2013年2月28日木曜日

エドリントングループに罰金4万ポンド――火災事故での安全管理不足で(BBC他)

 英スコットランドのグラスゴー刑事裁判所は27日、事業所内の安全管理を怠ったとして酒造大手エドリントングループ(スコットランド)に4万ポンド(約560万円)の罰金を科す判決を下した。グラスゴー市内のウイスキー倉庫で起こった火災事故によるもので、同社は控訴など対抗措置はとらず罰金を納付する方針。

Whisky firm Edrington Group fined over warehouse fire(BBC)
Whisky group fined £40,000 for safety failures after warehouse fire(STV)
http://news.stv.tv/scotland/215708-edrington-group-fined-40000-for-glasgow-whisky-warehouse-fire/

 火災は2011年6月、グレートウエスタンロードグラスゴー事業所内のウイスキー倉庫で発生。当時、2人の従業員がウイスキーを鋼製の桶から樽へとホースで充填する作業を行なっていたが、ウイスキー原酒は上部方向へ暴発し、照明器具に当たったことが原因で火災となった。従業員によると暴発する前に、ホースが緩む感覚があったという。従業員らは早急に火災報知機を作動させ、死傷者や周辺環境に対する被害は無かった。事故後の調査で、倉庫内にある110のスプリンクラーのうち、70が作動していたことが判明している。

 事故を担当した英政府健康安全部(HSE)のデイヴィッド・スティーブン調査官は「大事故に至らなかったことは、非常に幸運だった」としながら、以下のようにコメントする。
「今回の事故で1万7500リットルのウイスキーが失われた。このボリュームは、大規模な火災に繋がるだけの十分な燃料となり得る。会社側は簡素な体制を敷いていたが、照明器具を可燃性の気体が発生する場所でも適合するものにしていれば、事故は防げたはずだ」
またスティーブン調査官は、事故後の2011年10月に設備を更新し、事故を防止する措置がなされていることも付け加えた。

 エドリントングループ広報は「当社は4万ポンドの罰金を支払うことを承服した。事故に対して全責任があると考え、発生後、直ちにHSE、スコットランド環境保護庁と共同で原因究明に取り組んだ。当社は従業員の健康と安全を第一としている」との声明を発表した。


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エドリントングループが決算発表(BBC)

ディアジオのUSL買収、関係当局は承認の気配(ヒンドゥー・ビジネスライン)

 インド競争委員会(CCI、日本の公正取引委員会に相当)は、ディアジオ(英)によるユナイテッドスピリッツ(USL、インド)買収を承認する模様だと、インド紙「ヒンドゥー・ビジネスライン」が報じている。

 USLはウイスキー「マクダウェルズ」、同「バグパイパー」などのブランドを保有し同国内で一定のシェアを持つことから、CCIは今回の案件が市場の独占に繋がらないか、審査していた。関係筋は「委員会は、当事者から説明を受け、まもなく正式な認可を与える」とコメントしている。今月初めには、同国証券取引委員会もUSL株の公開買付を承認しており、関係当局による審査は一段落する格好だ。

 しかし既報の通り、USL関連企業、キングフィッシャー航空の債権を保有する銀行団が、親会社ユナイテッドブルワリーズホールディングス(UBホールディングス)に債務の肩代わりを求めている。本件は最悪の場合、UBホールディングス自体の清算を司法に請求するとしており、事態は未だ流動的だ。ただ、今回の報道通りに進めば、ディアジオによるUSL株取得はひとまず、適法となり、今後の交渉次第では銀行団がディアジオへのUSL株譲渡や、現在ディアジオが持つUSL株について認める可能性も出てきた。

Competition panel clears USL-Diageo deal: sources(ヒンドゥー・ビジネスライン)


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2013年2月27日水曜日

ディアジオ、大麦調達に「バイ・スコティッシュ」の方針――「可能な限りスコットランド産を購入」と同社幹部(スコッツマン)

 英酒造大手ディアジオは21日、モルトの原料となる大麦について、可能な限りスコットランド産のものを調達していく方針を示した。同社のアンディ・ロバーツ調達担当ディレクターが、農協的性格を持つスコットランド企業、スコティッシュアグロノミーのメンバーに明らかにしたもの。

Diageo’s ‘buy Scottish’ pledge(スコッツマン)

 モルト・大麦はスコッチ・ウイスキーの主原料。スコッチ・ウイスキーは、新興国を中心に世界的需要が高まっている反面、スコットランド産大麦のみでは供給が間に合わなくなる可能性が懸念されている。またディアジオも現在、28のスコッチ・ウイスキー蒸留所を所有しているが(ソース=元記事)、需要に対応するため2つの大規模蒸留所を新たに建設することを、昨年発表している。

 ロバーツ・ディレクターは「ウイスキー・マーケットは毎年、5〜10%成長している。もし、この状況下でもスコットランドが大麦を供給できるならば、我々はそれを購入する」と明言した。

 一方、スコティッシュアグロノミーのメンバーからロバーツ・ディレクターに対し「スコットランドの大麦が不足する反面、イングランドではビール向け、備蓄向けの大麦需要が減少している。イングランド産のものを購入・使用するということはないのか? 」という質問が挙がったという。ロバーツ・ディレクターはこれに「必要量の確保ができないという不安が払拭されない場合は、『サードパーティー』から購入する」と、需給バランスによってはスコットランド産以外のものも調達する可能性も認めた。


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2013年2月25日月曜日

シャンパン業界の前にそびえる、中国の「壁」(ブルームバーグ)

クリスマス シャンパン
 夜の上海。植民地時代(註:元記事による。かつての列強国の租界地区を指していると思われる)の面影を残す大通りに面したバーラウンジは、賑わいを見せる。1万元(約15万円)を支払うと6リットルのシャンパン、3リットルのウオトカ(ウォッカ)、そしてソフトドリンクが氷の器に入れられ、バーに雇われた6人のダンサーによって運ばれてくる。
「シャンパンを飲まない人でさえ、このショーを見るために金を支払う」
そう語るのは、バーを運営するヴィジュアル・オリエント・リミテッドのマチュー・ブラウアー(Mathieu Brauer)CEOだ。

Champagne in China Seen Failing to Match Cognac Cachet(ブルームバーグ)
http://www.bloomberg.com/news/2013-02-24/champagne-in-china-seen-failing-to-match-cognac-cachet.html

 コニャックが中国に初めて輸入されたのが1859年であるのに対し、シャンパンが同国市場で一定の地位を得たのは、ごく最近のことだという。「中国のシャンパン市場が変わるときが来た」とペルノリカール(仏)のシャルル・アルマン・ド・ベレネ(Charles-Armand de Belenet)シャンパン・マーケティング責任者は息巻く。中国は、ペルノリカールが保有するシャンパン・ブランド「ムーム」にとって世界2位、同「ペリエジュエ」にとって世界3位の輸出先だ。

 これに「シャンパン・メーカーは、中国市場に過大な期待を持っている。(同市場において)シャンパンはプッシュしていくのが難しい商品だ」と語るのは、市場調査企業ミンテルのポール・フレンチ・アナリスト。同アナリストは同じ仏国の商品でも、シャンパンにはコニャックほどの力はないと、否定的な見方を示す。

 この見解を考察するには、まず中国のシャンパンとコニャック、それぞれの市場規模を認識しなければならない。2011年の同国内でのシャンパン販売量は90万リットルであったのに対し、コニャックのそれは2550万リットル(市場調査企業「ユーロモニター」発表)。価格帯や市場内での歴史といった種々の要素もあるため、一概に比較するわけにはいかない。しかし、同じ高級商品カテゴリーでの「醸造酒」と「蒸留酒」という物差しで測った場合、この開きは実数以上のものであるとも見受けられる。

 どちらも仏国産の商品であるのに、なぜ、これほどの開きが出るのか――中国でコニャックが最も売れる時期は、旧正月前後だ。日本におけるお歳暮のごとく、旧正月の中国人たちは親類縁者や仕事上で世話になった人に贈り物をする。この習慣において人気商品となっているのが、コニャック、白酒といった蒸留酒だ。そしてこれらの贈り物を――フレンチ・アナリストに言わせれば「花瓶のように」――棚に飾る。こちらも、かつての日本人が「ジョニ黒」や「シーバス」を応接間の棚に飾っていたことと似ているが、重要なのは、蒸留酒はある程度保存が効く、ということだ。対してシャンパンは、一度開封してしまうと、すぐに消費しなければならない。つまり、開封後のシャンパンは棚に飾っておくことが難しくなってしまう――こうした習慣こそ、先のアナリストが述べた「シャンパン・メーカーの過大評価」という見解の源だ。

 一見、好景気が続いているように見える中国だが、コンサルタント企業ベインによれば30%程度で推移していた高級品市場の伸び率が、2011年には7%に急落したという。また、シャンパンの売上高も2012年は世界全体で4.4%下落した(前年比、シャンパーニュ地方ワイン生産同業委員会発表)。

 元記事のブルームバーグは、中国における西洋由来の、高級品の歴史は浅いと記す。中国でシャンパンが浸透するか否かは、今後の酒造企業の戦略にかかっている。

※2月26日追記:ブルームバーグ日本語版を見たところ、一部、翻訳に誤りがあったため、加筆修正しました。

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2013年2月24日日曜日

競走馬「セクレタリアト」を讃えるバーボンがリリース――ダービー制覇40周年記念で(オークションセントラルニュース)

 米競走馬セクレタリアト(写真)がケンタッキーダービーを制覇してから、今年で40年を迎える。ケンタッキーダービー・ミュージアム(米ケンタッキー州ルイビル、チャーチルダウンズ競馬場内)はこれを記念し、限定版バーボン・ウイスキーのリリースを計画していると、明らかにした。

 セクレタリアトは1970年生まれの米国産馬で、父=ボールドルーラー(1957年プリークネスステークス優勝)、母=サムシングロイヤル(母の父=プリンスキロ)。1973年にケンタッキーダービーを制し、このときの勝ち時計1分59秒4は現在でも同ダービーのレコード、そしてチャーチルダウンズ競馬場1マイル2ハロン(約2000メートル)のコースレコードとなっている。ダービー後は、プリークネスステークス、ベルモントステークスを制し、父が成し得なかった三冠を制覇、米国競馬史上9頭目の三冠馬となった。なお三冠目のベルモントステークスでは、2着馬に31馬身をつけるという圧倒的大差で勝利している。同年に引退し、以降は種牡馬として生活。1989年、蹄葉炎の悪化により安楽死処置となった。

 今回のデカンタは、セクレタリアトのオーナーだったペニー(本名=ヘレン)・チェネリー氏がフォアローゼズの原酒から選ぶ。500本限定でケンタッキーダービーに先立ち、5月1日にケンタッキーダービー・ミュージアムでリリースする予定。収益は同ミュージアムの運営、ならびに、セクレタリアト・ファウンデーション(財団)を通して獣医学研究や引退した競走馬の支援などに充てる。

Kentucky Derby bourbon decanter to honor Secretariat(オークションセントラルニュース)


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2013年2月23日土曜日

コニャック「カミュ」が創業150周年――記念デカンタ「キュヴェ5.150」をリリース(フォーブス)

 コニャック・メーカーのカミュが今年、創業150周年を迎える。五大コニャックと呼ばれるブランドの中でカミュは唯一、独立系家族経営メーカーの立場を維持している。19日には記念デカンタ「キュヴェ5.150」のリリースにあたり、ニューヨークでパーティーが開かれた。

 カミュの出荷先は東欧とアジアが中心といい、意外にも米国では2010年に初めて正規販売が始まっている。元記事の執筆者であるアンソニー・デマルコ氏は、わざわざ「pronounced “Kah-moo”(『カミュ』と発音する)」と記していることから、米国での知名度は高くないのかもしれない。キュヴェ5.150のお披露目イベントは他の国でも行なわれる模様だが、以上のような背景の中で、米国でのパーティーが世界初披露となった。

 キュヴェ5.150は、シャンパーニュ、プティシャンパーニュ、ファンボワ、ボンボワ、そしてボルドリの5種をブレンド。創業者のジャン・パティスト・カミュから当代であるシリル・カミュ氏までの5代に亘る伝統を表現するもので、熟成年数も合計すると150年になるようにブレンドしたという。1492本限定で販売し、価格=1万3500ドル(約130万円)。

Camus Cognac Unveils 150-Year Anniversary Product(フォーブス/商品画像あり)


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2013年2月22日金曜日

英酒造企業が、EU離脱を望まないワケ(英エコノミスト)

 本サイトで今月1日、ディアジオ(英)のポール・ウォルシュCEOが「英国はEU(欧州連合)に留まるべき」と発言した、という記事を掲載した。

 これに、英国のユーロスケプティシズム(欧州懐疑主義)の側から異論が出るかもしれない――英国の酒造業は、今や中国、インド、あるいは南米など世界中に輸出する一大産業となった。そうであるならば、英国ほどの大国にとっては益よりも負担が大きいEUに留まり続けるより、独立独歩で進んでいく方が酒造業にとっても良いのではないか――と。

 この点について英紙「エコノミスト」が、英酒造企業がEUから離れたがらない理由を解説している。

Johnnie won’t walk out(英エコノミスト)
http://www.economist.com/news/europe/21572191-why-scotch-whisky-makers-want-stay-european-union-johnnie-wont-walk-out

EUという「国」


 まず、EUの市場規模を再確認しなければならない。EUを単一の国として見た場合、GDP(国内総生産)は17兆ドル(約1580兆円)に上る。米国の上を行く数字で、すなわちEUは世界一のGDPを持つ国、ということになる。酒類にこれをスケールダウンした一例として、マーケティング企業「インターナショナル・ワイン・アンド・スピリッツ・リサーチ」は、スコッチ・ウイスキーの販売先の4割がEU向けであったと発表している。経済危機に瀕し、酒造各社の実績発表時には毎回(悪い意味で)名前が挙がるスペインでさえ、中国の倍額以上、スコッチ・ウイスキーを輸入している(SWA発表)。

 EU域内の「モノ」の移動には通関手続き等を必要としない。もしEUから離脱すれば、関税を含め通関コストを支払わなければならなくなる。

 またヨーロッパ市民が持つ、スコッチ・ウイスキーに対する「好印象」も無視できない。スペインでフランコ政権が終焉したとき、ウイスキーを飲むことは富と解放の象徴であったし、ギリシャでは「ヨーロッパ人の証」として中産階級の間でウイスキーを飲むことが好まれた。先にも述べたとおり、これらの国は現在、経済危機に喘いでいる。しかし一方で、2004年にEU加盟したポーランドは経済成長の中にあり、ウイスキー市場も急成長している。今後、新たな加盟国が現れる可能性も否定できず、こうした点から、英酒造企業にとってEU離脱は不利益の方が大きいと考えているのだろう。

インドとのFTA


 EUの外に目を向ける。以前、本サイトで以下の記事を引用したことがあった。

インドにウイスキー売り込み 日本の上質もの飲んで!(共同)

 同記事では「英国の植民地だったインドにはウイスキー愛好者が多い」としている。これは間違いではなく、今回の元記事でも「インドのウイスキー消費量は、インド以外の世界とほぼ同等」と触れる。ただし、インドで多く飲まれるのは「マクダウェルズ」「バグパイパー」といった、名前はスコッチ風だが地場産のウイスキーだ。これらは糖蜜を原料とするため、ウイスキー愛好家の中には「ラム」と揶揄する者もいる。

 そしてインドでは、「本物」のスコッチ・ウイスキーに150%の関税が掛けられる。富裕層以外にとっては高嶺の花だ。酒造業界はこの状況を良しとはしていない。現在、EUとインドはFTA(自由貿易協定)の交渉中で、SWA(スコッチ・ウイスキー協会)もこの交渉に期待を寄せる。

 当然、英国がEUから離脱すれば、FTAの話は最初から無かったことになる。FTAによって大きな恩恵を授かる英酒造企業にとって、EUからの離脱を好むはずがない。

「ジョニーウォーカーは孤独に歩きたくない」


Johnnie Walker スコットランドは来年、連合王国からの独立の可否を問う住民投票を行ない、連合王国のデイヴィッド・キャメロン首相もまた、2017年にEU加盟継続の是非を問う国民投票を行ないたい意向だ。

 しかし元記事の「エコノミスト」はこれまで述べた点を鑑み、連合王国とEUという2つのユニオンに留まり続けることがウイスキー生産者の望むことと結論づける。なかでも、EUという単一市場に残留することが絶対的な優先事項としている。その上で、ジョニーウォーカーのイメージキャラクターである「ストライディングマン」(写真)になぞらえ、以下のようにまとめる。

「ジョニーウォーカーは世界中を歩き続けるだろう。しかし、孤独に歩むことは望んでいない」


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ディアジオ、中間決算発表――西欧不調も、収益とも成長続く(BBC他)

2013年2月21日木曜日

ラム「バンダバーグ」、限定ボトルをリリース――サイクロン被害からの復興目的に(ニュースメール他)

 オーストラリア・クイーンズランド州に先月末、サイクロン「オズワルド」が上陸した。各地に被害をもたらし、サトウキビと、そこからつくられるラムで知られるバンダバーグ市でも、大規模な洪水が発生している。

 未だ復旧・復興の途上にあるが、3月16日には市内の清掃と観光客回帰を目的としたイベントを開催。この場で、ラム「バンダバーグ」の限定ボトルをリリースする。「ロードトゥリカバリー」といい、バンダバーグ市内を通る複数のストリート名が与えられる。価格は60オーストラリアドル(約5750円)で、見込まれる25万オーストラリアドル(約2400万円)の売上は全額、復興資金に充てられる。

 バンダバーグのグラハム・リグルワース・サイトマネージャーは「当社は125年間、地域社会の一員であり、誇り高き歴史を持つこのコミュニティに(これまでの利益を)還元する」とコメントした。

Bundy Rum's special flood recovery efforts(ニュースメール/商品画像あり) ブリスベンなどに洪水警報(JAMS.TV)


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ラムのバンダバーグ、高級カテゴリーの新商品をリリース(シャウト)

カザフスタンのウオトカ工場テロ計画、少年3人に有罪判決(ユーラシアネット他)

 カザフスタン・アクトベのウオトカ(ウォッカ)工場爆破というテロ計画を立てたとして、当地の裁判所は19日、少年3人にそれぞれ懲役3〜5年を科す判決を下した。ウオトカ工場の所有者であるGEOM(同国)は昨年4月、ラベルにアラビア語で「アラーの力で皆満ちる」とプリントしたウオトカをリリース。飲酒を戒律で禁止するイスラム教関係者から抗議を受け、謝罪、販売停止に追い込まれていた。

 判決を受けたのは、サラマット・アクへット被告(Salamat Akhet、17歳)、ナースルタン・テインズバイェブ被告(Nursultan Tenizbayev、18歳)、アースラン・ザカバイェブ被告(Arslan Zhakabayev、同)の3人。全員無罪を訴え、保護者も秘密警察による陰謀を主張していたが、裁判官は有罪と判断し、アクへット被告に懲役3年、テインズバイェブ、ザカバイェブ両被告に懲役5年を科した。

 カザフスタンは特定の宗教を国教とはしていないが、イスラム教徒が人口の7割を占める(ソース)。

Kazakhstan Reveals ‘Allah Vodka’ Terror Plot(ユーラシアネット) Kazakhstan Jails Three For Plan To Destroy 'Allah Vodka' Factory(ラジオフリーヨーロッパ/ラジオリバティ)


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「爆発の原因はたばこ」——違法ウオトカ工場爆発事故でリトアニア人従業員がコメント(ランカシャーイブニングポスト)

2013年2月20日水曜日

ユナイテッドブルワリーズ、KFA債務問題で清算の危機――ディアジオのUSL買収遠のく(CNBC-TV18)

 英酒造大手ディアジオによるユナイテッドスピリッツ(インド、USL)経営権取得に、新たな問題が起こった。経営危機に陥ったキングフィッシャー航空(同、KFA)の債権を持つ銀行団が、ユナイテッドブルワリーズホールディングス(同、UBホールディングス)に肩代わりを求める意向であることが明らかになったためだ。UBホールディングスが返済しない場合、会社清算を申し立てることを検討しており、資産保全を理由にUB・ディアジオ間のUSL株譲渡が無効となる可能性が出てきた。

Loan recall, corp guarantees may derail USL-Diageo deal(CNBC-TV18)
http://www.moneycontrol.com/news/cnbc-tv18-comments/loan-recall-corp-guarantees-may-derail-usl-diageo-deal_827750.html

 KFAは7000クローレ(約1210億円、1クローレ=1000万ルピー)の債務を抱えており、USL売却もKFAの経営再建を目的とした側面を持っていた。KFAが債務償還を行なわなければ、その義務を負うのは親会社であるUBホールディングスとなる。銀行団はまず、UBホールディングスにKFAの債務を償還するよう通告し、定めた期限内に償還されなければ、UBの清算を裁判所に求めるという。この場合、債権者保護のためUBホールディングスが持つ資産や債権が保全の対象となり、UB・ディアジオ間のUSL株取引も無効となる可能性が生まれる。

 法廷外で銀行団と協議することにより、ディアジオは既に取得したUSL株を守る可能性も残っている。しかし、それが銀行団に認められ、また、UBホールディングスの清算に至らなかったとしても、ディアジオのUSL経営権取得には障害が立ちはだかる。

 銀行側もKFAへの貸付けの担保としてUSL株を取得しており、同株の時価は本稿掲載時点で1840ルピー(約3180円)前後で推移。ディアジオが当初予定していた公開買付の価格は1440ルピー(約2490円)であるが、これまでの背景から銀行側も簡単に同株をディアジオに手渡すとは考えにくく、少なくとも現状に見合った対価をディアジオは用意しなければならない。

 いずれにしてもディアジオは、利害がぶつかる銀行団とテーブルを共にすることが必要になりそうだ。


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2013年2月19日火曜日

バッファロートレースのウオトカ「HDW CLIX」、英国でリリース――159回蒸留、2000本限定(ハーパーズ)

 バーボン・ウイスキー蒸留所のバッファロートレース(米ケンタッキー州)は、英国市場においてウオトカ(ウォッカ)「HDW CLIX」をリリースした。HDWはハーレン・デーヴィス・ウィートリー(Harlen Davis Wheatley)マスターディスティラーの頭文字で、CLIXはローマ数字で「159」を意味する。159というのは、このウオトカの蒸留回数だ。

Buffalo Trace vodka distilled 159 times comes to the UK(ハーパーズ/リンク先に商品画像あり)
http://www.harpers.co.uk/news/news-headlines/13514-buffalo-trace-vodka-distilled-159-times-comes-to-the-uk

 同商品は、赤秋蒔き小麦(red winter wheat)、ライ麦、コーン、そして蒸留所で生産されたモルトを原料とし、石灰分の豊富な仕込水を使用。28400ガロン(約108キロリットル)のマッシュを基に12ヶ月間、蒸留を繰り返した結果、332ガロン(約1257リットル)のウオトカが出来上がった。これらをさらに12ヶ月間、タンク熟成した後、2000本のボトルに瓶詰めした。

 ウィートリー・マスターディスティラーは「長期間を要したこのプロジェクトの成就を見ることができ、嬉しく思う。4種の異なるグレーン、複数のレシピ、そして159回の蒸留によって、バランスがとれピュアなコンプレキシティ(複雑性)になった」とコメントしている。

 今回、販売を担当するのは同蒸留所の英国代理店ハイスピリッツ(イングランド・サリー)。ハイスピリッツのジェレミー・ヒル会長は「無理からぬことだが、本商品に興味を示しているのはバーの中でも高級店や専門的な小売店。バーにとってはプレミアムなカクテルをつくり、小売店はコレクターに対するアピールになるのだろう」と現状の引き合いを説明した。

 希望小売価格=299ポンド(約4万3000円)で販売する。


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スウェーデンの印刷大手、スコットランドの印刷企業を買収――スコッチ・ウイスキーのラベル印刷受注を目論む(スコッツマン)

 印刷大手エランダーズ(スウェーデン)が、英スコットランドの印刷企業McNaughtan’s(マクノフタンズ?)を買収した。McNaughtan’sは年商200万ポンド(約3億円)、従業員数14人と決して大規模な企業ではないが、ウイスキーのラベル、包装印刷に強みを持つ。買収額は不明。

Swedish giant eyes whisky work after Glasgow takeover(スコッツマン)
http://www.scotsman.com/business/industry/swedish-giant-eyes-whisky-work-after-glasgow-takeover-1-2796597

 スコッチ・ウイスキー協会の調査では、スコッチ・ウイスキーの経済効果は42億ポンド(約6050億円、現行レート)に上るといい、酒造企業だけでなく周辺の産業にも大きな影響を与えている。エランダーズ広報も「多くの(ウイスキー)生産者は、ラベルをパッケージの重要な部分と考えており、また、ラベルと包装は同じところ(印刷企業)に発注する。今回の買収が意味するところは、成長するウイスキー産業の中で新たな顧客を獲得することだ」と明らかにしている。

 エランダーズはスウェーデン・モルンリケ市に本拠を置き、英、米、中国など9ヶ国に展開する大手印刷企業グループ。世界中で1800人を雇用し、直近の売上高は2億ポンド(約290億円)に上る。


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スコッチ・ウイスキーの経済効果は5800億円――SWA・コンサルティング会社が分析(BBC他)
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2013年2月18日月曜日

バーボン「メーカーズマーク」、アルコール度数引き下げを撤回――一連の騒動に「心からお詫び」と経営者(タイム)

 メーカーズマーク(米ケンタッキー州)は17日、バーボン・ウイスキー「メーカーズマーク・レッドトップ」(写真)のアルコール度数引き下げについて、決定を撤回する声明を発表した。同商品は「世界的需要の拡大に対応しきれないため、アルコール度数を引き下げる」と1次顧客に対して通達し、約1週間前、これを米メディアが報道。世論からは反発の声が挙がっていた。

Maker’s Mark Reverses Decision to Water Down Whiskey(タイム)
http://newsfeed.time.com/2013/02/17/makers-mark-reverses-decision-to-water-down-whiskey/

 声明は「You spoke. We listened.(あなたは話してくれた。我々は[それを]聞いた)」というタイトルが振られ、ビル・サミュエルズ・ジュニア代表とロブ・サミュエルズCOOの連名で発表した。以下、声明を訳す(誤訳やニュアンスの取り違えもあるかと思います。都度、ご指摘賜ればと存じます)。
 我々が、メーカーズマークが供給上の制約によりアルコール度数を引き下げるということを決断し、これを発表してから、アンバサダーやファンから多数の質問を頂戴した。我々は、皆様のメーカーズマークに対する強い情熱と反応を、謙虚に受け止める。この間、何をすることが正しいことなのかと考えた。メーカーズ・マークは皆様のブランドであり、皆様の大多数は決断を変更するよう仰った。
  You spoke. We listened.そして、我々は皆様を失望させたことに対し、心からお詫び申し上げる。
 我々は、ただちに決断を覆し、45%(90プルーフ)のアルコール度数で生産を続けることにした。最初から、そうしていたように。
 (近年の)予想できないほどのドラマチックな成長は、メーカーズマークにとって良い課題だ。(中略) 蒸留所の生産能力を拡大し、ベストを尽くすことを我々はお約束する。
 皆様の(メーカーズマークに対する)信頼、ロイヤリティ、そして情熱はかけがえのないものだ。我々は、それを見失わないようにしなければならない。メーカーズマークをつくるとはいかなることかを、我々に思い出させてくれた皆様の思いに感謝する。
 我々は(ビル氏の)父であり(ロブ氏の)祖父である、ビル・サミュエルズ・シニアなどの祖先が行なっていた、手づくりのバーボンという原点に立ち戻りたい。同じ製法、同じ工程、同じ商品で。
(中略)そして、皆様がどう思っているのか、ときに蒸留所にお越しになって我々に教えてほしい。それは我々にとってたくさんのものを授けてくれると思うから。
 アルコール度数引き下げの通達の中で、メーカーズマークは「商品テストを行ない、味覚に変化はないことを確認している」と説明していたが、世論は懐疑的な見方を示していた。元記事のタイムが引き下げ報道時、アルバ・ウェルタ氏というバー・マネージャーに取材したところ「アルコール度数はカクテルをつくる上でも重要な要素。低い度数では明らかに違うものが出来るはずだ」という回答を受けている。

 また同じく元記事によれば、米国内で「度数を引き下げるより、価格を上げるのが先では」という意見があったといい、本サイトの記事掲載でも同様の意見が起こっていた。しかしビル・サミュエルズ・ジュニア社長は、これを否定し、以下のようにコメントしている。
「35年の経営者生活の中で、需給の問題は何度もあった。20回以上あったと思う。しかし、価格設定によっ(て打開しようとし)たことは一度もない。私は既に引退しているが、ある文化が(メーカーズマークの中に)生き続けている。それは『顧客に粗相をしてはならない』という文化だ」


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メーカーズマーク(今回の声明の記載あり)
バーボン「メーカーズマーク」、需要過多でアルコール度数引き下げへ(CNN)

2013年2月17日日曜日

ペルノリカール、オーストラリアでバーテンダー向けiPadアプリ制作(4バーズ)

 ペルノリカールグループのペルノリカールオーストラリアが、iPad用アプリ「メゾン(MAISON)」を制作した。バーテンダーに対し行なっているトレーニング・プログラムで使うもので、ウイスキー蒸留所やカクテルについてなどが学べるようになっている。

 プログラムに携わるベン・デヴィッドソン・ブランド育成マネージャーは「メゾンは新人、経験者問わず、知識に貪欲でホスピタリティ業界でのキャリアの先を見据えているバーテンダーのためにつくられた」と説明する。開発に2年を費やし、その間、バーテンダーが何を欲しているのか、リサーチを続けたという。

 現時点ではトレーニング・プログラム向けということで、App Storeなどでの販売、配信は行なっていない。



Pernod Ricard launch iPad-based training(4バーズ) ペルノリカール、中間決算発表――クエルボ買収に「議論はオープン」とプランゲCEO (BBC他)

2013年2月16日土曜日

ラム「ロンデジェレミー」、カナダ・マニトバ州での販売再開――著名ポルノ俳優がプロデュース(スター)

 カナダ・マニトバ州で13日、ラム「ロンデジェレミー(Ron de Jeremy、写真)」の販売が再開された。米ポルノ俳優、ロン・ジェレミー氏がプロデュースしたラムで、ラベルには同氏の肖像が描かれている。こうした事実から「モラル上の問題がある」とマニトバ酒類規制委員会(MLCC)が州内で同商品を取り扱う26の販売店に、撤去するよう指示していた。

Porn star Ron Jeremy’s rum back on Manitoba shelves(スター)
http://www.thestar.com/news/canada/2013/02/14/porn_star_ron_jeremys_rum_brand_pulled_from_manitoba_stores.html

 ロンデジェレミーはワンアイズスピリッツという企業が生産し、マニトバ州では1月下旬に発売。しかし今月4日、州内の販売店から姿を消した。輸入業者、シンプリシティワインズのアンドレアス・ルネソン・マネージングディレクター(MD)は「とてもショックだった。(発売してから販売停止までの)少ない日数で、とても良いパフォーマンスを見せていた」と振り返る。

 販売再開後にMLCCのアンドレア・コワル広報が語ったところによると、消費者からクレームを受けたため撤去を決めたという。しかし撤去後、今度は撤去に対するクレームが起こり、結局、MLCCの上部機関が指示を撤回することになった。
「我々も慎重になり過ぎてしまった。商品名やラベルに不適切な点はない。そもそも、酒は大人だけのものだ(コワル広報)」

 前出のルネソンMDは販売再開に安心する一方、不安も持つ。今回の一件でMLCCとの更なるコミュニケーションが必要であることが明らかとなり、また、年内の同商品発売を検討しているオンタリオ州でも、同じ事態が起こることを懸念するためだ。この点について、オンタリオ酒類規制委員会のヘザー・マグレガー広報は「現時点で、評価する立場にない」と明言を避けている。


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ロンデジェレミー
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2013年2月15日金曜日

ペルノリカール、中間決算発表――クエルボ買収に「議論はオープン」とプランゲCEO (BBC他)

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 仏酒造大手ペルノリカールは14日、中間決算(2012年7〜12月期)を発表した。売上高=49億700万ユーロ(約6060億円)で前年同期比6%増、営業利益=14億5900万ユーロ(約1800億円)で同6%増だった。

 一見、堅調に推移しているように見えるが、昨年度中間決算時の有機的成長率が11%であったのに対し、今期は3%で、外部的要因を除いた実質値でも5%に留まっている(※)。そのため、元記事のBBCは「近年見られた、世界的なスコッチ・ウイスキーの急成長が終わった」と悲観的な見方を示している。

Pernod Ricard: Scotch whisky sales 'flat'(BBC)

 一方、テキーラ・ブランド「ホセクエルボ」についてピエール・プランゲCEOは「議論はオープンに行なう」とコメントし、買収などの可能性をしなかった。ペルノリカールのライバル企業であるディアジオがホセクエルボの買収交渉を進めていたが、昨秋、これが決裂。今年6月をもって、ディアジオはホセクエルボの世界的販売を終了する。

 ホセクエルボのオーナー一族であるベックマン家が家族経営を望んでいることに加え、販売量が全てのテキーラ・ブランドの中で世界一であることから同ブランドの価値は30億ドル(約2780億円)に上ると言われている。そのため、ペルノリカールがただちにホセクエルボの経営に参画することは容易ではないが、今回の発言で、同ブランドに関する新たな動きが起きることになるかもしれない。

Pernod ‘open’ to talks on Jose Cuervo(フィナンシャルタイムズ)
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/a0ec7ba8-76b7-11e2-ac91-00144feabdc0.html#axzz2KvjzmYU9

※有機的成長率は、元から保有していたブランドによってもたらされた収益などを数値化したもの。元記事のBBCは「12%」と表記するが、昨年度中間決算でペルノリカールが発表した数値は11%であり、本サイトではこちらを採用した。また、外部的要因はフランスでの酒税引き上げによる駆け込み需要、中華圏の旧正月が昨年と時期がずれたことを指す。


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2013年2月14日木曜日

アサヒHD、海外ファンド2社をオーストラリアで提訴――買収案件での情報提示を問題視(ナショナルビジネスレビュー他)

 アサヒグループホールディングス(アサヒHD、東京都)は14日、投資ファンド「パシフィック・エクイティ・パートナーズ(PEP、オーストラリア)」「ユニタス・キャピタル(香港)」の2社をオーストラリア連邦裁判所に提訴した。アサヒHDは2011年、被告側2社から「インディペンデント・リカー(ニュージーランド/オーストラリア)」の経営権を15億NZドル(約980億円、当時レート)で取得している。アサヒHDの主張では、取引の際、PEPとユニタスが、インディペンデントの企業価値について誤解を与え、また過大評価する情報を提示したといい、その損害賠償請求が提訴の理由だ。

Asahi sues private equity funds over liquor purchase(ナショナルビジネスレビュー)
http://www.nbr.co.nz/article/asahi-sues-private-equity-funds-over-liquor-purchase-ng-135802
アサヒHD、NZ飲料会社買収に絡みPE2社に賠償請求(ニューズウィーク)
http://www.newsweekjapan.jp/headlines/business/2013/02/94112.php

アサヒHDによる買収によりインディペ
ンデントは、スーパードライの生産ラ
イセンスも取得している
 インディペンデントは1987年、ニュージーランド人のマイケル・アーセグ氏が設立。RTD商品(用語解説)の生産を得意とする他、ビール「カールスバーグ(デンマーク)」「キングフィッシャー(インド)」の生産ライセンスを持つ。また、ウイスキーなどスピリッツの輸入も行なう。

 PEP、ユニタスの2社は、プライベート・エクイティ・ファンドと呼ばれる形態の投資ファンドで、被買収企業の経営権を友好的に取得、直接的な経営関与を行なうことで企業価値を高め、その後、売却するのが特徴。インディペンデントについては2006年、投資ファンド「CCMPアジアパシフィック」から13億NZドル(1030億〜1040億円、当時レート)で取得した。

 アサヒHDの関係筋は、「デュー・ディリジェンス(投資先の調査)を怠ったわけではなく、それよりも、ミスリードや騙すような行ないがあった」と、ナショナルビジネスレビューの取材に答えている。ただ、買収自体は現在でも肯定的に捉えている模様で、今後のインディペンデント経営にも影響はないという。


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ジン「No.3」、ジュニパーの保護活動を支援(スピリッツビジネス)

 ベリーブラザーズ&ラッド(英ロンドン)のジン・ブランド「No.3ロンドン・ドライ・ジン」(写真)が、ジュニパー(杜松、ネズ)保護に乗り出す。疫病菌(Phytophthora austrocedrae)の蔓延により、英国内のジュニパーが絶滅の危機に瀕しているためだ。

NO. 3 GIN RALLIES BEHIND BRITISH JUNIPER CONSERVATION(スピリッツビジネス)
http://www.thespiritsbusiness.com/2013/02/no-3-gin-rallies-behind-british-juniper-conservation/

 ジンが持つ独特のフレーバーはジュニパーの実、ジュニパーベリーによるもの。No.3は、原料とする6種の植物の中でも、ジュニパーベリーを「特に強く使う」という。英国内のジュニパーが絶滅した場合、ジンの生産に影響を与えるだけでなく、ジュニパーに(肯定的な意味で)寄生する40種の昆虫・菌までもが絶滅する可能性も危惧される。

 No.3はまず、ジュニパーが自生する土地所有者に総額1000ポンド(約14万5000円)を寄付。また、チャールズ皇太子が支援する環境保護団体「プラントライフ」のジュニパー育成活動や、そのための資金調達、イベント、会員募集をサポートする。

 プラントライフのティム・ウィルキンズ・コーディネーターは「この数十年でジュニパーはどんどん減っており、何もしなければ、イングランドでは50年で絶滅の危機に直面する。プラントライフはこれまでも英国内で様々なジュニパー保護プロジェクトを行なってきたが、No.3の支持をとてもスリリングに感じている」と、現状の説明とNo.3への謝意を述べる。

 またNo.3のリンダ・フィリップス氏は「ジュニパーはNo.3の肝で、プラントライフの活動を支援することは理に適っている。英国のジュニパーが健康に育つ日が来ることを、期待している」とコメントした。


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No.3ロンドン・ドライ・ジン
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2013年2月13日水曜日

バーボン「メーカーズマーク」、需要過多でアルコール度数引き下げへ(CNN)



3月6日追記:メーカーズマークはこの後、アルコール度数引き下げを撤回しました。当該記事はこちら

 バーボン・ウイスキー「メーカーズマーク・レッドトップ」(写真)が、アルコール度数を42%に引き下げる。現行商品は同45%で販売しているが、世界的需要の拡大に対応するため、加水量の増加に踏み切った。

Maker's Mark waters down bourbon to meet demand(CNN)
http://money.cnn.com/2013/02/10/news/makers-mark-bourbon/

 今のところ親会社のビーム(米)や同ブランドからの正式発表はないが、既に販売業者などの顧客向けに通達が行なわれたという。通達では、メーカーズマークのロブ・サミュエルズCOO名で「需要が我々の(生産)能力を超えている」とし、「取り得る解決策を試みた後での」決断である、と説明する。

 同社は商品テストを実施し、アルコール度数を引き下げても味覚に変化はないと説明するが、元記事によるとツイッターやソーシャルメディアでの消費者の意見は懐疑的なものだという。なお、本サイトは日本で代理店を務めるサントリーに事実関係を確認したが、本稿掲載までに回答はなかった。


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ロシアのウオトカ工場、創立記念モニュメントを撤去――アルコール広告禁止法の抵触避け(スピリッツビジネス他)

 ロシアのウオトカ(ウォッカ)工場に立つモニュメントがこの度、撤去された。モニュメントはグラソフスキー(Glazovskiy)という工場が創立100周年を記念して、13年前につくったもの。昨年、同国ではアルコール広告を禁止する法律が成立し、これに抵触することを恐れたのが撤去の理由だ。

RUSSIAN ALCOHOL AD BAN FORCES REMOVAL OF VODKA MONUMENT(スピリッツビジネス)
Russian alcohol crackdown topples monument to vodka(タイムズオブインディア/撤去前のモニュメント画像あり)
http://timesofindia.indiatimes.com/world/mad-mad-world/Russian-alcohol-crackdown-topples-monument-to-vodka/articleshow/18406108.cms

 グラソフスキーは、ロシア連邦を構成するウドムルト共和国グラソフにあり、モスクワから東に約1000kmの場所に位置する。撤去されたモニュメントは、高さがおよそ3mで、ボトルを象ったものだった。現在は台座だけが残っているという。

 発端となった法律は昨年7月にプーチン大統領の署名により成立し、ロシア全域で全面的にアルコール商品の広告を禁止している。同工場のDmitry Pozdeev(ドミトリー・ポズディーフ?)法務部長は「ボトルのモニュメントは、我が社の商品の広告とみなされるかもしれない。よって、撤去することを決定した」と困惑気味にコメントした。

 なお広告を禁止する法律と同時に、23時〜翌8時まで商店でのアルコール商品販売を禁止する法律も成立している。


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ロシア政府、アルコール規制策を続々と(SFゲート/ブルームバーグ)

【お知らせ】ロック解除の件

 本サイトは、Blogger運営サイドによるスパムブログ審査のため、2月9日より更新ができなくなっておりましたが、本日19時頃、ロックが解除されたことを確認しました。

 読者の皆様にはご心配をお掛けしました。今後共、本サイトでお楽しみいただきますよう、お願い申し上げます。

2013年2月8日金曜日

サントリー、インド酒造企業に資本参加か?――同国紙が報道(ビジネススタンダード)

 サントリー酒類(東京都)がインド酒造、ジョンディスティラリーズ(JDL)への資本参加を検討していると、インド紙「ビジネススタンダード」が伝えている。実現した場合の出資額は、500クローレ(87億円、1クローレ=1000万ルピー)に上る見通し。

Japanese major sniffs Indian market through John Distilleries stake(ビジネススタンダード)
http://www.business-standard.com/article/companies/japanese-major-sniffs-indian-market-through-john-distilleries-stake-113020701287_1.html

 JDLはポール・ジョン氏が1992年に創業し、ウイスキーをインド国内で生産する他、独自ブランドのワイン、ブランデーを販売。IMFL(インディアン・メイド・フォレイン・リカー。日本における「国内メーカーがつくる洋酒」の位置付け)のうち、5%のシェアを持つ。なかでもブレンデッド・ウイスキー「オリジナルチョイス」(写真)は年間1000万ケースを出荷する看板ブランドで、また、昨年リリースした初のシングルモルト・ウイスキー「ポール・ジョン・シングルカスク161」は英国で販売を行なう。

 今回の案件は、国際的な事業拡大を目指すJDLが資金調達を模索していることと、インド市場での成功を目論むサントリーの思惑が合致したことによるものと見られる。昨年5月にはサントリー食品アジア(シンガポール)が当地の飲食品企業、ナランコネクトの経営権を取得。またサントリーの商品では、酒造企業のラディコカイタン(Radico Khaitan)と提携し、シングルモルト・ウイスキー「山崎12年」、ブレンデッド・ウイスキー「響17年」を同国で販売している。

 ただ、投資銀行アナンドラシが最近発表したレポートによると、地域別の飲酒量が同国南部で約60%、北部と東部でそれぞれ15%と、消費傾向に極端な差があるという。こうしたマーケティング上の観点から、国外のブランドが参入しても成功は限定的なものになることが予想され、一からブランドを立ち上げる場合は「非常に挑戦的なこと」になると、同レポートはまとめている。

 なお、ビジネススタンダードの取材に、JDL、サントリーの両社とも、回答をしていない。


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ジョンディスティラリーズ
ディアジオ、独自テキーラ・ブランド立ち上げ検討か――USL公開買付はSEBIの承認取得へ(テレグラフ・インディア他)

2013年2月7日木曜日

北欧のフェリーに「ウイスキーエンポリアム」――グランツ社製品を扱う免税店(DFNI)

 北欧でフェリーを運行するヴァイキングライン(フィンランド)と英酒造ウィリアム・グラント&サンズ(グランツ社)は、今年就航したフェリー「ヴァイキング・グレース」(写真)内に「ウイスキーエンポリアム」をオープンした。スコッチ・シングルモルト「グレンフィディック」などのグランツ社製品を取り扱う免税店で、店内は樽をイメージした円形のインテリアとなっている(店内写真が元記事にあり)。

Whisky Emporium opens on board Viking Grace(DFNI)
http://www.dfnionline.com/article/Whisky-Emporium-opens-on-board-Viking-Grace-1865001.html

 ヴァイキンググレースは1月15日に就航し、トゥルク(フィンランド)−オーランド諸島−ストックホルム(スウェーデン)を結ぶ。大型客船では世界で初めて液化天然ガス(LNG)を燃料とし、排出する温室効果ガスなどが従来より低減されたという。

 そして、ウイスキーエンポリアムは同船の免税エリアに位置し、1600平米の面積を持つ。設置したスクリーンでは蒸留所の中を体験できる映像を流し、サンプルのテイスティングも可能だ。

 ヴァイキングラインのキム・エングブロム免税担当マネージャーは「ウイスキーエンポリアムでは新次元の免税ショッピングができる」とアピールする。また、グランツ社のアネリ・ショブロム(Anneli Sjoblom)北欧トラベルリテール兼ノルウェー国内担当マネージャーは「ここでグランツ社のパイオニア精神をお見せするできることは、ファンタスティックな機会」とコメントした。


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トランプ氏、グランツ社を非難――「トップ・スコッツ」選出をめぐり(スコッツマン他) グランツ社、トップが交代(ヘラルド・スコットランド)

2013年2月6日水曜日

【お知らせ】スパムブログ警告について

 平素は本サイト「WSJ−ワールドスピリッツジャーナル−」をご愛読賜り、厚く御礼申し上げます。

 さてこの度、本サイトが利用しているブログサービス「Blogger」の運営サイドより、本サイトは「スパムブログの可能性がある」という疑念を持っている旨、連絡を受けました。直ちに、スパムブログではなく確認をするよう、システム上にて依頼しました。

 こうした疑念を与えた理由は本サイト側に通告されておりませんが、定期的な更新を行なっている上、同一の単語が複数の投稿に存在するためではないかと推測しております。

 運営サイドが「スパムブログではない」という認定を下すまで、警告画面が表示されます(2日程度かかる模様です)。読者の皆様におかれましては、ご理解賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。

ディアジオ、独自テキーラ・ブランド立ち上げ検討か――USL公開買付はSEBIの承認取得へ(テレグラフ・インディア他)

 酒造最大手ディアジオ(英)によるユナイテッドスピリッツ(USL、インド)買収について、インド証券取引委員会(SEBI)は5日、公開買付を認める方針を示した。ディアジオは1月に公開買付を実施する予定だったが、SEBIおよびインド競争法委員会の承認が得られておらず、延期となっていた。

 昨年11月、ディアジオはUSLを買収することで妥結し、既にUSLの親会社であるユナイテッドブルワリーズなどから27.4%の株式を取得している。今回、SEBIが公開買付を承認した理由や条件などは明らかになっていないが、ディアジオにとっては一歩前進した形だ。しかし、インド競争法委員会からの承認は未だ得られておらず、当地の市場関係者は「(引き続き)ディアジオは当局による観察に対応していかなければならない」と話している。

Sebi paves way for Diageo offer(テレグラフ・インディア)
http://www.telegraphindia.com/1130206/jsp/business/story_16527813.jsp#.URH9qVqLJgY

 一方で今年6月、ディアジオのポートフォリオから販売量世界一のテキーラ「ホセクエルボ(クエルボ)」が消えることになる。ディアジオが進めていた同ブランドの買収交渉が昨年決裂し、販売契約も更新しないことが決まったためだが、この穴埋めとして独自のテキーラ・ブランドを立ち上げる可能性が浮上した。

 ポール・ウォルシュCEOは先日開催した中間決算発表会で、交渉決裂について「クエルボというブランドを取得できなかったことは、少々残念なことだった」と振り返った。しかし、「結局のところ、買収によって業務を進めていくというのは間違った決定でもあった。より適しているのは(テキーラ・)カテゴリーに、『オーガニック』に入っていくということだ。この点については、年内に詳細を明らかにしていきたい」と独自ブランドで参入する可能性を示唆した。

 ディアジオはサントリー(大阪府)と共同でのビーム買収が取り沙汰される。この報道がなされた直後にクエルボとの交渉決裂を発表しており、ディアジオはビームが保有するテキーラ・ブランド「サウザ」を狙うとの見方が強い。中間決算発表時にはビーム買収についての言及はなかったが、当面はビーム買収と独自テキーラ・ブランド立ち上げの両輪で動いていくことも勘案される。

Diageo Hints At New Tequila Brand(シェークンニュースデイリー)

2013年2月5日火曜日

ウオトカ「ソビエスキー」のメーカー、経営不振で株主総会開催へ――ブルース・ウィリス氏は再建策同意の意向(フランス24)

 ポーリッシュ・ウオトカ(ウォッカ)「ソビエスキー」ブランドを保有するベルヴェデール(仏)は12日、株主総会を開き経営再建策を協議する。同社は現在、5億ユーロ(約620億円)以上の債務を抱えており、個人筆頭株主である米俳優ブルース・ウィリス氏は仏紙「ル・フィガロ」の取材に、再建策に同意する意向だと明らかにした。

 ウィリス氏は昨年9月、ソビエスキーの広告出演料を現金で支払うよう、法律顧問を通じて同社に要求。ウィリス氏側の主張によると、出演料はベルヴェデールの株式で現物支給されたといい、2600万ドル(24億円、現行レート)の債権を保有しているとも報じられている。また今回の報道では、同社は4年前に民事再生手続きを行なった事実もあるという。

 ウィリス氏がこれまで求めていた現金による回収の姿勢から、自己の債権などが消滅する可能性もある再建策に同意した背景は明らかになっていない。しかし、世界で3560人を雇用する(ソース=元記事)同社にとっては、再建策を支持することが意義のある唯一の選択だと語っているという。また、株主総会にウィリス氏本人は出席しないとのことから、法律顧問など代理人が出席するものと見られる。

Bruce Willis to support saving Sobieski Vodka: report(フランス24)


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ベルヴェデールの財務体質に不安要素?――広告出演のブルース・ウィリス氏が現金支払を要求(ハフィントンポスト) ジョージ・クルーニー氏のテキーラ、リリースへ(ニューヨークポスト)

2013年2月4日月曜日

バンド「アスリート」のベーシスト、ブレンデッド・ウイスキーをリリース――マスターオブモルトの協力で自らブレンド(スピリッツビジネス)

Boxes Blend  英ロックバンド「アスリート」のベーシスト、キャリー・ウィレッツ氏がブレンデッド・ウイスキーをリリースする。同氏のソロプロジェクト名からとった「ボクシズ・ブレンド」(写真)という商品名だ。

ATHLETE BASSIST CREATES OWN WHISKY BOXES BLEND(スピリッツビジネス)
http://www.thespiritsbusiness.com/2013/02/athlete-bassist-creates-own-whisky-boxes-blend/

 アスリートは1999年、当時14歳だった現在のメンバーによって結成し、2003年に発表したデビューアルバム『ヴィークルズ&アニマルズ』は25万枚を超えるヒット、セカンドアルバム『ツーリスト』は全英1位の売上を記録した。2005年には「フジロック・フェスティバル」出演で来日している。

 ウィレッツ氏は音楽と同じくらいウイスキーに愛着を持っているといい、自らブレンディングに取り組んだ模様だ。ウイスキーづくりを振り返り「最初につくったものは軽い感じがして良いものだったが、納得できなかった。納得できるまで作業を続けた」と同氏。

 ブレンディングは英酒販サイト「マスターオブモルト」が協力し、販売も同サイトが行なう。700ミリリットルボトルでアルコール=40.9%、価格=54.95ポンド(約8000円)。


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マスターオブモルト ボクシズ・ブレンド販売ページ
NBAのシャキール・オニール氏、ウオトカをプロデュース――シュガー・グルテンフリーのフレーバード商品(ハフィントンポスト)
英女優がテキーラをプロデュース――100%アガヴェ、二日酔いになりづらいことを謳い文句に(オフライセンスニュース) Gorillazのデザイナーがウオトカボトルをプロデュース——アブソリュート・ロンドン(HAUTE LIVING.com他)

2013年2月3日日曜日

ビーム、2012年度決算を発表(ロイター他)

 米酒造大手ビームは1日、2012年度(同年1〜12月)決算を発表した。

 売上高=24億6590万ドル(税抜、約2260億円)で前年比6.7%増、営業利益=5億7590万ドル(約530億円)で同45.6%増だった。ホリデーシーズンの集中的な広告戦略のため、広告・マーケティング費用が前年比1割程度増加したものの、2011年度はフォーチュンブランズからの分離費用が発生したため、営業利益が大幅に増加した。純利益は前年比58%減の3億8240万ドル(約350億円)となったが、こちらも前年度、分離にともなう廃止事業収益を計上したことにより大幅な減少となっている。

 地域別で見ると、北米=8%、欧州・中東・アフリカ=4%と売上が上昇した反面、アジア太平洋と南米の売上はそれぞれ2%減少した。詳細は明らかになっていないが昨年11月、インド事業での会計処理が米連邦海外腐敗行為防止法(FCPA)に違反しかねない問題が起き、同国での売上、利益は3%減少しているという。すでに是正措置がなされ、事業継続への障害は発生していない模様。FCPAは米国人による外国公務員への贈賄などを禁じた法律で、インド公務員、公的機関等への支出が会計監査上で問題となったものと思われる。

 マシュー・シャトックCEOは決算発表について「投資の拡大により、よりよい結果を残せたことを我々は喜んでいる。投資と強い財務体質によって、長期的な成長を継続できると確信している」とコメントした。

UPDATE 2-Beam optimistic on 2013 as bourbon remains strong(ロイター)
Beam Inc. Posts Strong Results For 2012(シェークンニュースデイリー)
ジム・ビームが新たなビジターセンターを建設——WR買収も正式に発表(クーリエ-ジャーナル.com他)

2013年2月2日土曜日

ジェトロとJSSが今年もNYで日本酒・焼酎イベント――タイトルは「サケ・アンド・ザ・シティ」

 日本貿易振興機構(以下「ジェトロ」)と日本酒造組合中央会(同「JSS」)は2月12日、米・NY(ニューヨーク)「アスターセンター」で日本酒・焼酎の体験イベントを開催する。両団体は例年、ニューヨークでイベントを開催しているが、今年はドラマ「セックス・アンド・ザ・シティ」をもじり、「サケ・アンド・ザ・シティ」と銘打つ。

 同イベントでは、2つのセミナーを行なう。

Sake and the City まず行なわれるのが、JSSによって「酒サムライ」に認定されたウェブサイトエンジニア、ティモシー・サリバン氏によるもので、日本酒の飲み方、歴史、製造方法などをレクチャーする。サリバン氏はアーバンサケ・ドットコムというブログを立ち上げ、国際的に日本酒を発信する人物として知られる。

 もう1つはデービッド・ブーレイ氏が日本酒と料理の食べ合わせについて説明するセミナー。ブーレイ氏は辻調理師専門学校(大阪府)と共同で日本食レストラン「ブラッシュストローク」を立ち上げた人物。また、同セミナーでは商取引目的の参加者とプレスを対象にバーテンダー、後閑信吾氏がつくる日本酒を使ったカクテルを提供する。後閑氏はニューヨークにあるバー「エンジェルズシェア」でディレクターを務め、昨年にはバカルディ創立150周年記念のカクテルコンペティションで優勝した。

 「ウォークアラウンド」として、喜多屋(福岡県)、山縣本店(山口県)など16社が出品するテイスティングイベントも開催。参加者が職人に直接質問をすることも可能で、ここでも後閑氏がつくるカクテルが試飲できるという。

 ジェトロの河田美緒エグゼクティブディレクターは「日本から選りすぐった生産者たちの下、(日本酒・焼酎への)テイスティングや認識を深める一日を提供したい」とコメントした。

プレスリリース


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サケ・アンド・ザ・シティ
焼酎、日本酒を「国酒」に——古川特命相が海外展開の方針を言明(デイリー・ヨミウリ他)
ニューヨークで焼酎・泡盛イベント開催(PR Web他)

ウルフバーン蒸留所、操業開始――136年振りの復活(ジョン・オ・グロート・ジャーナル)

 グレートブリテン島最北の街、サーソーで136年ぶりにウイスキー生産が復活した――ウルフバーン蒸留所(英スコットランド)は30日、初となる樽詰めを行ない、シェーン・フレーザー・ディスティラリーマネージャーが「1」と刻印されたオーク樽に、樽栓を打ち込んだ(元記事リンク先に画像あり)。

Whisky makers toast first Wolfburn cask(ジョン・オ・グロート・ジャーナル)
http://www.johnogroat-journal.co.uk/News/Whisky-makers-toast-first-Wolfburn-cask-31012013.htm

 同蒸留所は元々、1821年にウィリアム・スミスが建設し、1877年に閉鎖するまでスミス家によって操業されてきた。最盛期はサーソーのあるケイスネス郡の中で、最大の蒸留所だったという。現在でも、新たな蒸留所の近隣に当時の遺構が残っており、仕込水は新旧とも同じものを利用する。

 「新」ウルフバーン蒸留所開設は、有志のコンソーシアム(共同体、組合)によって進められ、昨年6月に建設許可を取得。8月に着工し、12月には(おそらくポットスティルなどの)設備据付が完了した。現在は3人のスタッフで操業するが商品のリリース以後は、雇用を拡大していく方針。また、新蒸留所が完成、稼働したことにより、「グレートブリテン島最北の蒸留所」はこれまでのオールドプルトニー蒸留所から、ウルフバーンに遷ることとなった。

 今日まで、当初の計画通りに進んだといい、フレーザー・ディスティラリーマネージャーは「蒸留所が『コンセプト』から『現実』へ移り変わっていくのを見たことは、本当に素晴らしい経験となった」とコメントした。

 今回、樽詰めしたスピリッツはスコッチ・ウイスキー令に則り、少なくとも2016年まで熟成する。


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2013年2月1日金曜日

ディアジオ、中間決算発表――西欧不調も、収益とも成長続く(BBC他)

 酒造最大手ディアジオ(英)は1月31日、中間決算(2012年7〜12月期)を発表した。売上高=60億3900万ポンド(約8700億円)で前年同期比5%増、営業利益=20億2900万ポンド(約2900億円)で同9%増、税引前利益=19億6000万ポンド(約2800億円)だった。18.10ポンド(約2600円)の中間配当を分配する(前年実績=16.6ポンド)。

Sales increase for Scotch whisky firm Diageo(BBC)
DIAGEO ‘OVER-EXPOSED’ IN EUROPE(ドリンクスビジネス)
http://www.thespiritsbusiness.com/2013/01/diageo-over-exposed-in-europe/

 販売数量ベースで見ると前年同期が8410万ケースの販売であったのに対し、今期は8880万ケースと6%増加している。

 しかし、多くの地域で好調ないしは堅調な実績を挙げる中、欧州地域の需要停滞が依然として顕著だ。東欧やロシアが好調であったことから欧州全体では2%の売上増加と、なんとかプラス成長に留まったが、西欧のみでは6%の売上減少となっている。スペインなどの景気停滞が、そのまま同社の実績に反映された形だ。この点について元記事のドリンクスビジネスは「最も残念な点」と評し、決算発表の模様を「ポール・ウォルシュCEO(写真)は投資家、ジャーナリストから、いくつかの答えにくい質問を受けた」と伝えている。

 また、インド証券取引委員会などからユナイテッドスピリッツ(インド)の株式公開買付についての承認が未だ下りていない問題に、ディアドラ・マラン(Deirdre Mahlan)CFOは来月にも取引は完了するとの見通しを述べた。ビーム買収や、テキーラ「ホセクエルボ」の販売契約(今年6月まで)終了後についてのコメントはなかったという。

 なお、英国で起こっているEU離脱問題について、ウォルシュCEOはEUに留まることが必要と言及した。BBCのインタビューで述べたもので、以下のようにコメントしている。
「我々のゴールは、結束した上で広くフラットな欧州にすることだが、まだ達成されていない。私は、『欧州』に留まると述べた(デービッド・キャメロン連合王国)首相を支えていく。我々は取引を行なう企業だ。我々は欧州に留まり、規制がなくなり、より競争的となる未来に亘って、欧州に身を置いていなければならない」


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