2012年2月12日日曜日

【コラム】ウイスキーの世界も「ジャパン・パッシング」?(WSJオリジナル記事)

ウィリアム・グラント&サンズ、オフィシャル
サイトのスクリーンショット。UKver.USver.
そして、韓国ver.が選択できる。
(クリックすると画像が拡大)
「上海、ソウル、台北にあって、日本の都市にないものがあります。ウイスキーに関するものです。さて、それは何でしょう? 」

答えは「ウィリアム・グラント&サンズの駐在員事務所があるか否か」だ。
答えを知らなかったウイスキーマニアは驚くか落胆するだろうが、普通の人々は「何それ? 」で終わってしまうかもしれない。
どういうわけか日本では、ジョニーウォーカーやシーバス・リーガルは知られていても、グランツやグレンフィディックの知名度は低い。
だが、ウィリアム・グラント&サンズがリリースするグレンフィディックはシングルモルトで世界一の売上を誇っているし、グランツもまたブレンデッドの中でトップクラスの販売量をあげている。

ただ、これだけなら、それなりに成熟した日本市場はひとまず置いておいて、伸びしろのある地域に注力する、という見方もできる。
では、次の事実はどう受け止められるだろうか。

筆者はWSJに掲載するニュースを探す中で、ひとつの記事を見つけた。

Buy Whisky Online, Watch Whisky Reviews & more on Whisky Marketplace(PR Web)

ここで紹介されているウイスキー・マーケットプレイスは、日本の「価格.com」をウイスキーにあてはめたようなウェブサイトだ。
銘柄はもちろん、エイジングや産地など様々な条件からウイスキーを検索し、それぞれの販売業者が提示する価格を知ることができる。
オフィシャルボトルだけでなく、ヴィンテージウイスキーも探すことができるし、ジャパニーズウイスキーやバーボンも検索可能だ。
そして、ユーザーは価格を比較するにあたって8種類の通貨を用いることができる。
プルダウンメニューの上から順に挙げていこう。

ポンド、ユーロ、USドル……この辺は世界の基軸通貨であるしウイスキーに関する地理を考えれば、なくてはならない通貨だ。

カナダドル……これもカナディアンウイスキーが存在することを考えれば、あって当然。

スウェーデンクローナ……なぜ、クローナ?そういえばゴルゴ13で、依頼人が申し訳なさそうに「クローナで支払っていいですか? 」とデューク東郷に訪ねるシーンがあったな。

オーストラリア・ドル……オーストラリアの酒類情報サイト”THE Shout”の記事はWSJでも引用させてもらっている。これも、オーストラリアがそれだけ大きいマーケットであるという顕れだろう。

――日本円はないのか。そう思っていたところでようやく、お馴染みの「¥」マークを見つけた。
だが、その脇に書かれている通貨コードは”RMB”。
つまり、この¥マークは日本円ではなく中国元を指す。
そして、その下に続くのは台湾ドル。

悲しいが、これが現実だ。
今回は、筆者が知っているジャパン・パッシングの例を挙げたが、おそらく他にも同様の事例は存在するだろう。
もちろん、逆の事例――まだまだ日本は影響力を持っていることの証も、存在することを信じたいが。

(あす13日は更新を停止します)

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