2013年2月20日水曜日

ユナイテッドブルワリーズ、KFA債務問題で清算の危機――ディアジオのUSL買収遠のく(CNBC-TV18)

 英酒造大手ディアジオによるユナイテッドスピリッツ(インド、USL)経営権取得に、新たな問題が起こった。経営危機に陥ったキングフィッシャー航空(同、KFA)の債権を持つ銀行団が、ユナイテッドブルワリーズホールディングス(同、UBホールディングス)に肩代わりを求める意向であることが明らかになったためだ。UBホールディングスが返済しない場合、会社清算を申し立てることを検討しており、資産保全を理由にUB・ディアジオ間のUSL株譲渡が無効となる可能性が出てきた。

Loan recall, corp guarantees may derail USL-Diageo deal(CNBC-TV18)
http://www.moneycontrol.com/news/cnbc-tv18-comments/loan-recall-corp-guarantees-may-derail-usl-diageo-deal_827750.html

 KFAは7000クローレ(約1210億円、1クローレ=1000万ルピー)の債務を抱えており、USL売却もKFAの経営再建を目的とした側面を持っていた。KFAが債務償還を行なわなければ、その義務を負うのは親会社であるUBホールディングスとなる。銀行団はまず、UBホールディングスにKFAの債務を償還するよう通告し、定めた期限内に償還されなければ、UBの清算を裁判所に求めるという。この場合、債権者保護のためUBホールディングスが持つ資産や債権が保全の対象となり、UB・ディアジオ間のUSL株取引も無効となる可能性が生まれる。

 法廷外で銀行団と協議することにより、ディアジオは既に取得したUSL株を守る可能性も残っている。しかし、それが銀行団に認められ、また、UBホールディングスの清算に至らなかったとしても、ディアジオのUSL経営権取得には障害が立ちはだかる。

 銀行側もKFAへの貸付けの担保としてUSL株を取得しており、同株の時価は本稿掲載時点で1840ルピー(約3180円)前後で推移。ディアジオが当初予定していた公開買付の価格は1440ルピー(約2490円)であるが、これまでの背景から銀行側も簡単に同株をディアジオに手渡すとは考えにくく、少なくとも現状に見合った対価をディアジオは用意しなければならない。

 いずれにしてもディアジオは、利害がぶつかる銀行団とテーブルを共にすることが必要になりそうだ。


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