2014年4月11日金曜日

2013年のスコッチ・ウイスキー輸出、横ばいの結果に――SWA発表(BBC)

David Frost スコッチ・ウイスキー協会(SWA)は11日、2013年のスコッチ・ウイスキー輸出統計を発表した。輸出総額は43億ポンド(約7300億円)で前年と同額、数量ベースでは12億3000万本(公式発表では13億本)で前年比=2.5%増だった。

Scotch whisky exports remain flat(BBC)
http://www.bbc.com/news/uk-scotland-scotland-business-26974320

 地域別に見ると、米国がこれまでと同様、金額ベースで最大の輸出先となっており、輸出額は8億1900万ポンド(約1400億円)、前年比=8%増となった。だが、数量ベースでのトップは仏となり、前年比=16%増となっている。SWAはこの理由を、2012年初頭に行われた仏のウイスキー増税が一段落したため、と見ている。

 アジア圏ではインドが好調で、数量ベースで12%増と世界4番目の輸出先になった。SWAは、現在停止しているEU・インド間の自由貿易協定交渉が再開するよう、関係各所に働きかける意向の模様。一方で、中国は前年比=30%減(数量ベース)と凄惨たる結果となっている。昨日、本サイトで報じたLVMHの四半期決算と同じく、習近平政権による腐敗防止策が大きく影響したためだと、SWAは説明する。日本、台湾、韓国向け輸出は、それぞれ13〜15%落ち込んでいる(金額ベース)。

 ただ、新興国においては依然、好調を見せており、ブラジル、メキシコ向けは共に前年比=20%増、ポーランド向けは同=38%増となった(いずれも金額ベース)。

 SWAのデーヴィッド・フロスト会長(写真)は「スコッチ・ウイスキーの輸出は堅調で、英国の通商に貢献している。今後も、空前の投資プログラムを継続する」とコメント。その一方で、政府に対して厳しい注文もつけた。
「大使経験者として申し上げると(註:フロスト会長は元外交官)、ウイスキー産業は政府による強力な政策によって成り立つ。これまで、連合王国政府もスコットランド政府も、重要な役割を果たしてくれた。スコットランド独立の国民投票結果がどうであれ、200ヶ国に上る市場を持つ産業としては、商業的専門性を持ち、影響を与えるだけのキャパシティを持った、グローバルに届く効果的な外交ネットワークを必要とする」

 スコッチ・ウイスキーの輸出額はスコットランド産飲食物輸出額の85%を占め、英国全体の飲食物輸出額と比較しても4分の1に上る。フロスト会長の発言は、こうした事実を背景に連合王国政府、スコットランド政府が実施・検討するアルコールへの課税策・案に対して、さらに、仮にスコットランドが独立したとしても公的支援を受けられるよう、けん制するねらいがあるものと見られる。


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