2013年4月17日水曜日

アルメニア政府、コニャックの名称使用許可をEUに要請へ(RAPSI)

 アルメニア政府は16日、欧州連合(EU)との間で進めている自由貿易圏交渉において、アルメニア産ブランデーに「コニャック」の名称使用許可を与えるよう要請すると明らかにした。アルメニア経済省のガレジン・メルコニャン(Garegin Melkonyan)副大臣が、同国の首都エレバンで行なわれる5回目の交渉前に語ったことによるもの。

 コニャックは仏コニャック地域で生産するブランデーで、1909年に公布されたAOC(アペラシオン・ドリジーヌ・コントロレ)関連法令により名称の使用基準が定められている。アルメニアの通信社、ノーボスチ・アルメニアはこうした背景からコニャックという名称を得るのは不可能と報道。一方、元記事のRAPSIによれば「カリフォルニア・コニャック」「ギリシャ・コニャック」といった、生産地の名を冠した上での便宜的な使用例も存在するという。なおアルメニアは2012年、1848万リットルのコニャックを生産しており、前年比20.2%増という数字だ。

 メルコニャン副大臣は「『コニャック』という言葉は、原産地を指定した上で、EUが登録している。しかし、コニャックはアルメニア国民の大多数が愛飲し、我が国においても長い歴史があることを、ヨーロッパのパートナーたちに説明する」とコメントした。

Armenia seeks EU permission to label brandy as cognac(RAPSI)


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2013年4月6日土曜日

ディアジオ、ティーニニック近郊に新モルト蒸留所建設――建設費75億円、年間生産能力1300万リットル(スコッツマン)

 英酒造大手ディアジオは3日、スコットランド・ハイランド地方のティーニニック近郊にモルト・ウイスキー蒸留所を建設すると発表した。現行のティーニニック蒸留所とは別のもので、新たな蒸留所となる。

Diageo rolls out plans for new malt distillery(スコッツマン)
http://www.scotsman.com/lifestyle/heritage/diageo-rolls-out-plans-for-new-malt-distillery-1-2874271

 同社は昨年6月、10億ポンド(約1500億円)を投資し生産体制を増強していく計画を発表。計画の中には、新規に蒸留所を設置することも含まれていた。建設に5000万ポンド(約75億円)を投じ、16基のスティルによって年間1300万リットルを生産する。他の蒸留所の生産能力を挙げると、グレンリヴェット=1050万リットル/年、グレンフィディック=1000万リットル/年、マッカラン=900万リットル/年(いずれもディアジオ発表による)と、新蒸留所の生産能力は抜きん出ている。こうした事実から同社は、新蒸留所を「スーパーディスティラリー」と位置付けるという。

 同社内では増産計画発表以後、複数のスーパーディスティラリー建設案を検討していた。今回の新蒸留所建設の他に、現時点で稼働しているグレンダラン蒸留所、インチガワー蒸留所を「スーパーディスティラリー化」するという案もあったが、「ロジスティクス面から要求される種々の問題を複合的に検討した結果、ティーニニック案が浮かび上がった(ブライアン・ヒグス・モルトディスティリングディレクター)」という。なお、グレンダラン、インチガワーの今後の運用については、引き続き検討する。

 今後、ハイランド議会の承認を得た後、来年にも建設を開始する意向。竣工・稼働後は、20人の雇用創出を見込んでいる。


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2013年4月5日金曜日

USC最高評価のウオトカ「タホブルー」(タホデイリートリビューン)

 先日、米コンペティション「アルティメットスピリッツチャレンジ(USC)」の結果をお伝えしたが、アンフレーバード・ウオトカ(ウォッカ)部門でファイナリストとなった商品に「アメリカンハーベストオーガニック・スピリットウオトカ」というものがある。かつて「グレイグース」を商品開発した会社によってつくられたウオトカだが、最終結果は93点で、最高賞であるチェアマンズプライズにはあと一歩、届かなかった。このアメリカンハーベストオーガニックを上回る94点を獲得し、チェアマンズプライズに輝いたのが「タホブルー・ウオトカ」だ。

South Shore vodka company wins international competition(タホデイリートリビューン)
http://www.tahoedailytribune.com/news/5853789-113/vodka-levitt-tahoe-blue

 タホブルーは2011年、マット・レヴィット氏が独自のウオトカ・ブランド創立を着想したことにより商品開発が始まる。ブランドの確立にはグーグル検索などインターネットを活用したといい、ウオトカについて学んだだけでなく、コルクなどの副資材をネットで調達。ウオトカそのものはカリフォルニア州マウンテンビューの蒸留所で行ない、3種類をブレンディングする。

 ウオトカ生産が具体化してから、レヴィット氏はメーカーである「ザ・サウスショア・リカーカンパニー」を法人登記したが、現時点で創立から1年しか経っていない。それにも関わらず、USCにエントリーしたのは「会社のメンバーの誰もが『賞と共に帰ってくる』と思っていた(レヴィット氏)」という確信があったからだという。

 レヴィット氏は現在、塗料販売業を正業としており、この収益からウオトカをつくっている形だ。また、タホブルーの販売地域も商品名の由来となったタホ湖に面するカリフォルニア州、ネバダ州のみとなっている。しかし、レヴィット氏は継続的に事業を拡大していき、ウオトカ生産に全ての時間を費やすことを目標とする。一方で、「全てはタホを愛してこそ。ブランドを通して、タホの経済に貢献したい」と地元への寄与も忘れない。


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2013年4月3日水曜日

ディアジオのUSL株公開買付にゴーサイン――インド当局承認、今月10〜26日に実施(ビジネススタンダード)

 インド当局は2日、英酒造大手ディアジオから提出されたユナイテッドスピリッツ(USL、インド)株式公開買付計画を承認した。これによりディアジオは今月10〜26日、USL株の公開買付を実施する。買付価格は当初の予定通り1440ルピー(約2480円)で、発行済み株式総数の26%にあたる3778万株の取得を目指す。

 USLはユナイテッドブルワリーズグループ(UB)の一社で、スコッチ・ブレンデッド「ホワイト&マッカイ」やスコッチ・シングルモルト「ダルモア」「アイルオブジュラ」などを保有している。しかし、関連企業であるキングフィッシャー航空の経営不振により、ビジェイ・マリヤ会長はディアジオへUSL売却を打診。昨年11月に交渉は妥結し、ディアジオは既に27.4%のUSL株をUBなどから取得している。元々、公開買付は今年1月に実施する予定だったが、インド証券取引委員会、競争法委員会(日本の公正取引委員会に相当)の審査が長期化したため、延期されていた。

 USLの株価は本日終値で1822.6ルピー(約3135円、ボンベイ証券取引所)。ディアジオによる友好的買収が決定してから1800ルピー〜2000ルピー程度の株価で推移しており、市場がディアジオの提示額を適正価格と受け取るか否かが注目される。

Diageo open offer for USL to start on April 10(ビジネススタンダード)


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ミルクが原料のウオトカ「ブラックカウ」、英国で支持集める(スピリッツビジネス)

 英国のウオトカ(ウォッカ)「ブラックカウ」(写真)が、同国内で支持を受けている。イングランド・ドーセットの酪農家ジェイソン・バーバー氏が考案した商品で、原料に用いるのはミルクだ。

 ブラックカウの製造工程はまず、ミルクをカード(凝乳)とホエー(乳漿)に分離。ホエーを発酵させミルクビールを醸造し、それを蒸溜、「秘密のブレンディングプロセス」と3度の濾過を経た後、ボトリングする。なお、カードはバーバー氏がつくるチーズ「1833チェダー」に用い、同チーズは2012年のワールドチーズアワードでチェダー・トロフィーを獲得している。

 ブラックカウがリリースされたのは昨年5月で、当初はイングランド南西部の食料品店などで販売していた。その後、販売先を拡大し、現在では百貨店「フォートナム&メイソンズ」「セルフリッジズ」、バー「サルバトーレ・アット・ザ・プレイボーイクラブ」、レストラン「ザ・ファットダック」で取り扱う。

 アルコール=40%、容量は700ミリリットルボトルと500ミリリットルボトルの2種類。価格は700ミリリットルで27.85ポンド(約3930円)。

MOO-VING ON UP: WORLD’S FIRST MILK VODKA(スピリッツビジネス)


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2013年4月2日火曜日

SWA、2012年のスコッチ・ウイスキー輸出統計を発表――数量ベースで5%減(BBC)

 スコッチ・ウイスキー協会(SWA)は2日、2012年のスコッチ・ウイスキー輸出統計を発表した。数量ベースでは11億9千万本の輸出で前年比5%減、金額ベースでは43億ポンド(約6100億円)で前年比1%の伸びに留まった。

Growth stalls for Scotch whisky exports(BBC)
http://www.bbc.co.uk/news/uk-scotland-scotland-business-21996285

 輸出が鈍化傾向にある理由として、高単価商品の販売が伸びたことで輸出数量が落ちているとSWAは説明する。例えば、最大の輸出先である米国は、数量ベースで2%減となっているが金額ベースでは16%増と二桁成長している。しかし、昨年初頭にウイスキー税を15%に引き上げた仏国は数量ベース=25%減、金額ベース=19%減となり、経済危機の続くスペインも数量ベース=20%減、金額ベース=25%減と、不況下にある先進国が足を引っ張った形だ。

 一方で、新興国向け輸出は依然として成長傾向にある。ロシア向け輸出の中継国であるラトビア、エストニアはそれぞれ48%増、28%増(共に金額ベース)という伸びを示しており、東アジア向け輸出の窓口となるシンガポールは数量ベース=2%増、金額ベース=7%増となった。中南米はブラジルが16%減だったが、ベネズエラが12%増、メキシコが11%増(いずれも数量ベース)だった。

 今後、成長が期待されるアフリカ地域においては輸出額が2億3900万ポンド(約340億円、前年比7%増)となった。一定の経済成長を遂げている南アフリカは鈍化傾向にありながらも、ナイジェリア、アンゴラ、エジプト、モロッコ向けの輸出が伸びているという。

 ギャビン・ヒューイット会長は「スコッチ・ウイスキーは英国の飲食料品輸出をリードしている。(我々の)産業の未来に対する信用を背景に、今後3〜4年をかけ20億ポンド(約2840億円)の投資を行なっていく」とコメントした。


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2013年4月1日月曜日

【お知らせ】ディズニーシーに「カリラの海賊」ができるとか言ったな。あれは嘘だ!

 本日掲載の記事、「東京ディズニーシーに『カリラの海賊』オープン――レストランではシングルモルト『カリラ』限定版も」は、お約束のエイプリルフールネタでした。

 昨年はグランツ、今年はディアジオと転職の多いルーフル・リプイエ氏、来年はどこに行くのでしょうか? そして、信じてしまった皆様、ごめんなさい。来年もお楽しみに。

東京ディズニーシーに「カリラの海賊」オープン――レストランではシングルモルト「カリラ」限定版も

記者会見で公開されたロゴマーク
(クリックすると拡大)
 東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドなど4社は1日、東京ディズニーシーに新アトラクション「カリラの海賊−The Viking of CAOL ILA−」をオープンすると発表した。同テーマパークは、昨年オープンした「トイ・ストーリー・マニア!」以来の新アトラクション誕生となる。

 「カリラの海賊」は、10〜11世紀頃を時代背景とし、英スコットランド・アイラ島に拠点を置くヴァイキング(海賊)「ヘクター」が主人公。ヴァイキング達の間で伝説とされる「イウラの秘宝」を探し求めるストーリーで、敵のヴァイキングとの争いや、仲間となるアイスランドのヴァイキング「レイフ」との出会い、友情をライド形式のアトラクションで描く。

 同日には記者会見も行なわれ、スポンサーとなるディアジオ、キリンビールの担当者も出席。会見では、オリエンタルランド担当者よりアトラクションの概要を発表した後、今回の企画発案がキリンディアジオのルーフル・リプイエ取締役(宣伝・パブリックリレーションズ担当)であることを明らかにした。

 リプイエ取締役はアトラクション企画に至った経緯を、会見の中で次のように語る。
「私は昨年、(ウィリアム・グラント&サンズから)ディアジオに移籍し、同時にキリンディアジオに出向となった。来日してからしばらくは忙しく、ろくに家族サービスもできなかったんだ。そこである日、妻と9歳の息子を連れて、東京ディズニーランドを訪れた。最初に行ったアトラクションは『カリブの海賊』だ。ご存知の通り、このアトラクションはディアジオのパートナーであるキリンがスポンサーをしている。だが、実際に体験してみてそんなこととは関係なく、世界観の壮大さに興奮した。そこで思ったんだ。『パイレーツではなく、ヴァイキングを描くアトラクションをつくってはどうか』と」

 会見にはウォルト・ディズニー・カンパニーの担当者も出席。同アトラクションは東京ディズニーシーが世界唯一の公開となるが、米国や仏パリ、香港といった他のディズニーランドで展開していくことも検討しているという。また反響次第で、『パイレーツ・オブ・カリビアン』のように、映画化する可能性も示唆した。

 なおアトラクションにはレストラン「LOCH GORM(ロッホ・ゴルム)」を併設。ヴァイキングをイメージした料理を提供するほか、同レストラン限定のスコッチ・シングルモルト「カリラ ザ・ヴァイキング・オブ・カリラ・スペシャルエディション」を販売する。熟成年数・樽などは明らかにされていないが、リプイエ取締役は「ヴァイキングらしい、男性的な仕上がりとなった」と説明している。

 アトラクション・レストランは来年4月1日にオープン予定。


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