2013年1月31日木曜日

「伝統的なスピリッツからフレーバー商品に人気移る」――米調査企業が飲食店内注文動向を分析(ハフィントンポスト)

 米調査企業「レストランサイエンセズ」は2011年〜2012年、同国内に所在するレストラン、バー、ナイトクラブでの消費者の注文動向を調査・分析し、「ラム、ジン、テキーラの注文量が減少している」と結論づけた。

Rum, Gin And Tequila Are Losing Popularity, Says Market Research(ハフィントンポスト)
http://www.huffingtonpost.com/2013/01/30/rum-gin-tequila-losing-popularity_n_2583459.html

 調査した注文数は2500万件におよび、ラム=3.89%、ジン=2.6%、テキーラ=2.28%、それぞれ減少しているという。対して需要が高まっているカテゴリーは、フレーバード・ウオトカ(ウォッカ)が3.04%のシェアを獲得。また、ディジェスティフ(食後酒、※)=1.48%、アイリッシュ・ウイスキー=0.98%の増加を見せている。

 これらの結果に対し、同社のチャック・エリス社長は「消費者はラム、ジン、テキーラといった伝統的なスピリッツから、ディジェスティフ、ブレンデッド・ウイスキー、フレーバード・ウオトカ、フレーバード・ラムへと移るという動向を見せている」と、プレスリリースで結論を述べた。

 ただ、元記事のハフィントンポストは「この結果はフロックで、そうでなければ米国人はスタンダードなスピリッツに飽きているということだろうか? 」と疑問を呈する。そして、同社のテリー・ダンケル副社長(製品・サービス分野担当)に同じ疑問をぶつけたところ、以下のような回答を受けたという。
「生産者は、実際にフレーバー商品の生産を拡大している。利益を伸ばせることが分かっているからだ。そうなることで(消費者の)味覚も変わってきていると思う」

※ディジェスティフは、食後酒に該当する、スピリッツからカクテルまで様々な種類のものを指す言葉だが、今回の調査では何を指しているか明らかになっておらず、同社が販売するレポート等に記載するものと思われる。

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2013年1月30日水曜日

ケンタッキー・バーボン・トレイル、2012年の参加者は50万人超(ケンタッキードットコム)

 ケンタッキー州のバーボン・ウイスキー蒸留所見学ツアー「ケンタッキー・バーボン・トレイル」参加者数が、509,292人に達した。2012年の実績で、前年比15%増となる。

Number of Kentucky Bourbon Trail visitors up 15%(ケンタッキードットコム)
http://www.kentucky.com/2013/01/28/2493805/kentucky-bourbon-trail-visitors.html

Read more here: http://www.kentucky.com/2013/01/28/2493805/kentucky-bourbon-trail-visitors.html#storylink=cpy


 ケンタッキー・バーボン・トレイルは、フォアローゼズ、ヘヴンヒル、ジムビーム、メーカーズマーク、ウッドフォード・リザーブ、ワイルドターキー、タウンブランチの7蒸留所で構成。このうち、フォアローゼズ、ジムビーム、メーカーズマークは昨年ビジターセンターをリニューアルしており、ワイルドターキーも今年、新たなビジターセンターを起工する。

 昨年は米国内全ての州と50ヶ国以上から参加者があったといい、前述の参加者数は7蒸留所のうち最低1ヶ所を訪問した人数。また、7蒸留所全てを訪問すると記念品を贈呈する「パスポートプログラム」達成者は18,360人に及び、こちらは前年比56%増となった。ルイビル大学(同州)経済系研究科の試算では、参加者1人当たり737ドル(約6万7000円)の経済効果があったという。

 ケンタッキー・バーボン・トレイルのアダム・ジョンソン・ディレクターは「ケンタッキーは真のバーボン体験ができる世界で唯一の場所。2013年も新たな、あるいは、リピーターの訪問者を歓迎し、記録を更新していきたい」とコメントした。


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ケンタッキー・バーボン・トレイル
ウオトカ「ピナクル」などのボトリング、ケンタッキー州に集約――ビーム(スピリッツビジネス)

2013年1月29日火曜日

ディアジオ・ワールドクラス、世界大会の概要決定――地中海を巡るクルーズ客船で開催

Azamara Journey 酒造最大手ディアジオ(英)は28日、バーテンダーの技能を競うコンペティション「ディアジオ・ワールドクラス・グローバルファイナル(世界大会)」の開催概要を発表した。期間を7月4日〜9日とし、クルーズ客船「アザマラジャーニー」(写真)で地中海を航行しながら行なう。

 同大会は2009年にスタートし、2011年大会では大竹学氏が日本人として初優勝している。また2012年大会は、「ワールドクラスTVショー」として世界110ヶ国で大会の模様がテレビ放送された。

 今大会は各地区大会を勝ち抜いた50名のバーテンダーが参加予定。競技のプロセスは現時点で発表されていないが、昨年は4日という開催期間中に3つのステージを設ける「ノックダウン方式」を採った。第1ステージで39名から16名、第2ステージでは16名から10名と各ステージ進出者を絞っていき、ファイナルステージで優勝者を決めるという方式だ。また、今大会の審査員はサルヴァトーレ・カラブリーズ氏、上野秀嗣氏らが務める。

 そして「会場」となるアザマラジャーニーは、アザマラクラブクルーズ(米、以下「アザマラ社」)が保有するクルーズ客船。航路は、仏・ニース、モナコ・モンテカルロ、仏・サントロペ、スペイン・イビサ島を巡り、同・バルセロナが最終目的地となっている。アザマラ社のラリー・ピメンテル社長は「我が社は、目の肥えたお客様でも心をつかみ、特別な体験ができるよう取り組んでいる。ゲストに素晴らしいお酒を提供するワールドクラスとパートナーが組め、光栄に思う」とコメントを寄せた。

 日本大会はキリン・ディアジオが主催し、現在、第1次選考が行なわれているところ。3月中旬に実技を含めた第2次選考を行ない、6月上旬に開催する「ジャパンファイナル」で世界大会に進出するバーテンダーを決定する。

プレスリリース

ウオトカ「ピナクル」などのボトリング、ケンタッキー州に集約――ビーム(スピリッツビジネス)

 米酒造大手ビームは2014年第1四半期(1〜3月)終了までに、ウオトカ「ピナクル」(写真)、ラム「キャリコジャック」向けボトリング(瓶詰め)設備をケンタッキー州フランクフォートに移設する。両ブランドは同社が昨年買収したホワイトロックディスティラリーズ(WR)の商品で、現在はWRが本拠を置いていたメイン州でボトリングしている。

 新たな設備は年間1000万ケースの生産が可能で、45人の雇用を創出する。現時点でも他商品のボトリングをフランクフォートで行なっている他、同州クラモント、ロレット、ボストン(マサチューセッツ州のボストンとは別)にボトリング設備を持つ。ピナクルなどを同地に集約することで「相当なシナジーをもたらす(イアン・グーレイ上席副社長)」と同社は期待する。

 ピナクルのフレーバー商品は米国で人気を集めており、元記事によると2011年、同国のウオトカ総売上の4分の1がピナクルで占められたという。

BEAM INCREASES BOTTLING FACILITIES FOR PINNACLE VODKA(スピリッツビジネス)


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2013年1月28日月曜日

バーボン「ブレット10」がリリース――通常版より長期熟成に(スピリッツビジネス)

 ブレットディスティリングカンパニー(米ケンタッキー州、以下「ブレット」)は今月、バーボン・ウイスキー「ブレット10」を米国でリリースする。ブレットは1830年代にアンガスタス・ブレットが生産していたウイスキーを、近年、子孫であるトム・ブレット氏が再興させたバーボン・メーカー。

BULLEIT 10 AGED BOURBON RELEASED IN US(スピリッツビジネス、リンク先に商品画像あり)
http://www.thespiritsbusiness.com/2013/01/bulleit-10-aged-bourbon-released-in-us/

 ブレット10は通常版より2〜5年長く熟成した樽をブレンドし、メーカーの説明によると「豊かなオークのアロマの中に、ほのかなバニラ、ドライフルーツ」のフレーバーが楽しめるという。ベージュのラベルが貼られ(通常版はオレンジ)、ギフトボックスにブレット家の歴史が記されたアウトラインと共に収められる。

 トム・ブレッド氏は「偏った見方かもしれないが、ブレッドは5〜8年熟成のものが良いと思う。しかし、長期熟成した樽もまた興奮すべきものだった。我々の予想を上回る結果で、これをボトリングしファンと共有しなければならないと思った」とコメントした。

 アルコール45.6%で、希望小売価格44.99ドル(約4100円)。750ミリリットルボトルで販売する。


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2013年1月27日日曜日

偽スコッチ・ウイスキー販売に懲役4年の判決――中国(スコッツマン他)

 中国当局は、新疆ウイグル自治区ウルムチ市で「スコッチ・ウイスキー」と称したスピリッツを販売していたとして、卸売業リ・クィホン(Li Cuihong)被告を起訴した。裁判は今月(24〜25日ごろか?)行なわれ、リ被告に懲役4年と日本円にして約720万円の罰金を科す判決を下した。

Chinese woman jailed for ‘Scotch whisky’ fraud(スコッツマン)
Chinese court jails fake Scotch whisky seller(BBC)
http://www.bbc.co.uk/news/uk-scotland-scotland-business-21194829

 リ被告は中国国内で生産されたスピリッツに人工香料を添加、「スコッチ・ウイスキー」のラベルを貼り販売していた。裁判で弁護側は、スコッチ・ウイスキーと称しても世界的に販売されるブランドと商品に相似性が無い点を主張。しかし判決は、スコッチ・ウイスキーというブランドを悪用すること自体が深刻な犯罪であるとして、主張を退けた。リ被告は以前にも、ある会社の商標権侵害で有罪判決を受けているという。

 スコッチ・ウイスキー協会のリンジー・ロウ法務顧問は「中国はスコッチ・ウイスキーにとって成長市場だが、残念ながら人気が高まると共に偽物も横行している」と現状を話す。2010年には、中英両国の間で「英法に則り、スコットランドで生産したもののみ、『スコッチ・ウイスキー』とする」という合意に至ったが、依然として偽物の流通は続いている。ロウ法務顧問によると「取締は行なわれている」といい、今回のケースを「有罪判決が下った初めてのケース。判決は『偽スコッチ・ウイスキー』を販売することが危険なビジネスで、消費者と合法的活動をする飲料産業に悪影響を与えていることを例示している」と説明する。

 また、経済団体CBIスコットランドのイアン・マクミラン理事は「スコットランドに限らず英国のビジネスは長い間、中国における知的財産権の問題にさらされてきた。今回、中国当局がスコッチの仮面を被った商品に対処したということは、喜ばしい進展だ」とコメントした。


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2013年1月26日土曜日

オーストラリアのアグリコール・ラム「サウスシー」(フォーブス)

Sout Sea Rum - Pure Australian Spirit きょう1月26日はオーストラリアの建国記念日「オーストラリアデイ」。この日を迎えることを機に、ジャーナリストのラリー・オルムステッド氏が「フォーブス」でオーストラリアのラム「サウスシー・ラム」(写真)を紹介している。

New Artisanal Rum - For Australia Day?(フォーブス)
http://www.forbes.com/sites/larryolmsted/2013/01/25/new-artisanal-rum-for-australia-day/

 本サイトがオフィシャルサイト・フェイスブックページを確認したところ、同ブランドは昨年リリースした模様。いわゆる「アグリコール・スタイル」のラムで、クイーンズランド州産サトウキビの一番搾り汁を原料とする。二通りの蒸留を行ない、ひとつはポットスティルによるもの、もうひとつはカラム(蒸留塔)によるものだ。これらをブレンドし、アメリカンオーク樽で2年熟成させる。そして、チャコールフィルターで不純物を取り除いた後、ボトリングするという生産プロセスだ。

 元記事にはテイスティング・サイト「Tasing.com」による評価も掲載され、86点というスコアを獲得している。現在の販売地域はオーストラリアと、米ニューヨーク州など一部の州。価格は29.99ドル〜34.99ドル(約2700円〜3200円)。


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2013年1月25日金曜日

グレンゴインが英スーパーマーケットチェーンで販売――昨秋にはラインナップ・パッケージを変更(リテールタイムズ)

 イアンマクロードディスティラーズ(英スコットランド)は、スーパーマーケットチェーン「セインズベリーズ」(本社=同ロンドン)でスコッチ・シングルモルト「グレンゴイン10年」(写真)の販売を開始する。セインズベリーズは全英に150店舗を展開し、テスコ(同イングランド)と双璧をなすチェーン店。

Ian Macleod Distellers wins Glengoyne malt listing in 150 Sainsbury’s stores(リテールタイムズ)
http://retailtimes.co.uk/ian-macleod-distellers-wins-glengoyne-malt-listing-in-150-sainsburys-stores/

 グレンゴインは昨秋、ラインナップとパッケージを変更、以前販売していた「12年カスクストレングス」、「17年」をそれぞれ「カスクストレングス」、「18年」に置き換えた。また新商品として「15年」をリリースした。

 イアンマクロードのニール・ボイド英国担当コマーシャルディレクターは、以下のようにコメントする。
「新たなグレンゴインの発売に、消費者はファンタスティックな反応を見せており、売上も伸びている。消費者の方々にグレンゴインを様々な場所でお求めいただけるよう、流通網を築き続けていく。我々のフラッグシップブランドが、以前購入できなかった場所でもモルトを愛する人々に手に取っていただけるという点で、セインズベリーズのリストに加えられたことを理想的機会だと捉えており、歓迎する」

 セインズベリーズでの、「10年」の販売価格は32.99ポンド(約4700円)になるという。


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2013年1月24日木曜日

ウイスキーアドヴォケート「アニュアル・アワード」が発表――アメリカン・ウイスキー部門はフォアローゼズ限定版に(シェークンニュースデイリー)

 米誌「ウイスキーアドヴォケート」は23日までに、「アーティザン・ウイスキー・オブザイヤー」、「アメリカン・ウイスキー・オブザイヤー」、「カナディアン・ウイスキー・オブザイヤー」の受賞ウイスキーを決定した。同誌は「アニュアル・アワード」として1年間にリリースされたウイスキーを表彰し、今年で19回目を迎える。

ウイスキーアドボケート・ブログ
http://www.whiskyadvocateblog.com/
Whisky Advocate Names American Whiskey Of The Year(シェークンニュースデイリー)
http://www.shankennewsdaily.com/index.php/2013/01/22/4910/whisky-advocate-names-american-whiskey-of-the-year/

 まず「アーティザン・ウイスキー・オブザイヤー」が20日に発表され、「コルセア・トリプルスモーク」が受賞。「アメリカン・シングルモルト・ウイスキー」を標榜する商品で、サクラ、ピート、ブナという異なる3種類のスモークでつくられるのが特徴となっている。コルセアは小規模ながら蒸留酒生産とビール醸造の両方を行ない、ケンタッキー州、テネシー州に製造拠点を持つ。

 翌21日には「フォアローゼズ2012リミテッドエディション」に「アメリカン・ウイスキー・オブザイヤー」を授与した。こちらは、本サイトでも昨年5月13日に取り上げたので、ご参照いただきたい。

 「カナディアン・ウイスキー・オブザイヤー」は「ロットナンバー40」(写真)が受賞。元は18世紀の実業家・政治家であったジョシュア・ブースの農場でつくられていたウイスキーで、7世代に亘るブース家の人々によって受け継がれる商品。

 24日(現地時間)には、「アイリッシュ・ウイスキー・オブザイヤー」を発表する予定。

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【お知らせ/酒造企業各位】新商品等記事制作についての考え方とプレスリリース配信のお願い

酒造企業 各位

 国内外の酒造各社の皆様におかれましては、益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。平素は小サイト「WSJ−ワールドスピリッツジャーナル−」をご高覧賜り、厚く御礼申し上げます。

 小サイトは開設から1年が経ち、少しづつではございますが読者の数も増えてまいりました。しかしながら、未だ改善すべき点は多々ございます。たとえば、これまでは海外における酒類関連のニュースを中心に取り上げてまいりましたが、新商品情報に関しましては日本で正規販売されないものも多くございます。

 読者の方々により有益な情報をお伝えするという点を鑑み、今後、「日本国内でも手に入る商品」についてのニュースを、これまで以上に広く扱っていく所存です。つきましては、酒造各社の皆様におかれましては、新商品等を広報するプレスリリースを小サイトにお送りいただければ幸甚でございます。

 これまでも、サイト内に「プレスリリース・お問い合わせはこちらまで」というエントリーを掲載しておりましたが、小サイトにおける商品紹介記事についての考え方をご理解いただければと思い、個別の記事掲載に至った次第です。以下をご覧いただいた上で、tohmamichi@gmail.comまでプレスリリースをお送りいただきますよう、お願い申し上げます。


新商品等の記事制作についての考え方

①取り上げる商品について
 原則としてスピリッツ、すなわち、蒸留酒についてを取り上げます。

②取材について
 記事の内容について正確性を期するため、取材(直接対面してのもの、あるいは電話・メールによるもの)させていただく場合があります。お忙しいところ恐縮ですが、その節はご対応賜りたく、お願い申し上げます。

③原稿確認について
 記事制作については小サイトの裁量によって行なうものとし、また、取材・掲載対象となる企業の方による原稿確認もご遠慮願います。これは、主観性・中立性維持を目的としたものです。
 上記のような文面にすると誤解を招きそうですが、ご理解いただきたいのは商品に対する批評を行なうことはない、ということです。つまり個々の商品紹介記事においては、「提灯記事」でもなければ、批判をすることもございません(風味など、どうしても客観性が表れる部分については、各企業担当者様のコメントを掲載する形で対応することを考えております)。また、読者の方の興味を惹きそうな事実については、取り上げていきますので、宜しくお願い申し上げます。
 記事中の固有名詞等、明らかに事実と異なる点があった場合は、訂正いたしますので、ご連絡ください。

④記事掲載の可否について
 頂戴したプレスリリース等の情報について、全てを記事化できないことをご賢察賜りたく、お願い申し上げます。掲載の可否については小サイトの裁量によるものとし、個別のご質問も承りいたしかねます。


 新商品に限らず、読者の興味を惹きそうなニュースをより多く取り上げていきたいと考えております。そして、皆様と一緒にお酒を飲む環境を盛り上げていければ、と思います!

 以上、宜しくお願い申し上げます。

WSJ−ワールドスピリッツジャーナル− 
藤麻 迪  

2013年1月23日水曜日

アイルオブハリス蒸留所、オープンへ――モルト・ウイスキーを生産、スコットランド政府が支援(ハーパーズ)

 英スコットランドに新たなモルト・ウイスキー蒸留所が誕生する。「アイルオブハリス蒸留所」で、名前通りハリス島という島に建設、年内にも操業を開始する予定だ(元記事による。2014年操業開始という情報もあり)。ハリス島はヘブリディーズ諸島の中にあり、タリスカー蒸留所のあるスカイ島の北に位置する。

New single malt distillery for Isle of Harris(ハーパーズ)
http://www.harpers.co.uk/news/news-headlines/13392-new-single-malt-distillery-for-isle-of-harris

 蒸留所開設にあたり、スコットランド政府から資金面での支援を受けたという。支援について、リチャード・ロッホヘッド農漁村部担当相は「ハリス蒸留所建設にスコットランド政府が総コストの3分の1を支援できたことについて、喜ばしく思う」と述べる。元記事では、190万ポンド(約2億6700万円)の補助金拠出、としており総工費は550万〜600万ポンド(約7億7千万〜8億4000万円)程度と見られる。

 また同担当相は、以下のように期待を寄せるコメントも残した。
「ウイスキーはスコットランドを象徴する商品。世界中で愛され、売上も伸びている。蒸留所の存在がスコットランド内の田園部、島嶼部に経済的利益をもたらしてきた。ハリスウイスキーがやがて、ハリスツイード(ハリス島産の服飾向け生地)と同じように世界的名声を高めることを、私は確信している。そして何年か後に、ハリスウイスキーを飲むことも楽しみにしている」

 アイルオブハリス蒸留所オープンにより、20人規模の雇用が創出される見込みだ。創業者であるアンダーソン・ベークウェル会長は「スコットランド政府がハリスの人々に長期的な利益をもたらす計らいを行ない、感激の極みだ。(蒸留所が)地域経済活性化の触媒となり、島の資産が世界中にプロモートされ始めることを、島の人々は興奮して見ている」とコメントした。

 元記事ではボトラー(瓶詰め業者)のウィームスも、スコットランド政府支援の下で蒸留所・ビジターセンターを建設することに触れている。また、政府支援以外の事業でも、今年末にレイクス蒸留所(イングランド・カンブリア州)がオープン予定であることも挙げている。レイクス蒸留所の代表には、アイルオブアラン蒸留所創業メンバーである、ポール・カリー氏が就任する。


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ウィームス
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ピンサーウオトカ、自社蒸留所建設を検討――原料にミルクシスルなど、「二日酔いしづらい」ことを売りに(ヘラルドスコットランド)

pincer vodka wedding cocktails スコットランドのウオトカ(ウォッカ)・ブランド「ピンサーウオトカ」(写真左上)は今年度、60万ポンド(約8400万円)の売上を目指す。現在は(おそらく)蒸留をアウトソージングで行なっている模様だが、自前の蒸留所建設も検討しているという。

 ピンサーはグラスゴーに住むジョナサン・エンゲルス氏(写真右下)が、学生時代に行なった研究から産み出された商品。エンゲルス氏はハーブやサプリメントとして使われるミルクシスル(アザミの一種。アザミはスコットランドの国花)が肝機能に好影響を与えるという特性に着目し、同じくハーブのひとつであるエルダーフラワーとともにウオトカの原料にすることを考案する。実験の末、「二日酔いしづらいウオトカ」として2009年、事業化した。

an image エンゲルス氏はピンサーの売れ行きについて「著名人がファンになってくれている。スノウパトロール(スコットランド、アイルランドの人気バンド)は1000本もボトルを買ってくれた。ライヴツアーでプレゼントとして配るためのようだ」とコメントしている。

Made from thistles: Scot's new formula for vodka(ヘラルドスコットランド)


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2013年1月22日火曜日

ロンドンで過ごす「バーンズナイト」(フォーブス)

 今週25日はロバート・バーンズ(1759〜1796)の誕生日だ。当日夜は「バーンズナイト」、あるいは「バーンズサパー」という宴を開くのが恒例行事となっている。これはスコットランド域内に限らず、世界中のスコティッシュたちが国民的詩人の誕生日を祝う。

 『フォーブス』に「レター・フロム・ロンドン」という連載を持つファッション・観光ジャーナリストのマリオン・ヒューム氏は、ロンドンのバーンズナイトについて紹介している。

Top Places For A Whisky Tipple To Celebrate Burns Night In London(フォーブス)
http://www.forbes.com/sites/marionhume/2013/01/21/top-places-for-a-whisky-tipple-to-celebrate-burns-night-in-london/

シーバスリーガル 25年 まず、百貨店ハーヴェイニコルズ内「フィフス・フロア・レストラン」でのバーンズナイトは、ブレンデッド・ウイスキー「シーバスリーガル」が協力。オフィシャルサイトによると4つのコースを用意する他、「シーバスリーガル25年」(写真)も提供する。料金は1人=65ポンド(約9200円)。

 ホテル「ザ・リッツ・ロンドン」ではヘッドバーテンダー、ウォルター・ピンタス氏が考案したカクテル「ザ・バルモーラル・トリビュート」でバーンズナイトを祝う。もちろん、ウイスキーベースのカクテルだ。

 最後にヒューム氏はホテル「クラリッジス」で過ごすバーンズナイトを挙げている。同氏によれば、1杯目はシーバスリーガルを用いたカクテル「クラリッジスリーガル」、2、3杯目はシングルモルト、という楽しみ方を薦める。

 日本では馴染みの薄いバーンズナイト。だが、「蛍の光」など有名なバーンズの原詩を読みながらウイスキーを飲むなど、普段とは違う楽しみ方もできるだろう。そして、このタイミングで海外に渡航する方は、各地のスコットランド人とバーンズナイトを共にされてはいかがだろうか。


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2013年1月21日月曜日

フィリピンのラム「ドンパパ」、セブで販売開始――高級商品の位置付け目指す(サンスター)

 独立系ラム・メーカーのブリーディングハートラム(フィリピン)は17日、リゾート地として知られる同国セブでラム「ドンパパ」(写真左下)の販売を開始した。同ブランドは昨年7月、マニラ、バコロド(同国の都市)で販売を開始している。

New local rum launched in Cebu(サンスター)
http://www.sunstar.com.ph/cebu/business/2013/01/21/new-local-rum-launched-cebu-263924

 創業者であるスティーブン・キャロル氏は「ドンパパという存在をまず、米国に次いで世界2位のラム市場である母国(フィリピン)に紹介したい。ヴィサヤ諸島のラム市場も大規模であり、その中のセブで発売することを決断した。コンシューマリズム(消費者主義)に則り、主要都市において速やかに成長させていく」と経緯、今後について語った。

 ドンパパは、同国で多くのシェアを占めるブランドと競争できる状態にはなっていない、というのが同社の見解だ(おそらく低価格帯のブランドが強いものと思われる)。そのため高級カテゴリーでのブランド確立を目指し、ターゲットは25〜45歳、価格を980〜1000ペソ(約2200円)程度に設定する。同国政府が発表する平均世帯所得は年20万6千ペソ(約45万円、ソース)であり、この価格設定がいかに破格であるかが窺える。

 ドンパパは同国ネグロス島で生産し、3回蒸留、アメリカンオーク樽で7年以上の熟成を行なう。ボトルはフランスから、コルクはポルトガルから輸入したもの。ロンドン、ニューヨークのデザイン事務所がラベルデザインを担当した。ブランド名は、スペインによる植民地支配に抵抗した英雄、ディオニシオ・マグブエラス(Dionisio Magbuelas、通称パパ・イシオ)に由来する。


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【各種メディアの皆様へ】編集・ライティングのお仕事、やります

 小サイト「WSJ−ワールドスピリッツジャーナル−」を1年前に始めたのは、単にお酒が好きだから、という理由だけではありません。ライターとして経験・実績が少ない中、いかに文章力を磨いていくか、いかに不得意な英語力を伸ばしていくか、いかに時代を見る目を養っていくか――そして、いかにメディア関係の皆様に私という存在を知っていただくか、それらを実現する手段として始めたということも、小サイトがスタートした大きな理由です。

 小サイトをご覧いただければ、お判りになられるかもしれませんが、掲載する記事は「新商品発売」や「イベント開催」といった趣向のものに留まりません。世界の酒造企業の決算発表について()を書くこともありますし、お酒に関わる政治や外交などの出来事(例12)についても書きます。また、スポーツや音楽など、お酒とその他のカルチャーとの関わりについての記事も掲載しております。

 元々、私自身が政治経済や社会問題についてを取り扱うライターになりたい、ということが以上のような記事を書く大きな理由でありますし、さらに私自身が持つものの幅を広げていきたいという思いもあります。

 雑誌や書籍、新聞、もちろんインターネットを含め、編集・ライティングするフィールドも特に「ここ」と決めずにやって行きたいと考えております。もし、ご興味を持たれましたら下記メールアドレスまで、ご連絡を頂戴できればと思います。

 以上、宜しくお願い申し上げます。


藤麻 迪

2013年1月20日日曜日

探検家シャクルトンのウイスキー、復元され南極へ(CBC)

 1908年、アーネスト・シャクルトンは自らが中心となった南極探検隊を結成、人類初の南極点到達を目指した。結果としては、当初の目標を達成できず、南極点到達もロアール・アムンセン(ノルウェー)が先んじることになったが、シャクルトンは未踏の地を探検したとして「ナイト」の称号を授与された。

 シャクルトンが南極を去る際、ベースキャンプの凍土下に5つの木箱を埋める。2つはブランデーが入った箱、残り3つは「マッキンレー」というブランド名の記された、スコッチ・ウイスキーが収められた箱(写真右上)だった。

 およそ100年の時を経た2010年、南極遺産トラスト(ニュージーランド、以下「AHT」)がこの箱を発見した、というニュースが世界中を駆け巡る。これに動かされたのがインドの富豪、ヴィジェイ・マリヤ氏だ。マリヤ氏が代表であるユナイテッドスピリッツはスコッチ・ブレンデッド・ウイスキー「ホワイト&マッカイ」を保有し、さらにその傘下にはマッキンレーが存在する(※)。マリヤ氏は自身のプライベートジェットで、南極にあったマッキンレーをスコットランドへと運ばせた。

 ホワイト&マッカイのリチャード・パターソン・マスターブレンダーは、マッキンレーの分析を始める。無論、21世紀にシャクルトンのウイスキーを再現するためだ。当時のマッキンレーのレシピは失われたというが、パターソン・マスターブレンダーは8週間の時を試行錯誤に費やし、当時のブレンドを復元した(写真左)。

 そして18日、南極にマッキンレーが帰ってきた。米空軍協力の下、パターソン・マスターブレンダーが再現したウイスキーは、ジョン・キー・ニュージーランド首相とともに、輸送機で南極に降り立った。ボトルの引渡セレモニーでAHTのリジー・ミーク・マネージャーは、マッキンレーを「美しい香り」と評した。

 2011年に復元したマッキンレーを販売した際には、収益の5%をAHTに寄付し、25万ポンド(約3600万円)を集めた。昨年10月には第2弾をリリースすることも決まり(今回南極に送られたボトルは、こちらだと思われる)、50万ポンドの活動資金が集まることを期待されている。

Shackleton's whisky returned to Antarctic hut(CBC)

※既報の通り、ユナイテッドスピリッツはディアジオ(英)に売却することが決定しているが、マリヤ氏は今後も代表に留まる。


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2013年1月19日土曜日

ラム助成金問題、米と関係国が協議へ――バルバドス首相が言明(カリビアンジャーナル)

 米国とカリブ諸国間で起こっているラム助成金問題(用語解説)について、中米バルバドスのフローンデル・スチュアート首相(写真)は、カリブ共同体加盟国ならびにドミニカ共和国と米当局が「ハイレベル」な協議を行なっていることを明らかにした(※)。ラム「マウントゲイ」(バルバドス)のセントルーシー保税熟成庫オープニングセレモニーで述べたもの。

Stuart: Barbados, US in “High-Level” Talks on Rum Subsidies(カリビアンジャーナル)
http://www.caribjournal.com/2013/01/18/stuart-barbados-us-in-high-level-talks-on-rum-subsidies/

 スチュアート首相はラム助成金を、カリブのラム生産者にとって「不利」なものであるとして、以下のようにコメントしている。
「バルバドス政府は毅然としてこの問題に対応し、外務省、貿易省に米政府と接触を持つよう指示した。我々は、このいびつな市場構造によってカリブのラム生産者が深刻なダメージを受けることを、許すつもりはない」

 他のカリブ地域のラム関係者と同様、スチュアート首相もWTO(世界貿易機関)へ提訴する可能性を昨年、言明している。

 一方、渦中にある米領ヴァージン諸島議会のドナ・クリステンセン議員は先月、元記事である「カリビアンジャーナル」にラム助成金についての自身の考えを寄稿。制度を「スマートで自主的な経済開発のための政策」とし、WTOへの提訴を「カリブの利益にならない」という見方を示した。また、米国のカリブ地域からのラム輸入も「近年、伸びている」と主張している。

※カリブ共同体(カリコム、CARICOM)はカリブ地域の経済協力機関。「ドミニカ国」は加盟しているが、「ドミニカ共和国」はオブザーバー参加するに留まっている。


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プエルトリコ・USVIのラム助成金、米国内からも疑問の声――「財政の崖」議論で(CNN他)
「課税方式、見直しを」――アメリカン・ウイスキーの酒税問題(WKUパブリックラジオ他)

【用語解説】米国のラム助成金問題

 米領プエルトリコ自治区、同ヴァージン諸島(USVI)で生産されたラムを米本土に出荷する場合、一旦酒税が徴収されるものの、大部分が同地域に還流する。同地域の伝統あるラム生産を保護し、さらに再生産・再投資を促す、産業育成を目的とした措置。

 しかし2012年夏以降、西インド諸島ラム製造者協会とカリブ共同体がこの措置を関税障壁であるとし、WTO(世界貿易機関)に提訴する構えを見せている。また、米本土内のラム生産者もこれを不当とし対抗するため、アメリカンラム協会を創設した。2012年末〜翌年初頭に起こった米「財政の崖」問題の折には、同措置の期限延長がなされ、米メディアはこれに疑問を投げかける論調を見せた。

 プエルトリコで生産されるラムの代表的ブランドとして、「バカルディ」や「キャプテンモルガン」が挙げられる。これらは大企業によって生産され、カリブ・米本土のラム生産者は中小規模の蒸留所・企業中心であることが、この問題の背景にある。(ただし、プエルトリコ、USVIにも独立系、小規模の蒸留所は存在するし、カリブの蒸留所・メーカーも大手の流通網を用いて世界的な販売を行なっている)

2013年1月18日金曜日

レミーコアントロー、第3四半期決算を発表――旧正月の悪影響は予想以下?前年同期比微増に(ブルームバーグ他)

 仏酒造大手レミーコアントローは17日、第3四半期決算(2012年10月〜12月期)を発表した。単体の売上は3億6860万ユーロ(約444億円、前年同期比0.5%増)、連結で9億6440万ユーロ(約1161億円、同7.9%増)となった。

Remy Cognac Sales Unexpectedly Increase on Asia, U.S. Demand(ブルームバーグ)
UPDATE 1-Remy Cointreau third quarter sales growth slows(ロイター)
http://www.reuters.com/article/2013/01/17/remycointreau-sales-idUSL6N0AM1R120130117

 元々、今発表前は業績の伸びを期待されていなかった。同社はコニャック「レミーコアントロー」を中核ブランドとして擁するが、中国でコニャックの需要が増える旧正月が、今年は新暦の2月10日となっている。そのため、旧正月商戦の開始時期が昨年(2012年の旧正月は1月23日)より遅れることから、第3四半期に影響が出ると見られていた。事実、第1四半期、第2四半期売上の前年同期比がそれぞれ24.4%増、5.3%増であり、ロイターも記事タイトルに「成長が鈍化(growth slows)」という表現を使っている。

 しかしブルームバーグが発表前、アナリスト12人に取材したところ、前年同期比0.6%減という予測になったという。観測を超える業績を示していることから、旧正月と重なる第4四半期、ならびに2012/2013年度の通期決算では好業績が期待される。

 また市場も発表に好感を見せ、17日のユーロネクスト・パリでの同社株価終値は、前日比で3.9%高い91.83ユーロ(約11079円)となった。同社株は直近12ヶ月間で38%上昇している。

※記事中にある前年同期比の数値はレミコアントロー発表、ならびに元記事による実質ベースのもの


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2013年1月17日木曜日

ジン「タンカレー・マラッカ」が復刻――バーテンダーらの強い要望で(スピリッツビジネス)

 ディアジオ(英)は、2月にスパイスト・ジン「タンカレー・マラッカ」を数量限定で復刻すると発表した。以前は、同ブランドの創業者であるチャールズ・タンカレーが残したレシピを基に、2000年代初頭に生産されていた。

DIAGEO RELAUNCHES TANQUERAY MALACCA SPICED GIN(スピリッツビジネス)
http://www.thespiritsbusiness.com/2013/01/diageo-relaunches-tanqueray-malacca-spiced-gin/

 同社によると、バーテンダーから復刻を求める声が強かったといい、トム・ニコル・マスターディスティラーは「バーテンダーたちはファンタスティックなカクテルをつくれるようになるだろう。(タンカレー・マラッカの復刻は)私からの『ありがとう』という気持ちを表すギフトにしたいと思う」と復刻を望んできた人々に対しての感謝を述べた。

 また、アンガス・ウィンチェスター・グローバルアンバサダーは「タンカレー・マラッカは他に類を見ないジンで、マーケットに戻ってくることは素晴らしいことだ。もし、新しい、あるいは、エキサイティングな体験をしたいという方は、バーへ行ってタンカレー・マラッカを見つけてほしい」とコメントした。

 販売本数は10万本で、英国、独国、スペイン、ベネルクス三国などの西欧、北欧、そして米国でリリースする。発売時期である2月には、ニューヨーク、サンフランシスコ、ロンドンで記念のシークレットイベントも開催するという。


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2013年1月16日水曜日

オーストラリアの仔イヌ、ウオトカの点滴受ける(メイル他)

 先日、ゾウにウオトカ(ウォッカ)を飲ませ凍傷から救った、というニュースをお伝えしたが、今度は仔イヌがウオトカによって救われた。

Spirits up! Puppy saved after doctors prescribe a handle of VODKA to the 9-week-old to cure anti-freeze poisoning(メイル)
http://www.dailymail.co.uk/news/article-2263045/Puppy-saved-vodka-IV-drip-poisoned-anti-freeze-Australia.html#ixzz2I8uZZDCe 
Vodka saves Melbourne puppy's life(9ニュース)
http://news.ninemsn.com.au/national/2013/01/15/12/55/vodka-saves-melbourne-puppy-s-life

 オーストラリア・メルボルンに住むステーシー・ザミットさんは今月初め、愛犬クロエ(アメリカン・スタッフォードシャー・テリア、生後9〜10週)とともに友人宅を訪れた。しかし、クロエはガレージで車のラジエーターに使用する不凍液を舐めてしまう。異変を感じたザミットさんは、直ちにクロエを獣医の元へ連れていった。

 不凍液に含まれるエチレングリコールは腎不全など腎臓系の病をもたらす。これは人間が服用した場合も同様で、処置を行なわなければ死に至る可能性が高い。また、エチレングリコールに対する解毒として通常エタノールを投与するが、不運なことにクロエが連れ込まれた動物病院ではエタノールの在庫が切れていた。

 そこで獣医は、代替品としてウオトカを点滴で投与する。点滴は2〜3日続けられ、クロエは見事に回復したという。

 本サイトが調べたところ、過去にも英国で同様の事例があり(外部リンク)、獣医は万が一の対処法としてウオトカを使用することを知っていたのかもしれない。

※イヌの名はメイルの記事を基にクロエ(Cloe)としたが、9ニュースではクレオ(Cleo)となっている。また獣医の名前など双方の記事で異なっているところが多い。


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G&M、ベンロマックに設備投資――ボトリングラインを新設(ウイスキーマガジン)

Today
ベンロマック蒸留所の
外観
ウイスキー・ボトラーのゴードン&マクファイル(G&M、英スコットランド)は、所有するベンロマック蒸留所への設備投資を実施すると発表した。新たなボトリングラインを設置し、投資額は54万ポンド(約7600万円)。

 スコッチ・シングルモルトであるベンロマックは、世界的な人気の高まりから、2012年の売上は40%増、輸出向け売上は55%増となった。国外だけでなく英国内でも売上が伸びており、G&Mのマイケル・アーカート・マネージングディレクターによると、「プロモーションに注力した結果、英国内で13%の売上増となった」という。一方、小規模蒸留所としても知られており、キース・クルックシャンク氏、マイク・ロス氏という2人の職人によって操業している。


Benromach sales blossom as Gordon & MacPhail invests(ウイスキーマガジン)


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2013年1月13日日曜日

オーストラリア上院議員、はぐれブタ捕獲にラム使用を提案(ABC)

 オーストラリア・ノーザンテリトリー準州の州都ダーウィンで、はぐれた3匹のブタが街中を走り回り問題となっている。うち1匹は13日朝、捕獲されたというが、現地警察は残りのブタを捕獲するため、射撃許可を発令した。

 この問題に対し、地元選出のナイジェル・スカリオン上院議員は「ブタを酔わせて捕まえればよい」と提案する。
「(捕まえるために)マッシュしたスウィートコーンや糖蜜、それにボトル半分のラムでも使えばよろしい。彼らは大食らいで、気にせず酒を飲む。安全で人道的に彼らを元に戻す方法は、少しの酒を与えてやることだ」
スカリオン議員は、自身が提案する方法を用いれば長くとも45分でブタを発見できるだろうと主張する。

 一方、ブタの飼い主でアボリジニ社会に住むヴィヴィアン・ホワイトさんは、捕獲されればブタを野生に戻すことも検討しているという。

 ブタを捕まえるのは簡単なような気もするが、下記元記事の動画を見ると、かなり素早い動きであることがわかる。

Senator suggests using rum to catch fugitive pigs(ABC[オーストラリア放送協会])


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2013年1月12日土曜日

米国のシェフ、特注のダルモアをレストランで提供(バーボンブログ.com他)

 米国などで多数のレストランを経営するシェフ、ダニエル・ブールー氏(写真)が「ダルモア」に特注のシングルモルトを発注した。ブールー氏のレストラン限定で春にも提供するという。

 モルトの名は「ザ・ダルモア・セレクテッド・バイ・ダニエル・ブールー(The Dalmore Selected By Daniel Boulud)」。マスカテル(マスカットを材料としたワイン)樽、マデイラ樽、ポート樽をブレンドしたもので、ブールー氏によれば「かすかに男性的で、複雑、あまり単純すぎないウイスキー」を注文したという。

 レストラン広報によると、販売を目的としたものではないとのこと。しかし、ニューヨークに所在するレストラン「ダニエル」「カフェ・ブールー」で、4月初めにも提供する予定だ。また、需要によっては他のレストランで提供する可能性もあるという。

Daniel Boulud and The Dalmore Collaborate for a Bespoke Single Malt Whisky(バーボンブログ.com)
40年熟成のグレンゴイン、スコットランドのホテル内限定で販売(ウイスキーマガジン)

2013年1月11日金曜日

カナディアン・ウイスキー各社、フレーバード商品で活性化図る(シェークンニュースデイリー)

 スコッチ・ウイスキーやアイリッシュ・ウイスキー、アメリカン・ウイスキーなど、新興国市場の人気を背景に、ウイスキー市場の世界的な隆盛が著しい。しかし、その中で取り残された感があるのが、カナディアン・ウイスキーだ。「インパクトデータバンク」の調査によると、2007年〜2011年の間、米国向けカナディアン・ウイスキー出荷は80万ケース落ち込んだという。

 無論、酒造各社は指を咥えて見ているわけではない。シェークンニュースデイリーは、フレーバード商品を用いた(主に米国をターゲットとした)カナディアン・ウイスキーの取り組みについて、伝えている。

Canadian Whisky Marketers Use Flavors To Enliven Category(シェークンニュースデイリー)
http://www.shankennewsdaily.com/index.php/2013/01/07/4811/canadian-whisky-marketers-use-flavors-to-enliven-category/

 ブラウンフォーマン(米)は、保有するウイスキー・ブランド「カナディアンミスト」のフレーバード商品リリースを目指す。マイク・ヘーリング・ブランドディレクターは「近々、バーボンの対抗軸として、カナダのフレーバード・ウイスキーをお見せすることができるだろう」と意気込む。

 また、フィリップスディスティリング(同)の「レベルストーク」、ビーム(同)の「カナディアンクラブ」もフレーバード・ウイスキーの販売に力を入れる。フィリップスディスティリングは、フレーバード・ウオトカ(ウォッカ)「UV」を生産するメーカーで、レベルストークのフレーバード商品4種類を春までに生産したい意向だ。カナディアンクラブは既にカナダ国内で販売している「ドックナンバー57」(写真)を今夏、米国で発売する。同商品はブラックベリーの風味付けをした商品。

 一方、フレーバード商品であるとともにブランディングを行なうことによって拡販を目指すのが、コンステレーションブランド(カナダ)の「ブラックベルベット」と、ディアジオ(英)の「クラウンローヤル」だ。

 ブラックベルベットは、通常版である「オリジナル」に加え、「トーステッドキャラメル」を昨夏、リリースした。通常版の消費者は40〜55歳の男性が中心だというが、トーステッドキャラメルでは24〜35歳の男女がターゲットと、若い世代に訴求する。

 クラウンローヤルは2010年に「ブラック」を、今年の年明けに「メープルフィニッシュト」をリリースした。どちらも高級カテゴリーを意識した商品で、ブラックについては今年、30万ケースの出荷を見込んでいるという(ブランド全体の出荷目標は419万ケース)。

 カナディアン・ウイスキーは米国という一大消費地が隣国に存在したことから、個性豊かな発展を遂げてきた。しかし、米国はもちろん、欧州や日本、そしてカナダ自体も一線の先進国から退きつつある今、ひとつの転換点を迎えているのかもしれない。


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2013年1月10日木曜日

ディアジオ、アフリカ担当幹部にグラッドマン氏――スミノフなどのマーケティングで実績(マーケティングマガジン)

 酒造最大手ディアジオ(英)は、ディアジオアフリカのマーケティング・イノベーション担当ディレクターにフィリップ・グラッドマン氏を据える幹部人事を発表した。これまでグラッドマン氏が務めていたディアジオ西ヨーロッパ・ホワイトスピリッツ分野マーケティング担当ディレクターの後任には、クリス・ロック氏が就く。

 グラッドマン氏のディアジオでの職歴は12年。スミノフ担当グローバルブランドディレクター、英国担当マーケティングディレクターを歴任している。スミノフ担当時代にはナイトライフエクスチェンジプロジェクトという、クラブミュージックなどと融合したキャンペーンを行なった。

 ディアジオは近年、ビール醸造のセレゲンティ(タンザニア)、メタアボ(エチオピア)とアフリカ企業の買収を進めており、同地域の販売強化を図っている。

Diageo promotes Gladman to Africa role(マーケティングマガジン)


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2013年1月9日水曜日

スコッチ・ウイスキー、ボトル1本=1ポンドの課税案――サモンド首相諮問機関が提言(テレグラフ)

 アレックス・サモンド・スコットランド政府首相の諮問機関、経済識者評議会のメンバーが、ウイスキーに対する新税導入を提言している。1本のボトルを生産する毎に1ポンド(約140円)を課すもので、総計10億ポンド(約1400億円)の税収を見込む。一方、酒造業界からは反発の声が挙がっている。

New whisky tax 'would raise £1bn for Scotland'(テレグラフ)

Photo of John 新税を提唱するのは経済学者ジョン・ケイ氏(写真)と、ロイヤルバンクオブスコットランド会長のジョージ・マシューソン男爵。

 ケイ氏によれば南米、アフリカなど新興国市場でウイスキーの消費が伸びながらも、スコットランドの財政への還元は「期待外れ」であると主張する。
「酒造大手はスコットランドに本拠を置いていない。彼らが生み出す利益の多くは、スコットランド以外に住む人々へもたらされる。そして、彼らはスコットランドでは納税せず、連合王国政府に納税するとも思えない(ケイ氏)」

 ケイ氏が述べるのは多くの蒸留所を傘下に収めるディアジオ(本社=ロンドン)などへの批判だ。スコットランド・ペイズリーに本社を置くシーバスブラザーズも、ペルノリカール(仏)の子会社となっている。また、人気シングルモルト「ラフロイグ」「ボウモア」をそれぞれ保有するビーム(米)、サントリーもこの批判に当てはまる。

 提言では、蒸留所は年間50億ポンド(約7000億円)を生み出すとし、5億ポンド(約700億円)を人件費、15億ポンド(約2100億円)を原材料費などの経費だと試算する。よって利益は30億ポンド(約4200億円)に上るとし、10億ポンドの課税は適正であるというのがメンバーの見方だ。課税によって販売価格が値上がりする可能性についても「値上がり幅が価格の中で大きなパーセンテージを占めるわけではない。ウイスキー産業に損害を与えたり、今後の成長を阻害するものではないと考える(マシューソン男爵)」と主張する。

 対してディアジオのピーター・レデラー・ディレクターは「そのビジネスが成功しているからといって課税に動くというのは、間違ったものだという印象を受ける」と反発の声を挙げる。また、スコッチ・ウイスキー協会のギャビン・ヒューイット会長は、スコッチ・ウイスキーが国際市場において他のスピリッツと激しい競争を行なっているとしながら、次のように牽制する。
「スコッチ・ウイスキー以外のスピリッツは安価に生産され、安価に売られる。(課税案は)スコッチ・ウイスキーの国際市場での競争力を削ぐものだ。この4年間、我々は(見込まれる税収と同額の)10億ポンド以上の投資をした。今後3〜4年も20億ポンド(約2800億円)規模の投資をしていく」

 今回の課税案とは別に、連合王国政府も酒類に対する「ミニマムプライス(最低価格)」導入を進めており、こちらも酒造業界は反発している。ただ、ミニマムプライスは英国内での販売に課せられるものであるのに対し、新税は輸出商品も含めた生産に課せられるものになりそうだ。そのため課税が実行された場合は、マシューソン男爵の言葉どおり僅かかもしれないが、スコッチ・ウイスキーの価格が世界的に値上がりすることになると思われる。


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「バドワイザー・ブラッククラウン」がリリース――スーパーボウルでテレビCM放映へ(コンビニエンスストアニュース)

 アンハイザーブッシュは21日、ビール「バドワイザー・ブラッククラウン」をリリースする。販売戦略の一環として、2月3日に開催されるアメリカンフットボールNFLの優勝決定戦「スーパーボウルXLVII(開催回数である「47」を表すローマ数字)」で、テレビCMを放映する予定だ。

Budweiser Black Crown to be Unveiled at Super Bowl(コンビニエンスストアニュース)
http://www.csnews.com/top-story-malt_beverages-budweiser_black_crown_to_be_unveiled_at_super_bowl-62586.html

 同社は1年前、「プロジェクト12」という新商品開発プロジェクトを立ち上げた。ブライアン・サリバン・ブルウマスター(醸造責任者)がまず12の新たなレシピを考案。消費者25000人の試飲により6種類に絞られ、その中から新たな商品を選び出すというものだ。結果として、2種類のカラメルモルト、4種類の米国産ホップを原料としたブラッククラウンが発売されることになった。

 一方、スーパーボウルは全米視聴率40%を超える国民的イベントで、そのため世界的に見てもCM放映料が非常に高額であると言われている。ブラッククラウンのCMは、スーパーボウルでのCMによってエミー賞受賞経験のあるサミュエル・ベイヤー氏が監督し、先月ロサンゼルスで撮影した。サリバン・ブルウマスターは「ブラッククラウンは素晴らしいビールであり、これがスーパーボウルのスポットCMとして流れることにチーム一同、興奮している」とコメントした。


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2013年1月8日火曜日

「2013年のスコッチ・ウイスキー大使」はブラックモア氏――グレンモーレンジのアンバサダー

 スコッチ・シングルモルト「グレンモーレンジ」のデヴィッド・ブラックモア・アンバサダー(大使)が、「2013スコッチ・ウイスキー・アンバサダー・オブ・ジ・イヤー」(ウイスキーマガジン主催)を受賞した。グレンモーレンジが7日、発表したもので、2年連続の受賞となった。

 ブラックモア・アンバサダーは英スコットランド・エジンバラ出身。以前は、スコッチ・モルト・ウイスキー・ソサイエティに所属し、カスク(樽)選定・熟成を担当していたという。グレンモーレンジのアンバサダーとしては米国を拠点とし、テイスティング・消費者向けイベントのホストを務める。

 グレンモーレンジ蒸留所のブライアン・コックス米国担当副代表は「グレンモーレンジやウイスキーを普及させようとする情熱は、デヴィッドをおいて他に並ぶ者がいない。彼はプロフェッショナルとして完全無欠だ。そしてウイスキーを芸術作品として教えることのできる人物でもある」とコメントした。

プレスリリース
http://www.prnewswire.com/news-releases/glenmorangie-global-master-brand-ambassador-david-blackmore-named-2013-scotch-whisky-ambassador-of-the-year-185861832.html


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グレンモーレンジ
グレンモーレンジ、IWSC「2012ディスティラー・オブ・ジ・イヤー」を受賞(ウイスキーマガジン)

ディアジオのUSL買収に黄信号――公開買付、計画より遅れ(ロイター他)

 酒造最大手ディアジオ(英)によるユナイテッドスピリッツ(インド、USL)買収が、予定より遅れている。当初の計画では、USLの親会社であるユナイテッドブルワリーズなどが保有するUSL株を取得後、1月7日〜18日に公開買付を実施、合わせて53.4%の株式を取得することになっていた。

 しかし、公開買付についてインド証券取引委員会、同国競争法委員会からの承認が得られていない模様で、関係筋は「承認が下り次第、新たな公開買付の期日を設定する」としている。また、ディアジオ広報は「2013年第1四半期(2013年7月〜9月)までに、手続が完了することを見込んでいる」という声明を発表した。

 ただ、USL株の市場価格は7日終値で1914.25ルピー(約3040円)となっており、ディアジオが公募価格として予定していた1440ルピー(約2287円)を大きく上回る。証券アナリストらは、相場の急上昇によってディアジオが公募価格引き上げを強いられる可能性も指摘している。

Diageo's open offer for United Spirits shares delayed - source(ロイター)
Diageo's open offer for United Spirits may miss deadline(エコノミックタイムズ)
ディアジオ、サントリーと共同でビーム買収か――ホセクエルボ買収交渉は決裂(テレグラフ他)

2013年1月7日月曜日

ジョージ・クルーニー氏のテキーラ、リリースへ(ニューヨークポスト)

 ジョージ・クルーニー氏が、友人であるランディ・ガーバー氏とテキーラをプロデュースする。7日(現地時間)から二人は、発売に先立った「旅」に出るという。

Clooney’s tequila team(ニューヨークポスト)
http://www.nypost.com/p/pagesix/clooney_tequila_team_uSFfFp4a3Gn6tea9K2uc5O

 クルーニー氏は「オーシャンズ11」などに出演した俳優・映画監督で、現在は第二次大戦時に美術品などをナチスから守った兵士たちを描く映画「ザ・モニュメンツ・メン」のメガホンをとっている。一方、ランディ・ガーバー氏は実業家で、女優シンディ・クロフォードさんの夫として知られる。

 二人の間では数年前から独自のテキーラ・ブランドを立ち上げるという構想があり、昨年、ガーバー氏がラム「Caliche Rum(カリチェ・ラム?、写真)」をリリース、これが成功したことから具体化した。既に、メキシコには蒸留所が用意されているといい、現地のマスターディスティラーとともにテキーラのブレンディングにも取り組んだようだ。

 今回の旅ではロサンゼルス、ラスベガス、ダラス、マイアミを巡るということから、販売、マーケティングを念頭に置いたものと思われる。テキーラの名は「カーサミーゴス(Casamigos)」で、今月末にはリリースされるという。


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NBAのシャキール・オニール氏、ウオトカをプロデュース――シュガー・グルテンフリーのフレーバード商品(ハフィントンポスト)
テキーラ「カーサ・サウザXA」がリリース――米国、メキシコ、TRで限定販売(スピリッツビジネス)

2013年1月5日土曜日

ディアジオ、アイルランドでのCSR活動に100万ポンド――2012年実績(ビジネス&リーダーシップ)

 酒造最大手ディアジオ(英)は、昨年アイルランドで行なったCSR活動(企業による社会活動)額がおよそ100万ポンド(約1億4200万円)に達したと発表した。ディアジオ創立時に母体のひとつとなったギネスは、アイルランドのビールメーカー。

Diageo donated more than €1m to CSR activities in Ireland in 2012(ビジネス&リーダーシップ)
http://www.businessandleadership.com/leadership/item/38921-diageo-donated-more-than/

 最も多く拠出したのは「アーサー・ギネス・ファンド」への70万ポンド(約1億円)。ギネスの創業者アーサー・ギネス(1725−1803)の名を冠した社会起業家へ出資するファンドで、2009年に創設したもの。次いで、同社従業員が主体となって行なうCSRプログラム「ギフテッド」、「ダブル・ユア・ファンドレイジング」に各5万ポンド(約700万円)を拠出している。

 ほか、合唱団「ギネス・クワイア」、アビーシアター(アイルランド国立劇場)、パンチェスタウン腎臓研究ファンドなど、文化活動、学術支援に19万ポンド(約2700万円)以上を寄付した。

 デヴィッド・スミス・アイルランド担当ディレクターは以下のようにコメントしている。
「ディアジオはギネスの持つ遺産を誇りだと捉えている。この遺産によってビジネスは継続しており、(ギネスの母国であるアイルランドの)コミュニティに還元されなければならない。ディアジオは地元のコミュニティを支えていくことを強く誓う。2013年もアイルランド全体へのサポートを行なっていく」


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2013年1月4日金曜日

イングリッシュウイスキーカンパニー、米進出に苦渋の決断――米国向け商品のみ新樽熟成で対応へ(ドリンクスビジネス)

 英イングランドのウイスキー・メーカー、イングリッシュウイスキーカンパニーが3月、米国でシングルモルトの販売を開始する。

ENGLISH WHISKY BREAKS INTO US MARKET(ドリンクスビジネス)

 同社は2006年、ジェームズ・ネルストロップ氏らネルストロップ家によって設立され、保有するセントジョージズ蒸溜所でウイスキーの生産を行なっている。スコッチ・ウイスキーの製法を取り入れ、熟成にはバーボン樽、シェリー樽を利用。英国だけでなく、日本、カナダなど12の国・地域に輸出している。

 しかし米国の連邦法は、オークでつくられた新樽で熟成したものをモルト・ウイスキーと定義する。スコッチ、ならびにアイリッシュ・ウイスキーはこの規程の適用外となるが、イングランドで生産する同社はシングルモルトと名乗れなくなってしまう事態が発生した。

イングリッシュウイスキーカンパニー
の役員、従業員ら。後列左端が創業者
であるジェームズ会長。その隣が会長
の息子、アンドリューMD。

 そのため、デヴィッド・フィット・チーフディスティラーは新樽による熟成を実験的に行ない、商品化できる段階に入っていた模様だ。だが、同社が目標としたのはあくまでもバーボン樽、シェリー樽熟成によるシングルモルトの販売。アンドリュー・ネルストロップ・マネージングディレクター(MD)は、英国内の業界団体、在英米国大使館に対し再利用樽による熟成をスコッチ、アイリッシュ以外にも認めるよう、要請していた。しかし昨年末、これを断念、米国のみ新樽熟成による商品を輸出することになった。

 当面は、ボストン、ワシントンD.C.、ニューヨークで販売し、2万本の出荷を目標にしているという。


※スコッチ/アイリッシュ・ウイスキーが米法で規定された「シングルモルト」の適用外となるというソースは元記事による。規定通りであればジャパニーズ・ウイスキーも「シングルモルト」を名乗れなくなるが、現実には、販売はもちろん、米国のコンペティションで好評価を受けている。ジャパニーズもスコッチ、アイリッシュと同等の扱いとなるのか、あるいは「シングルモルト」を名乗らないなど、特別な措置をとっているかは不明。


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プエルトリコ・USVIのラム助成金、米国内からも疑問の声――「財政の崖」議論で(CNN他) TLDCが初めての商品をリリース――4つのジンを1パックで(スピリッツビジネス)

2013年1月3日木曜日

グレンフィディックのクリスマス――社歴と同じ125樽に原酒詰め(スピリッツビジネス)

 先月20日の記事で、グレンフィディックがボトルを使ったクリスマスツリーを制作した、というニュースをお伝えした。同蒸留所が操業開始した1887年12月25日から125周年となることを記念したものだったが、クリスマス当日には新たな記念行事として125の樽に原酒が詰められた。

GLENFIDDICH PLANS 125TH ANNIVERSARY CHRISTMAS DAY WHISKY(スピリッツビジネス)
http://www.thespiritsbusiness.com/2013/01/glenfiddich-plans-125th-anniversary-christmas-day-whisky/

 ブライアン・キンスマン・モルトマスターは「2012年のクリスマスはグレンフィディックにとって特別な日。何かユニークなものをつくりたい、という気になった」とコメントしている。今回の樽は、少なくとも20年は熟成する予定で「20年という時間をかけて、ウィリアム・グラント(同蒸留所、ウィリアムグラント&サンズ創業者)の開拓者精神を注ぎ込んだリミテッド・エディションを、我々はつくるつもりだ(キンスマン・モルトマスター)」と、樽出し後についても語った。

 元記事には、「ウィリアム・グラントから数えて5世代目、6世代目によって樽詰めされた」とある。ウィリアム・グラント&サンズの会長は代々、創業家出身者が務めており、現在のグレン・ゴードン会長、先代会長で現会長のいとこにあたるピーター・ゴードン取締役は5世代目にあたる。

 樽出しのときには、7世代目、もしかしたら8世代目の人々も、グレンフィディックに籍を置いているかもしれない。


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2013年1月2日水曜日

プエルトリコ・USVIのラム助成金、米国内からも疑問の声――「財政の崖」議論で(CNN他)

House chamber in session
「財政の崖」対策法案を可決した
米連邦議会の議事堂

 米下院は1日(現地時間)、「財政の崖」対策となる関連法案を可決した。上院を既に通過しており、ひとまず危機は回避された格好だ。

 しかし、電動2・3輪車などへの税制優遇措置とともに、プエルトリコ自治区、米領ヴァージン諸島(USVI)で実施されるラム助成金について米国内で疑問の声が挙がっている。

TRENDING: Other nuggets in the fiscal cliff bill: Rum, electric vehicles and motor sports(CNN)
Hollywood Tax Credits, Rum Subsidies, Indian Coal and Scooters: The Senate Fiscal Cliff Bill’s 4 Worst Ripoffs(フロントページマグ.com)
http://frontpagemag.com/2013/dgreenfield/hollywood-tax-credits-rum-subsidies-indian-coal-and-scooters-the-4-worst-ripoffs-in-the-senate-fiscal-cliff-bill/

 ラム助成金は、プエルトリコ、USVIから米国内へラムが移出された際、酒税として一旦徴税されるが、その98%は同地域に還流する仕組み。再投資を促す産業育成のための措置だが、カリブ諸国米本土のラム蒸留業者は関税障壁と同等の効果を持つとして、以前から批判していた(リンク先は関連記事)。元記事によると、助成金を継続する法案が上院で可決された模様で(下院で可決された法案にラム助成金が含まれるかは現時点で不明)、同措置の存在について疑問が呈されている。

 プエルトリコにはバカルディ、ディアジオなど大手の所有するラム蒸留所が存在する(ただし「レッドラム」など独立系蒸留所も同地域に所在)。また昨年、プエルトリコの州昇格案が住民投票で可決しており、今後、米連邦議会が「プエルトリコ州」成立を認める可能性もある。その場合、中小企業の多い本土の蒸留業者から一層の批判が起こることは必至だ。助成金が持つ雇用創出などの経済効果も含め、関係者は今後の舵取りに苦心することになると思われる。


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「課税方式、見直しを」――アメリカン・ウイスキーの酒税問題(WKUパブリックラジオ他)
「スコットランドが独立するならば、連合王国はウイスキー輸出を支援しない」——ウィリアム・ヘイグ外相(デイリー・メール)