

 サラ・アルドリッジ氏は、地元の飲食店「マーキュリー・バーガー・バー」で働いた経験を持ち、さらに植樹などを行う環境保護団体にも携わっていることから原料調達を担当。ブランディ・キーラー氏はNPOへの資金調達や配分を行う「ユナイテッドウェイ」でヴィジュアルコンテンツの構築を担当する人物で、アワー/デトロイトではブランディング、マーケティングを行う。ジーン−マリー・モリッシュ氏は24歳という若さながらディスティラリーマネージャーに、リン・サヴィーノ氏は食品・ワインの販社で営業を行っていることからアワー/デトロイトでも営業を担当する。

 蒸留所はデトロイト市バグリーストリート2545番地に位置し、かつては「バグリービリヤードセンター」「バグリーフードセンター」だった場所。40人収容可能なテイスティングルームも設け、蒸留所内のツアーも実施する予定だ。ペルノリカールは、これら蒸留所の改築やその他の費用に60万ドル(約6100万円)を投じている。

 6月2週目には試験的に最初の蒸留を行う予定。また、商品は1パイントボトルを16.99ドル(約1700円)で販売する。ディスティラリーマネージャーのモリッシュ氏によると、週に200ガロン(ボトルにして1600本)の生産を目標としているという。

Women team up to give vodka a Detroit flavor(クレインズデトロイトビジネス)


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2014年5月20日火曜日

オーストラリアでジン消費者人口が拡大――同国マーケティング企業が発表、若年層の増加が顕著(スピリッツビジネス)

 オーストラリアのマーケティング企業ロイモーガンは、同国で日常的にジンを飲む消費者人口が急上昇しているとの調査結果を発表した。2009年の調査では63万6000人だったが、13年は94万7000人にまで拡大したという。同国の総人口は約2300万人。

 若年層の愛飲家が増えたことが特に目立っており、18〜24歳の消費者人口は09年調査で9万1000人だったが、13年調査では17万5000人とほぼ倍増している。さらに、その上の年代である25歳〜34歳の消費者人口も12万6000人(09年)から20万5000人(13年)に増加。なお、最新調査でジンを日常的に飲む人は男性=46万4000人に対して女性=48万3000人と女性の方が多い結果となっているが、これはサンプル数の男女比が4:6であるためで、ロイモーガンは実際の愛飲家は男女ほぼ同数であると見ているという。

 ロイモーガンのアンジェラ・スミス消費者向け製品グループアカウントディレクターは「最近シドニーにできた『ジン・ガーデン』やメルボルンで永年営業している『ジン・パレス』(ジンをメインとした飲食店)が今回の結果に寄与していることは疑いない。また、ジンの小規模蒸留所がオーストラリアにできていることが消費者の関心を集めている」と分析している。

GIN CONSUMPTION SOARS IN AUSTRALIA(スピリッツビジネス)


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2014年5月10日土曜日

グランツ社とNZウイスキー、「ダブルウッド」の商標めぐり対立(スタッフ)

 ウィリアムグラント&サンズ(英スコットランド、グランツ社)は、シングルモルト・ウイスキー「バルヴェニー・ダブルウッド(写真左上)」の商標権を侵害したとして、ニュージーランドウイスキー(NZウイスキー)に対し法的措置をとる方針だ。NZウイスキーもシングルモルトのラインナップに「ダブルウッド(写真右下)」の名称を持つ商品があるため。NZウイスキーはこれを受け、「商標によって混同する恐れはない」と争う構えを見せている。

 「ダブルウッド」という名称について、グランツ社は(おそらく英国で)商標登録する一方、NZウイスキーは登録していない。ダブルウッドを「ウイスキーの(生産)スタイルに関する専門用語であると考えたため(グレッグ・ラムゼイ・NZウイスキー代表)」だ。また、バルヴェニーのものはラベルやパッケージが白を基調としているのに対し、NZウイスキーのパッケージは黒地をベースにニュージーランドの地図が大きく描かれている。この点からもラムゼイ代表は「混同するものではない」としている。
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 さらにNZウイスキーは、同社のダブルウッドがサンフランシスコ・スピリッツ・コンペティションでシルバーメダルを受賞した後にグランツ社が商標登録した、と主張している。

 双方の代理人は話し合いを進めており、争うだけでなく和解の可能性も探っている模様だ。

Whisky double trouble(スタッフ)


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2014年5月9日金曜日

バッファロートレース、供給面での不安に直面――地元TV局が報道(WDRB)

Buffalo Trace :: Bourbons
バッファロートレースの熟成庫
(クリックすると拡大)
 バーボン・ウイスキーを生産するバッファロートレース蒸留所が、供給面で不安を抱えている。ケンタッキー州を拠点とするFOX系のテレビ局「WDRB」に明らかにしたもので、世界的なウイスキー人気の高まりが理由だ。

 同蒸留所のハーレン・ホイートリー・マスターディスティラーは、この40年間で抱えた在庫以上の蒸留を現在行っており、問題を軽減することは可能だとしている。また、ボトリングラインでは雇用拡大を図り、樽の配分に関する責任者を登用するといった対策も行った。ただ、WDRBは「それでも不安は残る」と伝えている。

 元記事では具体的数値などが挙げられていないため、どれほどの水準で問題となっているかの推測は難しい。しかし近年、メーカーズマークが需要対応のためアルコール度数引き下げを発表するなど(後に撤回)、ウイスキーの世界的流行や異常気象による原料不足を背景とした問題が浮上していることは事実だ。また、バーボンだけでなくスコッチ・ウイスキーでも同種の状況となっており、原料だけでなく熟成に使用するシェリー樽がスコットランド、さらにシェリーの原産国であるスペインで減少しているとの未確認情報もある。

 これらの問題に対応するためには、資本系列の垣根を越えた原料、副資材のサプライチェーン構築が必要となってくるかもしれない。また、マーケティングや生産といった分野に留まらず、農学的なアプローチなどさまざまな手段を試行することも重要といえるだろう。

Buffalo Trace Distillery warns that bourbon shortage is looming(WDRB)


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2014年5月6日火曜日

ホワイト&マッカイの売却先、フィリピンのメーカーが名乗り(ABS-CBN)

Bottle エンペラドール(フィリピン)は、ホワイト&マッカイ(英)に対して買収交渉中であることをメディアに認めた。ホワイト&マッカイは2000年代にユナイテッドスピリッツ(インド、USL)により買収されたが、現在はUSL自体がディアジオに買収されている。ただ、英公正取引庁が市場寡占を懸念したため、ディアジオはホワイト&マッカイを売却する意向で、今年1月にはサントリーが買収するとの報道もあった。

 エンペラドールは、フィリピンのコングロマリット(複合企業体)であるアライアンス・グローバル・グループの酒造部門で、ブランデーを生産。フィリピン国外への業務展開を画策しているといわれ、さらに今年3月、ディアジオと業務提携を結んだことも背景にあるようだ。

 ホワイト&マッカイは同名のブレンデッド・ウイスキー(写真)だけでなく、シングルモルト・ウイスキー「アイルオブジュラ」「ダルモア」なども保有する。ブルームバーグによると、買収額は4億ポンド(約690億円)に上る見込み。

Emperador in talks to acquire UK whisky maker(ABS-CBN)


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2014年5月3日土曜日

ジャスティン・ティンバーレイクのテキーラ「901」、サウザのポートフォリオ入り――キャンペーン動画も(スピリッツビジネス)

 本サイトでも既報のとおり、サントリー(大阪、世界本社=東京)が今年1月、ビーム(米)を買収した。その一方で、ビームは同時期にジャスティン・ティンバーレイクさんのテキーラ・ブランド「901」を買収し、同「サウザ」のポートフォリオに加えている。現在は「サウザ901」(写真)として販売しており、今後、1年間に亘り「プレミアム・リマスタード」というキャンペーンを展開。その一環として、ティンバーレイクさん出演の動画をウェブ上に公開した。

 動画は『ドン・サウザズ・ダイアリー(Don Sauza’s Diary)』と題し、ティンバーレイクさんがドン・サウザの「日記」を片手にテキーラ、そしてサウザのルーツを説明するというもの。「901」はプレミアムブランドと位置づけていることから、テキーラを高級品と見なさない消費者の意識を変えるねらいもあるようだ。

 「『プレミアム・リマスタード』のコンセプトは、我々の高品質でクリエイティブなスタイルを完璧に表現することだ」とビームサントリーのゲーリー・ロス・テキーラ担当シニアブランドディレクター。また、ティンバーレイクさんは「プレミアム・ブランドをつくるのに、この数年間を費やした。私に情熱を与えてくれたテキーラの(低く見られがちな)位置づけを、再定義するためだ」とコメントした。

 動画URLは、次のとおり(おそらく、閲覧に年齢制限がかかっているため、直リンクできません)。

https://www.youtube.com/watch?v=3GFsNJqzrY0#t=46

JUSTIN TIMBERLAKE FRONTS SAUZA 901 TEQUILA CAMPAIGN(スピリッツビジネス)


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2014年5月1日木曜日

トマーティン、ラインナップを変更(ドリンクスリポート)

 トマーティン蒸留所(英スコットランド・ハイランド)は、シングルモルト・ウイスキーのラインナップを変更した。「15年」「30年」を廃止し、新たに「14年」(写真)「1988ヴィンテージ」を発売する。すでに同蒸留所のオフィシャルサイトには新たなラインナップが掲載されていることから、変更は本日行われたものと見られる。

 「14年」は、バーボン樽で13年間熟成し、残りの熟成期間をポート樽(30〜40年間、ポートワインの熟成に使用されたもの)でエイジングしたもの。アルコール=46%、700ミリリットルボトルで、希望小売価格=48.99ポンド(約8500円)。米国では750ミリリットルボトルで、希望小売価格=55ドル(約5600円)になるという。

 一方の「1988ヴィンテージ」は、バーボン樽とポート樽の原酒をヴァッティング。ファーストバッチは2500本限定で販売し、アルコール=46%、英国では159.99ポンド(約2万8000円)、米国では250ドル(約2万6000円)の希望小売価格となる(ボトルサイズは「14年」と同じ)。

 同蒸留所のスティーブン・ブレムナー・セールスディレクターは、次のようにコメントした。
「近年、我々の高品質なウイスキーが市場で認められ始めている。特に最近では、今年3月のサンフランシスコ・スピリッツ・コンペティションで、『12年』がゴールド、『18年』がダブルゴールドを受賞した。私は、2つの新商品が既存のレンジにうまくはまるはずだと、自信を持っている。そして最も重要なのは、顧客に(新商品を)楽しんでいただくことだ」

Tomatin makes changes to single malts lineup(ドリンクスリポート)


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2014年4月15日火曜日

アバディーンの研究所、科学捜査を応用した大麦開発へ――ウイスキー需要拡大による原料不足を背景に(スピリッツビジネス)

 スコッチ・ウイスキーの需要拡大により、原料となる大麦の安定供給が困難になっていることを、これまで本サイトで報じてきた。この解決策のひとつとして、遺伝子複製技術による冬大麦の活用が浮上している。英スコットランド・アバディーンにあるジェームズ・ハットン研究所が「インプロモルト・プロジェクト」と題して、研究を進めているのだ。研究費用は200万ポンド(約3億円)に上る。

DNA PROFILING TO CREATE ‘SUPER BARLEY’ FOR SCOTCH(スピリッツビジネス)
http://www.thespiritsbusiness.com/2014/04/dna-profiling-to-create-super-barley-for-scotch/

 ウイスキーは、収穫量が豊富で丈夫な夏大麦(※)を原料とすることが多い。インプロモルト・プロジェクトでは、ヒトの指紋採取からDNAを複製し鑑定するという犯罪捜査で用いられる手法を応用し、夏大麦が持つ丈夫さを冬大麦(※)の性質に組み込む。すなわち、ウイスキー生産に適う冬大麦をつくることが目標だ。

 また、近年たびたび起こっている異常気象に対応する目的もある。ヨーロッパでは夏季の干ばつが問題となっているといい、この場合、夏大麦の成育が速くなりすぎるためモルティング後の品質が劣る。だが、冬大麦にも夏大麦と同様の特性を与えれば、異常気象のリスクを軽減できるという算段だ。

 研究者によるものか、元記事著者が考案したものかは明確でないが、この研究で生み出される大麦を「スーパー・バーリー(バーリーは大麦の意)」と称する。研究は、2018年まで行われる予定。

 農薬等のコスト削減を目的とした遺伝子組み換え作物とは異なるものだと思われるが、ぜひ、安全面にも考慮しながら開発を進めてほしいものだ。

プロジェクト責任者、ジェームズ・ブロスナン博士の話(スコッツマン日曜版にコメントしたもの):
「スコットランドで、これまでより多くの時間を大麦の成育に充てられるようになる。この挑戦は、未来のためだ。春大麦(※)を収穫するために割く時間は、かなり短い。さらに、気候やその他の成育するのに必要となる要因が悪化すれば、作物に加わる衝撃は相当大きなものとなる。産業の拡大を成し遂げるための挑戦だ。世界中で成功を続けるスコッチ・ウイスキーのために、より多くの大麦が利用できるようになることを期待する」

研究費を拠出するスコットランド政府スポークスマンの話:
「インプロモルト・プロジェクトは、(スコットランド)経済において重要であるモルティング産業、蒸留産業への、大麦のサプライチェーンを弾力的に拡大できるもの。モルトの十分な供給はスコッチ・ウイスキー産業を支援することになるし、研究の結果がスコットランドの農家を支援することにもなる」

※夏大麦、冬大麦という名称は元記事によるもので、収穫時期から採られたものと思われる。ブロスナン博士のコメントにあるとおり、播種時期から春大麦、秋大麦という呼び方もする。


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2014年4月14日月曜日

英業界団体、カラシニコフを模したウオトカにパッケージ変更を勧告(スピリッツビジネス)

 英国の酒類生産者団体であるポートマングループは9日、バルテクス・バルトル(Bartex Bartol、ポーランド)が生産するウオトカ(ウォッカ)「レッドアーミー」に対し、パッケージを変更するよう勧告した。レッドアーミーのパッケージが北アイルランドで設けられている販売基準に反するとの声があり、ポートマングループ内のインディペンデント・カムプレインツ・パネル(独立苦情協議会、ICP)が調査。「暴力や危険な反応などの事態との関係性がある」と判定したためだ。

 レッドアーミーは赤軍を意味し、冷戦時に旧東側陣営の国が多用した銃であるカラシニコフAK-47に似たボトルとなっている。また、同商品のラインナップにある「ギフトパック」(写真)では、手りゅう弾を模したデカンタグラスと6つのショットグラスを同梱する。

 問題となる販売基準には「商品やパッケージ、プロモーション媒体・活動などでは、偽り、暴力、攻撃性、危険性、反社会性を直接的、間接的問わず、関連づけてはならない」と明記。これを基にICPは、「当該ブランドのパッケージと商品名は、大衆にAK-47を連想させ、アルコール飲料としては不適切だ。AK-47は武器であり、テロと暴力の象徴であり、ゆえに暴力、攻撃、危険との直接的関係性がある」と判定した。

 ポートマングループは、北アイルランド地域の小売業者にレッドアーミーの在庫を持たないよう通達するとともに、メーカーのバルテクスに対しては6月19日までにパッケージを変更するよう勧告している。バルテクス側は「暴力とは無関係」と、現時点では商品を守る意向を示している模様。

GUN-SHAPED RED ARMY VODKA BOTTLE BANNED(スピリッツビジネス)


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2014年4月11日金曜日

2013年のスコッチ・ウイスキー輸出、横ばいの結果に――SWA発表(BBC)

David Frost スコッチ・ウイスキー協会(SWA)は11日、2013年のスコッチ・ウイスキー輸出統計を発表した。輸出総額は43億ポンド(約7300億円)で前年と同額、数量ベースでは12億3000万本(公式発表では13億本)で前年比=2.5%増だった。

Scotch whisky exports remain flat(BBC)
http://www.bbc.com/news/uk-scotland-scotland-business-26974320

 地域別に見ると、米国がこれまでと同様、金額ベースで最大の輸出先となっており、輸出額は8億1900万ポンド(約1400億円)、前年比=8%増となった。だが、数量ベースでのトップは仏となり、前年比=16%増となっている。SWAはこの理由を、2012年初頭に行われた仏のウイスキー増税が一段落したため、と見ている。

 アジア圏ではインドが好調で、数量ベースで12%増と世界4番目の輸出先になった。SWAは、現在停止しているEU・インド間の自由貿易協定交渉が再開するよう、関係各所に働きかける意向の模様。一方で、中国は前年比=30%減(数量ベース)と凄惨たる結果となっている。昨日、本サイトで報じたLVMHの四半期決算と同じく、習近平政権による腐敗防止策が大きく影響したためだと、SWAは説明する。日本、台湾、韓国向け輸出は、それぞれ13〜15%落ち込んでいる(金額ベース)。

 ただ、新興国においては依然、好調を見せており、ブラジル、メキシコ向けは共に前年比=20%増、ポーランド向けは同=38%増となった(いずれも金額ベース)。

 SWAのデーヴィッド・フロスト会長(写真)は「スコッチ・ウイスキーの輸出は堅調で、英国の通商に貢献している。今後も、空前の投資プログラムを継続する」とコメント。その一方で、政府に対して厳しい注文もつけた。
「大使経験者として申し上げると(註:フロスト会長は元外交官)、ウイスキー産業は政府による強力な政策によって成り立つ。これまで、連合王国政府もスコットランド政府も、重要な役割を果たしてくれた。スコットランド独立の国民投票結果がどうであれ、200ヶ国に上る市場を持つ産業としては、商業的専門性を持ち、影響を与えるだけのキャパシティを持った、グローバルに届く効果的な外交ネットワークを必要とする」

 スコッチ・ウイスキーの輸出額はスコットランド産飲食物輸出額の85%を占め、英国全体の飲食物輸出額と比較しても4分の1に上る。フロスト会長の発言は、こうした事実を背景に連合王国政府、スコットランド政府が実施・検討するアルコールへの課税策・案に対して、さらに、仮にスコットランドが独立したとしても公的支援を受けられるよう、けん制するねらいがあるものと見られる。


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2014年4月10日木曜日

LVMH、第1四半期決算を発表――酒類部門は落ち込み(マレーシアンダイジェスト)

The Glenmorangie Compagny
コニャックだけでなく「グレン
モーレンジ」「アードベッグ」
もLVMH傘下の商品
 モエ・ヘネシー・ルイヴィトン(仏、LVMH)は9日、第1四半期決算を発表した。売上高=72億ユーロ(約1兆円)で前年同期比=6%増(※)だった反面、ワイン&スピリッツ部門では売上高=8億8800万ユーロ(約1250億円)に留まり、こちらは前年同期比=3%減(※)。アパレル部門が酒類部門の不調を補う形となった。

 同社は酒類関係の落ち込みを、中国政府の規制によるものとしている。これまで中国の酒類市場においては、旧正月の贈答品としてスピリッツ、特にコニャックの売上が増える傾向にあったが、腐敗・汚職防止を目的に習近平政権が高級品の贈答を規制。金融リサーチ企業であるサンフォード・C・バーンスタインのトレヴァー・スターリング・アナリストは「早くとも2015年まで、この規制が消費に影響する」と予測する。

 なお、LVMHは通例として、第1四半期の損益を発表していない。

※ネット数値

LVMH’s Accelerating Fashion Sales Help Cushion Alcohol Decline(マレーシアンダイジェスト)


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2014年4月9日水曜日

ジン「ボンベイアンバー」がリリース――フレンチ・ベルモット樽で熟成(スピリッツビジネス)

 バカルディ(英領バミューダ諸島)は、ジン「ボンベイアンバー」をリリースする。アンバー(琥珀)という商品名のとおり、フレンチ・ベルモット樽で熟成したもの。トラベル・リテール(用語解説参照)商品として販売し、シンガポール・チャンギ国際空港を皮切りに、各国の空港で販売する。

 ボンベイサファイアのリチャード・カスバート・グローバルマーケティングマネージャーは、ボンベイアンバーの登場を、「大きな進化」で「ジン・カテゴリーにおける価値創造を担う」とした上で、次のようにコメントする。
「ボンベイアンバーはイノベーションを果たしたことで、他商品との差別化、プレミアム化ができた。ジンを飲まない人でも、ほかの商品とは異なるボンベイアンバーを楽しんでいただけると思う」

 ボンベイアンバーはアルコール=47%、700ミリリットルボトル。シンガポールでの販売価格は55シンガポールドル(約4500円)。4月中にシドニーで、来月にはラスベガス、トロントの空港でも発売する。

BACARDI LAUNCHES BOMBAY AMBER CASK-RESTED GIN(スピリッツビジネス/リンク先に画像あり)


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2014年4月8日火曜日

デーヴィッド・ベッカム氏、シングルグレーン・ウイスキーのアンバサダーに――年内発売のディアジオ新商品(ドラム)

 サッカー・イングランド代表として活躍したデーヴィッド・ベッカム元選手が、ディアジオ(英)新商品のアンバサダー(大使)に就任する。年内にも発売される新商品「ヘイグクラブ(Haig Club)」はシングルグレーン・ウイスキーで、ディアジオはプレミアムカテゴリーのブランドとして位置づける方針だ。

 ヘイグクラブの「ヘイグ」とは、ブレンデッド・ウイスキー「ヘイグ」のジョン・ヘイグ、あるいは、その祖先であるロバート・ヘイグの一族を指す。現在、法人としてのジョンヘイグ社はディアジオの傘下にあることから、新たなプレミアムブランドとして名門であるヘイグの名を冠したものと見られる。

 なお、今回のジョイントには、ベッカム氏のマネージャーであるサイモン・フラー氏の影響も大きいようだ。実業家であるフラー氏は、エンターテインメント業界の大物として知られ、ベッカム氏のほかスパイスガールズ(ベッカム氏の妻、ヴィクトリア氏もかつて在籍)のプロデュースも行っていた。

 フラー氏は「(今回のプロジェクトには)長期間に亘って関わっていく。我々にとって重要なのは、ユニークで素晴らしいクオリティのものをつくること。これはエキサイティングな案件だ。そして、ディアジオ以外にふさわしいパートナーはいない」とコメントした。

Diageo partners with David Beckham for new Scotch Whisky launch(ドラム)


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2014年4月6日日曜日

ディアジオがヘヴンヒルを提訴――ラムの意匠権問題で(ドリンクスビジネス)

 ラムの意匠権を巡り、ディアジオ・カナダがヘヴンヒル(米)を訴えた。ディアジオ側は同社のラム「キャプテンモルガン」(写真左)のラベルデザインやキャラクターを、ヘブンヒルのラム「アドミラルネルソン」(写真右下)が模倣していると主張。3月26日、カナダ連邦裁に対して正式に提訴した。

 キャプテンモルガンは、17世紀に活動した英国の海賊、ヘンリー・モーガンにあやかってつくられたスパイスト・ラム。年間1980万ケースを出荷し、スパイスト・ラム市場では世界最大のブランドだ。

 一方のアドミラルネルソンは、ヘヴンヒルがルクスコ(米)という会社から2011年に取得したラム・ブランドで、米国内では年間80万ケースを出荷。記事やオフィシャルサイトでは触れられていないが、おそらく18〜19世紀に英国の海軍士官であったホレーショ・ネルソン提督をモチーフにしているものと思われる。

 ディアジオ・カナダのイアン・チャルマース副社長(マーケティング担当)は、次の声明を発表している。
「ディアジオはこのように考える――継続的なイノベーションが消費者の関心を呼び、産業の健全な競争につながる、と。我々は、キャプテンモルガンのラベルデザインとキャラクターをコピーする競争者に、強く抗議する。我々はいついかなるときも、こうした侵害者と戦う」

 また、元記事のドリンクスビジネスはヘヴンヒルにコメントを求めたが、回答は得られなかったという。

DIAGEO SUES ‘COPYCAT’ ADMIRAL NELSON’S RUM(ドリンクスビジネス)


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2014年4月5日土曜日

ブラウンフォーマン、レミーコアントローに出資か?――金融関連ブログが記事配信(ガーディアン)

 米酒造ブラウンフォーマンがレミーコアントロー(仏)に出資すると報道されている。金融関連ブログの『Betaville』が発端で、すでに投資銀行が仲介に入っているとの記事を配信した。これを受け、レミーコアントローの株価は4日、終値=61.2ユーロ(約8750円)と前日比3.6%上昇している(ユーロネクスト・パリ)。

 今回の背景には、以下の2点が影響している。

 ひとつは、今年1月のサントリー(大阪/世界本社=東京)によるビーム(米)買収だ。この買収案件が業界再編の嚆矢になるのではないかとの見方があり、市場ではブラウンフォーマンとバカルディ(英領バミューダ諸島)の経営統合が行われる、といった見方もあった。

 もうひとつの背景は、レミーコアントローの業績が下落する可能性が高いことが挙げられる。同社の2014年3月期決算は17日に発表される予定だが、これまで大きな商機となっていた中国の旧正月(2014年は1月31日)での売上が落ち込むと予想される。なぜならば、習近平政権が腐敗防止を目的に高級品の贈答を制限したからだ。冒頭で挙げたレミーコアントローの株価も、1年前は80ユーロ台で推移しており、投資家からの同社に対する懸念は顕著だ。

 一方、レミーコアントローはコニャック「レミーマルタン」だけでなく、スコッチ・シングルモルト「ブルイックラディ」、ラム「マウントゲイ」などのブランドを保有する。こうした側面から、規模拡大を図りたい企業にとってレミーコアントローを「買い時」と捉えるのは、自然なことだろう。

 今回のできごとの信憑性については、各メディアが『Betaville』をソースとした記事しか発表していないため、現時点で疑問符をつけざるを得ない状況ではある。しかし、業界再編が予想される中、今後も同種の話が出てくる可能性は高い。

Rémy Cointreau shares soar after talk of match-up with Jack Daniel's maker(ガーディアン)


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2014年4月4日金曜日

ロッホナガーか? エリザベス英女王、フランシスコ・ローマ教皇にウイスキーを贈る(ロイター他)

 エリザベス2世英女王(写真左)、エジンバラ公フィリップ王配夫妻は3日、ヴァチカンを訪問し、フランシスコ・ローマ教皇(写真右)と会談した。両者が顔を合わせるのは今回が初めてで、英女王がヴァチカンを訪れるのは2000年に故ヨハネ・パウロ2世教皇と会談して以来、14年ぶり。

 今回の訪問で、女王夫妻はバッキンガムやサンドリンガムなどといった宮殿とゆかりのある18品を持参。ハチミツやアロマテラピー・ソープ(石鹸)とともに、ウイスキー、ビール「コロネーション・ベスト・ビター(コロネーションは戴冠式の意)」が教皇に贈られた。

 贈られたウイスキーの銘柄について、各メディアとも具体名を挙げておらず、発表されている写真から判別することもできない。だが、英女王は「バルモラル(城)からのもの」と発言している。英王室が所有するバルモラル城(スコットランド)から一番近い蒸留所は「ロイヤルロッホナガー」だ。あるいは、ブレンデッド・ウイスキー「ロイヤルハウスホールド」のように、バルモラル城に献上されたり御用達となっているシングルモルト、ブレンデッドが贈られたのかもしれない。

 なお、フランシスコ教皇からは、生まれたばかりのジョージ英王子へ聖エドワードの銀の十字あしらわれたラピスラズリの球体が贈られたという。

Britain's Queen, meeting pope, gives him eggs, whiskey, beer(ロイター) Whisky and Honey: Queen and Pope exchange gifts in historic Rome meeting(エクスプレス)


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2014年4月3日木曜日

グランツ社の奨学金プログラム、19歳の青年を選出(ドリンクスビジネス)

 スコッチ・シングルモルト、ブレンデッド・ウイスキーを生産するウィリアムグラント&サンズ(英スコットランド、グランツ社)は、「イアン・マレー・スカラシップ」という奨学金プログラムを開始した。昨年亡くなった、イアン・マレー・リテールマネージャーの遺志・遺産を受け継ぐ趣旨で始まったもの。奨学生はグランツ社、ならびに、関連会社でウイスキーについてを学び、将来のウイスキー産業を担う若い世代を育成する。

 第1回の奨学生は今年1月、審査が行われ、イングランド・ウェストミッドランズ出身のジェロム・マークス-ガードナーさんが選ばれた。弱冠19歳の青年だ。

 マークス-ガードナーさんを選んだ理由について、審査を行ったカーステン・グラント・ミクル氏(5世代目にあたるウィリアム・グラントの子孫)は、次のようにコメントしている。
「彼はプログラムをフルに活用できるだけの情熱を持ち、勝者となるにふさわしかった。彼自身、(酒は)家業であり、私は彼に、我々の家業に関わってもらいたいと思った」

 カーステン氏のコメントにあるとおり、マークス-ガードナーさんの家族はニコルス&パークスという酒類小売業を営んでいる。小さい頃から酒に近い環境にあり、知識の豊富さやテイスティングの正確さ、さらに酒をつくり売ることへの情熱が審査員に好印象を与えたようだ。

 マークス-ガードナーさんは、すでにグランツ社やその子会社である販社ファーストドリンクスで働きながらウイスキーを学んでいる。また、酒類業界の資格であるWSET(リンク参照)レベル1・2取得も目指す。

「彼(イアン・マレー氏)は、市場が何に注目しているかを判別するという、非常に優れた才能を持っていた。私は彼のようになりたい。今回のスカラシップによってスキルを上げるチャンスを得たわけで、これは私の商売の価値を上げるものだ」とは、マークス-ガードナーさんの弁。

 もしかしたら将来、ウイスキーの先端を伝道する人として、マークス-ガードナーさんは世界に、そして日本にも訪れるのかもしれない。

※英国では、家庭内で保護者が管理する下であれば、5歳から飲酒が可能。酒類を購入できる最低年齢は18歳で、今回のプログラム応募資格は18〜30歳だった。

19-YEAR OLD SCOOPS WHISKY SCHOLARSHIP(ドリンクスビジネス)


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2014年4月2日水曜日

NCAAバスケ大会で「バーボン」vs「ビール」対決――ケンタッキー/ウィスコンシン両州知事が「賭け」(クーリエジャーナル)

 全米大学体育協会(NCAA)男子バスケットボール選手権の準決勝が今週5日、行われる。そのうち1試合は、ケンタッキー大学”ワイルドキャッツ”対ウィスコンシン大学”バジャーズ”のカード。この対決を前に、コートの外にも注目が集まっている。というのも、両チームの地元州知事がそれぞれ「バーボン・ウイスキー」「ビール」という地元特産品を賭けているのだ。

Governors wager beer, bourbon on Kentucky-Wisconsin(クーリエジャーナル)
http://www.courier-journal.com/story/sports/college/kentucky/2014/04/01/governors-wager-beer-bourbon-kentucky-wisconsin/7165197/

 『クーリエジャーナル』によると、ケンタッキー大が勝った場合はスティーブ・べシャー・ケンタッキー州知事からスコット・ウォーカー・ウィスコンシン州知事に「完璧なケンタッキー・バーボン・バー」を贈る(おそらくバーボンとグラスなどの器材一式ではないかと思われる)。逆の場合は、ウォーカー州知事がビール、ブラットブルスト(豚のソーセージ)、チーズをベシャー州知事へ贈るのだという。負けた方が贈るべきようにも感じられるが、勝ったことで相手の健闘を称える、あるいは逆に、相手の土地へ「攻めこむ」などの意味合いがあるのかもしれない。

 ベシャー・ケンタッキー州知事は「ワイルドキャッツは今年、彼らができるベストなプレイをしてきた。だから、4強に残った。ジョン・カリパリ(ケンタッキー大)とボー・ライアン(ウィスコンシン大)という2人の素晴らしいコーチの対決を見られるのは、本当に楽しみ。だが、ケンタッキーがバジャーズを上回っているのは、明らかだ」と自信を見せる。

 一方、ウォーカー・ウィスコンシン州知事も「今シーズンのバジャーズはアン”ボー”リーバボーだ」と、ライアン・コーチのファーストネームとアンビリーバボーを掛けた上で、次のようにコメントしている。
「2つの素晴らしいチームと、それぞれの素晴らしいファンによってなされる今回の対決は、記録に残ることだろう。ライアンというリーダーの下に、非常に優秀な才能を持ったプレイヤーが集まった。バジャーズの持つ勢いとスキルは、必ずやケンタッキー大を抑え、決勝へ進む」

 米国はプロだけでなく大学スポーツも盛んで、NCAA大会は日本の高校野球のような人気を得ている。各大学の地元からの応援も熱狂的だ。バーボンとビール、どちらが勝つか、それぞれの州のファンが固唾を飲んで成り行きを見守っていることだろう。


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2014年4月1日火曜日

【お知らせ】きょうの記事について

 きょう掲載の記事「G&M『コニサーズチョイス・森伊蔵』をリリース――業務提携を記念して」はエイプリルフールネタでした。

 毎年くだらないことしてすみません。でも、もうネタ切れです……来年はできないかも……

G&M「コニサーズチョイス・森伊蔵」をリリース――業務提携を記念して

「コニサーズチョイス・森伊蔵
1991・シェリーウッドフィニ
ッシュ」のラベル写真(クリッ
クすると拡大)
 ボトラー大手のゴードン&マクファイル(英スコットランド、G&M)は1日、焼酎メーカーの森伊蔵酒造(鹿児島)と業務提携することで合意したと発表した。日欧双方でのマーケティング面での協力や技術面での交流を進めていくという。

 G&Mは1895年創業で、スコッチ・シングルモルトのボトリングを主業とするほか、ベンロマック蒸留所の親会社でもある。一方、森伊蔵酒造は1885年創業で、2000年頃から芋焼酎「森伊蔵」が人気に。ネットオークションでは定価を1万円以上超える価格で取引されている。

 G&Mのルーフル・リプイエ・ブランディングディレクターは、次のようにコメントした。
「ジャパニーズ・スピリッツのトップブランドである森伊蔵と共に仕事ができることを、とてもエキサイティングに感じている。様々な方法を通してヨーロッパの消費者に芋焼酎の素晴らしさを伝えたいし、森伊蔵にとっても我々とジョイントすることで新たな酒づくりのエッセンスを得てもらえれば、と思う」

 また、今回の業務提携を記念し、G&Mは「コニサーズチョイス・森伊蔵1991・シェリーウッドフィニッシュ」をリリースする。森伊蔵の伝統的製法であるかめ壺での3年熟成を経た後、シェリー樽熟成させたもの。なお、原酒は森伊蔵酒造がG&Mに販売・譲渡したものではなく、リプイエ・ディレクターが個人的に保有していたものだという。
「私は学生時代に日本に留学していたが、そのとき森伊蔵の酒蔵に体験入門した。アーティザナルな製法と味に惹かれて原酒を購入したのだ。カスク1個分を満たせる量を購入するのは、当時、若かった私としては大きな決断だったが、今回、消費者の皆様にお披露目することができ、喜びを感じている」

 同商品は700ミリリットルボトルでアルコール=46%、150本の限定販売で10〜20本が日本に流通する予定。


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2014年3月6日木曜日

サントリーのインド進出、その課題とは(日経他)

 インド酒造ラディコカイタンが設立する販社にサントリーも参加すると、複数メディアが報じた。インド紙タイムズオブインディアはサントリーが500クローレ(約84億円)を出資し26%の株式を取得すると報道、日本経済新聞(日経)の記事は100億円前後、20%超の出資としている。

 設立される新会社はラディコカイタンが生産するウオトカ(ウォッカ)「マジックモーメンツ」、ウイスキー「8PM」(写真)、ブランデー「オールドアドミラル」のインド国内での流通を担当。以上のブランドから見込まれる販売額は年間2000クローレ(約330億円)に上る。すでにラディコカイタンはサントリーのブレンデッド・ウイスキー、シングルモルト・ウイスキーの代理店であるが、サントリーとしては流通、マーケティングに関与することで中間層にも商品を訴求したい意向と見られる。

 日本・インドの間では2011年に経済連携協定(EPA)が発効し、アルコールを含む飲食料品は関税撤廃の対象となっている。一方で、EUとインド間の自由貿易協定(FTA)は現在交渉中、本サイト調べでは米国との協定・交渉は確認できないことから、出資が実現すればサントリーがインド市場をリードする可能性が生まれる。

 ただし、全てが順風満帆なわけではない。

 日経の報道では「ウイスキーを核としたラディコ(カイタン)の事業モデルが、サントリーが進めるグローバル戦略と親和性が高いと判断したもようだ」としている。インドはかつて大英帝国の支配下にあったことから、現在でもウイスキーの人気が高く、ビーム買収などに代表されるサントリーのグローバル戦略において要衝となることは事実だ。

 しかし、インドではスコッチ・ウイスキー、バーボン・ウイスキー、あるいはジャパニーズ・ウイスキーのようにモルトなどの穀物を原料としたウイスキーは一般的ではない。そのようなウイスキーは価格が高く、また前述のとおり輸入品となると高い関税(スコッチ・ウイスキーの輸入関税は150%)が課されるからだ。そのため、インド国内で流通するウイスキーは糖蜜が主原料となっているものがメジャーである。

 よって、サントリーが現実に出資した場合、経営戦略の幅が広がり新たなポテンシャルも生まれる一方、これまでの市場とは異なるマーケティングが求められる、といえるだろう。

サントリー インド洋酒会社に出資へ(日本経済新聞/紙面参照のためリンクなし)
Suntory readies Rs 500 crore swig of Radico brands(タイムズオブインディア)


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2014年3月5日水曜日

スコットランド紙、NHK朝の連ドラ『マッサン』配役を報道(ヘラルドスコットランド)

Masataka and Rita 1920
ドラマのモデルとなる竹鶴夫妻(ニ
ッカ・オフィシャルサイトより)
 NHKは4日、9月からスタートする連続テレビ小説『マッサン』のメインキャストを発表した。ニッカウヰスキー創業者である竹鶴政孝をモデルにした「亀山政春」役には玉山鉄二さん、リタ夫人をモデルにした「エリー」役はシャーロット・ケイト・フォックスさんが演じる。

 本ドラマは竹鶴夫妻が主人公ということで、ウイスキー、そしてスコットランドについても取り上げると見られ、スコットランド紙『ヘラルドスコットランド』がこのドラマに関する記事を発信している。

 まず、3日付の記事ではNHK朝の連ドラを「半年間に亘り数千万人が視聴する、朝食時の15分ドラマ」と紹介。この時点ではメインキャスト発表前だったことから、英語と日本語、さらに大阪弁を話すことができ、歌も上手い女優をNHKが探していると報じた。また、「日本では、役にはまる女優を探すことは不可能で、日本人パート、ヨーロッパ人パートに分けてキャスティングされる、と報道されている」とも触れている。

 メインキャスト発表後の5日付記事では「米国人女優が、ウイスキーを日本にもたらしたスコットランド人を演じる」と題した記事を発信。一見、皮肉を感じさせるタイトルだが、リード文で「日本のテレビ局は、日いづる国にウイスキーをもたらしたスコットランド人を演じられる女優を、ついに見つけた」と書き出している。また本文中でも、フォックスさんがスコットランド人の血を引いていることを説明しており、悪意や嫌悪感の上で書かれた記事では無いようだ。

 日本のウイスキーコニサー、ウイスキーアドヴォケートが待ちわびるドラマ『マッサン』。今後、発表されるであろうほかの配役や、本編放送を期待したい。

TV chiefs hunt for star to play Scot who gave Japan whisky(ヘラルドスコットランド)
US actress to play Scot who brought whisky to Japan(同)


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『コールガールの秘密日記』著者、インヴァネス・ウイスキー・フェスの大使に(STV)

2014年3月4日火曜日

バカルディ、アメリカン・ウイスキー買収に虎視眈々――シャーリーCEOが英紙に示唆(スピリッツビジネス)

Mr. Shirley バカルディ(英領バミューダ諸島)のエド・シャーリーCEO(写真)は先月、「(我々のポートフォリオの)隙間となっているのはバーボンとライ(・ウイスキー)だ」と明言し、同社がアメリカン・ウイスキーのブランド取得へ踏み切る可能性を示唆した。英紙テレグラフの取材に答えたもの。

 シャーリーCEOは「マルティニ、デュワーズ、ボンベイサファイア、そしてグレイグースでお見せしたように、我々は各ブランドとの経営統合を行うことで成績をあげてきた。我々が何かを為すことが正しいならば、それをするまでだ」と続けてコメントしている。

 元記事では、1月にサントリーがビーム(米)を買収した際の「今後、酒類業界の再編が進む」といった識者の観測を併せて記している。バカルディもサントリーと同じく非上場企業(※)であり、さらなる拡大を進めることで酒類市場でのプレゼンス(影響力)確保を目論んでいるものと見られる。

 なお、コメントにあるとおり同社は現在、ラム、ウオトカ(ウォッカ)、ジン、テキーラ、スパークリングワイン、ベルモット、スコッチ・ウイスキー(ブレンデッド、シングルモルト)、コニャックなどのブランドを保有している。

※ただし、サントリーグループのひとつであるサントリー食品インターナショナルは昨年、東証1部に上場している。

BACARDI CEO HINTS AT BOURBON BRAND ACQUISITION(スピリッツビジネス)


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2014年2月21日金曜日

スウェディッシュ・ウイスキー「マクミラ」、リストラを断行――4億円の赤字で(ザローカル)

 スウェーデンのウイスキー・ブランド「マクミラ」(写真)が、不調だ。

 2013年度の決算で2500万クローナ(約4億円)の赤字を計上。前年度は500万クローナ(約8000万円)の赤字で、損失が5倍に膨らんでいる。この厳しい経営環境により15人のスタッフが人員整理の対象となった。今回のリストラは2000万クローナ(約3億2000万円)分の費用削減効果があるという。

 マクミラは現在、英、独、仏、米、カナダへ輸出している。同社のマグナス・ダンダネル(Magnus Dandanell)CEOは「スウェーデン産のウイスキーという『パラドックス(矛盾)』がブランドの要であった」とコメントしているが、そうした目新しさが薄れていると考えられる。今後は、スウェーデン国内とドイツ北部での販売に注力していくという。

 近年、雨後の筍のようにマイクロディスティラリー(小規模蒸留所)が創業し、イングランドや米国などでシングルモルトを生産する動きも見られる。マクミラの経営不振は、こうした流行的な動きに警鐘を鳴らしているのかもしれない。

Swedish whisky distillers shed staff amid loss(ザローカル)


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2014年2月20日木曜日

米国でバーボン「J.R.ユーイング」リリース――人気ドラマの主人公を商品名に、年内にも輸出へ(バラエティ)

 米人気ドラマ『ダラス』をモチーフにしたバーボン・ウイスキーがリリースされる。主人公である「J.R.ユーイング」を商品名とし、同ドラマの新シーズンがスタートする今年3月に米南部・中西部の14州で発売。年内にも世界展開する予定だ。

 『ダラス』は1978年にCBSで放送開始。テキサスの石油王一家と彼らが起こす利権争いを描くドラマで、最高視聴率=53.3%、最高年間平均視聴率=34.5%という人気を誇った。ジョン・ロス(J.R.)・ユーイング役だったラリー・ハグマンは2012年に死去したが、現在でもワーナー・ブラザーズ・グループの制作会社・放送局によって続編がつくられている。

 今回、リリースされるバーボンはケンタッキーで蒸留されたもの(蒸溜所名は明かされていない)を4年熟成し、アルコール=80プルーフ(40%)。ボトルのバックスクリーンに『ダラス』の舞台であるサウスフォーク牧場がプリントされている(元記事に画像あり)。

‘Dallas’ Toasts Larry Hagman with J.R. Ewing’s Own Bourbon(バラエティ)


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2014年2月19日水曜日

フィリピンのラム「ドンパパ」、英国での販売開始(ドリンクスビジネス)



 昨年1月に本サイトで紹介したフィリピンのラム「ドンパパ」(写真)が英国での販売を開始した。カサーシャ「イピオカ」の代理店でもあるマーブルヘッド(英)が流通を手掛ける。

 ドンパパはフィリピン初のプレミアム・ラム・ブランドとして、2012年に同国バコロドでリリース。以後、国内で販売を拡大し、現在はフランス、ベルギー、イタリアにも輸出しているという。製造元のブリーディングハートラムはレミーコアントロー(仏)の経営幹部だったスティーブン・キャロル氏が創業したメーカーだ。

 キャロル氏は、次にようにコメントする。
「英国はダイナミックかつ成長力のあるラム市場だ。マーブルヘッドとのパートナーシップによりドンパパがここで展開されるのは、正しいことだと我々は考えている」

 英国でのメーカー希望小売価格は29.95ポンド(約5100円)。

DON PAPA RUM LAUNCHED IN UK(ドリンクスビジネス)


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2014年1月27日月曜日

ディアジオ、テキーラ「ペリグロソ」を買収(スピリッツビジネス)

ペリグロソのシルバー、ゴールド、
アネホ、シナモン・フレーバード
(クリックすると拡大)
 英酒造大手ディアジオは27日、テキーラ・ブランド「ペリグロソ(Peligroso)」を買収したと発表した。買収額は明らかにされていない。

 ディアジオは昨年6月に別のテキーラ「ホセクエルボ」の代理店契約が終了。以前から出資している「ドンフリオ」との関係を継続する一方で、ラッパーのディディー氏がプロデュースの「デロン」をリリースしテキーラ・ブランドの穴埋め、プレミアムカテゴリーの拡充を進めている。

 ペリグロソの本社は米国で、原料を100%ブルーアガヴェとしていることが売り。「シルバー」「ゴールド」「レポサド」「アネホ」、さらにシナモン・フレーバード・テキーラをラインナップに揃える。米国では30〜55ドル(約3000〜5600円)の希望小売価格で販売している。

 北米ディアジオのラリー・シュワルツ社長は「ペリグロソの買収は、幅広い消費者にテキーラを提供するというディアジオの戦略のひとつだ」とコメントした。

DIAGEO ACQUIRES ANOTHER TEQUILA BRAND(スピリッツビジネス)


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2014年1月23日木曜日

コニャックの中国向け輸出減少――習近平主席の汚職防止策が影響、輸出総額は過去最高に(スピリッツビジネス)

 仏国立コニャック事務局(BNIC)は、2013年のコニャック輸出額が24億ユーロ(約3400億円、前年比=0.2%増)と、過去最高額になったと発表した。ただ、輸出数量は1340万ケース(同=4%減)と落ち込みを見せており、BNICによると中国向け出荷が落ち込んでいるという。

 日本におけるお歳暮と同様、中国では旧正月(2014年は1月31日〜2月6日)に贈り物をする習慣がある。蒸留酒は贈答品の中でも中心的商品で、中国がコニャックの一大消費地となる要因になっていた。だが習近平・国家主席就任以後、官僚の汚職、腐敗の防止を強化。コニャックを含めた高級品贈答は取り締まり対象となっている。

 すでに企業の業績にもその影響が表れ始めており、これまで中国向け輸出に業績が牽引されていたレミーコアントロー(仏)は、第3四半期終了時点の売上が前年比=18.3%減。また、元記事では中国のみの数字は報じられていないが、今回の発表でもアジア太平洋地域向け輸出額が11億ユーロ(約1600億円、前年比=4%減)、輸出数量は5600万本(同=10%減)だった。

 一方、北米向け輸出は好調だったといい、輸出額が6億5100万ユーロ(約920億円、前年比=5%増)、輸出数量は5300万本(同=2%増)の伸びを見せている。

COGNAC FIGHTS DOWNTURN TO POST RECORD SALES(スピリッツビジネス)


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2014年1月21日火曜日

サントリー、ホワイト&マッカイを買収か?――インド放送局が報道(ドリンクスビジネス他)

 インドの放送局CNBC TV18は、サントリーがユナイテッドスピリッツ(USL、同国)に対しホワイト&マッカイの買収を申し出たと報道した。買収額は10億ドル(約1050億円)以下とされている。

 ホワイト&マッカイは同名のブレンデッド・ウイスキーのほか、シングルモルト「アイル・オブ・ジュラ」などのブランドを保有。USLの経営危機による身売りで、現在はディアジオ(英)の傘下にある。一方、英公正取引庁(OFT)が市場競争上での懸念を示したため、ディアジオはシングルモルト「ダルモア」「タムナヴーリン」以外の関連ブランドを売却する方針を示していた。今回の報道によると、サントリーはホワイト&マッカイのほかにダルモア、アイル・オブ・ジュラの買収を打診しているという。

 ブルームバーグは「米ビーム買収で米国市場へ、ホワイト&マッカイによって英国市場へそれぞれ足掛かりを得られる」との識者の見解を報じている。ただ、サントリーはビーム買収により、ブレンデッド・ウイスキー「ティーチャーズ」、スコッチ・シングルモルト「ラフロイグ」を傘下に収め、さらに以前より「ボウモア」の親会社であるモリソン・ボウモアの出資元となっている。そのため、USLのブランドを取得しようとしてもディアジオと同様にOFTから何らかの注意等を受ける可能性も存在する(ソース=ドリンクスビジネスの元記事)。

 今のところサントリー、USLとも報道に対し声明を発表していない。

SUNTORY TO BID FOR WHYTE & MACKAY?(ドリンクスビジネス)
サントリーがホワイト&マッカイ買収案、10億ドル弱-CNBC(ブルームバーグ)


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2014年1月19日日曜日

ラーク蒸留所、近隣の蒸留所を買収――双方の創業者は引退へ(シャウト)

 ラーク蒸留所(オーストラリア・タスマニア島)は17日、オールドホバート蒸留所(同)の経営権を取得した。経営統合後もそれぞれ別ブランドとして存続するという。

 ラーク蒸留所は1992年、ビル氏、リン氏のラーク夫妻によって設立。シングルモルト・ウイスキーが主要な商品だが、熟成期間の必要ないジンやウオトカ(ウォッカ)を生産・販売し経営を持続させるビジネスモデルは、世界各国で現在急増しているマイクロディスティラリー(小規模蒸留所)の手本となった。昨年7月には、同蒸留所株式の大部分を投資グループに売却し、ビル氏は週2日程度の勤務、リン氏も取締役会のオブザーバー的立場となっている。夫妻とも数年内での引退を検討しているといい、蒸留所の売却もその準備のひとつと見られる。

 一方、オールドホバート蒸留所はケーシー・オーフレーム氏が設立し、シングルモルト「オーフレイム」(写真)を生産。ケーシー氏は今後、非常勤となるが、親族と見られるジェーン・オーフレーム氏が両ブランドのマーケティングマネージャーを務めるという。

Tassie whisky deal: Lark acquires Overeem(シャウト)


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2014年1月18日土曜日

クライヌリッシュ、生産能力拡大へ――ディアジオ発表、投資額50億円(スコッツマン)

 英酒造大手ディアジオは16日、スコッチ・シングルモルトを生産するクライヌリッシュ蒸留所の生産能力を拡大すると発表した。投資額は3000万ポンド(約50億円)。同社は2012年6月に5年間で10億ポンド(約1700億円、現行レート)を投じる事業拡大計画を発表しており、今回の計画を含めハイランド地域への投資額は約1億5000万ポンド(約250億円)に上る。

 クライヌリッシュはスコットランド・ハイランド地域のサザランドに位置する。現在稼働するポットスティルは初留=3基、再留=3基の計6基だが、さらに6基を増設。生産能力も年間1000万リットルと現行から倍増させる。当地の自治体であるハイランド・カウンシルに計画を提出し、来月から協議に入る予定だ。

 同社のキース・ミラー蒸留熟成担当ディレクターは「クライヌリッシュは特別な蒸留所であり、その品質とキャラクターは我々がウイスキーをブレンディングするなかで重要な部分を占める」とコメントした。

 ディアジオは昨年4月に新ティーニニック蒸留所建設を決定したほか、同12月には今回と同じく3000万ポンドを投じたモートラック蒸留所の拡大計画を発表している。

Diageo in £30m Clynelish whisky expansion(スコッツマン)


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2014年1月15日水曜日

好きなお酒で支持政党がわかる?――米共和党系機関が酒類ブランド・投票行動の研究結果発表(マクリーンズ)

beerbubble
ビールブランドを軸とした投票行動に
ついてのチャート。右側が共和党寄り、
左側が民主党寄り。また上に行くほど
実際の投票行動をとる可能性が高い。
(クリックすると拡大)
 米国のメディア研究機関であるナショナルメディア・リサーチ・プランニング&プレースメント(ナットメディア)は、有権者の嗜好する酒類ブランドと支持政党、投票率の関係について、研究結果を発表した。同機関は共和党系だが、カナダのビール「ラバットブルー」を共和党員・支持者(リパブリカン)が愛飲し、なおかつ実際に投票行動をとる可能性が高いブランドとして挙げている。カナダの週刊誌『マクリーンズ』はこの結果に「多くのカナダ人はラバットブルーとリパブリカンを連想しないだろう」と驚嘆の念を込めた記事を、ウェブ上に掲載した。

Republicans prefer Labatt Blue and Canadian Club whisky(マクリーンズ)
http://www2.macleans.ca/2014/01/14/republicans-prefer-labatt-blue-and-canadian-club-whisky/

 ラバットブルーは、ベルギーを拠点とし世界各国に生産拠点を持つアンハイザーブッシュインベブが保有するブランド。日本企業の政治献金にも見られるように、アンハイザーブッシュは共和党、民主党どちらに対しても30万ドル(約3100万円)を超える支援を行っているため、元記事では共和党員がラバットブルーを好む理由を「ミステリーである」としている。また、同じくアンハイザーブッシュのビールブランドである「バドライト」は両党支持者の境界線上に位置し、投票率は低いとされている。この理由についてナットメディアのウィル・フェルタス上席副代表は「若者は選挙権をあまり行使しない。バドライトは大学生など若者が好むからではないか」と分析する。

DrinkBubble
ワイン・スピリッツ等を軸としたチャー
ト。表の見方は左上のものと同じ。
(クリックすると拡大)
 スピリッツに視点を移してみると、ウイスキーを好むのはリパブリカンである場合が多いようだ。これは「地域の違いによるもの(フェルタス上席副代表)」で、共和党の支持率が高い南部ではウイスキーが人気であるからだという。一方、民主党員・支持者(デモクラット)が好む代表格としてジンやウオトカ(ウォッカ)といったホワイトスピリッツを挙げている。また、コニャックはアフリカ系の人々が好むことから(本サイト関連記事)、デモクラットである度合いが高い酒類ではないかと分析している。

 日本では政党系シンクタンクが未発達で、国民の政治に対する捉え方も異なるから、同様のデータを集計・分析するのは、現状では困難であるだろう。しかし、有権者の投票行動は日常生活からの影響もあるわけだから、今回の結果のように興味深いデータができあがるかもしれない。


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ナットメディア(英文)
世界で最もジンを飲むのはフィリピン人――IWSRがスピリッツ消費動向を発表(ラプラー)
スキニーガールの成長率は388.3パーセント——米調査会社がスピリッツ・トップ250ブランドを発表(マーケティング・デイリー)

2014年1月14日火曜日

サントリー、ビーム買収を発表――総額1兆6千億円

 国内酒造大手のサントリーホールディングスは13日、米酒造ビームとの間で行っていた買収交渉が妥結したと発表した。発行済み株式を1株あたり83.5ドルで取得し、買収総額は160億ドル(約1兆6550億円)。

 今回の買収交渉は2012年12月、複数メディアが報じたことにより明らかになっていた。直後に、サントリーは子会社であるサントリー食品インターナショナルの株式公開を決定し売却益をビーム買収に充てるのではないかと見られていたが、手元資金のほかに三菱東京UFJ銀行からの借入も利用し、株式取得を進めるという。また、当初は酒造最大手のディアジオ(英)とともにビームを買収し、ビーム保有のブランドを分け合うのではないかとの見方もあったが、結果的にサントリー単独での買収となった。

 すでに両社は業務提携を結んでいるため、サントリーの日本国内での販売ブランドに大きな変化が起こるわけではない。だが、バーボン・ウイスキー「ジムビーム」「メーカーズマーク」、スコッチシングルモルト「ラフロイグ」などビームが保有するブランドは、サントリーの傘下に入る。また、同じくビームのポートフォリオに含まれるテキーラ「サウザ」はカテゴリー内世界2位の販売量で、同「ホセクエルボ」買収が頓挫したディアジオもブランド取得を目論んでいると見られていた。今回の買収劇は、世界のスピリッツ産業の勢力図に新たな変化を生み出すかもしれない。


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サントリー プレスリリース(両社代表のコメントあり)
サントリー、オーストラリアでのズブロッカ販売権を取得(スピリッツビジネス)

2014年1月7日火曜日

サントリー、オーストラリアでのズブロッカ販売権を取得(スピリッツビジネス)

 ロシアンスタンダードウオトカ(ロシア・モスクワ)は先月23日、保有するポーランドのウオトカ(ウォッカ)ブランド「ズブロッカ」(写真)のオーストラリア代理店を、これまでのオズディストリビューションからサントリー・オーストラリアに変更すると発表した。サントリーは2月1日より取り扱いを開始する。

 ズブロッカは複式蒸留したライ・ベースのウオトカに、ポーランドの「ビアウォヴィエジャの森」で採取されるバイソングラスを漬け込んだもの。元々、セントラル・ヨーロピアン・ディストリビューション(CEDC)という多国籍企業が保有していたブランドだが、昨年6月にCEDCはロシアンスタンダードグループの傘下に入っている。

 ロシアンスタンダードのトレント・ラセル・ディレクター(オーストラリア・ニュージーランド担当)は「既にロシアンスタンダードウオトカと良好な関係にあるサントリーに販売権が移ることを、エキサイトした気持ちで受け止めている」とコメントした。

 なお、ズブロッカの日本での代理店は、既にサントリーが務めている。

ZUBROWKA TRANSFERS OZ DISTRIBUTION TO SUNTORY(スピリッツビジネス)


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サントリー、インド酒造企業に資本参加か?――同国紙が報道(ビジネススタンダード)

2014年1月5日日曜日

スコッチ・ウイスキーの輸出額、過去10年で87%増――政府発表(ドリンクスビジネス)

 スコッチ・ウイスキーの輸出額が過去10年間で87%増加していることが、判った。スコットランド政府が英国歳入税関庁の統計を基に分析し、発表したもの。

 2002年の輸出額は23億ポンド(約4300億円)だったが、2012年には43億ポンド(約5400億円)まで増加した(※)。また、数量ベースでは32%増加している。

 スコットランド政府のリチャード・ロッホヘッド飲食品相は「スコッチ・ウイスキーがスコットランドを最も象徴する商品であり、また今回の結果は巨大な世界的需要があることを立証している」とコメントした。

 スコッチ・ウイスキーの輸出先は173ヶ国に上り、元記事によるとパプアニューギニアやバチカン市国もそのなかに入っているという。

※カッコ内は当時レートでの換算のため、日本円にすると伸び率は87%とならない。

Scotch Whisky exports from UK rise by 87%(ドリンクスビジネス)


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2014年1月4日土曜日

ディアジオ、米国の販社に対し公訴へ――ウオトカの意匠権侵害を主張(スピリッツビジネス)

ケテルワン(左)とダッチクラフト
(右)(クリックすると拡大)
 英酒造大手ディアジオは保有するウオトカ(ウォッカ)ブランド「ケテルワン」の意匠を侵害したとして、酒販業者アルカディアインポート(米コネティカット州)を相手に訴訟を起こす構えだ。アルカディアの販売するウオトカ「ダッチクラフト」のパッケージがケテルワンのものを故意にコピーしていると、ディアジオは主張している。

 ケテルワンはオランダで生産されるウオトカ。プレミアムブランドのポートフォリオ拡充を進めていたディアジオが、2012年にノレットグループ(Nolet Group、オランダ)から50%の株式を取得している。一方、アルカディアのオフィシャルサイトによるとダッチクラフトもオランダから輸入し、年間5万ケース(1ケース=9リットル)を出荷しているという。

 北米ディアジオのガイ・L・スミス上席副社長は、次のようにコメントした。
「ケテルワンは確立されたブランドであり、アルカディアはこれを模倣したパッケージ、ラベルで消費者を故意に混乱させている。法的措置は正当なものであり、人をだますような商いから(ケテルワンの)ボトルとラベルを守る」

 元記事では係争地が明記されていないが、北米ディアジオが前面に出、また被告の所在国から、米国にて訴えを起こすものと見られる。

DIAGEO SUES DUTCHCRAFT VODKA OVER “IMITATION”(スピリッツビジネス)


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2014年1月3日金曜日

スコッチ・ウイスキー協会、新会長にフロスト氏――元外交官(ハーパーズ)

 スコッチ・ウイスキー協会(SWA)は昨年12月29日、新会長にデーヴィッド・フロスト氏(写真)が就任すると発表した。フロスト新会長は連合王国の元外交官で、2006〜08年に駐デンマーク英国大使、08〜10年に外務・コモンウェルス省ディレクターを歴任。13年、商務・イノベーション・職能省の外交通商関係ディレクターへの出向を最後に退官している。

 ギャビン・ヒューイット前会長は退任する。10年に亘る会長職を振り返り、ヒューイット氏はSWAのオフィシャルサイト上で次のように振り返った。

「ハイライトは09年のスコッチ・ウイスキー法改正。時代の転換点とも言える出来事だったが、改正までの6年間は南北(イングランド・スコットランド)の国境を奔走しなければならないほど激務だった。(改正により)消費者にとってシングルモルト、ブレンデッドモルト、ブレンデッドスコッチの区別が明確になった」

 なお、会長交代と同時に他の役員人事も発表され、キャンベル・エヴァンズが国際担当ディレクターに異動(前職=行政担当ディレクター)、エヴァンズ・ディレクターの後任にデーヴィッド・ウィリアムソン前国際担当ディレクター代理が就任する。またピート・ウィルキンソン前国際担当ディレクターは、22年間務めたSWAから退く。

Top diplomat takes over as chief executive at Scotch Whisky Association(ハーパーズ)http://www.harpers.co.uk/news/scotch-whisky-association-appoints-new-chief-executive/353177.article
ギャビン・ヒューイット前会長コメント(SWAオフィシャルサイト/英文)
http://www.scotch-whisky.org.uk/news-publications/blog/gavin-hewitts-10-years-at-the-swa/


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SWA、2012年のスコッチ・ウイスキー輸出統計を発表――数量ベースで5%減(BBC)

2014年1月1日水曜日

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